(画像=編集部作成)

【目次】
①️タカヨシIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社タカヨシ
コード
9259
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 髙品 政明 / 1946年生
会社住所
千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目3番地
設立年
1970年
社員数
91人(2021年9月30日現在)
事業内容
地域の食の産直プラットフォーム型店舗「わくわく広場」の運営
URL
https://takayoshi-inc.com/
資本金
50,000,000円 (2021年11月19日現在)
上場時発行済み株数
5,200,000株
公開株数
1,415,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/12/06→1,490~1,560円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/08 - 12/14
公開価格決定:2021/12/15→1,560円に決定
申込期間:2021/12/16 - 12/21
上場日:2021/12/24→初値1,700円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:野村證券
引受証券:ちばぎん証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
大株主
株式会社スプリング 56.51%
髙品政明 15.39%
髙品謙一 4.48%
髙品佳代 3.21%
株式会社千葉銀行 2.33%
剱持健 1.86%
大森広美 1.27%
曽根田博 1.27%
澤幡良和 1.27%
佐藤美智子 株式会社千葉興業銀行 1.06%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
14,944,061 182,400 -67,685 -985,742
2019/09 単体実績 
5,782,673 144,152 144,974 -844,897
2020/09 単体実績 
5,165,967 391,728 284,381 -559,495
2021/06 第3四半期単体実績 
4,097,318 484,768 334,986 -223,602
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年3月23日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
22億740万0000円(1,415,000株×1,560円)
潜在株数(ストックオプション)
430,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社タカヨシ<9259>は地域を結ぶ直売広場「わくわく広場」を関東地方中心に全国122店舗を展開する本社を千葉市に置く企業である。
 
タカヨシ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は地域を結ぶ直売広場「わくわく広場」を展開している。「わくわく広場」は顧客にとっては地元生産者の商品を購入できる「地域の食のセレクトショップ」であり、生産者にはショッピングモールの売り場に間借りできる「シェアショップ」となる。両者を結びつけることで「わくわく広場」は地域を結ぶ直売広場を実現している。

「わくわく広場」は関東地方を中心に全国122店舗(2021年10月31日時点)を展開しており、出店地域の地元生産者の商品を各地で販売し地産地消を実現している。「わくわく広場」での販売構成比は下記である。
 
タカヨシ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
「わくわく広場」は地域にあるおいしい商品を集め、地域の生産者と消費者をマッチングさせ結びつけることで、地元の新鮮な産地直送の野菜以外にも、様々な地域の商品をまとめて手に入れることができる「地域の食のセレクトショップ」である。また生産者は「わくわく広場」に登録するだけで、ショッピングモールを中心とした集客力のある売り場での販売機会を得ることができる。
 

■ビジネスモデル

「わくわく広場」は委託販売スタイルの食のプラットフォームである。
 
タカヨシ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
集客力のあるショッピングモール内の区画に「わくわく広場」がテナントとして入居した後、生産者は登録すれば自ら値付けして陳列・出品ができる。「わくわく広場」から生産者へは、顧客が購入した商品のみを仕入れて翌月の支払いが行われ、「わくわく広場」はレジ売上と仕入支払いの差額の純額のみを売上として計上する。

登録生産者数、店舗数、流通総額は下記の推移である。
 
タカヨシ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
「わくわく広場」の店舗数は不採算店のスクラップ&ビルドにより2019年9月期までは横ばいであったが、2020年9月期以降は再び増加傾向にある。登録生産者数と流通総額は毎期着実に増加中である。
 

■今後の成長戦略

今後については下記により成長を図る計画である。

・地域ドミナントの進化
・未出店エリアへの拡大
・登録生産者の拡大

既存出店エリア及び未出店エリアへの新規出店と、増加が続く登録生産者の拡大により更なる成長を目指している。
 

■業績推移

2019年9月期 売上高58億円、経常利益1.4億円、当期純利益1.4億円
2020年9月期 売上高52億円、経常利益3.9億円、当期純利益2.8億円
2021年9月期(実績見込み) 売上高55億円、経常利益6.5億円、当期純利益5.9億円
2022年9月期(予想) 売上高64億円、経常利益7.7億円、当期純利益4.3億円

