「バリュー株」「グロース株」という言葉を聞いたことはないでしょうか。株に関する記事などを見る方は目にする機会も多いと思います。
しかし、これらの言葉がどのような意味を持つのかきちんと把握していない方もいるでしょう。今回は、株式投資を始める場合に覚えておきたいバリュー株とグロース株、それぞれの特徴やどちらに投資すればいいのかについて考察してきます。
また、「バリュー株」「グロース株」は株式の特徴で区分した名称で、国内の証券会社で購入できます。
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バリュー株とグロース株の基本情報
まずは、バリュー株とグロース株とはどのような株を指すのか特徴を押さえておきましょう。
バリュー株とは
バリュー株とは、企業価値から見て割安感のある株式です。「割安株」とも呼ばれています。一般的にバリュー株かどうかを判断する際に使う指標は以下の2つです。
バリュー株の判断に使用する指標
- PBR(株価純資産倍率):株価を1株あたり純資産で割って算出する
- PER(株価収益率):株価を1株あたり利益で割って算出する
業種によっても異なりますが、PBRが1倍以下であれば割安、PERは他社と比べ倍率が低いと割安株とみなされています。
SBI証券ではスクリーニング(銘柄条件検索)でPBR、PERによる絞込検索できます。
グロース株とは
グロース株とは、これから業績の伸びや成長が期待できる株式です。「成長株」とも呼ばれています。グロース株は、会社四季報などに記載されている財務指標で売上高と利益の伸びを確認して判断するのが一般的です。グロース株を見つけるには、現在の売上や利益の状況だけでなく「新しい商品が開発される予定」「今後の経営方針」など将来のことも予測するのが大切です。
バリュー株とグロース株の違い
バリュー株とグロース株の違いを詳しく確認しておきましょう。大きな違いは以下の点です。
バリュー株とグロース株の違い
- バリュー株:起業の価値に対し株価が割安
- グロース株:今後の株価上昇が期待できる
バリュー株は株価が割安
前章でも紹介した通り、バリュー株は企業価値に対し株価が割安な銘柄を指します。株式市場には、1株100円台以下の銘柄などもたくさん上場していますが、単に株価が安いだけでバリュー株と判断するのは早計です。バリュー株かどうかは、上述した通りPBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)といった指標を使い判断します。
一般的に「PBRが1倍以下」「PERが他の企業に比べ低い」といったことが判断の目安です。バリュー株を探す際は、まずこれらの指標を確認してください。なおバリュー株になりやすいのは、以下のような企業の株といわれています。
業績に問題はないが知名度が低い企業
すでに成熟した業界の企業
特に目立った話題がなく堅実経営をしている企業
具体的には、小売業、製造業などがあてはまるケースが多い傾向です。また地方で堅実に経営している企業もバリュー株になりやすくなっています。
SBI証券ではPBR、PERによる絞込検索が簡単にできます。
グロース株は株価上昇が期待できる株式
グロース株は、今後の成長が見込め株価の上昇も期待できる銘柄です。売上や利益が上昇し続けている企業の銘柄がグロース株となりえます。グロース株になりやすい目安は、以下のような企業の株です。
グロース株になりやすい目安
- 新興企業
- 新規事業、新商品の開発が多い企業
- ハイテク関連の企業
具体的には、IT企業や医薬品関連企業などが多い傾向です。
バリュー株のメリットとデメリット
株価が割安なバリュー株ですが投資する際にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
バリュー株のメリット
バリュー株のメリットは、以下の通りです。
・配当が期待できる
バリュー株の場合は安定した企業が多く、大きな株価の上昇は期待できませんが、安定した配当が期待できます。
・値動きが小さい
バリュー株は、グロース株と比較して株価のボラティリティ(変動性)が低い傾向にあります。次の日に急騰・急落する可能性も非常に低いため、値動きリスクをそれほど取りたくない人にピッタリです。
・長期間安定的に保有できる
バリュー株になる銘柄は、派手ではないものの堅実経営をしている企業のものが多く含まれています。安定的な配当を出している企業や株主優待を出している企業も少なくありません。
バリュー株のデメリット
バリュー株には、以下のようなデメリットもあります。
・値動きが小さく売り時が難しい
バリュー株は、値動きが小さく株価が安定している点はメリットです。しかし高くなったときに売りたいと思っても、利益が得られるほど値上がりしていない可能性もあります。そのため短期で売買をしたいと考えている人には不向きかもしれません。
・塩漬け株になる可能性がある
株価が値下がりしたところで購入し、戻ったら売却したい人もいるかもしれませんが、特に株価が動く材料が少ないバリュー株の場合は、値段が戻らないこともあります。売るに売れずにそのまま保有したままになる「塩漬け株」になるかもしれません。
・銘柄選びが難しい
