【目次】
①️ASNOVA IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社ASNOVA
- コード
- 9223
- 市場
- 名証ネクスト
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 上田桂司 / 1975年生
- 会社住所
- 愛知県名古屋市中村区平池町4-60-12 グローバルゲート26階
- 設立年
- 2013年
- 社員数
- 108人(2022年1月31日現在)
- 事業内容
- クサビ緊結式足場の仮設資材レンタル・販売および足場架払工事
- URL
- https://www.asnova.co.jp/
- 資本金
- 88,017,000円 (2022年3月18日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,539,900株
- 公開株数
- 222,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2022/04/04→1,430~1,630円に決定
- ブックビルディング期間:2022/04/06 - 04/12
- 公開価格決定:2022/04/13
- 申込期間:2022/04/14 - 04/19
- 上場日:2022/04/21
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:東海東京証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券
- 引受証券:丸三証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:水戸証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (一社)ニチレン 52.48%
- 上田桂司 46.51%
- ASNOVA従業員持株会 0.94%
- 森下哲 0.07%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
2,132,592 184,288 61,871 1,914,273 - 2020/03 単体実績
2,724,224 282,527 265,722 2,179,996 - 2021/03 単体実績
2,241,557 11,767 15,915 2,195,912 - 2021/12 第3四半期単体実績
2,063,993 240,387 178,150 2,374,062 - ロックアップ情報
- 上田桂司、一般 社団法人ニチレン、森下哲は、上場後180日目の2022年10月17日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 3億6186万円(222,000株×1,630円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 2,400株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社ASNOVA(アスノバ)<9223>は戸建て・低中層マンションに使用されるクサビ式足場のレンタル及び販売を主に手掛ける、本社を名古屋市に置く企業である。
■沿革
同社の前身は1977年1月に福井県敦賀市で建設機械等のレンタルを目的に創業された上田建機株式会社である。上田建機株式会社はクサビ式足場のレンタル事業を立ち上げ事業を拡大した。しかし既存事業との商流の違いなどもあり、2014年1月に会社分割を行いクサビ式足場のレンタル事業を分割して、日本レンテクト株式会社に事業を承継した。また同年3月に名古屋市に本社を移転している。
2019年12月に日本レンテクト株式会社から商号を現在の株式会社ASNOVAに変更し現在に至っている。
■事業内容詳細
同社は戸建て・低中層マンションに利用されるクサビ緊結式足場(クラビ式足場)を中心に下記3事業を展開している。
・仮設機材レンタル
・仮設機材販売
・その他
同社の全国の機材センターを通じて、工事業者による「仮設機材をレンタル・購入したい」というニーズにワンストップで対応できる体制を用意している。
●仮設機材レンタル
仮設機材レンタルは、戸建てや低中層マンション向けに普及しているクラビ式足場を中心に、仮設機材のレンタルサービスを全国の中小足場施工業者に提供している。
足場施工業者の仮設機材在庫負担が増大しており、繁閑に応じて仮設機材数量の調整弁となる仮設機材レンタルに対するニーズは高く、取引業者数は拡大を続けている。
●仮設機材販売
同社は仮設機材レンタルを利用する顧客に主軸のレンタルサービスだけでなく、販売も含めた提案も行う。ワンストップでサービスを提供することで、安定的に発生する更新需要を取り込んでいる。なお、販売は2019年4月より開始した。
●その他
その他として、顧客の現場で足場の架け払いを行う工事の受注(同社受注後、外部業者へ委託)を行っている。
■経営戦略
同社は下記4つの経営戦略にて今後の事業展開を予定している。
・既存顧客の深耕及び新規顧客の開拓
・拠点開発
・サービス・品揃えの強化
・建設仮設業界活性化への貢献
上記のうち拠点開発は、本州内に営業所として5カ所、機材センターとして17カ所を展開するが、継続的な投資により拠点を増やし新たな顧客の獲得につなげる戦略である。なお、成長著しいベトナムにおける仮設機材レンタルの展開を模索している。
■業績推移
2019年3月期 売上高21億円、経常利益1.8億円、当期純利益0.6億円
2020年3月期 売上高27億円、経常利益2.8億円、当期純利益2.7億円
2021年3月期 売上高22億円、経常利益0.1億円、当期純利益0.2億円
2022年3月期(予想) 売上高27億円、経常利益3.1億円、当期純利益2.2億円
順調に増収を続けたが、売上高は2020年3月期の27億円が一旦ピークとなった。経常利益も同様であり、2020年3月期の2.8億円がピークである。
2021年3月期はコロナ禍の影響もあり減収減益に転じた。
2022年3月期は売上高27億円、経常利益3.1億円の予想であり、売上高は2020年3月期並みながら経常利益は2020年3月期を若干上回る予想としている。2022年3月期Q3(累計)は売上高21億円、経常利益2.4億円であり通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計52億円に対し純資産合計22億円、自己資本比率42%である。借入金26億円に対し現預金4.9億円を有している。
資産合計52億円は賃貸資産18億円、土地17億円などの有形固定資産合計41億円と、現預金4.9億円、売掛金2.5億円などの流動資産合計9.7億円が主な構成内容である。
キャッシュ・フロー計算書において、年間9億円以上の減価償却費の計上により、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年3月期11億円、2021年3月期8.2億円に押し上げられている。
■資金使途
IPOにより2.9億円の資金調達を行い、全額を設備資金としてレンタル用の足場等の仮設機材の購入に充当予定である。
■株主構成
上田社長は第2位株主(株式シェア47%)であるが、筆頭株主(同52%)の一般社団法人ニチレンも合算対象分となるため、上田社長の関係先で株式のほとんどが保有されている。
■まとめ
戸建て・低中層マンションに使用されるクサビ式足場のレンタル及び販売を主に手掛ける、本社を名古屋市に置く企業のIPO案件である。
コロナ禍以前は安定的な成長を見せており、2020年3月期の売上高27億円、経常利益2.8億円が業績のピークとなった。2022年3月期より再び成長を開始する見込みであり、2022年3月期Q3まで順調に進捗している。
2022年3月期の成長再開後も新規拠点開発などを進めることで継続的に成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、クサビ緊結式足場の仮設資材レンタル・販売及び足場架払工事の事業を展開している。上場市場は名証ネクスト。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が25億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER11.5 倍、PBRは約1倍となっている。
上場当日の株価動向は、上場市場が名証ネクスト市場ということで、人気がいまひとつということもあり、資金吸収額が小さく需給はタイトではあるが、初値は前場の早い時間帯に付くと推測するが、株価のバリュエーションは割安感があるので、初値が付いた後に大きく売り込まれれば、リバウンド狙いの買いが入るかもしれないが、長続きはしないので、飛び乗り飛び降りでデイトレに徹する方が良いだろう。
セカンダリー市場においては、ここ数年の売上の推移を見ても、成長性に欠けるところがあり、来期の業績予想が出るまでは、大きく買われることはないと考えるが、仮に来期の利益の伸びが著しかったとしても、一時的な動きとみておいたほうが良さそうだ。株価のひとつの目安としては、PBR1倍程度とみておくべきだが、キャッシュフローは潤沢で自己資本比率は徐々に改善すると考えられるので、純資産割れの株価は投資妙味があるといえそうだ。