(画像=編集部作成)

【目次】
①️フルハシEPO IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
フルハシEPO株式会社
コード
9221
市場
スタンダード市場
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 山口直彦 / 1954年生
会社住所
愛知県名古屋市中区金山一丁目14番18号
設立年
1948年
社員数
253人(2022年1月31日現在)
事業内容
木質系廃材のリサイクル処理、木質リサイクルチップの販売、建設副産物の処理受託、各種物流機器の製造販売
URL
https://www.fuluhashi.co.jp/
資本金
310,000,000円 (2022年3月18日現在)
上場時発行済み株数
4,880,000株
公開株数
530,000株
連結会社
8社
スケジュール
仮条件決定:2022/04/04→1,100~1,140円に決定
ブックビルディング期間:2022/04/06 - 04/12
公開価格決定:2022/04/13
申込期間:2022/04/14 - 04/19
上場日:2022/04/21
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:野村證券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
山口直彦 26.95%
(有)ヤマグチ 21.05%
山口昭彦 14.82%
フルハシEPO従業員持株会 6.90%
高取陽子 4.55%
山口郁子 3.83%
山口まどか 2.69%
岡田光男 2.17%
伊藤元光 1.95%
野口まさこ 1.79%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 単体実績 
5,663,078 549,139 342,111 1,145,492
2020/03 連結実績 
7,763,557 564,071 328,566 1,492,373
2021/03 連結実績 
7,694,241 623,472 411,031 1,729,858
2021/12 第3四半期連結実績 
5,733,385 668,690 475,815 2,021,774
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年10月17日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
6億420万円(530,000株×1,140円)
潜在株数(ストックオプション)
なし
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
フルハシEPO株式会社<9221>は木質系廃材のリサイクル処理受託及び木質リサイクルチップの販売などを主に手掛ける本社を名古屋市に置く企業である。
 
フルハシEPO
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は下記4事業を展開している。

・バイオマテリアル事業
・資源循環事業
・環境物流事業
・その他事業
 

●バイオマテリアル事業

バイオマテリアル事業では、木質系廃材のリサイクル処理及び木質リサイクルチップの販売を展開している。

同社は住宅解体などで発生する木質系廃材の処理受託において、顧客となる排出事業者から処理料を受領する。更にリサイクル処理過程で製造する木質リサイクルチップ販売収入もあり、双方から収益を獲得する事業モデルである。
 
フルハシEPO
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●資源循環事業

資源循環事業では、住宅建設現場等から排出される各種建設廃棄物のリサイクル処理を受託している。住宅メーカー等を顧客として、建設現場に資材回収ボックスを設置して定期的に回収を行い、同社のリサイクル工場において選別、再資源化等の中間処理を行っている。
 

●環境物流事業及びその他事業

環境物流事業では、木製パレット等の物流機器の製造・仕入・販売を行っている。

またその他事業では子会社において施設・交通警備、人材派遣・紹介サービスを提供している。
 

■同社の特徴

同社は下記2点の特徴を有している。

・都市部での事業展開
・木質バイオマス発電の取り組み

バイオマテリアル事業と資源循環事業はいずれも人口の多い地域が商圏である。よって同社は東海地区を基盤として、関東地区にも注力し事業を展開している。なお、国内の環境物流事業のノウハウを活かすべく、タイとベトナムへも展開している。
 
フルハシEPO
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
また同社は木質リサイクルチップ製品の安定供給先確保を目的として、国内における複数の木質バイオマス発電事業へ参画している。

具体的には川崎バイオマス発電株式会社への出資(出資比率13%)、CEPO半田バイオマス発電所株式会社への出資(同10%)が行われており、それらの燃料供給を同社が担っている。
 
フルハシEPO
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期セグメント別利益

売上高77億円(対前年同期比99%)、営業利益6.1億円(同111%)
・バイオマテリアル事業 売上高55億円(同103%)、セグメント利益6.7億円(同96%)
・資源循環事業 売上高15億円(同110%)、セグメント利益1.1億円(同142%)
・環境物流事業 売上高6.5億円(同104%)、セグメント利益▲0.4億円(前年同期▲0.4億円)
・その他 売上高4.5億円(同54.0%)、セグメント利益▲0.4億円(前年同期▲0.2億円)
バイオマテリアル事業が主力事業であり売上高の約7割を占めている。また大半の利益が同事業から計上されている。ただし2021年3月期は若干の減益となった。

