株式投資を始めるなら、まず取引に使う証券会社を決めなければいけない。各証券会社にはそれぞれ魅力があり、目的ごとに証券会社を使い分ける人も多い。
今回は、手数料や取扱商品、提供する情報など多角的な視点から、証券会社を比較し、紹介する。
目次
ネット証券人気ランキング
手数料の安さ、 取扱銘柄の数、 IPO、 ツールやアプリの機能性、 NISAや積立NISAの取組みなど証券口座を選択する要素はたくさんあるが、ネット証券会社選びで一番重要なのは、総合力だ。
本記事では様々な要素を検証して、まず開設すべき総合力が高いオススメの証券会社を厳選して紹介する。
実際に証券口座を持っているユーザー約800人に聞いたネット証券の満足度ランキングTOP10が以下の通りだ。
ネット証券手数料比較ランキング
比較してみた結果、投資をはじめるなら、やはり各種手数料が安いネット証券をおすすめしたい。では、各ネット証券の特徴を手数料から比較してみよう。※楽天証券、マネックス証券以外税抜表示
こうして見ると、広い約定料金帯で手数料最安値を実現しているのは「 SBIネオトレード証券 」、次いで「 GMOクリック証券 」となる。少額投資家や初心者に多い50万円までの取引においての手数料では、「 SBIネオトレード証券 」「 GMOクリック証券 」の次に「 マネックス証券 」の手数料が安いという結果になった。
一方で50万円以上の取引を行う場合になると「 SBIネオトレード証券 」「 GMOクリック証券 」の次に安いのは「 SBI証券 」「 楽天証券 」となる。これらの5つの証券会社はいずれも1日定額の手数料プランを設定しており、1日に何度も取引を行う投資家ならチェックしておくのがいいだろう。
1日の約定金額が50万円以下の場合は「松井証券」の取引手数料が無料という点も見逃せない。
また、「楽天証券」と「au カブコム証券」は、ともに手数料の安さと明快な料金体系だ。
ネット証券取り扱い商品比較
証券会社ごとに、取扱商品の種類や取扱数(銘柄数、本数)にも違いがある。下表をみると、「SBI証券」や 「マネックス証券」の取扱商品の種類の広いことが分かる。ここでは、特に人気があるIPO株、外国株、ミニ株、投資信託を買うのに適した証券会社を比較していきたい。
<取扱商品の種類で比較>
<信用取引で比較>
投資家の信用を土台として、資金以上の取引を行ったり、株式を証券会社から借りたりすることを「信用取引」という。
前者は資金以上の取引ができるようになり、例えば100万円の資金で300万円の取引が可能となる。ベースとなる資金が大きくなるため、利益も併せて増大するのだ。
後者は証券会社から株式を借りて売却することから取引をはじめ、株価が十分に下がったところで買い戻すことになる。つまり株価が下落すると利益が得られる仕組みだ。
いずれも使い方しだいでは効率的に利益を得ることができるが、元本以上の損失を出してしまうこともあるため注意が必要だ。
信用取引のメリットとデメリットについて、詳しくはこちらの「信用取引の魅力と注意点に迫る!下げ相場なのに利益が出せる」で触れている。投資を行うに当たって忘れてはいけない、リスク軽減のための知識を身につけることをおすすめする。
50万円以下の場合「 松井証券 」の手数料は無料だ。さらに「松井証券」では「一日信用取引」というサービスを利用すれば取引価格の大小に関わらず無料となる。
全体で見ると「SBIネオトレード証券 」と「 GMOクリック証券 」の手数料の安さが目にとまる。50万円以上の資金を使って信用取引をするとき、手数料の側面からのみ見れば「新:SBIネオトレード証券」と「GMOクリック証券」が比較的お得と言えるだろう。
<新規公開株(IPO)で比較>
IPO株の魅力は上場前に公開予定株の一部を購入できることにある。まだ市場に出回っていない株であるため、予想される値より低く購入できることがほとんどであり、公開後に売り出せば短期間で大きな利益になることも珍しくない。
かなりの高確率でリターンの得られるIPO株、知らないままにしておくのはもったいない。IPO株についてよく掴めていないという人は、「知らないともったいないIPO(新規公開株)投資とは?」で復習しておくといいだろう。
ここでは、そんな人気の商品・新規公開株(IPO)の面からネット証券各社を比較していこう。
※IPO取扱数は2020年実績、開設口座数は2021年3月現在
