仮想通貨を使った新たな資金調達の仕組みであるICO。投資家にとっては、資産を数倍に増やせる可能性があるなど、メリットは大きい。一方で、ハイリスク・ハイリターンの投資方法であり、正しい情報を得て投資しないと、詐欺に遭うリスクもある。
この記事では、仮想通貨のICOについて、仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説していく。
ICOへの投資は、ほとんどが法定通貨が利用できません。そのためICO投資する際には取引所で仮想通貨を購入する必要があります。
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※(1) 2020年1月~6月 データ協力:App Annie
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仮想通貨の資金調達「ICO」とは
ICOとは、イニシャル・コイン・オファリング(Initial Coin Offering)の頭文字をとった言葉だ。日本語に訳すと「新規通貨公開」となる。クラウドセール、トークンセールなどと呼ばれることもある。
簡単に言うと、企業が独自の新しい仮想通貨を発行し、販売することで、資金を調達する仕組みのことだ。企業は経営を続けるため、さまざまな方法で資金調達をしなければならない。一般的な方法は、銀行から借り入れるという方法だ。ただし、借り入れたお金は返済しなければならない。
一方、返済する必要がない資金調達の方法として、株式の発行がある。企業が株式を発行し、投資家に販売すれば、資金を調達できる。未上場の会社が取引所に上場して新たに株式を発行することを、IPO(Initial Public Offering)と呼ぶ。日本語では「新規株式公開」「新規公開株」などと訳される。
ICOは、IPOの仮想通貨版と考えるとわかりやすい。仮想通貨を発行するICOも、IPOと同じく、投資家に対する返済の義務がないことが特徴だ。
ICOが初めて行われたのは2013年だ。2014年には、仮想通貨の1つであるイーサリアムがICOで約1,800万ドル(約18億円)相当のビットコインを調達し、ICOが新たな資金調達の手段として、世間に認知されるきっかけにもなった。
ICOの仕組みを解説
ICOではまず、企業や団体が独自の仮想通貨を発行する。発行された仮想通貨は、コインやトークンと呼ばれる。投資家は、企業や団体の活動内容を知り、成長可能性があると思えば、コインやトークンを購入して保有する。
企業や団体が成長し、コインやトークンの価値が上昇すれば、投資家の資産も増えていく。そして、購入時より価格が上がったタイミングでコインやトークンを売却すれば、売却益を得られる。
ICOやIPOを通じて投資家が企業に資金を投じることで、企業は新たな商品やサービスを生み出し、事業を成長させることができる。投資家は、一般消費者としてその恩恵にあずかれるとともに、投資によるリターンも期待できる。
ICOもIPOも本来は、企業と投資家の双方にとってメリットが多く、社会にもいい影響を及ぼすための仕組みと言える。
ICOのメリット・デメリットとは?
続いて、企業・団体側から見た場合と投資家から見た場合に分けて、ICOのメリット・デメリットを解説していく。
企業・団体から見たICOのメリット・デメリット
まず、3つの観点から企業・団体側のメリットを解説する。
銀行借入と比べて、ICOやIPOは、返済義務がないというメリットがある。返済の負担がなければ、調達した資金の使い道の自由度も上がり、企業・団体は事業を成長させやすくなる。
また、IPOでは、上場にあたり一定の要件を満たす必要がある。厳正な審査が行われることに加え、多額のコストもかかる。そのため、上場に向けて数年前から準備を始めることはごく一般的だ。手続きの複雑さ、審査やコストの負担などから、簡単に選択できる方法とは言い難い。その点、ICOでは複雑な手続きがなく、IPOと比べて比較的スムーズに資金調達が完了する。
さらに、ICOでは、国や地域を限定することなく世界中から資金調達が可能だ。仮想通貨にはもともと、国際送金を低コスト・短時間で行えるという特徴がある。そのため、国境を越えた資金調達ができる。グローバルな時代に適した資金調達の方法と言えるだろう。
ただし、IPOほど複雑な手続きではないものの、ICOでも一定の手続きが必要だ。トークンを発行したからといって、投資家が殺到し、自動的に資金が集まるわけではない。事業の特徴や強みを伝え、投資を希望する投資家を集めなければならない。ホワイトペーパー(企画書)を発行したり、投資家に直接投資のオファーをしたりといった地道な活動が必要になる。
投資家から見たICOのメリット・デメリット
続いて、投資家側のメリットを解説する。
IPOでは、最低投資額が数十万円から数百万円というケースも少なくない。一方ICOでは、少額から投資できることが多く、投資のハードルが低いというメリットがある。少額から投資できるということは、複数の投資先に分散投資が可能ということだ。分散投資はリスクを抑えて投資する場合の基本でもある。
また、ICOでは大きなリターンが得られる可能性がある。場合によっては、短時間で元手が数万倍になる可能性もゼロではない。ハイリスク・ハイリターンの投資方法だからこそ、うまくいけば莫大なリターンを得られるという夢がある。
興味のある企業・団体のトークンに分散投資することで、成長性を見極める目も養われる。事業内容を分析したり、将来性を予測したりする視点は、ビジネスなど他のシーンでも生かせるかもしれない。
メリットの多いICOだが、デメリットもある。ICOは新しい資金調達の手段であり、制度や法律が十分に整備されているとは言い難い。
ICOは、最初の仮想通貨バブルとも言える2017年頃に盛り上がりを見せた。しかし、資金調達したプロジェクトが頓挫してしまったり、いつまで経ってもスタートしなかったりといったケースも登場した。法律で保護されなければ、投資家としては、勉強代だと思って泣き寝入りをするしかない。
同時に、ICOをうたった詐欺も横行した。「ICOの説明を受け、商品・サービスに興味を持って投資したが、商品・サービスが存在しなかった」「資金を投じたあと、連絡が取れなくなった」などといった詐欺被害も発生している。
ICOは新しい資金調達の方法として注目されているが、制度や法律の整備が追い付いていない現在では、慎重に見極める必要がある。
ICOのデメリットを解消するSTOやIEOとは?
