【目次】
①️THECOO IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- THECOO株式会社
- コード
- 4255
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役CEO 平良 真人 / 1973年生
- 会社住所
- 東京都渋谷区神宮前三丁目25番15号 神宮前テラス5F
- 設立年
- 2014年
- 社員数
- 91人(2021年10月31日現在)
- 事業内容
- ファンコミュニティプラットフォーム運営事業、インフルエンサーマーケティング事業及びオンライン広告事業
- URL
- https://thecoo.co.jp/
- 資本金
- 90,000,000円 (2021年11月17日現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,021,355株
- 公開株数
- 500,700株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/12/03→7,000~7,200円に決定
- ブックビルディング期間:2021/12/06 - 12/10
- 公開価格決定:2021/12/13→7,200円に決定
- 申込期間:2021/12/14 - 12/17
- 上場日:2021/12/22→初値6,100円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:みずほ証券
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:あかつき証券
- 大株主
- (株)ハイアンドドライ 20.96%
- YJ2号投資事業組合 9.25%
- 平良真人 7.11%
- NVCC8号投資事業有限責任組合 5.89%
- 武井哲也 5.10%
- NVCC7号投資事業有限責任組合 5.00%
- D4V1号投資事業有限責任組合 4.52%
- 原田潤 4.50%
- HSアセットマネジメント(株) 3.56%
- DX Ventures(株) 3.56%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/12 単体実績
794,427 -188,724 -191,857 87,844 - 2019/12 単体実績
1,447,986 -211,843 -243,975 -156,130 - 2020/12 単体実績
2,320,058 -60,667 -65,673 480,807 - 2021/09 第3四半期単体実績
2,452,999 -60,226 -64,832 415,974 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2022年3月21日まで
または、上場後180日目の2022年6月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 36億504万0000円(500,700株×7,200円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 177,950株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- THECOO株式会社<4255:ザクー>はファンコミュニケーションプラットフォーム「Fanicon」の提供及びインフルエンサーマーケティングサービスなどを行う企業である。
■事業内容詳細
同社はクライアント(広告主)、ユーザー(ファン)、そしてインフルエンサー(アイコン)をそれぞれ繋ぎ、双方の関係値の最大化を目指し下記2事業を手がけている。
・Fanicon事業
・法人セールス事業
●Fanicon事業について
Fanicon事業では、ファンコミュニケーションプラットフォーム「Fanicon」の提供及び運営管理を行っている。「Fanicon」はファンコミュニティのオーナーであるアイコンと、そのファンコミュニティに属するファンが一緒になってコミュニティを盛り上げ、ファンコミュニティを通じて共感したファン同士もつながることが可能な、アイコンとファンの為のサービスである。現在、インフルエンサーやタレントだけでなく、アーティストや俳優、またはプロスポーツチームといった幅広いジャンルのアイコンのファンコミュニティがある。2021年9月末現在約2,100のコミュニティと約14.5万人のファン(有料課金ユーザー)が存在する。
これまでアイコン数及びファン数は下記の推移を見せており、いずれも右肩上がりの増加である。
●法人セールス事業
法人セールス事業では、インフルエンサーセールス事業とオンライン広告事業の2サービスを展開している。
インフルエンサーセールス事業ではクライアント企業に対しインフルエンサーを用いたマーケティング施策の実施支援を行っている。クライアント企業や広告代理店からプロモーションの依頼を受けて、最適なインフルエンサーの提案・選定及び施策内容の企画立案を行い、インフルエンサーが作成する制作物の進捗や内容確認を実施して、インフルエンサー自身のSNSへの投稿を支援する。特にゲーム領域を同社は強みとしており、ゲーム実況者34名(2021年10月末時点)と専属契約を行い、マネジメント業務などを行っている。
オンライン広告事業ではクライアント企業に対しオンラインマーケティングに関する支援を提供している。
■2020年12月期セグメント別損益
