- 会社名
- ウイングアーク1st株式会社
- コード
- 4432
- 市場
- 市場第一部
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長兼CEO 田中 潤 /1976年生
- 会社住所
- 東京都港区六本木三丁目2番1号
- 設立年
- 2016年
- 社員数
- 592人(2021年1月31日現在)
- 事業内容
- 企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスの提供
- URL
- https://www.wingarc.com/
- 資本金
- 200,000,000円 (2021年2月18日現在)
- 上場時発行済み株数
- 31,198,000株
- 公開株数
- 10,634,700株
- 連結会社
- 8社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/03/01→1,440~1,590円に決定
- ブックビルディング期間:2021/03/01 - 03/05
- 公開価格決定:2021/03/08→1,590円に決定
- 申込期間:2021/03/09 - 03/12
- 上場日:2021/03/16→初値2,000円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:モルガン・スタンレーMUFG証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- CJP WA Holdings, L.P. 34.79%
- IW.DXパートナーズ(株) 21.75%
- 東芝デジタルソリューションズ(株) 13.10%
- Sansan(株) 6.81%
- モノリス有限責任事業組合 3.98%
- (株)PKSHA Technology 3.34%
- 鈴与(株) 1.53%
- (同)PKSHA Technology Capital 1.02%
- 内野弘幸 0.80%
- (株)データ・アプリケーション 0.61%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/02 単体実績
15,167,974 1,671,212 730,324 13,016,586 - 2019/02 連結実績
17,287,202 4,738,869 3,293,357 19,253,401 - 2020/02 連結実績
18,677,080 5,523,767 4,076,092 23,528,485 - 2020/11 第3四半期連結実績
13,468,771 2,157,014 1,585,227 24,771,802 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年6月13日まで
または、180日目の2021年9月11日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×公開価格)
- 158億4570万3000円(10,634,700株×1,490円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 4,450,500株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ウイングアーク1st株式会社のビジネスモデル解説 ウイングアーク1st株式会社<4432>は、企業などに請求書等の帳票ソフトウェアの開発販売及び企業内のデータ分析・活用を行うソリューション提供を行う企業である。
2010年に1stホールディングス株式会社としてJASDAQ市場に上昇したが、最終的に2013年9月にMBOを行い上場が廃止されており、再上場案件である。沿革
同社は下図のような沿革を経て現在に至っている。 - 2010年に1stホールディングス株式会社としてJASDAQ市場に上場した後、2012年2月に東京証券取引所市場第二部に市場変更を行ったが、2013年9月にMBOを行い上場が廃止されている。
その後、2016年3月に投資ファンドのカーライルが運営するCJP WA Holdingsが全株式を取得し完全子会社化された。現在も筆頭株主はカーライルグループのファンド・CJP WA Holdingsである。 -
事業内容について
- 同社の事業は、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と「データエンパワーメントソリューション」の2部門より構成されている。
① 帳票・文書管理ソリューション
同社は主に企業や自治体などに対して帳票のソフトウェアの販売、クラウドサービス、保守サポート提供を行っている。同社開発のソフトウェアは請求書、納品書、発送伝票といった業務帳票や、市役所で発行される各種証明書類まで、幅広い分野で利用されている。
具体的にはSVF(帳票開発の効率化)及びSPA(紙文書の電子化)というソフトウェアでサービスを提供中である。帳票市場における同社のシェアは67.3%と推定されており、非常に高い市場シェアを有している。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)- ② データエンパワーメントソリューション
同社は様々な種類のデータを組み合わせ・分析することで、今までにない価値を生み出して、生産性の向上や効率化の実現をコンセプトとしたソリューションを提供している。経営者から現場の担当者まで、広い階層で利用されている。
具体的には、企業内で蓄積されたデータの分析ツール「Dr.Sum」、分析されたデータの活用ツール「MotionBoard」、で本サービスの提供がなされている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)-
