投資信託/手数料
(画像=PIXTA)

投資信託なら、初心者でも手軽に分散投資ができ、運用をプロに任せることができます。投資信託は非常に便利な金融商品です。一方で、投資信託には投資家が負担すべき手数料(コスト)がかかることも忘れてはいけません。

投資信託にはさまざまな手数料がかかります。「○○手数料」と呼ばれる分かりやすい手数料もあれば、名称からは手数料だと分かりにくいものもあります。投資信託の手数料は、投資信託を選ぶ際に重要なポイントとなります。ここでは、投資信託にかかる主要な手数料について説明をしていきます。

目次

  1. 投資信託で発生する手数料
  2. 販売手数料について
    1. 販売手数料とは
    2. 販売手数料はいつ支払うの?
    3. 販売手数料の目安・計算方法
  3. 信託報酬(運用管理費用)
    1. 信託報酬(運用管理費用)とは
    2. 信託報酬(運用管理費用)はいつ支払うの?
    3. 信託報酬(運用管理費用)の目安・計算方法
  4. 信託財産留保額
    1. 信託財産留保額とは
    2. 信託財産留保額はいつ支払うの?
    3. 信託財産留保額の目安・計算方法
  5. 手数料が安い投資信託を選ぶときのポイント
    1. 信託報酬の安いインデックス型の投資信託
    2. 販売手数料がゼロであるか
    3. 信託財産留保額の有無
  6. 投資信託をどの証券会社で始める?
  7. 投資信託にかかる手数料に関するQ&A
    1. どんな時にどの手数料がかかるの?
    2. 手数料を安く抑える方法はありますか?
    3. どのようなタイミングで始めるのがよいでしょうか?
    4. 注意点はありますか?
    5. 投資を始めてみたいのですが、学生でも大丈夫でしょうか?
  8. まとめ
cool

投資信託で発生する手数料

金融機関が投資信託を販売し、投資家から資金を預かって、それを運用管理していくためにはコストが発生します。このコストを賄うために投資家から必要な手数料を徴収する仕組みがあります。

投資家が投資信託を購入して運用する場合、主に以下の3種類の手数料を支払うことになります。

主な手数料

  • 販売手数料
  • 信託報酬(運用管理費用)
  • 信託財産留保額

これらの手数料は、どのような目的で徴収されて、投資家はどのタイミングでどれだけ負担することになるのでしょうか。それぞれ説明していきます。

\ネット証券口座開設数No.1!/

販売手数料について

まずは、投資信託の「販売手数料」について説明します。

販売手数料とは

販売手数料
(画像=SBI証券)

「販売手数料」とは、投資信託を購入する時に投資家が支払う手数料のことです。商品説明、投資情報提供、販売の事務手続等にかかる費用の対価として、投資信託を販売する窓口となる銀行や証券会社等の金融機関に投資家が直接支払います。

投資信託を販売する金融機関によって呼び方はさまざまで、例えば「購入時手数料」、「買付手数料」、「お申込手数料」などがあります。実際は、すべて「販売手数料」のことを指しています。

中には、この販売手数料を徴収せずに販売される投資信託もあります。こうした販売手数料のかからない投資信託は「ノーロードファンド」と呼ばれています。

販売手数料はいつ支払うの?

販売手数料は投資信託を購入する時に、販売窓口となる金融機関に支払います。投資信託を購入する初回だけ支払えば、その後、投資信託を持ち続けても再び販売手数料が請求されることはありません。

販売会社に支払う手数料です。販売手数料がない投資信託もあり、「ノーロードファンド」と呼ばれています。

引用元:金融庁|投資信託にかかる手数料の種類
楽天証券

販売手数料の目安・計算方法

販売手数料は、投資信託の購入金額に対して1~3%ほどかかるのが一般的となっています。例えば、販売手数料3%で販売される投資信託を100万円分購入すると、販売手数料は3万円となります。

100万円(購入金額) × 3%(手数料率) = 3万円(販売手数料)

販売手数料で注意したいのは、同じ投資信託でも金融機関が違うと販売手数料が異なるケースがあることです。A証券会社では販売手数料3%で販売されている投資信託が、B銀行に行くと販売手数料1%で販売されている可能性もあります。超低金利が続く現在、わずか数パーセントの手数料でも投資家にとっては大きな負担となります。購入前にしっかりと確認しておきましょう。

\100円から始められる投信つみたて/

信託報酬(運用管理費用)

続いては、「信託報酬(運用管理費用)」を説明します。

信託報酬(運用管理費用)とは

信託報酬
(画像=SBI証券)

投資信託の「信託報酬(運用管理費用)」とは、投資信託の運用・管理の対価として支払うものです。投資信託を保有している期間中は継続的に発生します。そのため、長期間保有する予定の投資信託を購入する際は、特に信託報酬に注意する必要があるでしょう。

投資信託の保有額に応じて支払う費用で、投資信託を保有している間は継続的に支払う必要があります。その内容は、「投資信託説明書(目論見書)」で確認できます。

引用元:金融庁|投資信託にかかる手数料の種類

信託報酬(運用管理費用)はいつ支払うの?

