【目次】
①️CS-C IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社CS-C
- コード
- 9258
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 椙原 健 / 1976年生
- 会社住所
- 東京都港区芝浦四丁目13番23号
- 設立年
- 2011年
- 社員数
- 141人(2021年9月30日現在)
- 事業内容
- ローカルビジネスに特化した統合型マーケティングSaaS「C-mo」、他
- URL
- https://s-cs-c.com/
- 資本金
- 50,000,000円 (2021年11月19日現在)
- 上場時発行済み株数
- 6,250,000株
- 公開株数
- 1,875,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/12/07→910~1,010円に決定
- ブックビルディング期間:2021/12/09 - 12/15
- 公開価格決定:2021/12/16→1,010円に決定
- 申込期間:2021/12/17 - 12/22
- 上場日:2021/12/24→初値1,205円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:丸三証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:アイザワ証券
- 大株主
- 株式会社スマイルプラス 53.93%
- 椙原健 35.96%
- 税理士法人NY Accounting Partners 8.99%
- 森田大輔 0.22%
- 宇田川政幸 0.22%
- 河野圭介 0.22%
- 林宏一 0.18%
- 森崎明生 0.09%
- 武川良徳 0.09%
- 前之園哲嗣 0.09%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/09 単体実績
1,586,482 163,524 108,433 377,474 - 2019/09 単体実績
2,240,077 125,211 73,584 452,459 - 2020/09 単体実績
1,947,704 63,113 18,266 470,725 - 2021/06 第3四半期単体実績
1,395,892 99,314 64,503 535,228 - ロックアップ情報
- 椙原健、株式会社スマイルプラス、森田大輔、宇田川政幸、河野圭介、林宏一、森崎明生、武川良徳、前之園哲嗣は、上場後180日目の2022年6月21日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 18億9375万円(1,875,000株×1,010円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 562,500株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社CS-C<9258>はビューティー業界・グルメ業界に対するWebマーケティングに関わるコンサルティング及び店舗マーケティングのDX化を実現する『SaaS型統合マーケティング』サービスを提供する企業である。
■事業内容詳細
同社はローカルビジネスを展開する顧客のデジタルマーケティング領域における課題を総合的に解決するローカルビジネス事業を展開している。
具体的にはビューティー業界、グルメ業界に対し下記サービスを提供している。
・C+
・C-mo
・デジタル広告
●C+について
同社は設立後の2011年から2013年の間は、主にWebマーケティングに関わるコンサルティング事業を中心に事業を展開した。本コンサルティング事業での提供実績と、そのデータを基に適正な分析・対策を繰り返し実行してきたノウハウを体系化して作り上げたサービスが、ハンズオン型コンサルティングの「C+」である。
「C+」ではハンズオン型コンサルティングによる支援を通じた現地調査により、業界特有の課題、隠れた真のニーズ、クライアントの生の声を収集している。それら情報を「C-mo」の機能開発に生かすことにより、「C-mo」はクライアントにとってより使い勝手の良い便利なサービスとして成長及び提供が可能である。
●C-moについて
C-moはC+を通じて実店舗のコンサルティング活動から得られたマーケティングナレッジ及びビッグデータを独自に活用した、店舗マーケティングのDX化を実現する『SaaS型統合マーケティング』サービスである。最適なデジタルマーケティングをクライアント自ら「C-mo」を通じて手軽に行うことができ、新規顧客の呼び込みや固定客化といった顧客構造作りと、デジタルマーケティングのルーチン業務を軽減することで人件費の削減効果も見込める。
●デジタル広告について
デジタル広告は、主にクライアントの集客力アップや企業のブランド認知度向上につながるGoogle広告、Yahoo!広告、近年主流となってきたSNS検索に効果的な影響を及ぼすFacebook広告、LINE広告などの広告運用代行等を行っている。
■2021年9月期サービス別売上高
2021年9月期 売上高19億円
・C-mo 7.1億円(構成比38%)
