コラントッテIPOレポート

【目次】
①️コラントッテIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社コラントッテ
コード
7792
市場
マザーズ
業種
その他製品
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 小松 克已 / 1957年生
会社住所
大阪市中央区南船場二丁目10番26号
設立年
1997年
社員数
88人(2021年4月30日現在)
事業内容
医療機器及びヘルスケア商品の製造、販売等
URL
https://colantotte.co.jp/
資本金
10,000,000円 (2021年6月4日現在)
上場時発行済み株数
8,600,000株
公開株数
2,150,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/06/18→1,000~1,100円に決定
ブックビルディング期間:2021/06/22 - 06/28
公開価格決定:2021/06/29→1,100円に決定
申込期間:2021/06/30 - 07/05
上場日:2021/07/08
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:野村證券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:丸三証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
小松克已 38.89%
(株)アーク・クエスト 38.89%
小松由美子 9.72%
和田百子 9.72%
森田仁 0.49%
武市強 0.24%
上田宗則 0.24%
巴山信晴 0.19%
六藤広平 0.19%
和田敏弘 宮本敬樹 0.19%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
2,397,598 207,772 174,552 289,893
2019/09 単体実績 
2,942,170 431,308 271,329 561,222
2020/09 単体実績 
2,886,212 490,610 324,810 886,033
2021/03 第2四半期単体実績 
1,723,819 398,854 269,111 1,155,145
ロックアップ情報
小松克已、小松由美子、株式会社アーク・クエスト、和田百子は、上場後90日目の2021年10月5日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
23億6500万0000円(2,150,000株×1,100円)
潜在株数(ストックオプション)
228,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社コラントッテ<7792>は家庭用磁気治療器を中心とするヘルスケア商品などの製造販売を手掛ける企業である。本社は大阪市に所在している。
 
コラントッテ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■沿革

同社は1997年10月に株式会社アーク・クエストとして設立された。1999年2月に医療用具製造許可(第二種医療機器製造販売業許可、医療機器製造業登録)を取得し、4月に「Colantotte」タンクトップ、ウエストベルトの販売を開始した。

ブランドと品質こそが最大の強みとの認識の下で、知財重視と品質管理の徹底を行い事業を展開している。
コラントッテ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■同社製品の強み

同社製品は独自技術である永久磁石の「N極S極交互配列」により広範囲に広がる磁力で血行改善を促しこりを緩和する。尚、2014年5月には「コラントッテTAO」で使用している磁石の特許を取得した。

同社製品は医療機器としての効能・効果に加えて、こだわったデザイン性で多くのアスリートが着用しており、「見せる&魅せる」家庭用磁気治療器という新たな市場を創造している。
 

■事業内容詳細

家庭用磁気治療器を中心とするヘルスケア商品などの製造販売を手掛けており、主な製品ラインナップは下記である。
コラントッテ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
また同社製品は体のほぼすべての部位をカバーする幅広い製品ラインナップとなっている。
コラントッテ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
上記製品を①リテール(直営店舗、2021年4月30日時点で18店舗)、②ホールセール(国内外の販売代理店と国内の小売店への卸売り、スポーツ用品店や家電量販店での販売が中心)、③イーコマース(自社ECサイトでの直接販売)の3つのルートで販売中。
 

■2020年9月期の部門別及び製品別売上

2020年9月期 売上高29億円(対前年同期比▲1.9%減)
・リテール部門 売上高2.5億円(同▲25%)
・ホールセール部門 売上高23億円(同▲4.2%減、内訳は国内卸23億円、海外卸0.5億円)
・イーコマース 売上高3.0億円(同74%増)

国内向けのホールセールが売上の約8割を占めている。またイーコマース部門が対前年同期比74%増となり大幅に伸び、新たな販売ルートとして確立しつつある。

製品別の売上は下記となる。

・ネックレス類 24億円(対前年同期比▲1.9%減)
・ループ類 1.8億円(同▲15%減)
・サポーター類 0.5億円(同▲25%減)
・ウエア類 0.8億円(同21%増)
・その他 1.5億円(同19%増)