2020年12月期 売上高23億円(対前年同期比60%増)、営業利益▲0.6億円(前年同期▲2.1億円)
・Fanicon事業 売上高11億円(同228%増)、営業利益▲1.5億円(前年同期▲2.3億円)
・法人セールス事業 売上高12億円(同9.6%増)、営業利益0.9億円(同348%増)
Fanicon事業と法人セールス事業は同等の売上規模であるが、Fanicon事業は赤字継続の一方で法人セールス事業は黒字化している。ただし増収幅はFanicon事業が対前年同期比228%増と大幅な伸びを見せている。
■業績推移
2019年12月期 売上高7.9億円、経常利益▲1.9億円、当期純利益▲1.9億円
2019年12月期 売上高14億円、経常利益▲2.1億円、当期純利益▲2.4億円
2020年12月期 売上高23億円、経常利益▲0.6億円、当期純利益▲0.7億円
2021年12月期(予想) 売上高34億円、経常利益▲1.1億円、当期純利益▲1.2億円
大幅な減収が続いており、2020年12月期には売上高23億円に到達した。一方で赤字が継続したが、2020年12月期は経常利益▲0.6億円であり、黒字まであと一歩となった。
2021年12月期は売上高34億円、経常利益▲1.1億円の予想であり、増収及び赤字継続の予想となっている。
2021年12月期Q3(累計)は売上高25億円、経常利益▲0.6億円であり、売上高はQ3時点で前年の通期数字を突破するなど順調。ただし経常利益▲0.6億円であり、前年の通期同様の赤字額となっている。
■財務内容
2020年12月期末時点で17億円に対し純資産合計4.8億円、自己資本比率28%である。借入金1.3億円に対し現預金6.0億円を有している。
資産合計17億円のうち、現預金6.0億円、売掛金8.5億円など流動資産合計15億円であり、資産の殆どが流動資産から構成されている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)が2019年12月期▲1.6億円、2020年12月期0.2億円であり、2020年12月期は若干のプラスとなっている。売上債権の増加(▲4.1億円)はあったものの、前受金の増加(1.4億円)、未払金の増加(2.3億円)、仕入債務の増加(0.7億円)等により営業C/Fはプラスとなった。
■資金使途
IPOにより18億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。
・Fanicon事業における広告宣伝費及び販売促進費 8.8億円
・人材採用費及び増加人件費 7.1億円
・本社オフィス移転にかかる費用 0.6億円
・Fanicon事業の海外展開にかかる費用 0.9億円
・借入金返済 0.4億円
調達資金の半数は「Fanicon」の知名度向上のための宣伝広告費や「Fanicon」のアイコン獲得に対してパートナーに支払う報酬などに充当される。
また公募200,000株に対し、売出300,700株であり売出の多いIPOである。売出はVC保有株中心に行われる。
■株主構成
筆頭株主の株式会社ハイアンドドライ(株式シェア21%)は平良社長の資産管理会社である。平良社長は第3位株主(同7.1%)でもあり、平良社長の関係先で株式の28%が所有されている。
第2位株主(同9.3%)のYJ2号投資事業組合以下、複数のVCファンドが株主参入している。VC等の株式シェアは37%である。
事業会社として株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントが株式シェア3.0%の株主となっている。また個人株主も多数存在する。
■まとめ
2014年に設立されたファンコミュニケーションプラットフォーム「Fanicon」の提供及びインフルエンサーマーケティングサービスなどを行う企業のIPO案件である。
Fanicon事業が急成長を続けており、約14.5万人の課金ユーザーが存在し、2020年12月期は売上高23億円、経常利益▲0.6億円となった。2021年12月期は売上高34億円、経常利益▲1.1億円の予想であり、増収は達成するが赤字継続の予想である。
「Fanicon」の有料会員の増加とともに同社の増収も続いており、黒字まであと一歩の状態となっている。IPOによる調達資金の活用により成長の加速が見込まれるが、どの時点で本格的な黒字計上がなされるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、ファンコミュニティプラットフォーム運営事業、インフルエンサーマーケティング事業及びオンライン広告事業を展開してる。
上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が145億円、2021年12月期の業績予想は赤字のためPERは計測不可となっている。上場当日の株価動向は、同日上場6社の中での人気が出そうな社名と事業内容と言えるので、資金吸収額はやや大きめの41億円だが、初値は前場の終わりの頃に付くのではないかと推測する。
セカンダリー市場においては、当社は12月決算なので、来年の2月中旬には決算発表となり、ここ数年の売上の成長が継続すれば、来期の業績予想は黒字となる可能があるため、株価はそのタイミングで大きく動き出すことになりそうだ。
投資家が見ておくべきKPIは会社が四半期ごとに開示するアイコン数、ファン数、月額の課金売上平均で、この数字と金額の伸び率が続けば株価が大きく崩れることはないが、もし、伸び率が減速するようなことが起これば、株価の急落も有り得る。需給面においては、VC保有株がロックアップ明けると市場の売り圧力となることも念頭に置いておきたい。