米国株ETF VOO
(画像=PIXTA)

米国ETFへの投資に興味があり、「おすすめのETFを知りたい」「VOOのおすすめポイントを教えて」と思っている人は多いのではないでしょうか。

トータルリターンが17%以上のVOOに投資をすれば、多くのリターンが期待できます。2010年9月9日の設定以来右肩上がりのため、長期投資の対象としても魅力的です。

この記事では、VOOのメリットやデメリット、おすすめの証券会社などについて解説します。ETFの取引で長期の資産運用を考えている人は、参考にしてください。

この記事の著者
石井僚一
個人投資家・金融ライター
詳細はこちら大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。 株式市場の解説や個別銘柄の財務分析、IPO関連記事を得意としている。株式会社ZUUでは長くIPO記事を担当。複数媒体に寄稿しており、Yahoo!トップページに掲載実績あり。

米国ETF VOOとは

VOO
(画像=NETMONEY編集部)

まず、米国株のETFとVOOの概要を見ていきましょう。

S&P500に連動するETF

VOOとはバンガード社が提供するETF(上場投資信託)で、正式名称は「バンガード・S&P500ETF」です。S&P500とあるように、米国の代表的な企業500社の株価を指数化している「S&P500」に連動するETFです。

ETFは上場されているため、株式のようにリアルタイムでトレードすることが可能です。ETFは複数の銘柄を対象とし、1銘柄に投資するだけで複数の銘柄に投資ができ、分散投資の役割を果たしています。インデックス型では指数と連動するように運用されます。

VOOは、米国の大型企業へまとめて投資することができる金融商品なので、世界で人気のETFです。

●上場投資信託(ETF) 一般的に、ある指標に連動する運用を行う、証券取引所に上場する投資信託のこと。指値や成行注文が可能です。

引用元:金融庁|用語集

●投資信託(ファンド) 「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。 「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

引用元:金融庁|用語集

米国ETF VOOの構成銘柄

VOOを構成しているS&P500の代表的な銘柄は以下のとおりです。

【主な構成銘柄】

・アップル(AAPL)
・マイクロソフト(MSFT)
・アマゾンドットコム(AMZN)
・フェイスブック(FB)
・アルファベット(GOOGL)(GOOG)
・テスラ(TSLA)
・バークシャー・ハサウェイ(BRK)
・エヌビディア(NVDA)
・JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)

「GAFAM」といわれる巨大なIT企業などを中心とした米国を代表した銘柄が主に組み込まれています。大きく成長を続けている米国の企業で構成されているので、歴史的に高いリターンを得られていたことも特徴と言えます。

それだけではなく、保険業のバークシャー・ハサウェイや半導体メーカーのエヌビディア、金融のJPモルガン・チェース・アンド・カンパニーも含まれているのが、しっかりとしたイメージを彷彿とさせます。

米国ETF VOOのメリット

VOOのメリット
(画像=NETMONEY編集部)

米国ETF VOOのメリット

  • 長期的に成長が期待できる
  • 500社に分散投資ができる
  • 米国大型企業に集中投資ができる
  • 経費率が低い

長期的に成長が期待できる

VOO株価チャート

VOOにおける過去のパフォーマンスをチェックしてみましょう。

チャートから分かるように設定以来、パフォーマンスが非常に高いです。価格は過去10年間でおよそ4倍となっており、リターンが十分に出ています。

また、レバレッジ商品などのように値動きが大きくないので短期的な利益を狙わずに、長期的な保有でゆっくりとリターンが得られます。

コロナ禍での下落も2019年の下落した価格の近くで踏みとどまっており、底堅いETFとしても信頼性が見て取れます。

500社に分散投資ができる

これから投資を始める人に覚えておいてほしいのですが、投資をする際は、分散投資をしてリスクを低くした運用をすることが理想的です。

例えば、1つの銘柄だけに投資した場合、その銘柄の価格が大きく下落したら、資産も大きな損失を受けます。そうならないために、1つの銘柄に集中させずに、あらゆる業界・業種などの銘柄に分散して投資しておくことを強くおすすめします。

