(画像=編集部作成)

【目次】
①️マーキュリーリアルテックイノベーターIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社マーキュリーリアルテックイノベーター
コード
5025
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 陣 隆浩 / 1966年生
会社住所
東京都新宿区西新宿二丁目6番1号
設立年
1991年
社員数
51人(2021年12月31日現在)
事業内容
不動産情報プラットフォーム事業
URL
https://mcury.jp/
資本金
45,400,000円 (2022年1月20日現在)
上場時発行済み株数
2,735,000株
公開株数
535,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2022/02/04→1,150~1,270円に決定
ブックビルディング期間:2022/02/08 - 02/15
公開価格決定:2022/02/16→1,270円に決定
申込期間:2022/02/17 - 02/22
上場日:2022/02/25→初値1,355円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:あかつき証券
引受証券:極東証券
引受証券:東海東京証券
引受証券:むさし証券
大株主
陣隆浩 51.65%
(株)JINX 22.79%
Zホールディングス(株) 4.56%
森山一郎 4.18%
(株)GA technologies 3.04%
伊藤修一 2.96%
大寺利幸 2.51%
アットホームホールディングス(株) 2.28%
島田佳明 1.14%
米光清史 0.46%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/02 単体実績 
1,259,075 28,270 9,261 88,749
2020/02 単体実績 
1,341,212 44,575 48,592 137,341
2021/02 単体実績 
1,254,860 62,506 43,727 182,718
2021/11 第3四半期単体実績 
1,048,544 172,261 112,785 295,545
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年5月25日まで
または、上場後180日目の2022年8月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
6億7945万円(535,000株×1,270円)
潜在株数(ストックオプション)
242,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社マーキュリーリアルテックイノベーター<5025>は新築及び中古マンションの物件概要、販売価格などの不動産ビッグデータを有しマーケティングシステムの提供や情報提供などを行う企業である。
 

■沿革

同社の前身の株式会社オフィス・キャスターは1991年5月に設立された。その後、1999年5月に株式会社デジタルウェアの破産管財人からコアネット事業(新築マンション業界向けに不動産データ提供サービス)を取得して不動産マーケティングシステム事業に参入した。

2003年3月に同様の事業を行っていた株式会社エクスと株式会社オフィス・キャスターが合併し、株式会社マーキュリーに商号変更が行われ現在に至っている。
 

■事業内容詳細

同社は下記3事業を展開している。

・プラットフォーム事業
・デジタルマーケティング事業
・その他

同社は新築マンションのデータを日々更新・蓄積しており、保有する不動産データベースはデータ棟数62,241棟、住戸数2,645,495戸、パンフレット数40,024通、間取り数615,217件(2021年11月30日現在)となっている。本データベースとAIや画像解析等のテクノロジーを活用して事業展開がなされている。

なお、その他は同社所有の不動産データベース及び顧客の社内システムやWebサービスとデータベースとの連携システムの開発経験等に基づき、システムの受託開発やダイレクトメールなどのサービスを提供中。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●プラットフォーム事業

プラットフォーム事業では、新築マンション領域と中古マンション領域の2つの領域で事業を展開中。

新築マンション領域では「マンションサマリ」サービスを提供している。三大都市圏(首都圏、関西圏、東海圏)を提供エリアとし、過去に販売されたマンションの販売データを提供する。マンション用地の購入時に行う市場調査のマーケティングツールとして活用されている。

中古マンション領域では「データダウンロードサービス」を提供している。同社で保有するパンフレットの画像データや新築分譲時の価格情報などを提供しており、中古マンションの査定時や物件売買の商談時に物件の特徴を把握する情報として活用されている。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●デジタルマーケティング事業

デジタルマーケティング事業では、分譲マンション及び分譲戸建て販売の集客に特化したインターネット広告の運用、アクセス解析、Webサイトの制作を行っている。

不動産に関するデータを蓄積する過程で得た周辺マンション相場の把握や人気物件の分析ノウハウを活用して、リスティング広告におけるキーワード選定や広告配信エリアの選定などを得意としている。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■業績推移

2019年2月 売上高13億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.1億円
2020年2月 売上高13億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.5億円
2021年2月 売上高13億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.4億円
2022年2月(予想) 売上高14億円、経常利益1.9億円、当期純利益1.2億円

売上高13億円、経常利益0.5億円前後が同社の2021年2月期までの標準的な数字である。安定的な売上の計上がなされているが、経常利益は1億円未満の水準に留まる。

2022年2月期は売上高14億円、経常利益1.9億円の予想であり、本格的な利益成長の開始を予想している。2022年2月期Q3(累計)は売上高10億円、経常利益1.7億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年2月期末時点で資産合計6.1億円に対し、純資産合計1.8億円、自己資本比率30%である。借入金2.3億円に対し現預金2.3億円を有している。

資産合計6.1億円のうち現預金2.3億円、売掛金1.8億円など流動資産合計4.4億円であり、資産の7割以上が流動資産から構成されている。

尚、2021年2月期時点でソフトウェア0.4億円など無形固定資産0.6億円が計上されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年2月期0.8億円、2021年2月期1.0億円でありプラスが維持されている。尚、減価償却費が2020年2月期0.2億円、2021年2月期0.3億円計上されている。
 

■資金使途

IPOにより4.5億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・システム人材の採用費 2.3億円
・不動産マーケティングシステムの開発費用 1.1億円
・不動産仲介事業者(中古領域)向け新規サービス開発費用 1.0億円
・社内業務効率化のためのRPAの導入費用 0.1億円

調達資金は事業拡大のための人材確保に向けた採用費中心に、システム開発費やサービス開発費などに充当される。
 

■株主構成

陣社長が筆頭株主であり株式の52%(うち3.8%は潜在株式)を保有する。第2位株主の株式会社JINX(株式シェア23%)は陣社長の資産管理会社であり、陣社長の関係先で株式の約7割が保有される安定的な株主構成である。

事業会社として第3位株主のZホールディングス株式会社(同4.6%)やアットホームHD株式会社(同2.3%)が株主参入している。

投資ファンドや金融機関の株主参入はない。
 

■まとめ

新築及び中古マンションの物件概要、販売価格などの不動産ビッグデータを有しマーケティングシステムの提供や情報提供などを行う企業のIPO案件である。

業績は売上高13億円、経常利益0.5億円前後での安定が続いたが、2022年2月期より利益成長が開始する計画である。2022年2月期Q3(累計)は売上高10億円、経常利益1.7億円で着地した。Q3時点で1億円を超える経常利益を出すなど、通期予想達成に向けた進捗は順調である。

2022年2月期から利益成長を開始してIPO後も利益成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、三大都市圏における新築分譲マンションの物件概要、新築分譲当時の販売価格、物件パンフレットなどの不動産ビッグデータを活用したSaaS(Software as a Service)型マーケティングシステムをマンション業者に提供しているほか、インターネット広告の運用やアクセス解析、物件サイトの制作などの事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が35億円、2022年2月期の業績予想ベースのPER28.7 倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約8億円と小さいので、需給面からすると、初値は高騰する可能性があるが、ロックアップ条件が公開価格の1.5倍となっていることから、公開価格の1.5倍近辺での初値形成が考えられる。

セカンダリー市場においては、当社が2月決算であることから、4月中旬の決算発表で来期の業績予想が出てくるが、ここ数年の売上成長が続けば、利益はレバレッジがかかって、かなりの増益となると予想するので、上場後に大きく調整した場面があれば、投資のチャンスとなるかもしれない。目論見書で当社のKPIの記載があるので、四半期ごとに開示される数字の推移を見れば成長性が持続しているかどうかの可否判断となる。