【目次】
①️オムニ・プラス・システム・リミテッドIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
オムニ・プラス・システム・リミテッド
(銘柄名:オムニ・プラス・ システム・リミテッド JDR)
コード
7699
市場
マザーズ(外国株)
業種
卸売業
売買単位
100口
代表者名
最高経営責任者 ネオ・プアイ・ケオン / 1965年生
会社住所
東京都千代田区大手町一丁目1番1号 大手町パークビルディング アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
設立年
2002年
社員数
40人(2021年3月31日現在)
事業内容
汎用およびエンジニアリングプラスチックの流通、製造業
URL
https://www.omniplussystem.com/ja
資本金
18,510,425米ドル (2,049,289円) (2021年5月27日現在)
上場時発行済み株数
20,045,844株
公開株数
880,000株
連結会社
15社
スケジュール
仮条件決定:2021/06/09→940~960円に決定
ブックビルディング期間:2021/06/10 - 06/16
公開価格決定:2021/06/17
申込期間:2021/06/18 - 06/23
上場日:2021/06/29
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
大株主
Neo Puay Keong 40.23%
ITOCHU Plastics Pte. Ltd. 26.52%
D3cube Venture Pte Ltd 20.00%
Ang Whai Hoon 7.25%
Omni-2025 Pte Ltd 6.00%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 連結実績 
22,758,053 1,257,291 1,008,240 4,148,950
2020/03 連結実績 
20,980,120 1,164,812 1,091,170 3,048,313
2020/12 第3四半期連結実績 
18,097,535 1,179,296 1,023,449 12,823,089
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年9月26日まで
または、上場後180日目の2021年12月25日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
8億4480万0000円(880,000株×960円)
潜在株数(ストックオプション)
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
オムニ・プラス・システム・リミテッドは<7699>はシンガポールを拠点としてエンジニアリング・プラスチックのトータル・サプライチェーン・ソリューションを展開する海外企業である。
 
オムニ・プラス・システム・リミテッド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■事業内容詳細

2002年3月にシンガポールにて設立された同社は、シンガポールを拠点にエンジニアリング・プラスチック(※)のトータル・サプライチェーン・ソリューションを展開している。またシンガポール本社隣地に研究開発の拠点である「エンジニアリング・センター」を整備しており、アプリケーションの詳細な調査・分析・差別化及び迅速なカスタマイズが可能である。

同社のビジネスモデルの特徴は、顧客の製品ライフサイクルの初期段階である材料の研究開発から部品の量産プロセスまでを継続的にフォローする点にある。そして長期間にわたり環境、安全性、用途、規制に関する顧客の様々なニーズを特定することができる。

※エンジニアリング・プラスチック:工業用の過酷な条件下でも使用できる高耐熱性や機械的強度を向上させた合成樹脂の総称。エンプラと略称されることが多い。
 
オムニ・プラス・システム・リミテッド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■海外拠点

同社はシンガポール本社を拠点に東南アジア6カ国、中国と日本にオフィスと子会社を有している。またマレーシアとフィリピンにコンパウンド(配合・着色)工場がある。
 
オムニ・プラス・システム・リミテッド
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■同社の支援体制

同社にはシンガポール政府が多面的なサポートを行っており、シンガポール科学技術研究庁から研究開発の支援を受けるだけでなく、共同研究開発も行われている。

また伊藤忠グループが株式シェアの27%を有しており、日系顧客へのアプローチなどに伊藤忠グループの広範なネットワークの活用が可能である。

尚、山形大学と機械学習と人工知能(AI)を使用したポリマー着色剤ライブラリについて共同研究開発を行っている。
 

■今後の注力分野

今後の注力すべき成長分野として情報通信技術、自動車、建築&建設関連を設定している。

情報通信技術と自動車については同社が既に関与している家電業界との共通点が多いことから、これまでの知見が活用できるため積極的な展開を行う。

建築&建設は既存の建築材料から環境に配慮した材料への代替を想定する。当分野に限らずあらゆる分野で環境に配慮した素材のニーズが高まっており、同社ではグラスウールやバイオ・ポリエステルの開発を加速させる予定。

