【目次】
①️アイドマ・ホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社アイドマ・ホールディングス
- コード
- 7373
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 三浦 陽平 / 1983年生
- 会社住所
- 東京都豊島区南池袋二丁目25番5号
- 設立年
- 2008年
- 社員数
- 136人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- ■法人向けに営業戦略の立案、実行、検証、改善提案までをワンストップで提供する営業支援
■営業DXツールの開発・活用支援
■クラウドワーカーに特化した就労支援サイトの運営
■クラウドワーカーを活用した業務フローの構築・運用支援
■クラウドワーカー活用支援ツールの開発・活用支援
■オンラインコミュニケーションツールの開発・活用支援 - URL
- https://www.aidma-hd.jp/
- 資本金
- 49,050,000円 (2021年5月20日現在)
- 上場時発行済み株数
- 7,376,000株
- 公開株数
- 1,370,000株
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/03→1,830~1,930円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/07 - 06/11
- 公開価格決定:2021/06/14→1,930円に決定
- 申込期間:2021/06/15 - 06/18
- 上場日:2021/06/23→初値3,430円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:エース証券
- 大株主
- JPM(株) 44.71%
- 三浦陽平 41.60%
- K&Pパートナーズ2号投資事業有限責任組合 4.07%
- 佐賀寛厚 3.77%
- K&Pパートナーズ3号投資事業有限責任組合 2.28%
- 三浦和広 2.00%
- 識学1号投資事業有限責任組合 無限責任組合員 0.77%
- 阿部光良 0.29%
- 若林稔 0.07%
- (株)コバ 0.07%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/08 単体実績
999,657 79,288 49,972 158,063 - 2019/08 連結実績
1,294,833 119,399 84,703 345,659 - 2020/08 連結実績
1,829,843 216,120 164,228 509,888 - 2021/02 第2四半期連結実績
1,606,243 472,989 310,317 820,205 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月20日まで
または、上場後180日目の2021年12月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 26億4410万0000円(1,370,000株×1,930円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 283,800株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社アイドマ・ホールディングス<7373>は法人向けの営業戦略の立案・検証などの営業支援、在宅ワークに特化した求人サイト運営、オンラインコミュニケーションインフラ提供の3事業を手掛ける企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■事業内容詳細
同社は下記3事業を手掛けている。
・セールス・プラットフォーム事業
・ママワークス事業
・meet in事業
また将来的には3事業の組み合わせにより営業支援以外にも事業領域の拡大を予定している。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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●セールス・プラットフォーム事業
セールス・プラットフォーム事業は、同社の事業活動を通じて得られる営業に関するデータベース及び独自に開発した営業支援システム(Sales Crowd)を活用して、主に法人向けビジネスを営む顧客企業の商材やサービスに応じたテストマーケティングの実行を支援している。
サービスは下記流れで提供される。
① 取材・インタビュー
② 企画(営業プラン)提案
③ テストマーケティング
担当者が顧客の商材・サービスを詳しくヒアリングした後、同社の成功事例が蓄積されたデータベースから最適な企画(営業プラン)を抽出する。同社は2021年1月末時点までの支援者数延べ4,500社以上のデータを蓄積したデータベースを保有しており、営業プラン作成後にテストマーケティングを行い、費用対効果の高いパターンを検証する。そして最終的にテストマーケティングで検証された費用対効果の高いパターンをトークスクリプト等の検証資料一式とともに顧客に納品し、以降の営業活動を提案する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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●ママワークス事業
ママワークス事業では在宅ワークに特化した求人サイト「ママワークス」を運営しており、登録会員数は2021年3月時点で26万人を超えている。
