テンダIPOレポート

【目次】
①️テンダIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(近日中に追加予定)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(5/25追加)

会社名
株式会社テンダ
コード
4198
市場
JASDAQスタンダード
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役会長 小林 謙 / 1954年生
会社住所
東京都豊島区東池袋三丁目1番1号
設立年
1995年
社員数
206人(2021年3月31日現在)
事業内容
ITソリューション事業、ビジネスプロダクト事業、ゲームコンテンツ事業
URL
https://www.tenda.co.jp/
資本金
100,000,000円 (2021年5月7日現在)
上場時発行済み株数
2,123,000株
公開株数
385,000株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/05/21→3,050~3,250円に決定
ブックビルディング期間:2021/05/25 - 05/31
公開価格決定:2021/06/01→3,250円に決定
申込期間:2021/06/02 - 06/07
上場日:2021/06/10→初値6,500円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:いちよし証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:極東証券
引受証券:東洋証券
大株主
(株)KFC 58.61%
小林謙 12.27%
中村繁貴 7.79%
加藤善久 7.04%
小林まり子 5.03%
(株)博報堂プロダクツ 3.87%
林貢正 0.96%
松下貴弥 0.75%
富澤和宏 0.35%
堀学 高木洋充 0.30%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/05 単体実績 
2,549,130 157,710 96,303 542,015
2019/05 連結実績 
2,548,080 167,154 110,809 534,804
2020/05 連結実績 
3,193,801 298,315 205,248 809,598
2021/02 第3四半期連結実績 
2,175,387 250,580 167,072 943,768
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2021年12月6日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
12億5125万0000円(385,000株×3,250円)
潜在株数(ストックオプション)
146,300株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社テンダ<4198>はシステム開発、マニュアル自動作成ソフトの開発販売、自社ゲームの提供及び受託開発の3事業を展開する企業である。
 

■沿革

同社は1995年6月に創業者・小林謙氏によりシステムエンジニアによる情報処理サービスなどを目的として設立された。2018年8月に小林氏は代表取締役会長に就任し、中村繁貴氏が代表取締役社長に就任した。
テンダ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

また2008年7月にマニュアル&シミュレーションコンテンツ作成ソフト「Dojo」の販売を開始し、また2012年7月にはゲームコンテツ事業を開始した。
 

■事業内容詳細

同社は下記3事業を展開している。

・ITソリューション事業
・ビジネスプロダクト事業
・ゲームコンテンツ事業

3事業部門に分かれているが、ITソリューション事業とビジネスプロダクト事業の2つの事業展開でシナジー効果を発揮でき、より付加価値の高いサービス提供が可能である。
 

●ITソリューション事業

ITソリューション事業ではITによる業務やワークフローの改善・改革をトータルにサポートし、ホワイトカラーの効率化のための自社開発ツールや多くのWebサービスなどの企画・開発・運用に至るまで、上流から下流に至る全行程に対応している。累計1,000件以上のシステム開発実績を有している。
 
テンダ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

●ビジネスプロダクト事業

ビジネスプロダクト事業では、マニュアル自動作成ソフト「Dojo(ドージョー)」を幅広い業種に累計2,600社以上に導入している。
 

●ゲームコンテンツ事業

ゲームコンテンツ事業では、コンテンツプロバイダーとして自社ゲームの提供と受託開発サービスとして、ソーシャルゲームからネイティブゲームまで、企画・開発・運営をトータルサポートしている。

自社タイトルとしてはカードRPGの「ヴァンパイア†ブラッド」、「からくりサーカス ~Larmes d’un Clown~」がある。
 
テンダ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■2020年5月期部門別損益

2020年5月期 売上高32億円(対前年同期比25%増)、営業利益2.9億円(同77%増)
・ITソリューション事業 売上高26億円(同28%増)、セグメント利益6.7億円(同38%増)
・オンラインゲーム事業 売上高6.3億円(同15%増)、セグメント利益1.4億円(同20%増)