2019年9月期以降は店舗のスクラップ&ビルドにより売上高は55億円を前後する状態だが、経常利益は毎期増益を続けている。

2021年9月期は売上高55億円、経常利益6.5億円の増収大幅増益での着地を見込んでいる。また2022年9月期も売上高64億円、経常利益7.7億円の増収増益の予想である。

尚、2020年9月期が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
 

■財務内容

2020年9月期末時点で資産合計43億円に対し、純資産合計▲5.6億円となっており債務超過である。借入金27億円に対し、現預金9.6億円を保有している。

資産合計は現預金9.6億円、売掛金7.0億円など流動資産合計18億円と、建物7.9億円と土地4.9億円などの有形固定資産合計16億円が主な構成内容である。

過去の新規事業への投資や不採算事業からの撤回を繰り返す中で、固定資産の評価損や除却損が発生しており、2020年9月期まで債務超過である。ただし2021年9月期末には利益の積み上げで資産合計48億円、純資産合計0.4億円となり債務超過を解消した。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)が2019年9月期3.9億円、2020年9月期7.9億円であり2期ともにプラスとなっている。2期いずれも減価償却費が2.3億円計上されており、営業C/Fのプラスを押し上げ。
 

■資金使途

IPOにより13億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・「わくわく広場」の新規出店用の設備資金 11億円
・基幹システムの機能及びハードウェアの増強・改修を中心としたIT資産への投資 2.0億円

調達資金の大半は「わくわく広場」の出店に向けた費用に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主(株式シェア57%)の株式会社スプリングは髙品社長の資産管理会社である。髙品社長は個人でも第2位株主(同15%、うち4.2%は潜在株式)となっている。他にも髙品社長一族の保有株を合わせて、髙品社長の関係先で株式の86%が所有されており安定的な株主構成である。

個人中心の株主構成だが株式会社千葉銀行(同2.3%)、株式会社千葉興業銀行(同1.1%)が株主参入している。
 

■まとめ

地域を結ぶ直売広場「わくわく広場」を関東地方中心に全国122店舗展開する、本社を千葉市に置く企業のIPO案件である。

過去の不採算店のスクラップ&ビルドや不採算事業の撤退による減損のため、2020年3月期末時点で純資産合計▲5.6億円の債務超過である。しかし黒字は継続しており、2021年9月期末で債務超過は解消され純資産合計は0.4億円となり債務超過は解消した(尚、2021年9月期は実績見込み数値)。

2021年9月期は債務超過をわずかに解消した状態だが、店舗のスクラップ&ビルドの効果で増益が続いており、営業活動によるキャッシュ・フローもプラスで推移している。2022年9月期は売上高64億円、経常利益7.7億円であり増収増益が続く予想である。

IPOによる自己資本の充実と調達資金の活用により、店舗拡大を積極的に行うことで更なる成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、地域の食の産直プラットフォーム型店舗「わくわく広場」の運営しており、わくわく広場では店舗周辺地域の農家やパン店、和洋菓子店、飲食店、総菜店などといった生産者から登録を募り、登録した生産者に対して売り場を販売場所として共有するシェアリングサービスを提供している。

上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が81億円、2022年9月期の業績予想ベースのPER 18.9倍となっている。上場当日の株価動向は、週末でかつ同日7社のIPOがあるため、どの銘柄も午後には売優勢となる可能性が高い。当社については、小売業ということで、IT関連の銘柄との比較で人気薄となる可能性が高く、初値は前場の早い時間帯に付くと推測する。

セカンダリー市場の見方においては、当社のKPIは、店舗数、登録生産者数となり、この二つは、全国規模で見るとまだまだ未開発の地域があり、成長の余地はあると言えるので、売上と利益が急成長することはないが、ここ数年間の程度の成長はしばらくは見込めるだろう。従って、公開価格が当社の事業のフェアバリューであるとしたら、PERを維持しながら株価は利益成長分だけは変化していくと考えられる。