【目次】
①️守谷輸送機工業IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 守谷輸送機工業株式会社
- コード
- 6226
- 市場
- 市場第二部
- 業種
- 機械
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 守谷 貞夫 / 1940年生
- 会社住所
- 神奈川県横浜市金沢区福浦一丁目14番地9
- 設立年
- 1950年
- 社員数
- 296人(2022年1月31日現在)
- 事業内容
- 荷物用エレベーター等の製造、据付工事、販売および保守・修理事業
- URL
- https://moriya-elevator.co.jp/
- 資本金
- 264,895,000円 (2022年2月14日現在)
- 上場時発行済み株数
- 17,333,000株
- 公開株数
- 4,260,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2022/03/01→730~810円に決定
- ブックビルディング期間:2022/03/02 - 03/08
- 公開価格決定:2022/03/09→810円に決定
- 申込期間:2022/03/10 - 03/15
- 上場日:2022/03/17→820円に決定
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (株)M2W 35.28%
- 守谷貞夫 19.05%
- 守谷順子 14.95%
- 濵芽久実 7.70%
- 戸塚昌代 7.38%
- 守谷和香子 7.38%
- (株)横浜銀行 1.86%
- 日本生命保険相互会社 1.40%
- MTE従業員持株会 1.31%
- 朝日生命保険相互会社 0.93%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
11,108,499 1,377,343 824,333 2,515,363 - 2020/03 単体実績
12,110,955 1,395,444 860,584 3,305,972 - 2021/03 単体実績
13,517,891 1,713,938 1,084,615 4,571,977 - 2021/12 第3四半期単体実績
9,896,423 1,257,368 795,663 5,316,826 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2022年9月12日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 34億5060万円(4,260,000株×810円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 385,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 守谷輸送機工業株式会社<6226>は荷物用エレベーターの製造・販売・据付及び保守・修理を手掛ける1950年設立の横浜市に本社を置く老舗企業である。
■事業内容詳細
同社は1950年3月に設立された。国内中心に荷物用エレベーターの製造・販売・据付及び保守・修理を手掛けていたが、2008年6月に中国へ進出している。また2002年7月にはシンドラーエレベータ株式会社から船舶用エレベーター技術等の譲受を行った。
同社が主として扱う積載量2t以上の中大型の荷物用エレベーターは、フォークリフト等で長時間使用してもかご床の剥がれ・たわみが少ない等の堅牢性、冷凍・冷蔵倉庫向けでの結露対策といった、使用環境に応じた性能・機能の確保、誰でも安全で使いやすい操作性が求められる。
■ビジネスモデル
同社はメーカーであり、サービサーでもあるという総合エレベーター会社である。製品供給のみならず、その後のメンテナンス、更には入替更新までも担うビジネスモデルである。
2021年3月期は新設411台に対し、入替21台となった。新設主体の販売体勢で、保守点検の契約台数は6,062台となっている。
2021年3月期は売上高135億円のうち、エレベーター製造・販売売上77億円・保守売上58億円の内訳であり、保守売上が43%の安定的な売上構成である。
■成長戦略
同社は下記2点を今後の成長戦略としている。
・生産能力増による新規設置台数の拡大と、それに伴う保守・点検契約台数の積み上げ
・老朽化エレベーターの入替需要の取り込み
2020年度の全国の荷物用エレベーター保守台数は47,788台あり、そのうち2010年以前に設置された荷物用エレベーターは約35,000台ある。今後順次入替対象となる可能性があり、入替需要の取り込みを狙う考えである。
■2021年3月期部門別売上高
2021年3月期 売上高135億円(前年同期比112%)
・エレベーター(船舶用除く) 71億円(同112%)
・船舶用エレベーター 5.9億円(同100%)
・保守・修理 58億円(同113%)
