(画像=編集部作成)

【目次】
①️グローバルセキュリティエキスパートIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
グローバルセキュリティエキスパート株式会社
コード
4417
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 青柳 史郎(戸籍上の氏名:鱸 史郎) / 1975年生
会社住所
東京都港区海岸一丁目15番1号
設立年
1984年
社員数
112人(2021年10月31日現在)
事業内容
セキュリティコンサルティング、脆弱性診断、サイバーセキュリティソリューションをはじめ、セキュリティの全体像を網羅した教育サービスの提供
URL
https://www.gsx.co.jp/
資本金
291,800,000円 (2021年11月15日現在)
上場時発行済み株数
3,327,000株
公開株数
600,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/12/02→2,680~2,800円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/03 - 12/09
公開価格決定:2021/12/10→2,800円に決定
申込期間:2021/12/13 - 12/16
上場日:2021/12/20→初値4,020円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:大和証券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:東洋証券
大株主
(株)ビジネスブレイン太田昭和 73.12%
兼松エレクトロニクス(株) 8.12%
(株)野村総合研究所 2.84%
鱸史郎 2.18%
原伸一 1.95%
與儀大輔 0.81%
吉見主税 0.75%
三木剛 0.75%
鈴木貴志 0.41%
伊藤昇 0.32%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 単体実績 
1,302,976 37,096 28,024 378,960
2020/03 単体実績 
1,616,613 73,103 38,658 736,113
2021/03 単体実績 
2,948,871 239,370 167,657 942,201
2021/09 第2四半期単体実績 
1,916,376 209,989 137,235 1,048,725
ロックアップ情報
株式会社ビジネスブレイン太田昭和、兼松エレクトロニクス株式会社は、上場後180日目の2022年6月17までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
16億8000万0000円(600,000株×2,800円)
潜在株数(ストックオプション)
515,700株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
グローバルセキュリティエキスパート株式会社<4417>は中堅・中小企業に対しセキュリティコンサルティングやセキュリティソリューションの提供などを行う企業である。

株式会社ビジネスブレイン太田昭和が株式の73%を保有しており子会社上場に該当する。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■沿革

同社は1984年に株式会社ビジネスブレイン太田昭和100%出資により株式会社ホスピタル・ブレイン昭和として設立された。

その後1997年10月に脆弱性診断サービスを開始した。情報セキュリティサービスを拡大する中で、2017年8月にサービス販売推進を目的に兼松エレクトロニクス株式会社と資本業務提携を行った。

また2020年12月には共同でのサービス展開を目的に、株式会社野村総合研究所と資本提携を行い現在に至っている。
 

■事業内容詳細

同社は中堅・中小企業向けの下記3つのセキュリティ事業を行っている。

・コンサルティング事業
・教育事業
・セキュリティソリューション事業、ITソリューション事業
 

●コンサルティング事業

コンサルティング事業では、顧客が抱える情報セキュリティに関する課題について、現状の可視化から解決に向けて計画策定・体制構築に至るまで、一貫した支援を提供する。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●教育事業

教育事業ではセキュリティ訓練サービスにおいて、標的型メール訓練サービス(トラップメールや、セキュリティeラーニングサービス(Mina Secure)によって従業員のセキュリティリテラシー向上を支援する。

またセキュリティ教育講座は、セキュリティの全体像を網羅した教育サービスを提供し、セキュリティ人材を育成している。
 

●セキュリティソリューション事業、ITソリューション事業

セキュリティソリューション事業では、汎用的なセキュリティ製品に加え、高度なセキュリティの知見が必要な製品をラインナップとして備え、多彩なセキュリティ製品導入・運用ニーズに対応している。

またITソリューション事業では、ITインフラ構築を中心にSES(System Engineering Service)サービスなどセキュリティ周辺領域でのサービスを展開する。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期の事業部門別売上高及び主力取引先

2021年3月期 売上高29億円(前年同期比82%増)
・コンサルティング 8.4億円(同21%増)
・教育 5.7億円(同35%増)
・セキュリティソリューション 8.4億円(同65%増)
・ITソリューション 7.3億円(-)※
※ITソリューションは2020年4月1日付けで譲受した事業部門であるため、前期比較は省略

コンサルティングとセキュリティソリューションの売上規模が8.4億円で同等の売上規模である。ただし売上が最小の教育も5.7億円であり、各事業の売上規模はバランスが取れている。

