【目次】
①️シンプレクス・ホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
シンプレクス・ホールディングス株式会社
コード
4373
市場
市場第一部
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長(CEO) 金子 英樹 / 1963年生
会社住所
東京都港区虎ノ門一丁目23番1号
設立年
2016年
社員数
65人(2021年7月31日現在)
事業内容
コンサルティングサービス、システム開発、運用保守
URL
https://www.simplex.holdings/
資本金
285,000,000円 (2021年8月19日現在)
上場時発行済み株数
48,291,800株
公開株数
20,650,300株
連結会社
6社
スケジュール
仮条件決定:2021/09/06→1,520~1,620円に決定
ブックビルディング期間:2021/09/07 - 09/10
公開価格決定:2021/09/13→1,620円に決定
申込期間:2021/09/14 - 09/17
上場日:2021/09/22→初値1,660円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:大和証券
引受証券:野村證券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:東海東京証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
大株主
刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合 31.01%
金子英樹 20.73%
五十嵐充 11.66%
シンプレクス従業員持株会 5.56%
福井康人 4.93%
田中健一 4.36%
農林中央金庫 3.88%
(株)刈田・アンド・カンパニー 2.14%
KARITA & Company Micronesia Inc. 1.50%
福山啓悟 1.16%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 単体実績 
1,395,000 95,000 48,000 26,069,000
2020/03 連結実績 
25,508,000 743,000 758,000 29,264,000
2021/03 連結実績 
27,532,000 4,324,000 2,984,000 31,457,000
2021/05 第1四半期連結実績 
7,885,000 1,796,000 1,142,000 32,551,000
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年3月20日まで
または、上場後360日目の2022年9月16日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
334億5348万6000円(20,650,300株×1,620円)
潜在株数(ストックオプション)
12,983,425株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
シンプレクス・ホールディングス株式会社<4373>は主に金融機関向けにディーリングやリスク管理などのシステム開発を手掛ける企業である。2013年にMBOにより非上場化がなされており再上場案件となる。
シンプレクス・ホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■沿革

同社は1997年9月に株式会社シンプレクス・リスク・マネジメントとして設立後(2000年2月に株式会社シンプレクス・テクノロジーに商号変更)、2002年2月にJASDAQ市場に上場した。その後、2004年5月に東京証券取引所市場第二部に上場、2005年9月には東京証券取引所市場第一部に上場した。

2010年10月に持株会社体制に移行し株式会社シンプレクス・ホールディングスへ商号変更の後、2013年10月のMBOにより上場が廃止された。その後、2016年12月に単独株式移転がなされ、現在のシンプレクス・ホールディングス株式会社の体制となり今回のIPOに至っている。
シンプレクス・ホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は銀行、総合証券、インターネット証券のテクノロジーパートナーとして、金融機関向けにシステム開発を手掛けている。金融機関の収益業務をテクノロジーの側面から支援する金融フロンティア領域(金融機関のフロントオフィスにおけるトレーディング等の収益業務及びリスク管理業務等をテクノロジーの側面から支援)において、国内トップブランドのポジションを確立した。

同社グループの中核会社であるシンプレクス株式会社はIDF Financial Insightsが発表する「FinTech Rankings」(世界の金融ITサービス企業ランキング)に2012年より9年連続でランクインを果たしている。

またMBOの後、新規領域としてAI/ブロックチェーン/クラウド技術等のキーテクノロジーを活用することで、生命保険会社や損害保険会社、暗号資産交換業者のほか、非金融系企業を対象として高付加価値サービスの提供も開始した。

2021年3月期の売上収益の構成は金融フロンティア領域72%、新規領域28%である。
シンプレクス・ホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期の部門別販売実績

2021年3月期 売上収益275億円(対前年同期比7.9%増)
・システムインテグレーション 177億円(同7.7%増)
・運用サービス 99億円(同8.4%増)
部門別では、新規システム開発のシステムインテグレーションと、既存システムのメンテナンスなどの運用サービスの2部門に大別される。既存顧客からの運用サービス売上が2021年3月期は約35%であり、同社の安定的な収益源である。
 

■業績推移

2020年3月期 売上収益255億円、税引前利益7.4億円、当期利益7.6億円
2021年3月期 売上収益275億円、税引前利益43億円、当期利益30億円
2022年3月期(予想) 売上収益303億円、税引前利益54億円、当期利益38億円
※同社はIFRSを採用
※当期利益→親会社の所有者に帰属する当期利益

着実な増収を続けており、2022年3月期は売上収益300億円の大台到達が予想されている。高い利益率が同社の特徴であり、当期利益ベースでも2021年3月期の利益率は10%を超えている。

2022年3月期も増収増益が継続する予想であり、2022年3月期(Q1)は売上収益79億円、税引前利益18億円でスタートした。
 

■財務内容

2021年3月期末時点で資産合計617億円に対し資本合計315億円、自己資本比率51%である。借入金202億円に対し現預金81億円を有している。

MBO及びその後の企業再編時に生じたのれんが365億円計上されており、資産合計のうちの最大科目である。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年3月期37億円、2021年3月期53億円計上されている。減価償却費などの償却費が2020年3月期22億円、2021年3月期22億円計上されており、営業活動によるキャッシュ・フローを押し上げ。
 

■資金使途

公募は行われず売出のみを行うIPOであり、資金調達は行わない。売出は筆頭株主の刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合の保有株式中心に行われる。
 

■株主構成

投資ファンドの刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合が筆頭株主で株式の31%を所有する。金子社長は第2位株主(株式シェア21%、うち6.0%は潜在株式)である。

金融機関として農林中央金庫(同3.9%)、三菱UFJ銀行(同0.5%)が株主参入している。

尚、筆頭株主の刈田・シンプレクス投資事業有限責任組は19,000,000株を保有しており、売出で7,954,500株を売却するが、IPO後も主要株主は維持される。
 

■まとめ

主に金融機関向けにディーリングやリスク管理などのシステム開発を手掛ける企業のIPO案件である。2013年にMBOを行い非上場化しており再上場案件となっている。

ディーリングやリスク管理などの付加価値のあるシステム開発を手掛けることで、高い利益率が維持されている。また2021年3月期時点で売上収益の35%が既存顧客からの継続的な収入により計上されており、安定的な収益源を有している。

非金融系企業に対する新領域での展開が開始された状態だが、高い利益率を維持しながら新領域での事業展開を進めて成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、銀行、証券、損保などの金融事業者に特化してシステムの提案、構築、運用保守に係るITソリューションの提供している企業。2002年2月にJASDAQ市場に株式を公開したが、2013年10月にMBOにより上場廃止となった。上場市場は東証1部。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が782億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは20.86倍となっている。

配当は2022年3月期に1株23円の予想で公開価格配当利回りは1.4%となっており東証1部の平均配当利回り1.77%を下回る。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約360億円と大きく、同日IPOの3社の中ではもっとも早い時間帯に初値が付くと予想する。公募・売出しの販売が、国内と海外に分かれており、海外が約180億円となっており、外国人投資家は大口で購入しているだけに外国人の動向次第で大きく株価が動きそうだ。

セカンダリ-市場においては、上場直後は既存の株主にロックアップがあるので、需給で大崩れすることはなさそうだが、むしろ株式市場の動向に左右される可能性が高い。 成長性の観点は、広義の金融業界が顧客でこの先の新しい展開が期待されるが、SIという事業だけに急成長は望めないので、買われて株価が上昇しても深追いせずに、上場後に株価が急落した落ち着いたところまで待って投資するのが良いだろう。