BCCIPOレポート

【目次】
①️BCC IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
BCC株式会社
コード
7376
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 伊藤 一彦 / 1974年生
会社住所
大阪市西区京町堀一丁目8番5号
設立年
2014年
社員数
151人(2021年4月30日現在)
事業内容
大手IT企業への営業支援サービスの提供、ヘルスケア分野での市場調査やプロモーション支援の提供、ヘルスケア関連施設の運営受託
URL
https://www.e-bcc.jp/
資本金
24,000,000円 (2021年6月1日現在)
上場時発行済み株数
1,061,000株
公開株数
260,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/06/16→1,180~1,300円に決定
ブックビルディング期間:2021/06/18 - 06/24
公開価格決定:2021/06/25→1,300円に決定
申込期間:2021/06/28 - 07/01
上場日:2021/07/06
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:みずほ証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:エイチ・エス証券
引受証券:東洋証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:東海東京証券
大株主
伊藤一彦 31.01%
BCC社員持株会 11.01%
伊藤貴子 7.75%
プラス(株) 6.46%
K&Pパートナーズ1号 投資事業有限責任組合 6.46%
中山保代 5.17%
みずほ成長支援 投資事業有限責任組合 4.85%
安原弘之 4.59%
岡林靖朗 4.59%
荒川弘也 4.36%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
824,839 13,559 33,955 127,438
2019/09 単体実績 
1,004,981 42,053 51,408 178,846
2020/09 単体実績 
1,031,042 45,074 30,791 209,638
2021/03 第2四半期単体実績 
574,262 94,219 61,830 271,469
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年1月1日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
3億3800万0000円(260,000株×1,300円)
潜在株数(ストックオプション)
67,740株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
BCC株式会社<7376>は、大手IT企業に対する営業人材派遣を中心とした営業支援サービス及び介護レクリエーション人材の派遣、ヘルスケア関連施設の運営受託などのヘルスケアビジネスを展開する企業である。本社は大阪市に所在している。
 
BCC
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は下記2事業を展開している。

・IT営業アウトソーシング事業
・ヘルスケアビジネス事業
 

●IT営業アウトソーシング事業

IT営業アウトソーシング事業では、①大手IT企業に対してIT営業に特化した営業アウトソーシングを提供している。大手IT企業に同社従業員が常駐して営業支援を行う「営業派遣」と、大手IT企業に常駐または同社オフィス内で営業支援を請け負う「業務請負」(業務委託含む)の2種類がある。大手IT企業の事業形態やニーズに合わせて様々なモデルで営業アウトソーシングを提供している。
 
BCC
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
また②ソリューション事業として、大手IT企業の代理店として中小企業にインターネットサービスやクラウド関連サービス等を組み合わせた通信ネットワークを提供している。同社は各中小企業よりヒアリングした各種情報(利用中の情報システム、更新時期、問題点及び課題等)が蓄積されたデータベースを有しており、本データベースを有効活用することで、大手IT企業に代わり同社が中小企業向けの販売活動を実施している。
 

●ヘルスケアビジネス事業

ヘルスケアビジネス事業では、①介護レクリエーション事業として介護レクリエーション素材を無償で提供する「介護レク広場」等の介護人材向けWebメディアの運営、介護レクリエーションの講座及び研修を行う「レクリエーション介護士」の資格制度の運営、介護レクリエーションを学んだ人材を中心とした派遣及びレクリエーション代行サービスを行っている。

また②ヘルスケア支援事業として、自治体等からのヘルスケア関連施設の運営受託及び同社の有する介護関連会員からなるシニアプラットフォーム(「介護レク広場」会員5万人、「レクリエーション介護士」認定者3万人超のネットワークの集合体)を用いた市場調査や顧客の製品やサービスのプロモーション支援等を提供している。

尚、ヘルスケアビジネス事業は2012年1月に子会社化したスマイル・プラス株式会社(2016年9月に同社と合併)が手掛けた事業である。
 
BCC
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

■2020年9月期セグメント別損益

2020年9月期 売上高10億円(対前年同期比3%増)、営業利益0.4億円(同▲11%減)
・ITアウトソーシング事業 売上高8.8億円(同5.9%増)、営業利益2.4億円(同8.3%増)
・ヘルスケアビジネス事業 売上高1.5億円(同▲13%減)、営業利益▲0.8億円(前年同期▲0.6億円)

