【目次】
①️Geolocation Technology IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(近日中に追加予定)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社Geolocation Technology
コード
4018
市場
福岡証券取引所Q-Board
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 山本 敬介 / 1974年生
会社住所
静岡県三島市一番町18-22
設立年
2000年
社員数
37人(2021年6月30日現在)
事業内容
IPアドレスデータベース「SURFPOINT」を基にした技術・サービスの提供等
URL
https://www.geolocation.co.jp/
資本金
102,000,000円 (2021年8月11日現在)
上場時発行済み株数
696,000株
公開株数
100,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/08/25→2,040~2,240円に決定
ブックビルディング期間:2021/08/27 - 09/02
公開価格決定:2021/09/03
申込期間:2021/09/06 - 09/09
上場日:2021/09/13→初値3,550円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:エイチ・エス証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:西日本シティTT証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/06 単体実績 
538,544 63,083 42,342 94,588
2019/06 単体実績 
459,375 18,090 21,142 115,731
2020/06 単体実績 
475,145 31,556 22,730 138,462
2021/03 第3四半期単体実績 
453,325 80,018 53,966 196,428
ロックアップ情報
山本敬介、小川武重、株式会社エレファント、株式会社キャピタルバンク、遠藤寿彦、福井隆一、新井穣、星久、株式会社MASA、株式会社NORIKO、吉原明雄、髙橋邦美、茂田井純一その他22名の計35名は、エイチ・エス証券株式会社(主幹事会社)に対して、本書提出日から当社普通株式に係るTOKYO PRO Marketからの上場廃止予定日である2021年9月12日までは普通株式の売却又はこれらにかかる注文ができず
新井穣、星久は、上場後90日目の2021年12月11日まで、山本敬介、小川武重、株式会社エレファント、株式会社キャピタルバンク、遠藤寿彦、福井隆一、株式会社MASA、株式会社NORIKO、吉原明雄、髙橋邦美、茂田井純一、その他7名の計18名は、Q-Board上場後180日目の2022年3月11日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
2億2400万0000円(100,000株×2,240円)
潜在株数(ストックオプション)
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社Geolocation Technology<4018>はIPアドレスを活用したデータベース「SURFPOINT」の運用及び各種サービスの提供を行う企業である。本社を静岡県三島市に置いている。

既に東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場しており(上場日は2020年12月11日)、今回は福岡証券 取引所 Q-Board への新規上場を行う。
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

■事業内容詳細

同社はIPアドレスを活用したデータベース「SURFPOINT」を構築しており、「SURFPOINT」の運営及び各種サービスの提供を行い、下記事業を手掛けている。

・IP Geolocation事業
・IPアドレス移転事業(IPアドレスの売買仲介)

中心事業はIP Geolocation事業である。
 

●IP Geolocation事業について

IP Geolocation事業では、IPアドレスに位置情報・組織属性・回線情報・気象情報等の100種類以上のデータを組み合わせた同社のデータベースである「SURFPOINT」を維持管理している。「SURFPOINT」をベースに顧客のサイト閲覧者の属性にあう各種サービスをSaaSやAPIで提供する。

具体的には下記サービスを提供している。

・どこどこJP
「SURFPOINT」をWebサイトからアプリケーション上で利用できるサービスである。IPアドレスから利用者の地域を認識できるエリアターゲティング技術や、金融分野でのオンライン取引時における不正アクセス対策、デジタル配信される映像や音楽等の著作権管理に使われている。利用対象はマーケティングからセキュリティまで幅広い。

・らくらくログ解析
簡単な操作でウェブアクセス解析を行うことの出来るツール。

・IPひろば
IPアドレスやドメイン名を入力して検索サービスをクリックするだけで簡単に位置情報や組織情報を調べることができるサービス。

・どこどこad
IPアドレスから判定される位置情報、企業情報、気象情報、回線情報等で配信対象の絞り込みやターゲティングができるインターネット広告配信を行うサービスである
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

■今後の展開について

今後は「SURFPOINT」の継続的な拡充を行いながら、営業体制の強化などにより「どこどこJP」の売上拡大を目指す。

また現状IPv4レベルのIPアドレスを主力として取り扱っているが、将来的なIPv6への移行を見据えて研究調査を推進する。
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