VOOの投資対象企業は米国を代表する企業500社なので、リスクが偏らずに安心してトレードすることができます。

リスクを減らす方法の一つに分散投資があります。分散投資には、「資産・銘柄」の分散や「地域の分散」などのほか、投資する時間(時期)をずらす「時間(時期)分散」という考え方があります。

引用元:金融庁|分散投資

米国大型企業に集中投資ができる

VOOは大型株を中心に構成されていることから米国大型企業に集中投資することができます。連動する指数であるS&P500は、代表的な米国の大型企業が中心です。

中小型の銘柄があまり含まれず、これから伸びる新興企業の成長の恩恵を受けることができないこともありますが、安定した大型企業であれば株価の変動が中小型の銘柄に比べて安定しています。

1つのETFで米国の大企業それぞれに投資ができるのも魅力の一つです。

経費率が低い

投資する際は、取引コストも重要なファクターで、経費率が0.03%と低いことも特徴です。

経費率とは、投資商品の運用に必要な経費が純資産の総額に対し、どのくらいの割合かというものです。経費率が高ければその分リターンが大きくなければ割に合いませんし、逆に経費率が低ければその分リターンが少なくても十分に元は取れます。

QQQでは0.2%、TQQQでは0.95%とその他の米国株ETFと比べても、圧倒的な経費率で取引コストを安く抑えられます。

取引コストを抑えながら運用できることも、VOOに投資するメリットです。

米国ETF VOOのデメリット

VOOのデメリット
(画像=NETMONEY編集部)

米国ETF VOOのデメリット

  • 投資対象が米国の大型株に絞られる
  • 日米での二重課税
  • 配当再投資のハードルが高い

投資対象が米国の大型株に絞られる

VOOのメリットとして「米国大型企業に集中投資ができる」という点を挙げましたが、言い換えれば、大型株に投資対象が集中してしまうというデメリットがあります。

連動する指数のS&P500は、代表的な米国の大型企業が中心の構成となっています。そのため、中小型企業の銘柄があまり含まれておらず、今後伸びてくる新興企業の成長の利益をあまり受けられません。

米国経済の成長を中小企業が引っ張っていく場面において、VOOのリターンは相対的に小さくなるでしょう。投資先が大型株に偏っている点はデメリットと言えます。

日米での二重課税

VOOのその他のデメリットに日本と米国でそれぞれ課税がされる二重課税の問題があります。しかし、これは確定申告における外国税額控除の申請をすると米国分の課税が還付されます。

ここでは、二重課税になる仕組みを説明します。

VOOで配当金を受けた際、まずは米国で10%分課税がされます。配当金が100ドルとすると、10ドル分米国へ税金を納めるわけです。そして、残った配当金90ドルに対して、日本でも20%課税されます。税額にして18ドル分です。

したがって、米国と日本で合わせて28ドル分税金を納めることになります。割合でいうと28%です。

もっとも、上述したとおり、2月から3月の確定申告で外国税額控除制度の適用を受ければ、課税割合は米国分が還付されるので、20%と通常の日本株からの配当金と同じ割合になります。

この問題は全米株のETFであるVTIなどでも同じことが起きているので、覚えておきましょう。

配当再投資のハードルが高い

投資信託と異なり、ETFの分配金は決算時に経費を差し引き口座へ入金され、自動的に再投資はされません。

自動的に再投資する機能がETFには備わっていないので、複利の力を利用した再投資をするには、定期的に自分で買い増しをしていくしかないのです。

配当金の入金が確認できたら、自身の手で端末を操作して商品を再購入しないと複利を利用した資産運用を取ることができません。

■米国ETF VOOへの投資方法

現物を購入

VOOへの投資は、現物取引が基本です。現物取引というのは、決済時に現金と現物を受け渡す取引です。例えば、現金を支払ってVOOの現物を購入する、という取引が現物取引です。