ITアウトソーシング事業は対前年同期比で増収増益を果たしている。一方でヘルスケアビジネス事業は減収及び赤字が継続中。両事業の合算で若干の増収及び減益という状態である。

2020年9月期の主な相手先別販売実績は下記である。

・株式会社インターネットイニシアティブ 1.6億円(割合16%)
・日本電機株式会社 1.5億円(同14%)
・日鉄ソリューションズ株式会社 1.3億円(同12%)

上記3社で全体の約4割の売上を計上する。2019年9月期及び2021年9月期Q2(累計)も同様であり、上記3社との安定的な取引関係が維持されている。
 

■業績推移

2018年9月期 売上高8.2億円、経常利益0.1億円、当期純利益0.3億円
2019年9月期 売上高10億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.5億円
2020年9月期 売上高10億円、経常利益0.5億円、当期純利益0.3億円
2021年9月期(予想) 売上高11億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.6億円

2019年9月期まで順調に増収を続けたが、2019年9月期及び2020年9月期は売上高10億円、経常利益0.5億円前後で業績は横ばいである。

2021年9月期は増収増益の予想である。2021年9月期 Q2(累計)は売上高5.7億円、経常利益0.9億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務状況

2020年9月期末時点で資産合計4.7億円に対し純資産合計2.1億円、自己資本比率45%である。借入金0.8億円に対し現預金2.6億円を保有している。

資産合計4.7億円に対し流動資産4.0億円であり、資産の殆どが流動資産で占められている。
 

■資金使途

IPOにより2.5億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・人材の育成・確保における人件費 2.1億円
・プロモーション活動 0.3億円
・基幹システム・情報機器購入 0.1億円

調達資金の大半はIT営業アウトソーシング事業における派遣社員の育成と確保のための人件費等に充当される。
 

■株主状況

筆頭株主は伊藤社長であり株式シェア31%を有している。また伊藤社長の配偶者が第3位株主(株式シェア7.8%)であり、伊藤社長の関係先で株式シェア39%を所有中である。また第2位株主はBCC社員持株会(同11%)のため、社長及び会社関係先で約半数の株式が所有されている。 第5位株主のK&Pパートナーズ1号投資事業有限責任組合(同6.46%)他、VCが4名義で18%の株式シェアを所有する。またVCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
 

■まとめ

大阪市に本社を置く、大手IT企業に対する営業人材派遣を中心とした営業支援サービス及び介護レクリエーション人材の派遣、ヘルスケア関連施設の運営受託などのヘルスケアビジネスを展開する企業のIPO案件である。

IT営業のアウトソーシングを行うITアウトソーシング事業は増収増益を続けているが、介護サービスのヘルスケアビジネス事業は2020年9月期まで若干の赤字が継続している。

IPOによる調達資金を活用するなどして、派遣社員の育成と確保によりITアウトソーシング事業を更に伸ばすことができるか、という点に加えて、ヘルスケアビジネス事業の経営を軌道に乗せることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、大手IT企業の営業を派遣や業務請負の形で支援しているほか、販売代理店として中小企業にインターネットサービスやクラウド関連サービスなどを組み合わせて通信ネットワークを構築する事業のほか、高齢者向けの介護レクリエーションに関する事業も展開している。

上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が14億円、2020年9月期業績予想ベースのPERは20.89倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が4億円弱と小さいので需給はかなりタイトで、初値は後場の遅い時間になると推測する。但し、ビジネスモデルからすると公開価格の2倍以上の株価はかなり割高感が出るので、上場直後の高値が当面の高値となり、上場ラリーの後は調整がしばらく続きそうだ。

セカンダリーマーケットにおいては、9月決算の発表となる11月中旬以降に来期の業績次第で買いが入る可能性があるが、当社のここ数年の売上の伸びからすると期待を前提に決算発表前に仕込むのはリスクがあると考える。