2020年5月期はITソリューション事業とビジネスプロダクト事業が合算されている。ITソリューション事業とビジネスプロダクト事業の合算で売上の約8割を計上する状態である。

いずれの事業も増収増益を果たしており、オンラインゲーム事業も既に黒字化している。
 

■業績推移

2018年5月期 売上高25億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.0億円
2019年5月期 売上高25億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.1億円
2020年5月期 売上高32億円、経常利益3.0億円、当期純利益2.1億円
2021年5月期(予想) 売上高30億円、経常利益2.9億円、当期純利益1.9億円
2022年5月期(予想) 売上高34億円、経常利益3.1億円、当期純利益2.3億円
※2019年5月期より連結決算

着実に増収増益を続けており、2020年5月期には売上高30億円の大台に到達した。2021年5月期は若干の減収減益の予想であるが、業績はほぼ横ばいの予想である。2021年5月期Q3(累計)で売上高22億円、経常利益2.5億円まで業績は進捗している。

2022年5月期は対前年同期比でわずかながら増収増益の予想である。2020年5月期と2021年5月期は横ばいの業績予想であるが、2022年5月期から成長が開始される予想となっている。
 

■財務状況

2020年5月期末時点で資産合計18億円に対し、純資産合計8.1億円、自己資本比率44%である。借入金5.9億円に対し、現預金12億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年5月期4.2億円である。減価償却費(0.4億円)、預り金の増加(0.3億円)などにより、税金等調整前当期純利益(3.0億円)に比べ増加している。
 

■資金使途

IPOにより7.9億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・研究開発費 1.5億円
・人材採用費用及び人件費 1.0億円
・広告宣伝費用 2.5億円
・借入金の返済 2.9億円

借入金の返済(2.9億円)を筆頭に、広告宣伝費・研究開発費・人件費等に幅広く調達資金は投じられる。
 

■株主構成

筆頭株主の株式会社KFC(株式シェア59%)は小林会長が社長を務める企業である。小林会長は個人でも第2位株主(同12%)であり、小林会長の関係先で70%の株式シェアが有されている。

中村社長は第3位株主(同7.8%、うち2.5%は潜在株式)であり、小林会長及び中村社長の関係先で約8割の株式が所有される安定的な株主構成である。

第6位株主の株式会社博報堂プロダクツ(同3.9%)を除くと個人中心の株主構成となっている。
 

■まとめ

システム開発、マニュアル自動作成ソフトの開発販売、自社ゲームの提供及び受託開発の3事業を手掛ける企業のIPO案件である。

システム開発を手掛けるITソリューション事業とマニュアル自動作成ソフトのビジネスプロダクト事業で、売上の約8割が計上されている。着実な増収増益を続けているが、2021年5月期は対前年同期比で若干の減収減益予想であり、成長はIPO後の2022年5月期から開始の予想となっている。

IPOを契機に調達資金を活用するなどして成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、ITサービス会社として、請負を中心にWebシステムやそれに関わるWebサイトの開発、保守、運用や、ゲームコンテンツの企画、開発、運用保守などを事業として展開している。上場市場は東証JASDAQ市場。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が69億円、2022年5月期業績予想ベースのPERが30.3倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が14億円で需給はさほど緩くはないが、同日上場のワンダープラネットのほうが、マザーズ上場で資金吸収額が非常に小さく値動きが軽い為、人気が離散する可能性があり、意外と早い時間帯に初値が付く可能性も否定できない。もし、午前中の早い時間帯に初値が付くようであれば、ストップ高水準まで一気に買われる可能性は高い。

セカンダリーマーケットにおいては、2022年5月期までの業績予想が出ているため、この1年間は業績予想の上方修正発表がないと株価が動く材料がないと考えられる。上場市場がJASDAQであることから、業績の急成長も見込めず、上場後の株価ラリーが落ち着いた後は、狭いレンジの値動きに当面は終始しそうだ。