【目次】
①️メディア総研IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
メディア総研株式会社
コード
9242
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 田中 浩二 / 1961年生
会社住所
福岡県福岡市中央区大名二丁目8番1号
設立年
1993年
社員数
30人(2021年6月30日現在)
事業内容
高専生及び大学生向けの就職活動イベントの企画等
URL
https://mediasouken.co.jp/
資本金
64,850,000円 (2021年7月29日現在)
上場時発行済み株数
1,154,000株
公開株数
300,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/08/17→2,600~2,900円に決定
ブックビルディング期間:2021/08/18 - 08/24
公開価格決定:2021/08/25→2,900円に決定
申込期間:2021/08/26 - 08/31
上場日:2021/09/02
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:東洋証券
引受証券:FFG証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:東海東京証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:極東証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
田中浩二 88.29%
野本正生 3.00%
新潟真也 2.33%
谷口陽子 1.80%
吉行亮二 0.88%
門司明子 0.44%
吉居大希 0.44%
馬木均 0.35%
吉原広登 0.35%
沖口由美子 0.35%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/07 単体実績 
501,132 86,312 60,350 189,149
2019/07 単体実績 
640,216 141,204 123,485 341,242
2020/07 単体実績 
702,709 127,750 99,010 440,252
2021/04 第3四半期単体実績 
611,944 243,376 163,563 603,816
ロックアップ情報
田中浩二、野本正生、新潟真也、谷口陽子、吉行亮二、門司明子、吉居大希は上場後180日目の2022年2月28日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
8億7000万0000円(300,000株×2,900円)
潜在株数(ストックオプション)
78,600株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
メディア総研株式会社<9242>は本社を福岡市に置く、高専生及び大学生の理工系学生を中心に就職活動イベントなどの就職支援活動を行う企業である。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■事業内容詳細

同社は理工系学生を中心に就職支援活動を行っており、主にイベントを通じて参加企業や学校より収益を得ている。主なサービスは「就職活動イベント」、「企画制作」の2つに大別できる。

希少性の高い高専生または国立の理工系学生は就職に対し教員の関与が強い。よって個人の意思で自由に参加できる通常の就職イベントにはあまり参加しない傾向にあるが、同社イベントは同社と教員とのヒューマンネットワークから多くの学生が参加する傾向にある。

具体的には下記サービスを展開している。

・高専生向け就職活動イベント(同社主催型)
・高専生向け就職活動イベント(学校主催受託型)
・大学生向け就職活動イベント
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

●就職活動イベントについて

同社では同社主催型と学校主催受託型の2種類の高専生向け就職活動イベントを展開している。

同社主催型では全国の高等専門学校57校(公立3校、私立3校を含む)の学生を動員し、全国の製造業・情報通信業・建設業などの上場企業・大手企業を中心に集客を行い、出店する企業から出店料を受領している。就職する高専生の約6割が参加するイベントである。

一方で各高専が個別に行っていた学校主催の就職活動イベントの企画・運営・実施の受託も手掛けている。各校周辺の地元企業を中心に集客し、出店する企業からの出店料または高専からの受託料(協賛金)を受領している。2021年7月期は学内合同企業説明会を18校から受託した。

また主な大学生向け就職活動イベントとして『理工系業秋研究セミナー』を複数回開催しており、全国の製造業・情報通信業・建設業などの上場企業・大手企業を中心に出店がなされている。

同社は2009年3月に「高専生のための合同会社説明会」を初開催した後、高専との関係作りを行い、高専生向けの就活イベントでシェアを拡大し現在に至っている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

●企画開発

同社では就職活動・採用活動を支援する業務として、
・Webマガジン『月間高専』
・大学別就活手帳
・Web支援サービス・その他サービス を手掛けている。
 

■2020年7月期サービス別売上高

2020年7月期 売上高7.0億円(対前年同期比9.8%増)
・就職活動イベント 売上高5.1億円(同3.2%増)
・企画制作 売上高1.9億円(同32%増)

就職活動イベントが売上高の7割以上を占める主力事業である。対前年同期比で増収を果たしているが、企画制作が対前年同期比32%増と大きな伸びを見せており、全体での増収に貢献している。

2021年7月期Q3(累計)は売上高6.1億円であり、内訳は就職活動イベント4.5億円、企画制作1.6億円となった。
 

■業績推移

2018年7月期 売上高5.0億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.6億円
2019年7月期 売上高6.4億円、経常利益1.4億円、当期純利益1.2億円
2020年7月期 売上高7.0億円、経常利益1.3億円、当期純利益1.0億円
2021年7月期(予想) 売上高6.7億円、経常利益1.8億円、当期純利益1.3億円
着実な増収を続けており、2020年7月期は売上高7億円に到達した。また黒字も継続中だが、2020年7月期は若干の減益となった。

2021年7月期は売上高6.7億円、経常利益1.8億円の予想であり、若干の減収増益の予想である。2021年7月期Q3(累計)は売上高6.1億円、経常利益2.4億円であり、通期予想達成に向け進捗は順調である。
 

■財務状況

2020年7月期末時点で資産合計5.2億円に対し純資産合計4.4億円、自己資本比率85%である。借入金なく現預金3.7億円を有しており、財務内容に対して特段の懸念事項はない。

現預金3.7億円を中心に流動資産合計4.1億円であり、資産合計の約8割が流動資産により構成されている。
 

■資金使途

IPOにより3.6億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・システム投資 1.0億円
・情報システム投資 0.1億円
・人材投資 0.7億円
・本社移転投資 0.8億円
調達資金は新サービス開始及び基幹システム改良などのためのシステム投資、人件費及び本社移転投資(2022年11月予定)を中心に投じられる。

公募100,000株に対して売出200,000株の売出株の多いIPOである。売出は全て田中社長の保有株で充当される。
 

■株主構成

田中社長が株式シェア88%を持つ筆頭株主であり、安定的な株主構成である。

個人中心の株主構成であり、金融機関やファンドの株主参入はない。
 

■まとめ

福岡市に本社を置く、高専生及び大学生の理工系学生を中心に就職活動イベントなど就職支援活動を行う企業のIPO案件である。

主に高専生をターゲットに、高専生の就職に強い企業として実績を積み上げている。着実な増収を続ける一方で、利益水準は1億円を前後する水準が続いたが、2021年7月期は売上高6.7億円、経常利益1.8億円まで伸びる予想である。

利益計上のステージ入りを機にIPOすることになるが、IPO後も2021年7月期並みの利益率を維持して成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、高専生及び大学生向けの就職活動イベントの企画等の事業を展開している。ターゲットとなる学生は、高専および国立大学の理工系大学生33,000人となっている。 上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が34億円、2021年7月期の業績予想ベースのPERが26.35倍となっている。

上場当日の株価動向は資金吸収額が10億円とさほど大きくないので需給はかなりタイトであることに加えて既存株主には180日間のロックアップがついているので、初値は後場に持ち越される可能性が高いと考える。セカンダリー市場においては、7月決算なので、9月中旬には来期の業績予想が出てくることになり、その数字次第で株価が動くことになりそうだ。

中長期的には、少子の影響もあって、ターゲットとなる学生数の減少もあり、市場としては縮小するかもしれないが、企業サイドの採用意欲は高く、学生数が減っても企業はコストを払い続けると考えられるので、急成長はないが、安定した事業であるとえそうだ。 株価の動きはレンジ的になると考えられるので、レンジの値幅の中でのトレーディングには向いているかもしれない。