実際の企業の価値よりも株価が安いときがねらい目です。ただ、企業の実際の価値を判断するのは簡単ではありません。単に将来性がなく株価が下がっている場合もあるため、見極めは非常に難しいでしょう。
銘柄選びの際は2つの指標「PBR(株価純資産倍率)」「PER(株価収益率)」も参考にしましょう。
SBI証券ではPBRやPERによる絞込検索が簡単にできる、スクリーニング(銘柄条件検索)が用意されています。
グロース株のメリットとデメリット
グロース株には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
グロース株のメリット
グロース株のメリットは、以下の通りです。
・株価が大きく値上がりする可能性が高い
グロース株の最大のメリットは、将来的に大きな値上がり益が期待できる点です。業績が上がったり新商品の売上が良かったりするなどの好材料があると大きく株価も上がる可能性が高くなります。
・短期的な投資に利用できる
短期間で株の売買をする場合、すぐに値上がりが期待できる銘柄が好まれます。グロース株は、良いニュースで大きく値が動くケースもあるため、短期投資を希望する人にも合っているといえるでしょう。
・長期的な投資にも使える
グロース株は、今後成長が期待できる企業の株式のため、長期的な視点で保有していても将来的に値上がりする可能性が高いといえます。
グロース株のデメリット
成長が見込まれるため、値上がりの期待も大きいグロース株ですがデメリットもあります。
・配当・株主優待が期待できないこともある
グロース株の多くは、急激に成長が見込まれる企業の株です。安定的に経営している老舗企業ではなく新興企業という場合も多いため、配当がない場合や少ない場合もあります。配当金や株主優待に期待できないケースがあることは覚えておきましょう。
・株価の動きが激しくなる可能性がある
グロース株では、話題性のある企業の株式も珍しくありません。そのためちょっとした情報やニュースで株価が大きく乱高下する可能性が高くなります。急落する危険性もあるので、その辺は覚えておきましょう。ニュースなどで企業の情報を常にチェックして株価変動につながりそうな情報を見逃がさないようにしましょう。
バリュー株とグロース株はどちらがおすすめ?
バリュー株とグロース株ですが、どちらに投資したらよいのでしょうか。3つの視点からチェックしてみましょう。
1.短期投資か?長期投資か?を考える
まずは、購入した株式を「短期間で売買をするのか」「長期で保有するつもりなのか」について考えないといけません。もし短期売買をするのであれば、値動きが大きくなることが予想されるグロース株がおすすめです。反対に「長期的に保有したい」「配当金や株主優待を得たい」と考えている場合は、値動きが少なく株価も低いバリュー株のほうがおすすめといえるでしょう。
2.投資に使える時間を考える
投資に使える時間がどのくらいあるのかも確認してください。例えばグロース株の場合は、1日のうちで大きく株価が変化する可能性があります。株価のチェックだけでなく新しい情報がないかを日々チェックすることも必要です。バリュー株であれば株価が大きく動くことは非常に少ないため、投資に使う時間はそこまで取る必要がないといえます。
3.投資に使えるお金を考える
グロース株は、株価が高い傾向にあります。1株数千円になる場合もあるため、1銘柄買い付けるのに数十万円単位の資金を準備しないといけません。複数銘柄に投資したいと考えている場合は、さらに資金が必要です。バリュー株は、1株100円程度の場合もあります。数万円で1銘柄購入できますので複数銘柄への投資を考えるのならばバリュー株を混ぜながら投資対象を検討するのもよいでしょう。
ただし「グロース株が絶対におすすめ」「バリュー株でないといけない」ということはなく、それぞれの投資方針や資金によっておすすめの株は異なります。そのためグロース株・バリュー株どちらかを選ぶことにこだわりすぎず、それぞれのメリット・デメリットを考えながら投資する銘柄を決めましょう。
バリュー株とグロース株の違いを把握して投資先を考えよう!
バリュー株とは「企業価値に対し株価が割安な銘柄」であり、グロース株とは「業績の伸びや企業の成長が見込まれる銘柄」という違いがあることを紹介しました。また長期投資や、少ない資金での投資を検討するのならばバリュー株、短期投資や、ある程度資金を準備して投資するのならばグロース株という違いもあります。投資を考える際は、どちらが自分の投資傾向にあっているかよく検討することが必要です。
なお数多くある上場銘柄の中からどの銘柄がバリュー株、もしくはグロース株に当たるのかを見極めるのは簡単ではありません。バリュー株・グロース株銘柄への投資を検討する際は、バリュー株であれば企業のPBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)を確認したり、グロース株であれば企業の新事業・新商品情報に敏感になったりする必要があります。
会社四季報や日経新聞などのニュースを活用し、企業の情報をよく確認する習慣を付けておきましょう。そうした経済の情報に敏感になっておくことで、投資の成功につながることが期待できます。