信託報酬は販売手数料とは違って、投資家が直接金融機関に支払うものではありません。投資信託の信託財産から日割り計算で日々差し引かれています。差し引かれた分だけ投資家の運用資産が減るため、間接的に投資家がその費用を負担していることになります。

SBI証券

信託報酬(運用管理費用)の目安・計算方法

投資信託の信託報酬は、信託財産の額に応じて一定率を徴収するタイプが一般的で、純資産総額(信託財産)に対する年率で表されます。0.1%を下回るような非常に低い信託報酬が設定されている投資信託もあれば、2%を超える信託報酬を徴収するものもあります。

一例として、目論見書に「信託報酬:ファンドの日々の純資産総額に対し年率1.1%」と記載されている投資信託の場合、どれほどの負担が発生するのかを考えましょう。この投資信託を保有していて、現在の評価額が100万円と仮定すると、日々どれほどの信託報酬がかかっている計算になるのでしょうか。

100万円(保有評価額) × 1.1%(信託報酬年率) ÷ 365(日割り計算) ≒ 30円

日々30円程度の信託報酬が信託財産から差し引かれる計算となります。もちろん、投資信託の評価額は日々変動します。現在の保有評価額が100万円であっても、110万円になることもありますし、90万円になることもあるでしょう。その日の保有評価額に応じて、おおよその信託報酬を計算することができます。

\取引手数料のポイントバックあり!/

信託財産留保額

最後に「信託財産留保額」について考えます。

信託財産留保額とは

信託財産留保額
(画像=SBI証券)

ここまで説明してきたとおり、販売手数料は購入時に、信託報酬は保有期間中に発生する費用です。一方、信託財産留保額は通常、投資信託を手放す時(換金時)に発生する費用です。

投資信託の換金が申し込まれると、運用会社は一部の資産を売却して、投資家に支払う現金を用意する必要が生じます。この事務手続にかかる費用を換金する投資家に負担させる意味合いで信託財産留保額が設定されています。

信託財産留保額は、普通の手数料とは違って、金融機関の売上にはなりません。徴収された信託財産留保額は、その投資信託の信託財産として留保されます。つまり、その投資信託を保有し続けるほかの投資家のために信託財産を少し残していく仕組みです。

厳密にいうと、信託財産留保額は金融機関が受取るものではなく手数料ではありませんが、投資家からすれば換金時に支払わなくてはならいコストであることは変わりないので、実質的な換金手数料と捉えてよいでしょう。

投資信託を信託期間の途中で売却(換金)する場合に生じる費用で「信託財産留保金」ともいいます。

引用元:金融庁|投資信託にかかる手数料の種類
マネックス証券

信託財産留保額はいつ支払うの?

信託財産留保額は、換金時に解約代金から差し引かれることになります。

なお、信託財産留保額が設定されている投資信託の場合、ほとんどは換金時に徴収されるようになっていますが、まれに投資信託の購入時に徴収する投資信託もあります。どちらにしても、目論見書に記載されていますので、しっかり確認しておきましょう。

信託財産留保額の目安・計算方法

信託財産留保額は、すべての投資信託で徴収されるものではありません。徴収する投資信託の場合は、0.1~1%程度の信託財産留保額が設定されていることが多いようです。

信託財産留保額が解約代金の1%と定められた投資信託を100万円分換金したケースを考えましょう。

100万円(評価額) - 1万円(信託財産留保額) = 99万円(受取金額)

換金の際、1万円が信託財産留保額として差し引かれることになりますので、100万円の投資信託を手放しても投資家が手にするのは99万円となります。信託財産留保額があるせいで、思ったよりも受取金額が少なくなることもあるので注意が必要です。

\ネット証券口座開設数No.1!/

手数料が安い投資信託を選ぶときのポイント

金融機関もビジネスで投資信託を運用・販売しています。必要な手数料を投資家が負担することになるのは当然です。それでも高すぎる手数料は避けたいですし、できれば手数料が安い投資信託を選びたいでしょう。ここで、手数料が安い投資信託を選ぶポイントを整理しておきます。