資源循環事業がバイオマテリアル事業に次ぐ事業規模であり、同事業は増収増益となっている。

環境物流事業、その他は若干の赤字が継続中である。
 

■業績推移

2019年3月期 売上高57億円、経常利益5.5億円、当期純利益3.4億円
2020年3月期 売上高78億円、経常利益5.6億円、当期純利益3.3億円
2021年3月期 売上高77億円、経常利益6.2億円、当期純利益4.1億円
2022年3月期(予想) 売上高74億円、経常利益8.0億円、当期純利益5.7億円
※2020年3月期より連結決算

2020年3月期~2021年3月期は売上高77~78億円で横ばいとなったが、経常利益は若干の増益を果たした。

2022年3月期は売上高74億円、経常利益8.0億円の予想であり、減収の反面増益が予想されている。2022年3月期Q3(累計)は売上高57億円、経常利益6.7億円であり、通期予想の達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務内容

2021年3月期末時点で資産合計90億円に対し純資産合計17億円、自己資本比率19%である。借入金44億円に対し現預金7.7億円を有している。

資産合計90億円は建物及び構築物20億円、土地27億円などの有形固定資産56億円と、現預金7.7億円、受取手形及び売掛金9.4億円など流動資産合計20億円から主に構成されている。

キャッシュ・フロー計算書において、減価償却費が毎期4億円以上計上されており、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年3月期10億円、2021年3月期10億円に押し上げられている。
 

■資金使途

IPOにより4.8億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・バイオマテリアル事業における処理量増加を目的とした工場新設の設備投資資金 3.9億円
・資源循環事業における処理量増加を目的とした生産設備の増設等 0.9億円

調達資金はバイオマテリアル事業と資源循環事業の設備投資に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主は山口社長であり株式の27%を保有している。第2位株主の有限会社ヤマグチは山口社長他の資産管理会社である。山口社長一族の関係先で株式の75%を保有する安定的な株主構成である。

個人中心の株主構成であり、投資ファンドや金融機関などの株主参入はない。
 

■まとめ

木質系廃材のリサイクル処理受託及び木質リサイクルチップの販売などを主に手掛ける、本社を名古屋市に置く企業のIPO案件である。

木質系廃材のリサイクル処理過程で製造する木質リサイクルチップを、自社が出資するバイオマス発電所に販売している点が特徴である。川崎バイオマス発電株式会社への出資(出資比率13%)とCEPO半田バイオマス発電所株式会社への出資(同10%)を行うことで、それらの燃料供給を同社が担っている。

コロナ禍の影響もあり2020年3月期から2021年3月期は業績が横ばいとなった。しかし 2022年3月期から成長が再開される見通しであり、順調に進捗している。IPO後も継続的な成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、木質系廃材のリサイクル処理、木質リサイクルチップの販売、建設副産物の処理受託、各種物流機器の製造販売事業を展開している。上場市場は東証スタンダードと名証メインの重複上場。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が56億円、2022年3月期の業績予想ベースのPER9.8 倍となっている。2022年3月期の1株当りの配当は40円で、公開価格ベースの配当利回りは3.5%となっている。2023年3月期の配当予想は出ていないが、目論見書に配当性向30%を目標とすると書いてあり、事業の安定性からすると、公開価格水準を維持できるだけの配当は出せるのではないかと推測する。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が7億円弱と小規模であること、また、株価のバリュエーションも割安感があることで、東証スタンダード銘柄として初値は公開価格を維持できると考えるが、ESGの観点からひょっとしたら人気化する可能性もあり、初値が付いた後に売り込まれなければ、上場当日は結構堅調な株価展開もありえる。

セカンダリー市場においては、上場後数週間で来期の業績予想が出るが、事業が急成長することは考えずらく、サプライズはないと考えられれるので、もし、公開価格を割込むような売りが出たら買いのチャンスかもしれないが、戻したらすぐに利確するような、スイングトレードに徹するべきだろう。