2020年2月期サービス分野別売上収益及びリカーリングレベニュー
2020年2月期 売上収益187億円(対前年同期比108%)
・帳票・文書管理ソリューション 117億円(同106%)
・データエンパワーメントソリューション 69億円(同112%)
売上規模は帳票・文書管理ソリューションがデータエンパワーメントソリューションの約2倍の規模を有している。ただしデータエンパワーメントソリューションは対前年同期比+12%の伸びを見せている。
また両事業ともに、ソフトウェアの保守サポートなどで継続的な収入(リカーリングレベニュー)が得られるビジネスモデルを採用している。2020年2月期のリカーリング比率は56.0%であり、売上の半数以上が安定的な収益源から計上されている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)-
業績推移
2019年2月期 売上収益173億円、当期利益33億円
2020年2月期 売上収益187億円、当期利益41億円
2021年2月期(予想) 売上収益180億円、当期利益23億円
2022年2月期(予想) 売上収益190億円、当期利益41億円
※IFRS基準により財務諸表は作成
※当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益
売上高、当期利益のいずれも2020年2月期は着実な増収増益を果たした。
ただし2021年2月期は新型コロナウイルス問題の影響を受け、若干の減収に加え大幅な減益(対前年同期比▲43%減)を予想する。2021年2月期Q3(累計)は売上収益135億円、当期純利益16億円であり、通期予想達成に向けた進捗が進んでいる。
2022年2月期は2020年2月期並の業績回復を予想している。
財務状況
2020年2月期末時点で総資産合計579億円に対して資本合計235億円であり、自己資本比率41%となっている。
また借入金181億円に対して、現預及び現金同等物50億円となっている。
過去のMBOに伴う組織再編やM&Aの結果、貸借対照表の借方において、のれん272億円、その他の無形資産192億円が計上されている。両者合計は464億円であり資産合計547億円のうち、85%を占める状態である。
資金使途
公募は行われず売出のみが行われる。よって同社としての資金調達はなされない。売出は筆頭株主であるカーライルのファンド・CJP WA Holdings , L.P.が保有の10,634,700株を拠出。売出総額は158億円である。
尚、CJP WA Holdingsは保有株数12,229,830株のうち、87%が売出株となる。
株主状況
カーライルのファンドCJP WA Holdings,L.P.が、株式シェア35%を保有する筆頭株主である。
第2位株主のIW.DXパートナーズ株式会社(株式シェア22%)は伊藤忠商事株式会社が親会社であり、同社ソフトウェアの販売を行っている。社外取締役、執行役員及び出向社員(それぞれ1名)を受け入れている。
第3位株主の東芝デジタルソリューション株式会社(同13%)は販売パートナーとして同社ソフトウェア等の販売を行っている。また社外取締役1名を受け入れている。
事業会社の株主としてSansan株式会社<4443>(第4位、同6.8%)、株式会社PKSHA Technology<3993>(第6位、同3.3%)、鈴与株式会社(第7位未上場、同1.5%)が株主となっている。
第5位株主のモノリス有限責任事業組合(株式シェア4.0%)は、役員保有の資産管理会社である。
今後の注目ポイント
電子帳票ソフトウェアの開発販売などを行う、ファンド子会社の再上場案件である。2019年3月及び2020年3月に予定されていたIPOを延期して、今回のIPOに臨んでいる。電子帳票ソフトウェアで国内において高い市場シェアを有するが、より付加価値の高い企業内のデータ分析・活用を行うデータエンパワーメントソリューションに注力している。
帳票ソフトウェアの大手企業として業績は安定しており、帳票ソフトウェア中心のソフトウェア基盤ソリューションはデータエンパワーメントソリューションの2倍近い規模を有している。
コロナ禍の影響により2021年2月期は対前年同期比で減収減益の着地予想であるが、注力しているデータエンパワーメントソリューションがどのような成長を見せるのか、という点が今後注目される。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、帳票ソフトやデータ解析ソフトなどの企業の情報活用を促進するソフトやクラウドサービスを、SIerなどのパートナーを販社として顧客企業に提供する事業を展開している。
上場市場は東証1部で株価のバリュエーションは公開価格時価総額が496億円、2022年2月期の業績予想ベースPERは12.04倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が169億円と大きいことから、需給は緩く、初値は市場オープンと同時に付くのではないかと予想する。
もし、上場当日、相場の地合いが悪いと、初値が公開価格割れとなる可能性もあり得るが、セカンダリー市場においては、東証1部銘柄であることに加えて、ビジネスモデルがリカーリング売上比率が高く、PERも12倍と低いことから、機関投資家の組み入れも期待できる。既存の株主には90日間のロックアップがあり、いったん初値がついて、公募・売出し玉を買った個人投資家の売りが一巡すれば、上場直後に需給が大崩れすることはないと考えられる。来期の業績予想はすでに開示されているが、4半期ごとの業績開示で進捗率が高くなってくると見直し買いが入るきっかけとなるかもしれない。