【目次】
①️ジィ・シィ企画IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社ジィ・シィ企画
- コード
- 4073
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 矢ヶ部 啓一 / 1962年生
- 会社住所
- 千葉県佐倉市王子台一丁目28番8号
- 設立年
- 1995年
- 社員数
- 117人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- クレジットカード等のキャッシュレス決済に係るシステム開発及び導入後の保守運用並びにクラウド型の決済ASP サービスの提供
- URL
- http://www.gck.co.jp/
- 資本金
- 190,650,000円 (2021年6月2日現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,288,160株
- 公開株数
- 414,400株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/16→1,720~1,840円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/18 - 06/24
- 公開価格決定:2021/06/25
- 申込期間:2021/06/29 - 07/02
- 上場日:2021/07/07
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:ちばぎん証券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:エイチ・エス証券
- 引受証券:水戸証券
- 引受証券:むさし証券
- 大株主
- (株)コミューン 26.13%
- 金子哲司 11.78%
- 矢ヶ部啓一 8.76%
- (株)アイネット 6.88%
- 坂井正人 6.80%
- ジィ・シィ企画従業員持株会 6.25%
- 金子京子 5.78%
- 小坂大輔 3.06%
- 近藤茂男 2.44%
- 髙木洋介 2.41%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/06 単体実績
1,341,935 110,425 87,937 373,481 - 2019/06 単体実績
1,546,156 95,594 80,482 433,616 - 2020/06 単体実績
2,638,337 377,305 268,087 681,357 - 2021/03 第3四半期単体実績
1,516,080 116,787 88,500 743,489 - ロックアップ情報
- 株式会社アイネットは上場後90日目の2021年10月4日まで
金子哲司、矢ヶ部 啓一、坂井正人、金子京子、株式会社コミューン、小坂大輔、近藤茂男、小関哲、髙木洋介は上場後180日目の2022年1月2日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 7億6249万6000円(414,400株×1,840円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 237,600株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社ジィ・シィ企画<4073>はキャッシュレス決済パッケージ「CARD CREW PLUS」やキャッシュレスシステムの開発などを行う千葉県佐倉市に本社を置く企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■事業内容詳細
同社は1995年に創業され一貫して決済システムの開発を行ってきた。同社サービスはクレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済に対応した決済パッケージ「CARD CREW PLUS」を提供している。
具体的にはカード会社加盟店の店舗へキャッシュレス決済システムやサービスを、下記2つのパターンで提供している。
・決済ASPサービスとしてクラウド型での提供
・システム開発とともに顧客にカスタマイズするオンプレミス型
■同社の強み
同社の強みは下記4点があげられる。
① 開発・運用の全てを自社リソースで提供可能な技術力
② ストック売上に繋がるビジネスモデル
③ 高いセキュリティと信頼性
④ 多様な決済端末への対応
同社は1995年の創業後、パッケージベースのキャッシュレス決済システムを自社開発したことにより、ユーザーがシステムの利用を早期かつ安定的に実現できる環境の提供が可能となった。またキャッシュレス決済システム導入後も、ヘルプデスク・運用・保守等のサービス提供によりユーザーの決済シーンを支えている。
また同社は国内外の多種多様な決済端末、POSシステムとの接続実績があるため、POSシステムを開発するSI会社に対し同社サービスへの接続プログラムを無償で提供でき、安価かつ短期間にシステム構築が可能である。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■成長戦略