ICOのデメリットを解消することを目的に、STOやIEOといった仕組みも登場した。続いて、STOとIEOについてそれぞれ解説していく。
STOとは?
STO(Security Token Offering)とは、セキュリティトークンを利用して資金調達する仕組みのことだ。セキュリティトークンは、法律上「証券」と位置付けられ、政府機関に正式に発行・販売が認められている。
STOには守るべきコンプライアンスが多く、政府機関による審査を通過しなければ発行・販売ができない。STOは、他の有価証券と同様に法律の適用を受けるため、発行体の企業・団体には一定の義務が課されるが、法律の適用対象になるという点で、投資家にとっては一定の安心感があるだろう。
IEOとは?
IEO(Initial Exchange Offering)とは、仮想通貨取引所のサポートを受けてトークンを販売する形態のことだ。IEOでは、仮想通貨取引所でトークンが先行販売される。先行販売では、公開価格より割引された価格でトークンを購入できる。
IEOの基本的な仕組みはICOと同じで、STOのように法律上の取り扱いが変わるわけではない。ただ、発行されたトークンや発行体の企業・団体に重大な問題が発覚すれば、仮想通貨取引所への信頼は失墜する。
そのため、仮想通貨取引所は、発行体やプロジェクトそのものを精査することになる。STOとは異なる形だが、投資家にとっては、一定の安心感が得られるだろう。
ICOに参加する方法と手順を紹介
ここまで読んで、ICOに参加したい、独自トークンに投資したいと考える人もいるだろう。続いて、ICOに参加する方法と手順をわかりやすく解説していく。
ICOに参加するには、まず仮想通貨取引所で口座開設し、仮想通貨を保有しておく必要がある。同時に、購入したトークンを保管するためのウォレットを開設する。
次は、ICOに関する情報収集だ。インターネット検索やインターネット広告、SNSなどで、興味のあるICOを探す。「ICO bench」「ICO COUNTDOWN」などのICO情報に特化したサイトをチェックする方法もある。
興味のあるICOを見つけても、投資を即決せず、情報収集に努めることが大切だ。ホワイトペーパー(企画書)をしっかり確認し、開発者の名前を検索するなどして、実態を確認しよう。SNSで情報発信しているかどうかを確認し、情報発信している場合、プロジェクトの進行度合いなどをチェックする。多方面から投資に値するかどうかを見極める必要がある。
どのICOに投資するか決めたら、購入の準備を進めよう。ICOのトークンは、日本円など法定通貨で購入できないことがほとんどだ。口座開設した仮想通貨取引所に日本円を入金し、ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨へと交換しておく。
最後に、トークンセールが始まったら、購入したい量に応じて、定められたアドレス宛にビットコインを送金する。トークンを受け取れば、ICOの手続きは完了だ。その後、値上がりしたタイミングで売却すれば、リターンとしての売却益を得られる。
仮想通貨取引所の口座開設には、本人確認などの手続きがあり、時間がかかるケースもある。興味のあるICOの募集が始まったときに間に合うように、早めに口座開設し、ビットコインなど主要な通貨を保有しておくと安心だ。
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成長性を予測してICOに投資しよう
ICOは2017年に盛り上がりを見せたが、詐欺被害などが多く報告されたことから、一時的に下火になっている。しかし、課題を解決するため、STOやIEOなど新たな仕組みも登場している。制度や法律が整備されるにつれ、ICOが一般的な資金調達の手段として浸透していくことは十分に予測できる。今のうちにICOに参加することで、大きなリターンを狙えるかもしれない。
ただし、現在は制度や法律が十分に整備されていないというリスクをよく理解し、詐欺案件に注意するとともに、余裕資金で投資することが大切だ。