・C+ 9.0億円(同47%)
・デジタル広告 2.9億円(15%)
2021年9月期はC+の売上高9.0億円に対しC-moが7.1億円となった。C-moはC+の約8割の売上規模であるが、前期(2020年9月期)売上高はC-mo4.5億円、C+8.7億円であり、C-moの大幅増収の一方でC+は小幅増収に留まった。一方でデジタル広告は前期の売上高6.3億円から半減している。
■業績推移
2018年9月期 売上高16億円、経常利益1.6億円、当期純利益1.1億円
2019年9月期 売上高22億円、経常利益1.3億円、当期純利益0.7億円
2020年9月期 売上高19億円、経常利0.6億円、当期純利益0.2億円
2021年9月期 売上高19億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.2億円
2022年9月期 (予想)売上高24億円、経常利益3.1億円、当期純利益1.7億円
売上高は20億円を前後する状態が2018年9月期以降続いているが、経常利益は2018年9月期の1.6億円をピークに減益傾向にあった。
2021年9月期は売上高19億円、経常利益1.7億円で着地して、2018年9月期の経常利益を上回った。2022年9月期は売上高24億円、経常利益3.1億円の予想としており、成長の加速が見込まれている。
尚、2020年9月期が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOとなっている。
■財務内容
2020年9月期末時点で資産合計8.6億円に対し純資産合計4.7億円、自己資本比率54%である。借入金0.5億円に対し現預金3.5億円を有している。
顧客から事前に受領したサービス提供代金を前受金として負債の部に1.1億円計上している。また無形固定資産としてソフトウェアなど1.3億円が計上されている。
■資金使途
IPOにより13億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。
・新規顧客獲得のための販売促進費等 1.9億円
・設備投資資金 8.2億円
・事業拡大に係る採用費及び人件費等 3.0億円
・長期借入金及び1年以内返済予定の長期借入金の返済 0.3億円
調達資金の半数以上は「C-mo」の継続的なアップデート、更にサービス領域を拡張するためのシステム開発等の設備投資資金に充当される。
■株主構成
筆頭株主の株式会社スマイルプラス(株式シェア54%)は椙原社長の資産管理会社である。椙原社長は個人でも36%の株式を所有しており、椙原社長の関係先で株式の約9割が保有される安定的な株主構成となっている。
第3位株主の税理士法人NY Accounting Partners(同9.0%、全て潜在株式)を除き個人中心の株主構成であり、金融機関やファンドの株主参入はない。
■まとめ
ビューティー業界・グルメ業界に対するWebマーケティングに関わるコンサルティング及び店舗マーケティングのDX化を実現する『SaaS型統合マーケティング』サービスを提供する企業のIPO案件である。
祖業であるWebマーケティングに関わるコンサルティング事業で培われたWebマーケティングの知見をベースに、ハンズオン型コンサルティングの「C+」と店舗マーケティングのDX化を実現するSaaS型統合マーケティングサービスの「C-mo」を展開する。ツール提供による継続収入が可能な「C-mo」が伸びており、2021年9月期はC-mo7.1億円(構成比38%)、C+9.0億円(同47%)となった。
2021年9月期は売上高19億円、経常利益1.7億円の増収増益で着地した。また2022年9月期は売上高24億円、経常利益3.1億円の予想であり、成長の加速が見込まれている。
「C-mo」の成長による全体の成長が2021年9月期から始まった状態である。IPOによる調達資金を活用することで継続的な成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、地域密着事業向けのデジタルマーケティング支援事業を展開している。「ローカルビジネス」とは個人事業主や中小企業を中心とした、地域に根付いた店舗ビジネスの総称(ビューティー、グルメ、トラベル、アパレルなどのジャンル)に対して、データとデジタル技術を活用して、マーケティング支援をしている。
上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が63億円、2022年9月期の業績予想ベースのPER38 倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額も20億円程度と大きくなく、デジタルマーケティングという切り口の事業展開なので、個人投資家にもわかりやすく、初値は前場の中頃までは付きそうにないだろう。
セカンダリー市場における需給は、オーナー社長ががっしりと株を保有していることから、ロックアップにかかわらず売りが出て来る可能性は低いと考えられるため、非常にタイトだといえる。成長性の観点は、ローカルビジネスのすそ野は広く、現在のビューティーとグルメから業種が広がることによってまだまだ売上は伸びる余地があるといえる。株価的には、成長性が維持されるなら、公開価格のPERの水準がボトムとして推移するものと考えられる。