単なる決済システムの提供に留まらず、システムのカスタマイズに強みを持つ同社は、多様なサービスを求める大規模店・中規模店の流通小売事業者をメインターゲットにしている。
今後も決済ASPサービス決済機能拡張、ワンストップサービスの利便性向上などにより、大規模店・中規模店の顧客ニーズを満たし成長を果たす計画である。
また新規ビジネスとして、カード会社加盟店の決済ネットワークを国内の決済ネットワークから、国際ブランド決済ネットワークへ切り替えることで加盟店とカード会社の決済コストの削減も目指す。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■2020年6月期の相手先別売上高
2020年6月期 売上高26億円
・株式会社アイネット 6.5億円(割合25%)
・株式会社ドン・キホーテ 3.8億円(同14%)
・株式会社日本カードネットワーク 0.6億円(同2.1%)
・ユニー株式会社 0.5億円(同1.8%)
2020年6月期はSI会社の株式会社アイネットが最多の売上先である。次いで小売り事業者の株式会社ドン・キホーテが続く。尚、ユニー株式会社は株式会社ドン・キホーテのグループ会社である。
ユニー株式会社は2021年3月期Q3(累計)には売上高2.5億円(割合16%)まで拡大したが、株式会社ドン・キホーテは売上高0.6億円(割合3.7%)となった。ドン・キホーテグループが同社の流通企業の顧客としては最大の状態が続いている。
■業績推移
2018年6月期 売上高13億円、経常利益1.1億円、当期純利益0.9億円
2019年6月期 売上高15億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.8億円
2020年6月期 売上高26億円、経常利益3.8億円、当期純利益2.7億円
2021年6月期(予想) 売上高22億円、経常利益2.1億円、当期純利益1.4億円
順調に増収が続く中で、2020年6月期はキャッシュレス決済ブームを追い風に大幅な増収増益となり、売上高は25億円を突破して、経常利益も3億円を突破した。
2021年6月期はキャッシュレスブームの特需がなくなり若干の減収減益の予想であるが、売上高20億円、経常利益2億円は維持される。2021年3月期Q3(累計)は売上高15億円、経常利益1.2億円となっている。■財務状況
2020年6月期末時点で資産合計20億円に対し、純資産合計6.8億円、自己資本比率34%である。借入金7.9億円に対し、現預金12億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。
資産20億円のうち流動資産が18億円であり、資産の殆どが流動資産で構成されている。■資金使途
IPOにより4.2億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・決済システムの能力増強、データセンター設備の容量拡大や社内用基幹システムなどの設備投資資金 3.8億円
・エンジニア、営業及びカスタマーサービス等の人材採用費 0.3億円
調達資金の大半は設備投資資金に充当される。■株主状況
筆頭株主(株式シェア26%)の株式会社コミューンは金子会長の資産管理会社である。金子会長は個人でも第2位株主(同12%、うち1.0%は潜在株式)であり、金子会長の関係先で株式シェア38%が所有されている。
矢ヶ部社長は第3位株主(同8.8%)である。
主力取引先の株式会社アイネット<9600>が第4位株主(同6.9%)として株主参入しているが、株式会社アイネットを除くと個人中心の株主構成である。■まとめ
キャッシュレス決済パッケージ「CARD CREW PLUS」やキャッシュレスシステムの開発などを行う千葉県佐倉市に本社を置く企業のIPO案件である。
1995年に創業されキャッシュレス決済システムの開発を一貫して手掛けており、近年のキャッシュレスブームを追い風に業績を伸ばしている。同社の顧客ターゲットとしている流通事業者としてはドン・キホーテグループとの取引が多い状態にある。
ドン・キホーテグループ以外にも流通事業者の主要取引先を増やし継続的な成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、クレジットカード等のキャッシュレス決済に係るシステム開発及び導入後の保守運用並びにクラウド型の決済ASPサービスの提供事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が41億円、2021年6月期の業績予想ベースのPERは29.23倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が10億円弱で、尚且つ、カード決済のシステム提供事業という時代の追い風もあって、かなりタイトな需給となると推測する。よって初値は後場の遅い時間帯もしくは翌日まで持ち越される可能性もある。
セカンダリーマーケットにおいては、当社は6月決算なので8月中旬には来期の業績予想が出てきて大幅な増収増益予想となれば、上場後のラリーからの調整に終止符を打って、見直し買いの機会となるかもしれない。一方で、今期の業績予想が、昨対で減収減益となっていることが気掛かりだ。 コロナ下でカード決済事業者はどこも増収増益基調にあるはずなのに、当社の業績が下降気味になっているところが払拭される材料が出ないと、株価は低迷するかもしれない。