【目次】
①️日本電解IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
日本電解株式会社
コード
5759
市場
マザーズ
業種
非鉄金属
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長CEO 中島 英雅 / 1954年生
会社住所
茨城県筑西市下江連1226番地
設立年
2016年
社員数
204人(2021年3月31日現在)
事業内容
電解銅箔の製造販売
URL
https://www.nippon-denkai.co.jp/
資本金
100,000,000円 (2021年5月21日現在)
上場時発行済み株数
7,250,000株
公開株数
6,335,700株→5,003,000株に削減 (2021年6月9日)
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/06/09→1,800円~2,480円 
ブックビルディング期間:2021/06/10 - 06/16
公開価格決定:2021/06/17
申込期間:2021/06/18 - 06/23
上場日:2021/06/25
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主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:野村證券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:水戸証券
大株主
MSD第一号投資事業有限責任組合 89.00%
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 10.00%
徳岡工業株式会社 1.00%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
- -2,386 -3,336 2,233,439
2019/03 連結実績 
10,866,149 417,871 22,935 2,461,648
2020/03 連結実績 
12,480,112 842,784 1,988,030 4,434,258
2020/12 第3四半期連結実績 
10,489,971 486,847 278,780 4,619,957
ロックアップ情報
MSD第一号投資事業有限責任組合、徳岡工業株式会社は上場後180日目の2021年12月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
157億1253万6000円(6,335,700株×2,480円)
潜在株数(ストックオプション)
なし
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
日本電解株式会社<5759>は電解銅箔の製造販売を行う企業である。投資ファンドが約9割の株式を所有するファンド子会社となっている。
 

■沿革

同社の前身は1958年創業で株式会社日立製作所、住友ベークライト株式会社、高速電機鋳造株式会社の共同出資で設立された電解銅箔専業メーカー(旧日本電解)である。茨城県筑西市に国内拠点として本社工場を有している。また2020年3月に米国唯一の電解銅箔メーカー(Oak-Mitsui Inc.)を買収しており、サウスカロライナ州に米国拠点も有する。

同社は2016年6月に設立されたMSD企業投資一号株式会社が同年7月に旧日本電解を完全子会社化し、2019年10月に旧日本電解を吸収合併して、現在の日本電解株式会社となった。

尚、MSD企業投資一号株式会社の運営主体となるMSD企業投資株式会社は、三井物産企業投資株式会社、株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行の共同出資により設立された投資事業会社である。
日本電解
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容

同社は硝酸銅を主成分とする電解液の電気分解により析出した金属銅を、薄膜状の銅箔に生成加工している。ベース箔製造工程における適切な製造条件を高く設定し、また検査工程における全量検査の実施により、顧客の求める品質水準に適合した銅箔を安定的に製造している。
 

■同社製品用途

同社製品には車載電池用銅箔と回路基板用銅箔がある。車載電池用銅箔は主に電気自動車(EV)やハイブリッド型自動車(HV)に搭載されるリチウムイオン電池(LIB)の素材に使われる。また回路基板用銅箔は、携帯電話などの5G関連デバイスを含む電子機器に実装する回路基板の素材等に使用される。

車載用銅箔は車載用電池の技術シフトに対応する開発が求められるため、現行のリチウムイオン電池(LIB)以降の先進LIBや全固体LIBに対応する銅箔の研究開発を進めている。
 
日本電解
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
また回路基板用銅箔についても、5G関連やHDI(高密度実装配線)関連の研究開発を続けている。
 
日本電解
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■2020年3月期の用途別及び相手先別売上高

2020年3月期 売上高125億円
・車載用電池用銅箔 104億円(割合83%)
・回路基板用銅箔 21億円(同17%)

車載用電池銅箔が売上の8割以上を占めている。2019年3月期79%、2021年3月期Q3(累計)64%であり、毎期約7~8割が車載電池用銅箔の売上高となっている。

また顧客別売上高は下記である。

・株式会社日立ハイテク 58億円(割合46%)
・パナソニック株式会社 44億円(同35%)