全体売上のうち、エレベーター(船舶含む)57%、保守・修理43%という構成である。保守・修理は新規設置とともに台数を積み上げている。なお、保守の解約率は2021年3月期1.7%の低水準に留まっている。
船舶用エレベーターは横ばいだが、通常のエレベーターは増収であり、保守・修理の増収とともに安定的な成長を見せている。
■業績推移
2019年3月期 売上高111億円、経常利益14億円、当期純利益8.2億円
2020年3月期 売上高121億円、経常利益14億円、当期純利益8.6億円
2021年3月期 売上高135億円、経常利益17億円、当期純利益11億円
2022年3月期(予想) 売上高141億円、経常利益20億円、当期純利益12億円
2021年3月期は若干の増収増益を果たし、当期純利益は10億円の大台に到達した。これまで着実な成長を続けている。
2022年3月期は売上高141億円、経常利益20億円の増収増益の予想としている。2022年3月期Q3(累計)は売上高99億円、経常利益13億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計99億円に対し純資産合計46億円、自己資本比率46%である。借入金2.7億円に対し現預金18億円を有している。なお、負債の部の最大科目は支払手形13億円である。
現預金18億円、仕掛品27億円、売掛金17億円など流動資産合計68億円であるが、土地12億円などの有形固定資産合計も17億円計上されている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年3月期2.8億円、2021年3月期17億円で推移している。2020年3月期はたな卸し資産の増加(▲6.5億円)により営業活動によるキャッシュ・フローが減少した。
■資金使途
IPOにより15億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。
・工場の新設及び生産設備の更新・合理化投資等 8.2億円
・DX及びシステム投資 1.3億円
・本社部門の一部移転等 3.1億円
・自在採用に伴う人件費 1.0億円
・借入金の返済 1.3億円
調達資金は横浜市金沢区の取得済み土地への鳥浜工場(仮称)の建設などの工場新設中心に充当される。
公募2,130,000株、2,130,000株の同数のIPOとなる。売出は守谷社長一族の保有株中心に行われる。
■株主構成
筆頭株主(株式シェア35%)の株式会社M2Wは守谷社長及び親族の資産管理会社である。守谷社長は第2位株主(同19%)、守谷社長の配偶者は第3位株主(同15%)であり、その他も含めて守谷社長の関係先で株式の90%以上が保有される安定的な株主構成である。
横浜銀行(同1.9%)、日本生命(同1.4%)、朝日生命(同0.9%)などの株主参入はあるが、基本的に個人中心の株主構成となっている。
■まとめ
横浜市に本社を置く、荷物用エレベーターの製造・販売・据付及び保守・修理を手掛ける1950年設立の老舗企業のIPO案件である。
売上の約4割が保守メンテナンスから計上されており、安定的な売上構成となっている。また保守メンテナンス案件の積み上げなどにより、毎期着実に増収が継続中。2021年3月期の売上高135億円、経常利益17億円から、2022年3月期は売上高141億円、経常利益20億円の増収増益予想であり、Q3まで順調に進捗している。
保守メンテナンスの積み上げにより着実な成長を続けているが、IPOを契機に成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、荷物用と船舶用のエレベーターなどを製造から据え付け、保守・修理までの一貫した事業を展開している。上場市場は東証2部。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が140億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER 11.25倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が40億円近くあり、需給面で不安があり、初値は公開価格を維持できれば良しと考えておいたほうがよさそうだ。
セカンダリー市場においては、上場直後は軟調に推移したとしても、決算発表の5月中旬頃には地合いも改善し、来期の業績予想が増収増益となれば、見直し買いが入りやすいと考える。事業の成長性は、急成長はなくとも、物流倉庫などはまだまだニーズは高く、エレベーターの設置台数は増えると推測され、しばらくはここ数年の成長が維持されると考える。
また、今期の配当は発表されていないが、銀行借入はほとんどなく、配当に充てる原資は十分にあると考えられるので、上場日に配当が発表されれば、株価の大きな下支えとなるだろう。また、業績面から東証プライム基準を満たしており、流動株比率と時価総額さえ満たせば、1年後にもプライム市場への鞍替えも視野に入る銘柄であることを頭の片隅に置いておくべきだ。