尚、自然界の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解されるバイオ・ポリエステルの開発はシンガポール科学技術研究庁と共同開発中である・
 

■業績推移

2018年3月期 売上収益168,962、当期利益8,069
2019年3月期 売上収益209,116、当期利益9,264
2020年3月期 売上収益192,779、当期利益10,026
※単位:千米ドル

日本円換算(1米ドル=110円)
2018年3月期 売上収益186億円、当期利益8.9億円
2019年3月期 売上収益230億円、当期利益10億円
2020年3月期 売上収益212億円、当期利益11億円

同社は日本円換算で売上200億円超、当期利益10億円超の事業規模である。2020年3月期は対前年同期比で減収となったが、当期利益の増益は続いている。
 

■財務状況

2020年3月期末時点で資産合計105,283千USDに対し、資本合計28,009千USD、自己資本比率27%である。

有利子負債46,613千USDに対し、現預金18,340千USDを有している。また流動資産85,113千USDである。
 

■調達方法

本件IPOは有価証券信託受益証券の発行により行われる。よって本有価証券信託受益証券の保有者は同社の株主としては扱われない。

880,000口の有価証券信託受益証券の発行が行われ、発行手数料を除いた5.6億円の資金調達が行われる予定である。調達資金は原材料仕入に係る運転資金に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主は創業者で最高経営責任者CEOであるNeo Puay Keong氏であり株式シェア40%を有している。

第2位株主は伊藤忠グループのITOCHU Plastics Pte.Ltd.であり株式シェア27%を有する。第3位株主D3cube Venture Pte LtdはNeo Puay Keong氏の配偶者が株式の100%を保有する企業である。

尚、株主は5名義のみである。
 

■まとめ

2002年に設立されたシンガポールを拠点にエンジニアリング・プラスチックのトータル・サプライチェーン・ソリューションを展開する企業のIPOである。伊藤忠グループが第2位株主となっている。尚、IPOに際し新株の発行ではなく有価証券信託受益証券が発行される。

日本円ベースで売上200億円、最終利益10億円規模のプラスチック素材メーカーであり、着実な増益が続いている。

伊藤忠グループやシンガポール政府などの支援を受けながらIPO後も着実な成長がなされるのか、という成長面に加えて、海外企業のIPOであり継続的に適切な情報開示がなされるのか、という体制面も今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、シンガポール国籍の企業で、汎用およびエンジニアリングプラスチックの流通、製造業を展開している。エンジニアリングプラスチックは、特に強度に優れ、 耐熱性 のような特定の機能を強化してあるプラスチックの一群を指す分類上の名称であり、当社の製品の用途は、スマホなどの情報通信関連製品、自動車のEV関連部品などに需要が強く成長性がある。

上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が201億円、2022年3月業績予想ベースのPERが10.46倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が10億円に満たないこともあり、通常のマザーズ銘柄なら需給はタイトで買われやすいはずだが、外国株ということもあって、証券会社によっては買えないということもあり、ふたを開けてみないとわからないところもある。参考になるのは19年9月に上場した米国籍企業のテックポイントだ。引受販売証券会社はみずほ証券、SBI証券が両方とも入っており、上場日にはそれなりに買われて初値騰落率は+64.92%であったことから心配はないかもしれないが、事業内容が個人投資家受けするものではないところがやや危惧するところだ。

セカンダリーマーケットにおいては、事業の成長性を考慮するとPERでみれば割安感があるが、機関投資家のユニバースに入るかどうかで、買いが入るかどうかが微妙なところだ。もし、どこかの投資信託の大量保有報告などが出れば、火が付いたように買われると推測する。 よって、業績の開示と大量保有報告の提出の両睨みで株価の動きを注視したい。