売上高の約8割が両社に対する売上である。2019年3月期も同様であるが、2021年12月Q3(累計)は57%まで減少している。(尚、2020年3月期から株式会社日立ハイテクの商流をパナソニック株式会社への統合を始めている)
 

■業績推移

2019年3月期 売上高109億円、経常利益4.2億円、当期純利益0.2億円
2020年3月期 売上高125億円、経常利益8.4億円、当期純利益20億円
2021年3月期(実績見込み) 売上高146億円、経常利益4.4億円、当期純利益1.9億円
2022年3月期(予想) 売上高189億円、経常利益12億円、当期純利益8.7億円

2020年3月期は対前年同期比で増収増益を達成した。旧日本電解との合併による負ののれん発生益14億円を計上しており、当期純利益は20億円と大幅な増益となった。

2021年3月期は増収となるも経常利益は2019年3月期並となる。経常利益は4~8億円間で大きな変動が生じているが、着実な増収が続いている。

2022年3月期は大幅な増収増益を予想しており、経常利益12億円となり10億円の大台突破の予想である。

尚、2020年3月期が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
 

■財務状況

2020年3月期末時点で資産合計137億円に対し純資産合計44億円、自己資本比率32%である。借入金61億円に対し流動資産60億円となっている。また機械装置及び運搬具47億円など有形固定資産74億円を計上している。

2021年3月期では資産合計136億円に対し純資産合計49億円であり、自己資本比率36%である。

2020年3月期は負ののれん発生益14億円を計上したが、営業活動によるキャッシュ・フローは減価償却費9.7億円などにより19億円が計上されている。
 

■資金使途

IPOにより0.8億円の資金調達が行われ、アメリカ子会社の投融資資金(車載用銅箔の生産設備新設の設備投資費用)に充当予定である。

また公募株数50,000株に対して売出株数6,285,700株であり、売出株数が殆どのIPOとなる。売出株はMSD第一号投資事業有限責任組合5,565,700株、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社720,000株が予定されており、売出総額156億円の予定である。
 

■株主構成

筆頭株主はMSD第一号投資事業有限責任組合で株式シェア89%。第二位株主は日鉄ケミカル&マテリアル株式会社で同10%。第3位株主は徳岡工業株式会社で同1.0%である。株主は3名のみとなっている。

MSD第一号投資事業有限責任組合は保有6,408,000株のうち5,565,700株(保有の87%)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社は保有720,000株の全株を売出に拠出する。
 

■まとめ

電解銅箔の製造販売を行う投資ファンド子会社のIPO案件である。

順調に増収が続いており、2021年3月期は売上高146億円、経常利益4.4億円となった。売上の約7~8割が車載電池用銅箔向けであり、今後の車載用電池の技術進化に向け研究開発を続けている。

2022年3月期は売上高189億円、経常利益12億円と大幅な増収増益を予想している。2020年から始まった銅価格の急騰が2021年も続く中で、銅価格の変動の過度な影響を受けずに安定的な成長ができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。また筆頭株主のファンドが保有株式の9割近くを売出で売却するため、IPO後の株主状況にも注意が必要である。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、硫酸銅を主成分とする電解液から電気分解により金属銅を薄膜状に析出生成させ、加工する電解銅箔製造販売事業を展開している。電解銅箔はプリント配線板や半導体パッケージなど回路基板の電気信号を伝える導体として使われるほか、リチウムイオン二次電池(LiB)の負極集電体にも用いられている。

上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が180億円、2022年3月期の業績予想ベースPERは20.59倍となっている。上場当日の株価動向は、売出しが大きく、資金吸収額が140億円もあるので、初値は前場の早い時間帯に付くと予想する。

セカンダリーマーケットにおいては、電解銅箔はEVにも使われニーズは高くなる一方なので、同社の成長性の評価を機関投資家ができれば公開価格よりも高い水準まで買われるのではないだろうか。IPOではマザーズ市場に出るが、今回の公募で純資産は50億円を超えることになり、来期の業績次第では、2年後にプライム市場に移行も可能な銘柄となる。そのような思惑を株価が織り込むとなると、公開価格の1.5倍~2倍程度までは今期であっても買える銘柄となる。