口座開設数550万突破のネット証券最大手「 SBI証券 」は、新規公開株においても最大手らしく群を抜く引受数を誇っている。2020年も85件と、IPO株の購入を行いたい投資家なら、口座を開くべき証券会社と言うことができよう。
次いで「 マネックス証券 」が引受数第2位で、2020年は50件となっている。第3位は「 岡三オンライン 」。2020年は39件と、毎年安定した引受数を獲得している。
【関連記事】 IPO(新規公開株)に優れたネット証券会社比較
<外国株で比較>
日本の証券会社でも、海外企業の株を買うことができる。例えば、米国株にはアップルやグーグル、フェイスブックなどが、中国株にはアリババやバイドゥなど世界を牽引する企業の株がある。
外国株と日本の株の違いとは?と思った人に向けて、「外国株投資をする前に押さえておきたいポイント」で詳しく紹介している。
投資手法が多かったり、日本にはない分野に投資できたりと、魅力が多いことに間違いはない。しかしその反面デメリットやリスクがあることもしっかり把握しておいたほうがいいだろう。
これら魅力的な企業の株は、どのネット証券で買うことができるのか。以下に外国株に強いネット証券会社を比較してみよう。
【 マネックス証券 】
アップルやグーグルなど話題の米国株を4000銘柄以上取り扱っていること、米国株式の売買における手数料が0.495%と安いことが、「 マネックス証券」が米国株に特に強いと言われる理由だ。急成長を見せる中国株を多数取り扱っているのも特徴となっている。
【 SBI証券 】
米国株や中国株の他、ネット証券では最多となる9カ国の銘柄を取り扱う「SBI証券」 も、外国株の取引を行いたい人におすすめの証券会社だ。LINEの親会社・韓国「NAVER」社の株を唯一扱う証券会社だ。ベトナム株やロシア株などもまんべんなく取り扱う、幅の広さも特徴。米国株の場合、マネックス証券と同様、手数料が0.45%と格安なのもうれしい。
【 楽天証券 】
楽天証券も米国株を多数取り扱う、外国株に強い証券会社の一つだ。SBI証券に次いで株式取扱国数が多く、特にここ数十年で中国に次いで急成長を見せたインド株(ADR)を多数取り扱っていることに注目したい。
<投資信託から見るネット証券比較>
今度はネット証券の特徴を、投資信託で比較してみよう。
投資家たちが出したお金を、運用のプロが集めてひとつの資金として運用し、得た成果を投資額に合わせて投資家に分配するのが投資信託の仕組みである。
分散投資によるリスクの軽減が大きなメリットだが、内容が多岐に渡ることで理解がしづらい面もある。そういった側面を「投資信託とは? リスクとリターンの関係を理解」で解説している。
投資信託の取扱本数でみると、「SBI証券」と「楽天証券」が他の証券会社を圧倒している。「SBI証券」では、投資信託本数2400本以上、取引手数料がかからないノーロード投資信託1100本以上と、幅広く選択肢が準備されている。また、500円から投資信託ができるのも、初心者には非常に魅力的だ。 「楽天証券」も投資信託の取扱本数2400本以上、ノーロード投資信託1100本以上と、非常に多くの品ぞろえが魅力的だ。100円から投資信託ができる手軽さと、残高により手数料が最高30%まで割引になるお得感が楽天証券らしさを表している。
<ミニ株で比較>
株式投資には百万円単位の資金が必要と考えている人は多い。確かに通常、株の売買は100株、1000株の単位で行うが、1株から購入できる「ミニ株(単元未満株)」なら、投資のリスクが不安だという人でも安心して買えるだろう。1株から購入できるということは、トヨタやソフトバンクなどの超有名企業でも1万円かけずに株主になれるということだ。
ただし「ミニ株」は投資金額が少ないため、手数料がかかりすぎていては利益を上げることができない。この点 SBI証券の「S株」なら、最低手数料が50円と非常に安く、効率よく利益を上げることができるだろう。前述のように銘柄の種類の豊富さも「SBI証券」の強みとなる。
また「マネックス証券」も、「ワン株」で最低手数料が48円と非常に安く、こちらも効率よく利益を上げることができる。取扱銘柄も非常に豊富で、投資スタイルに合わせて選択することが可能だ。
ミニ株の手数料以外にも気をつけるべきこと、始め方について詳しくはこちらで解説している。リスクが少なく始めやすい投資方法なので、資金準備やリスク不安で投資を諦めてしまった方ももう一度考えてみてはいかがだろうか。