相手先別売上では、事業提携先の兼松エレクトロニクス株式会社が3.8億円(割合13%)である。2020年3月期の割合15%、2022年3月期Q2(累計)は同16%であり、年間15%前後の売上割合で安定的に推移している。
 

■業績推移

2019年3月期 売上高13億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.3億円
2020年3月期 売上高16億円、経常利益0.7億円、当期純利益0.4億円
2021年3月期 売上高29億円、経常利益2.4億円、当期純利益1.7億円
2022年3月期(予想) 売上高42億円、経常利益3.8億円、当期純利益2.6億円

2020年3月期までは売上高20億円未満であり、また低い利益率に留まっていた。しかし2021年3月期に売上高30億円目前の水準まで伸びて、経常利益は2億円を突破した。尚、2020年4月1日付けでITソリューション事業の譲受が株式会社ビジネスブレイン太田昭和のグループ企業より行われており、同期の増収に繋がっている。

2022年3月期は売上高42億円、経常利益3.8億円の予想である。新規顧客が304社(前年同期比111社増)と順調な増加が見込まれており、増収増益を予想する。2022年3月期(Q2累計)は売上高19億円、経常利益2.1億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年3月期末時点で資産合計24億円に対し純資産合計9.4億円、自己資本比率40%である。借入金1.7億円に対し現預金6.5億円を有しており、財務内容に対して特段の懸念事項はない。

無形固定資産としてのれん1.2億円、ソフトウェア1.2億円の合計2.5億円が計上されている。また顧客が前払いしたサービス料として前受収益7.6億円が流動負債に計上。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2020年3月期は▲2.8億円とマイナスであるが、2021年3月期は7.7億円と大幅なプラスである。2020年3月期は前払費用の増加(▲5.2億円)の影響が大きく、2021年3月期は前払費用の減少(1.1億円)、前受収益の増加(3.8億円)の影響が大きい。
 

■資金使途

IPOにより3.7億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・中堅・中小企業に対し自社にCISO(最高情報セキュリティ責任者)がいるかのようにセキュリティ課題の解決をサポートする月額課金制サービス「vCISO」サービス開発資金 1.0億円
・教育事業の受講管理システム開発投資 0.3億円
・資本提携に係る投資 1.0億円
・借入金返済 1.4億円

調達資金は主に「vCISO」サービス開発資金、借入金返済、資本提携に係る投資資金に充当予定である。

公募150,000株に対し、売出450,000株であり売出の多いIPOである。売出は筆頭株主の株式会社ビジネスブレイン太田昭和の保有株のみで行われる。
 

■株主構成

同社設立母体の株式会社ビジネスブレイン太田昭和が筆頭株主であり、株式の73%を保有している。第2位株主は事業提携先の兼松エレクトロニクス株式会社(株式シェア8.1%)。第3位株主も事業提携先の株式会社野村総合研究所(同2.8%)である。上記3社で株式の84%が所有される安定的な株主構成である。

IPO後も株式会社ビジネスブレイン太田昭和が筆頭株主を維持する。
 

■まとめ

株式会社ビジネスブレイン太田昭和の子会社で、中堅・中小企業に対しセキュリティコンサルティングやセキュリティソリューションの提供などを行う企業のIPO案件である。

中堅・中小企業におけるシステムのセキュリティに対するニーズの高まりを背景に業績を伸ばしている。また事業はコンサルティング事業、教育事業、セキュリティソリューション事業・ITソリューション事業がバランスしている。

中堅・中小企業のセキュリティ対策はこれからの状態であり、今後も同社サービスに対するニーズは高まると予想される。IPOを契機に成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、セキュリティコンサルティング、脆弱性診断、サイバーセキュリティソリューションをはじめ、セキュリティの全体像を網羅した教育サービスを中堅・中小企業向けに提供する事業を展開している。

上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額 は93億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER は35.8倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が20億円弱であることから、寄り付きからかなり強い買いが入り、初値は前場の遅い時間帯には付くと推測する。

セカンダリー市場においては、事業の成長性と株価のバリュエーションから、公開価格は割安感があるため、来期の業績で同じPERの水準がニュートラルだと考えられるため、株価が上振れすれば、公開価格の3倍程度までは許容できる水準である。

しかしながら、12月はIPOが多い為、上場当日以降は調整局面が続くと考えられるので、公開価格の水準まで売り込まれるようなことがあれば、かなりの割安感が出るので、1半年程度の保有を前提とすれば絶好の買い場となるかもしれない。