手数料が安い投資信託を選ぶポイント

  • 信託報酬の安いインデックス型の投資信託
  • 販売手数料がゼロであるか
  • 信託財産留保額の有無

信託報酬の安いインデックス型の投資信託

信託報酬が安い投資信託の代表例として、インデックス型の投資信託(インデックスファンド)があります。

インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIXといった指数(インデックス)をベンチマーク(目標基準)にして、それに連動するような運用がなされる投資信託です。インデックスファンドでは、専門家による調査・分析にコストをかけて積極的な運用は行なっていません。市場全体に投資して平均的な運用成果を得ようとするシンプルな設計であるため、信託報酬が低く抑えられているのです。

コストを重視するなら、信託報酬が低く抑えられたインデックスファンドから選ぶのが おすすめできる一つの方法です。

楽天証券

販売手数料がゼロであるか

資産を増やす目的で投資信託を購入するのに、高い販売手数料によって資産を大きく減らしてしまっては本末転倒です。インターネットで販売されるものを中心に、販売手数料ゼロ(ノーロード)の投資信託が一般的になりつつあります。コストを重視するならノーロードで販売されている投資信託の中から選ぶのがポイントとなります。

また、自分が購入したい投資信託がもしかしたら他の金融機関では販売手数料ゼロで販売されているかもしれません。さらに、同じ金融機関で同じ投資信託を購入する場合でも、店舗ではなくインターネットで購入すればノーロードとなるケースもあります。

信託財産留保額の有無

信託財産留保額は、事実上の換金手数料です。販売手数料と同様にできるだけ避けたいと思う投資家も多いでしょう。特に短期間で投資信託を売却することを予定しているのなら、信託財産留保額が設定されている投資信託は負担が大きくなりがちです。長期保有を前提としていない場合は、信託財産留保額が設定されていない投資信託を選んだ方がよいでしょう。

前述のインデックスファンドはコストが安く抑えられるのが特徴のひとつですが、インデックスファンドの中にも信託財産留保額が設定されたものがあるので注意しましょう。

\取引手数料のポイントバックあり!/

投資信託をどの証券会社で始める?

おすすめ3つの証券会社の手数料を比較しました。ぜひ参考になさってください。

 
投資信託銘柄数 2635 1233 2672
インデックス 458 315 375
申込手数料 原則無料 無料 無料
信託報酬 純資産総額に対して、最大年率3.41%(税込) 純資産総額に対して最大年率2.38%(税込2.618%)を乗じた額の信託報酬のほか、その他の費用 ファンドにより異なる
信託財産留保額 買付時の基準価額に対して最大0.6%、換金時の基準価額に対して最大3.5% 約定日の基準価額に最大計1.2%を乗じた額 ファンドにより異なる
SBI証券マネックス証券楽天証券、各ページより引用

投資信託にかかる手数料に関するQ&A

どんな時にどの手数料がかかるの?

①投資信託を購入する際に「販売手数料」
②投資信託を手放す(換金時)際に「信託財産留保額」がかかります。
(信託報酬は保有している期間中、日々差し引かれます)

手数料を安く抑える方法はありますか?

販売手数料を抑えるには、ノーロードファンドを選ぶこと。信託報酬を抑えるには、インデックス型を選ぶこと。信託財産留保額は導入されていないものもあリます。 しかし、それぞれ他の手数料が高く設定されている場合もあるので注意が必要です。
長期で運用していくケースでは毎日かかる信託報酬が安いものに注目するのがよいでしょう。

どのようなタイミングで始めるのがよいでしょうか?

利益を増やすには基準価格が下がったタイミングがよいですが、初心者には変動や状況を見極めるのはとても難しいものです。長く運用した方が方が複利効果が高まる可能性が多いため、始めたいタイミングで始めるのがよいでしょう。迷いがある方は積立投資もおすすめです。

注意点はありますか?

主に3点を理解しておく必要があるでしょう。
①リスクがある(元本保証はない)
②コストがかかる(詳細はこの記事をご参照ください)
③購入前に、どのような金融商品なのかを把握

投資を始めてみたいのですが、学生でも大丈夫でしょうか?

原則未成年でも投資は可能です。ただし、親権者の同意などが必要な場合が多いようです。

まとめ

投資信託は資産を増やす目的で購入するものです。ここでは、投資信託にかかる主要な手数料(コスト)3つを説明しました。販売手数料、信託報酬、信託財産留保額について、しっかり理解して、ポイントを押さえて選んでいけば、想定外に高い手数料を支払って資産を減らすような事態は避けられるはずです。