(画像=編集部作成)

【目次】
①️エッジテクノロジーIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
エッジテクノロジー株式会社
コード
4268
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 住本 幸士 / 1981年生
会社住所
東京都千代田区神田須田町一丁目32番地7
設立年
2014年
社員数
66人(2021年11月30日現在)
事業内容
AI実装の支援及びビッグデータ解析コンサルティング
URL
https://www.edge-tech.co.jp/
資本金
7,770,000円 (2022年1月14日現在)
上場時発行済み株数
10,544,000株
公開株数
2,710,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2022/01/31→300~350円に決定
ブックビルディング期間:2022/02/01 - 02/07
公開価格決定:2022/02/08→350円に決定
申込期間:2022/02/09 - 02/15
上場日:2022/02/17
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:野村證券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:極東証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
住本幸士 93.56%
島田雄太 3.09%
治田知明 1.20%
坂西茂 0.39%
生澤剛士 0.29%
田中一誠 0.12%
久永宏明 0.09%
大坪将之 0.06%
長谷川悠己 0.06%
藤井亮輔 0.06%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/04 単体実績 
1,129,878 29,644 -24,704 50,063
2020/04 単体実績 
1,578,605 62,805 48,217 98,289
2021/04 単体実績 
1,466,755 35,717 23,889 122,178
2021/10 第2四半期単体実績 
958,078 75,263 52,202 171,557
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年8月15日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
9億4850万円(2,710,000株×350円)
潜在株数(ストックオプション)
258,400株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
エッジテクノロジー株式会社<4268>はAIソリューションサービスの提供、AI教育サービスの提供、AIプロダクトの開発販売の3サービスを展開する企業である。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は下記3サービスを展開している。

・AIソリューションサービス
・AI教育サービス
・AIプロダクト開発販売
 

●AIソリューションサービス

AIソリューションサービスでは顧客のAI導入を支援するサービスを提供している。顧客の課題解決のため業務分析を行い、データ利活用により解決可能な課題を抽出し、実証実験の結果を踏まえてAIを実業務へ組み込むサービスである。

独自に構築したフリーランスのAI人材データベースを活用してサービス提供を行っている。本ビジネスモデルが同社の競争力の源泉である。AI領域では独立してフリーランスとして活躍する人材が多い特徴があり、同社社員(営業・コンサルタント)とフリーランスがチームを編成することで、多種多様な顧客ニーズに対応することを可能としている。

継続的な取引となるリカーリング型顧客が2021年4月期78%であり安定的な顧客基盤を持つ。また2022年4月期Q2における取引先の業種は下記となっており、各業界に幅広い顧客層を有している。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●AI教育サービス

AI教育サービスでは、日本ディープラーニング協会認定の教育プログラムでAI専門の転職支援を行う「AIジョブカレ」を展開する。個人向けにAI教育と転職支援を同時に行う教育講座であり、企業向けには法人研修として提供中。

2022年4月期上期の受講生数は1,473名(個人向けの延べ受講者数)、転職希望登録者数146名、転職成功者数7名となっている。
 

●AIプロダクト開発販売

AIプロダクト開発販売では新規開拓営業をスピードアップするAI営業支援システム「GeAlne(ジーン)」をサービス展開している。

送信先企業のリストをアップロードするだけで、あらかじめ設定した営業文書を対象企業の問い合わせフォームに一括で自動書き込みができるサービスであり、利用社数は104社(2021年10月末時点)となっている。
 

■2021年4月期サービス別売上高

2021年4月期 売上高15億円(対前年同期比▲7.1%)
・AIソリューション 12億円(同▲5.5%)
・AI教育 1.4億円(同▲23%)
・AIプロダクト 1.0億円(同3.5%)

2021年4月期は対前年同期比で若干の減収となった。AIソリューションの減収は▲5.5%に留まるが全体の約8割の売上比率を持つサービスであり、AIソリューションの減収の影響が大きく出ている。
 

■業績推移

2019年4月期 売上高11億円、経常利益0.3億円、当期純利益▲0.2億円
2020年4月期 売上高16億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.5億円
2021年4月期 売上高15億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.2億円
2022年4月期(予想) 売上高21億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.1億円

売上高15億円前後かつ経常利益0.5億円前後の状態が2020年4月期~2021年4月期は継続している。

2022年4月期は売上高21億円、経常利益1.6億円の予想としており、今期から経常利益が1億円を超えて本格的な利益計上がなされる予想となっている。2022年4月期Q2(累計)は売上高9.6億円、経常利益0.8億円であり、通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年4月期末時点で資産合計4.3億円に対し純資産合計1.2億円、自己資本比率29%である。借入金1.1億円に対し現預金1.9億円を有している。

資産合計4.3億円のうち、現預金1.9億円、売掛金1.7億円など流動資産合計が4.2億円であり、資産の殆どが流動資産により構成されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年4月期▲0.2億円、2021年4月期0.1億円で推移している。
 

■資金使途

IPOにより1.5億円の資金調達を行い、今後の事業規模拡大のための優秀な人材の確保等を目的とした採用教育費並びに社員の人件費等に充当予定である。

公募544,000株に対し売出2,166,000株であり売出株の多いIPOである。売出は全て住本社長の保有株で行われる。
 

■株主構成

住本社長が筆頭株主であり株式の94%を保有する安定的な株主構成となっている。

個人中心の株主構成であり事業会社や投資ファンドの株主参入はない。
 

■まとめ

AIソリューションサービスの提供、AI教育サービスの提供、AIプロダクトの開発販売の3サービスを展開する企業のIPO案件である。同社社員(営業・コンサルタント)とフリーランスがチームを編成することで、AI領域の多種多様な顧客ニーズに対応する点が同社の特徴となっている。

主力のAIソリューションサービスは継続的な取引となるリカーリング型顧客が2021年4月期78%であり、安定的な収益基盤を有している。ただし足元で売上高15億円前後、経常利益0.5億円前後の状態が継続中。2022年4月期は売上高21億円、経常利益1.6億円の予想であり、今期より本格的な利益計上が始まる見込みであり順調に進捗している。

2022年4月期からの利益成長が見込まれる中で、IPO後も継続的な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、AIソリューションサービスを主力に、AI教育サービス、AIプロダクトの開発・販売を展開している。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が37億円、2022年4月期の業績予想ベースのPER 33.5倍となっている。上場当日の株価動向は、株式市場のボラティリティが落ち着いていれば、AI関連銘柄として、需給だけで初値は公開価格の2倍以上にはなりそうだが、初値直後は買われても持続性は低いと考えておいた方が良い。

セカンダリー市場の見方は、当社はAIソリューションを提供しており、顧客のリカーリング率が高いと目論見書に書かれているが、顧客の単価を見ていると、さほど高単価の仕事を受注しているとは言いにくく、むしろ、手ごろな価格だからSI業者として使っているように見える。市場にニーズは高く、リカーリング率も高い水準を維持することはできるかもしれないが、売上は伸びても粗利率を上げて行くことは難しいのではないかと考える。

損益分岐点を越して売り上げを上げていくことはできても乗数的な利益の伸びは難しく、公開価格のPERのバリュエーションの上下で株価は推移すると推測する。目論見書の想定発行価格が690円なのに、仮条件が300円~350円と半値になっているところに技術レベルが現れているのかもしれない。