売上の8割以上はネックレス類から計上されている。ただしネックレス類は対前年同期比▲1.9%減であり、販売は微減の状態。一方で売上ボリュームはまだ少ないが、ウエア類及びその他が伸びている。
 

■業績推移

2017年9月期 売上高18億円、経常利益▲1.3億円、当期純利益▲1.4億円
2018年9月期 売上高24億円、経常利益2.1億円、当期純利益1.7億円
2019年9月期 売上高29億円、経常利益4.3億円、当期純利益2.7億円
2020年9月期 売上高29億円、経常利益4.9億円、当期純利益3.2億円
2021年9月期(予想) 売上高35億円、経常利益6.0億円、当期純利益4.1億円

利益面では2017年9月期に経常利益▲1.3億円の赤字を計上したが、2019年9月期まで順調に増収を続けた。しかし2020年9月期は若干の増益となったものの、ほぼ横ばいの業績となった。ただし経常利益は4億円台が維持されている。

2021年9月期からの成長再開を予想しており、売上高35億円、経常利益6億円の大台到達の予想である。2021年9月期Q2(累計)は売上高17億円、経常利益4.0億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務状況

2020年9月末時点で資産合計23億円、純資産合計8.9億円であり自己資本比率38%となっている。借入金9.0億円に対し現預金5.1億円を有している。

流動資産合計は15億円であるが、内訳は現預金5.1億円、売掛金3.6億円、製品3.1億円、電子記録債権1.2億円が主な内容である。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年9月期は売上債権の増加(▲1.1億円)などから1.2億円に留まったが、2020年9月期は3.8億円に伸びている。
 

■資金使途

IPOにより8.8億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・プロモーション費用 7.0億円
・EC取引拡大のためのマーケティング費用 0.8億円
・採用活動費及び人件費 1.0億円

調達資金の大半はブランド認知度向上及び価値向上のための広告宣伝費(テレビCM等メディアを利用した広告や新たな著名人とのアドバイザリー契約等)に充当される。

公募株数600,000株に対し売出株数1,550,000株であり売出株数の多いIPOである。売出は小松社長(1,200,000株)及び小松取締役(350,000株)の保有株にて行われる。
 

■株主状況

小松社長が筆頭株主であり株式シェア39%を所有している。また小松社長と同数の株式を保有する株式会社アーク・クエスト(株式シェア39%)は小松社長の資産管理会社である。

第3位株主の小松取締役(同9.7%)は小松社長の配偶者で、第4位株主の和田百子氏(同9.7%)は小松社長の二親等内の血族である。小松社長の関係先で9割以上の株式が所有されており、安定的な株主構成となっている。
 

■まとめ

大阪市に本社を置く家庭用磁気治療器を中心とするヘルスケア商品などの製造販売を手掛ける企業のIPO案件である。

医療機器としての効能・効果による製品メリットを背景に、多くのアスリートが着用するというマーケティング戦略が合致し業績を伸ばしている。2021年9月期は売上高35億円、経常利益6.0億円を予想しており、利益率は高い。

2020年9月期は対前年同期比で業績は横ばいとなったが、2021年9月期から再成長を予想している。2021年9月期の予想を達成した上で2022年9月期以降も成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、家庭用永久磁石磁気治療器の製品開発及び販売事業を展開している。製造については、製造委託先に外部委託しており、販売は直販、卸、ECとなっている。商品としてはネックレス型のものが売上の約9割を占めている。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が95億円、2021年9月期の業績予想ベースのPERが23.2倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が27億円とマザーズ銘柄としては中規模となっているので、個人投資家の強い需要はあるものの初値は前場の遅い時間には付くと推測する。初値が付いた後は、事業の成長性にいまひとつの感があり、上値を強烈に追う動きにはならないと考えるので、引け値で初値を維持するのはちょっと難しいかもしれない。

セカンダリーマーケットにおいては、今期の決算発表を待って、来期の業績予想が出るまでは動きが弱くなると考える。販売の構成において、直販であるECが伸びれば、粗利が増えて、売上がさほど伸びなくても利益が伸びる可能性もあるが、EC販売は広告宣伝費がかかるため、今期の実績を見てからの判断とした方が良いだろう。