また同事業では求人サイトの運営のみならず、セールス・プラットフォーム事業の顧客に対して、在宅ワーカーを活用した業務実現を支援するための運用フロー構築のコンサルティングも行っている。
同社自身も2015年から在宅ワーカーを幅広く活用しており、2021年3月時点で1,300人を超える在宅ワーカーと業務委託契約を締結済みである。
●meet in事業
meet in事業では同社が独自に開発したオンラインコミュニケーションインフラである「meet in」の提供を行っている。2018年11月のサービスリリースから2021年3月末時点で3,400社を超える企業に導入されている。アプリケーションのダウンロードやインストールは一切不要で、発行されたURLをクリックするだけで瞬時に相手方につなぐことができる。
尚、販売形態としては「直販」と「販売代理店」を介して販売する代理店販売の2つの形態がある。
■2020年8月期事業別売上高
2020年8月期 売上高18億円(対前年同期比+41%)
・セールス・プラットフォーム事業 15億円(同+32%)
・ママワークス事業 2.1億円(同+53%)
・meet in事業 1.2億円(同+427%)
セールス・プラットフォーム事業が同社売上の約8割を占める主力事業である。3事業いずれも対前年同期比で増収を果たしているが、コロナ禍によるテレワーク普及を背景にmeet in事業が立ち上がりを見せている。
■業績推移
2018年8月期 売上高10億円、経常利益0.8億円、当期純利益0.5億円
2019年8月期 売上高13億円、経常利益1.2億円、当期純利益0.8億円
2020年8月期 売上高18億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.6億円
2021年8月期(予想) 売上高35億円、経常利益7.3億円、当期純利益4.8億円
※2019年8月期より連結決算
順調に増収増益を続けており、2020年8月期は経常利益2億円を突破した。
2021年8月期は対前年同期比で大幅な増収増益となり、売上高30億円、経常利益7億円を突破の予想である。コロナ禍の中でオンラインを前提とした営業支援の提案を積極的に実施しており、顧客からの引き合いが堅調に推移している。
2021年8月期Q2(累計)で売上高16億円、経常利益4.7億円であり、既に前期通年の経常利益を大幅に上回るなど通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年8月期末時点で資産合計17億円に対し、純資産合計5.1億円、自己資本比率30%である。借入金4.5億円に対し現預金11億円を有しており、財務内容に特段の懸念事項はない。
現預金11億円及び売掛金3.0億円などで流動資産14億円であり、資産の殆どが流動資産から構成されている。
■資金使途
IPOにより20億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・人材採用費 4.8億円
・顧客基盤拡大のための宣伝広告費 11億円
・サービス拡充に向けたシステム開発費 2.2億円
調達資金の約半数は顧客基盤拡大のための宣伝広告費に投じられる。
■株主構成
筆頭株主のJPM株式会社(株式シェア45%)は、役員等により総株主等の議決権の過半数が所有されている会社である。第2位株主は三浦社長(同42%)となっている。役員の関係先で8割以上の株式が所有されており、安定的な株主構成である。
第3位株主のK&Pパートナーズ2号投資事業有限責任組合(同4.1%)を始め、VCファンドが3名義で7%の株式シェアを有している。
■まとめ
法人向けの営業戦略の立案・検証などの営業支援、在宅ワークに特化した求人サイト運営、オンラインコミュニケーションインフラ提供の3事業を手掛ける企業のIPO案件である。法人向けの営業支援を行うセールス・プラットフォーム事業を主力事業としている。
着実に増収増益を続けており2020年8月期に経常利益2億円を突破した。コロナ禍の中でオンラインを前提とした営業支援が堅調に推移しており、2021年8月期は中間期時点で経常利益4.7億円となり、既に前期通年の2倍以上になり成長が加速している。
セールス・プラットフォーム事業で手掛ける案件毎の収益計上がベースとなるため、成長には案件の継続的な獲得が欠かせない。IPOによる調達資金を活用し人材採用や宣伝広告を進めることで継続的な成長を維持できるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、中小の法人向けに営業戦略の立案、実行、検証、改善提案までをワンストップで提供する営業支援事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が142億円、2021年8月期の業績予想ベースのPERは29.7倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金調達額が約30億円とマザーズ銘柄としては中規模の調達となっているが、当社のここ数年の事業成長から個人投資家は更なる成長性有と考えるとみるので、初値は後場まで持ち越されると推測する。
セカンダリーマーケットにおいては、VCが発行済株式の6.5%を保有するが、ロックアップの有無とは関係なく需給に影響を与えることはないと考えた方が良いだろう。むしろ、今期の業績予想に対して、上半期だけで経常利益の進捗率が64%とかなり進捗しており、上場後の7月中旬に開示される第3四半期決算のタイミングで業績予想の上方修正が期待できそうだ。また、8月決算の開示される10月中旬に出る来期の業績予想にも注目したい。大幅な増収増益の予想が出れば、年末に向けて株価の上昇が見込めるだろう。