現物だと、以下のような国内のネット証券会社の多くがVOOを取り扱っています。

・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券

CFD取引

CFD取引もVOOへ投資できる方法の一つです。CFD取引とは、差金決済取引のことを言います。

資産の受け渡しをせずに売買による損益だけを受け渡して決済する取引のことで、現物を保有せずに売り買いを選択するだけなので、株価の上昇局面だけではなくて、下落局面でも利益を作り出すことができます。

例えば、トウモロコシを買う権利を1万円で買って1万2,000円で売るという一連の取引をトウモロコシの受け渡しをせずにやり、差額分の2,000円の受け渡しを受けるのがCFD取引です。

さらに、CFD取引では証拠金となる資金を預ければ、レバレッジをかけることができます。レバレッジをかけることで、少ない資金で大きな金額のトレードをすることができるのがCFD取引の魅力です。

まとめ

米国ETFであるVOOはハイテク株を中心としているQQQとは異なり、伝統的な大企業株を中心に構成されています。分散投資をするうえでも魅力的で、経費も安く、右肩上がりの値上がりを見せているので、長期保有をするのにぴったりなETFです。

しかし、再投資コストや成長株への投資が少ないこと、申請をしなければ二重課税を取られてしまうなどのデメリットも含まれています。

これらを理解した上で、投資を検討してみてはいかがでしょうか。

VOO投資に関するよくある質問

VOOとは何ですか?

VOOとはバンガード社が提供するETF(上場投資信託)で、正式名称は「バンガード・S&P500ETF」です。

VOOの特徴は何ですか?

「GAFAM」といわれる巨大なIT企業などを中心とした米国を代表した銘柄が主に組み込まれています。大きく成長を続けている米国の企業で構成されているので、歴史的に高いリターンを得られていたことも特徴と言えます。

VOOのメリットは何ですか?

パフォーマンスが非常に高く、長期的な保有でゆっくりとリターンが得られます。底堅いETFとしても信頼性が高いです。また、500社に分散投資ができ、経費率が低いのも魅力です。

VOOのデメリットは何ですか?

VOOのデメリットとして一つに、日本と米国でそれぞれ課税がされる二重課税の問題があります。しかし、これは確定申告における外国税額控除の申請によって米国分の課税が還付されます。

VOOの注意点は何ですか?

VOOの注意点は投資信託と異なり、ETFの分配金は決算時に経費を差し引き口座へ入金され、自動的に再投資はされないことです。

VOOの投資方法は?

VTIに投資する方法は「現物を購入して投資(現物取引)」と「CFD取引で投資」の2種類です。現物取引では証券口座の資金の範囲内で売買をするため、資金以上の取引はできません。CFD取引は、買い・売りの両方から取引を始めることができ、レバレッジにより資金効率を高めることもできます。

ETF/ETN人気ランキング(2022年6月)

順位 前月比 コード 銘柄名
1 1570 NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信
2 1357 NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信
3 1360 日経平均ベア2倍上場投信
4 1579 日経平均ブル2倍上場投信
5 1552 国際のETF VIX短期先物指数
6 2516 東証マザーズETF
7 1655 iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
8 2038 NEXT NOTES ドバイ原油先物 ダブル・ブル ETN
9 new 1655 楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型
10 new 1540 NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信
引用:SBI証券公式HP

2022年6月のSBI証券におけるETF/ETN売買ランキングについて、1~3位(1位NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信、2位NEXT FUNDS日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信、3位日経平均ベア2倍上場投信)の1位集団は5月と同様にレバレッジ型の日経平均連動ETFが占めました。また4位も日経平均ブル2倍上場投信であり、1~4位がいずれも日経平均連動のレバレッジ型ETFとなっています。

更に9位楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型、10位NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信が新たにランクインしました。結果的にETF/ETN人気ランキング上位10銘柄の中で、6銘柄が日経平均連動型。更に5銘柄がレバレッジ型です。6月の日経平均は月足で上下にヒゲの長い陰線となり、方向性は出ていないものの比較的大きな値動きが生じました。日経平均の値動きに乗ろうとした投資家が多かったことが分かります。

7月も引き続き日経平均連動型ETFの活況が続くか注目されます。

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”石井僚一”