ネット証券総合比較ランキング
最後にネット証券の特徴を、総合的に比較してみよう。
SBI証券
ネット証券では最多の1,000万口座を誇る「SBI証券」。最大手という安心感からか、初心者の人気が他のネット証券に比べると高いようだ。
取扱商品が多いのも人気の理由だ。これまで紹介したように、外国株や投資信託、IPO銘柄など、それぞれにおいて取扱数は他のネット証券を上回る一方で、ミニ株やPTS(時間外取引)など取扱商品の種類も豊富だ。
また約定金額が30万円を超えた場合には、SBIネオトレード証券に次ぐ手数料の安さを誇る。初心者にはまず開設することをおすすめしたい証券会社といえるだろう。
松井証券
50万円以下の売買取引であれば、現物・信用いずれも手数料無料で利用することができる「松井証券」。一日内の信用取引であれば売買金額にかかわらず手数料が無料と聞けば、「デイトレードなら 松井証券」と呼ばれているのも頷ける。
「個人のお客様のために」をモットーとする松井証券らしい「手厚いサービス」、そして「健全な財務体制」や「100年以上の歴史」など、投資家を安心させる要素が非常に多い証券会社と言えよう。
SBIネオトレード証券
SBIネオトレード証券の魅力は、業界最安水準の手数料だ。特に現物取引における、1注文毎の約定代金に応じた手数料は、主要なネット証券の中では最も安い金額となっている。
楽天証券
SBI証券に次ぐ口座数の多さと、銘柄や投資信託の種類の豊富さ、そしてMacユーザーに使える高機能ツール「マーケットスピート」、日経テレコンの閲覧などもできる情報量の豊富さが「楽天証券」の魅力だ。こちらも開設して損はない口座の一つと言えよう。
億単位の利益を生み出すプロトレーダーも愛用する「マーケットスピード」を口座開設者なら誰でも利用できるというだけでも、「楽天証券」に口座を開く価値は十分にあるだろう。同証券での取引が「楽天スーパーポイント」の対象になることも、ネットショッピングが好きな投資家なら見逃せない。
マネックス証券
少額投資家にうれしい手数料の安さとIPOの引受件数の多さ、米国株の豊富さ、ワン株の手数料の安さなど、バランスのよさから「 マネックス証券」もおすすめの証券会社だ。
バランスのよさだけではなく、顧客サービスの質の高さも「マネックス証券」の大きな魅力である。パソコンの取引上で分からないことがあればすぐに電話で疑問を解消できるサービスなど、顧客からの評価は高い。
au カブコム証券
IPO引受数の多さ、ミニ株の利用のしやすさなど、魅力あふれる「au カブコム証券」。投資の知識なども広く公開され、情報を得るためだけでも口座を開く価値のある証券会社だ。
GMOクリック証券
手数料の圧倒的な安さが「GMOクリック証券」の一番の強みだ。各取引価格帯において最安レベルを誇る手数料はやはりうれしいものだ。また、やはり格安の1日定額手数料など少額投資家にうれしいサービスも多く展開している。ツールの使いやすさも見逃せない。
岡三オンライン
口座数が比較的少ないため、IPOの抽選に当選しやすいのが「岡三オンライン」の魅力とも言える。独自の分析を生かした使いやすいツールも、高く評価されている。
証券会社とは
「証券会社」とは、個人投資家が株式を売買する際の窓口となり、証券取引所と投資家を仲介する機関だ。
株式は証券取引所で売買されているが、一般の投資家が証券取引所で株式の取引を行うことはできない。証券取引所で株式を取引できるのは、証券取引所の会員である「証券会社」だけなのだ。そのため、個人投資家が株式売買を行う場合は、証券会社を経由することになる。
証券会社ごとに、売買にかかる手数料や取扱商品などのサービスには違いがある。形態や手数料、取扱商品、ツールなどから証券会社を比較していこう。
店舗型証券とネット証券の比較
証券会社には、店舗型証券とネット証券の2種類ある。店舗型証券会社とネット証券会社の違いは何だろう。それぞれについて、比較してみよう。
<店舗型証券会社>
店舗型証券会社では、窓口で担当者と相談しながら取引を行うスタイルがとられる。直接、話をしながらの株取引が基本なので、アドバイスや質問などのやりとりがその場で行え、初心者にとっては心強いと感じられるだろう。電話でも注文はできるが、たいていは実際に店舗に出向くか、家に来てもらって取引を行うことになる。