■2020年6月期部門別売上高

2020年6月期 売上高4.8億円(対前年同期比3.4%増)
・IP Geolocation事業 4.6億円(同3.9%増)、セグメント利益0.2億円(同289%増)
・IPアドレス事業 0.2億円(同▲8.3%減)、セグメント利益0.1億円(同▲3.0%減)

売上高の殆どがIP Geolocation事業による計上である。同事業は対前年同期比で若干の増収で、セグメント利益は0.2億円ながら大幅な増益となった。

IPアドレス事業は売上規模が0.2億円と小さいながら黒字を継続している。
 

■業績推移

2018年6月期 売上高5.4億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.4億円
2019年6月期 売上高4.6億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.2億円
2020年8月期 売上高4.8億円、経常利益0.3億円、当期純利益0.2億円
2021年8月期 売上高5.8億円、経常利益0.5億円、当期純利益0.4億円
2022年8月期(予想) 売上高6.8億円、経常利益1.1億円、当期純利益0.8億円

2018年6月期が一旦業績のピークとなったが、2021年8月期より再度成長期入りしている。また2021年8月期は売上高5億円の大台を回復した。2022年8月期は増収増益予想であり、経常利益は1億円の大台達成の予想である。

尚、2020年8月期決算が公開申請決算期であり、期越え決算でのIPOである。
 

■財務状況

2020年6月期末時点で資産合計3.0億円に対し純資産合計1.4億円、自己資本比率46%である。借入金0.5億円に対し、現預金2.2億円を有している。

流動資産合計が2.8億円計上されており、資産合計のうち93%が現預金などの流動資産により構成されている。

尚、2021年6月期は資産合計3.9億円、純資産合計1.8億円、自己資本比率45%である。
 

■資金使途

IPOにより2.2億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・金融機関に対する社債の償還資金 0.2億円
・新商品の開発資金 0.6億円
・「SURFPOINT」の拡充などのデータ購入費、人件費などの運転資金 1.3億円

「SURFPOINT」の拡充などのデータ購入、新商品開発資金中心に調達資金は充当される。

尚、公募のみのIPOであり売出は行われない。
 

■株主構成

筆頭株主はエンジェル投資家の小川武重氏であり株式の27%を保有する。また第3位株主の株式会社キャピタルバンク(株式シェア13%)は小川氏の資産管理会社。小川氏の他の資産管理会社と合わせて、小川氏の関係先で株式の47%が保有されている。

第2位株主株式会社エレファント(株式シェア24%)は山本社長が代表を務める企業である。山本社長は個人でも株式の11%(うち潜在株式が3.7%)を有しており、山本社長の関係先で株式の35%が保有されている。

事業会社として株式会社資生堂が第6位株主(同3.1%)となっている。
 

■まとめ

IPアドレスを活用したデータベース「SURFPOINT」の運用及び各種サービスの提供を行う企業のIPO案件である。本社を静岡県三島市に置いている。

IPアドレスに位置情報・組織属性・回線情報・気象情報等の100種類以上のデータを組み合わせた同社のデータベースである
「SURFPOINT」を、マーケティングからセキュリティまで幅広い分野に提供している。

2018年6月期が一旦業績のピークとなったが、2022年5月期は売上高6.8億円、経常利益1.1億円の予想であり、初めて経常利益が1億円の大台到達を予想するなど再成長を迎えている。

再生長期に入りつつあるが、IPOによる調達資金を活用するなどして成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
 
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、位置情報を使った各種サービスとIP(インターネット・プロトコル)アドレスの売却仲介。主にインターネットユーザーの位置情報を活用し、ウェブマーケティングや不正アクセス防止などのサービスを開発・提供する事業を展開している。上場市場は福岡Q-Board。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が約15億円、2022年6月期の業績予想ベースでPERは約20倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が2.5億円とかなり小さく、需給は相当タイトであることは間違いないが、上場市場が福岡Q-Boardであることが市場参加者を限定する大きな材料となりそうで、 は後場の遅い時間まで持ち越される可能性はあるものの、初値が付いた後の買い方の勢いが持続するかどうかはまったく不透明だ。

但し、直前と直後のIPOの端境期のIPOとなるので、意外と需給は持続する可能性も否定できない。セカンダリー市場を考える際に、当社の成長性の観点からすると、売上総利益の伸びがそのまま営業利益に直結するような事業構造となっているので、EPSの変化率は相当高いとみる。IPO時点では福岡Q-Boardだが、来年以降に東証のグロース市場への変更が出て来ると株価が動ききっかけとなりそうだ。