店舗型証券会社で口座を開設する際には、口座開設費もしくは口座維持費が必要になることが一般的だ。また、50万円の株式取引を行う際の平均的な手数料が6000円前後と、取引や口座を保有すること自体に比較的コストがかかることが店舗型証券会社の特徴とも言える。
<ネット証券会社>
店舗を持たないため、基本的には各自の判断で取引を行うのが、ネット証券会社の取引スタイルだ。パソコンの操作をする上での質問などは電話によってサポートを受けることができるが、取引自体に関してアドバイスを受けられることはまずない。
一方で、口座開設費や口座維持費、がほとんどのネット証券会社において無料というのが強みだ。開設や維持にコストがかからないため、ネット証券で公開される株式情報を得る目的で口座を開設する人も少なくない。
また、ネット証券会社は取引を行う際の手数料が非常に安くすむことでも知られている。50万円の株式取引を行う際の平均的な手数料は450円程度と、店舗型証券会社と比較すると10分の1以下になる。このほかに1日定額の手数料プランを設定する会社もあり、これなら1日どれだけ取引を行っても一定額の手数料しかかからないため、より手軽に取引を行うことが可能になる。
プロの投資家にならって複数口座を開設する
ネット証券の魅力は、口座開設費も維持費も無料という点だ。仮にこれまで紹介したネット証券すべての口座を開設すると、取引に合わせて自由に使い分けることも可能になる。ネット証券の「いいとこどり」を実現するためにも、まずは無料で口座開設してみよう。
IPO当選確率を向上させるためにも、経験の豊富な投資家は複数口座の保持が常識となっている。情報に強いネット証券を味方につけて、気軽かつお得に資産運用をはじめてみよう。
本記事で紹介しているネット証券満足度ランキングの順位算定基準
当ページで紹介しているネット証券満足度ランキングは、株式会社ZUUによる証券会社のユーザー満足度のアンケート調査を元に、客観的な統計データによる算出を行っております。
アンケート調査の概要
アンケート調査の概要
- 実施時期
- 2020年4月~2021年3月
- 調査の概要
- 証券会社のユーザー満足度調査及びレビューの収集
- 調査対象
- 証券口座を有する国内の20歳以上の男女
- 有効回答数
- 786件
- 調査会社
- 株式会社クラウドワークス
ユーザー満足度調査の結果
証券会社 | 回答数 | ユーザー満足度平均 |
---|---|---|
SBI証券 | 191 | 4.36 |
楽天証券 | 176 | 4.33 |
松井証券 | 110 | 4.05 |
DMM.com証券 | 19 | 4.05 |
マネックス証券 | 58 | 4.05 |
LINE証券 | 48 | 4.04 |
GMOクリック証券 | 32 | 4.03 |
SBIネオモバイル証券 | 12 | 4.00 |
岡三オンライン | 25 | 3.96 |
auカブコム証券 | 34 | 3.79 |
ライブスター証券 | 29 | 3.79 |
SMBC日興証券 | 35 | 3.74 |
野村證券 | 17 | 3.47 |
証券会社イメージ調査の概要
ZUU online編集部では当ページの作成にあたり、各証券会社のイメージに関して株式会社ZUUが独自調査を行い、客観的な統計データによる執筆を行っております。
・実施期間:2021年4月
・調査の概要:各証券会社のイメージに関するアンケートの収集
・調査対象:証券会社で口座を有する国内の20歳以上の男女
・有効回答件数:500件
・実査機関:株式会社クロス・マーケテイング
実際に株式投資を始めてみる
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個人投資家 Q.利用している証券会社と選んだ理由、評価しているポイントについて教えてください。
もっぱら利用しているのは楽天証券です。その理由は、貸株サービスが便利だから。貸株サービスとは、保有中の株式を証券会社へ貸し出し、その見返りに貸株金利を得られるというものです。 ほかのネット証券にも同様のサービスがありますが、100株単位で自分が貸したい株数を選択できるというのは楽天証券だけですね。それに、確定申告の際に必要な貸株で得た利益の証明書も作成してもらえるのも助かります。いろいろな証券会社の口座を試してみたうえで、現在は楽天証券がメインの証券会社になっていますね。
響煇嚆矢さんのインタビュー記事はこちら