ジーネクストIPOレポート


【目次】
①️ジーネクストIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/16追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/10更新)

会社名
株式会社ジーネクスト
コード
4179
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役 横治祐介 /1977年生
会社住所
東京都千代田区飯田橋四丁目7番1号
設立年
2001年
社員数
29人(2021年1月31日現在)
事業内容
顧客対応ソフトウェア「Discoveriez」の開発及び提供
URL
https://www.gnext.co.jp/
資本金
396,137,000円 (2021年2月22日現在)
上場時発行済み株数
4,082,200株
公開株数
556,500株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/03/09→1,130~1,230円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/10 - 03/16
公開価格決定:2021/03/17→1,230円に決定
申込期間:2021/03/18 - 03/23
上場日:2021/03/25→初値2,851円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:大和証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:丸三証券
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:水戸証券
引受証券:極東証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
横治祐介 39.42%
井上瑞樹 4.84%
三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合 無限責任組合員
三菱UFJキャピタル(株) 代表取締役社長 半田宗樹 3.75%
DG Lab Fund II E.L.P. Cayman無限責任組合員
(株)DG Daiwa Ventures 代表取締役 大熊 将人 3.28%
宮林隆吉 3.28%
浜野哲也 3.17%
中内奈々 3.05%
糸永洋三 2.44%
大河原麗偉 2.32%
三橋健太郎 2.16%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
460,200 -231,331 -245,421 -157,579
2019/03 連結実績 
505,294 -109,902 -110,064 -238,998
2020/03 連結実績 
531,252 -183,480 -184,433 -96,449
2020/12 第3四半期連結実績 
551,058 65,921 56,607 225,727
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年6月22日まで
または、上場後180日目の2021年9月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
6億2884万5000円(556,500株×1,130円)
潜在株数(ストックオプション)
367,600株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社ジーネクスト<4179>は顧客対応ソフトウェア「Discoveriez」の開発及び販売を手掛ける企業である。
 
ジーネクスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は顧客起点の情報収集・活用手法を仕組化した、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」(ディスカバリーズ)の開発及び販売を行っている。

顧客接点に特化したプラットフォーム「Discoveriez」は、案件ごとにVOC(Voice of the Customer:指摘・要望・お褒め等の顧客の声)の全チャンネルを一元化し、社内の各部署との共有、対応処理の承認や記録、VOCの集計や分析などがシームレスに管理できるサービスである。
 
ジーネクスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●Discoveriezの特徴
Discoveriezには下記の効果や特徴がある。

・VOCが組織内に広がる
・顧客対応内容が適切な人に適切な形で伝わる
・使いやすいUI/UXを実現
・簡単に設定が変更できる

Discoveriezはプログラミング不要で簡単に設定変更ができるなど使いやすいソフトウェアであり、顧客の声を視覚的に分かりやすく組織内で共有することで、該当部署などに顧客対応の依頼もできる。
 

■ビジネスモデル

主力のクラウド事業は導入料+ライセンス使用料から構成されている。また導入料+メンテナンス・保守費用で構成されるオンプレ事業も展開している

クラウド事業のフロー売上とストック売上の比率は下記で推移しており、2021年3月期Q3(累計)では84%が導入料等のフロー売上である。
 
ジーネクスト
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年3月期事業部門別売上高

2020年3月期 売上高5.3億円(対前年同期比105%)
・クラウド事業 2.5億円(同164%)
・オンプレ事業 1.9億円(同95%)
・その他 1.0億円(同62%)


クラウド事業の売上比率は46%であるものの、2020年3月期はまだ50%は超えていない。ただし2020年12月期Q3(累計)は下記となっている。

2021年3月期Q3(累計) 売上高5.5億円
・クラウド事業 4.2億円
・オンプレ事業 1.0億円
・その他 0.3億円

2021年3月期Q3(累計)売上高5.5億円は、2020年3月期の通期売上高5.3億円を超えている。その中でクラウド事業は4.2億円の売上高を計上しており、売上高の76%を占めるまでとなった。2021年3月期Q3(累計)の増収はクラウド事業の成長が背景である。

また2020年3月期の新規導入件数はクラウド事業12件・オンプレ事業3件であったが、2021年3月期Q3ではクラウド事業19件・オンプレ事業0件であり、新規導入件数自体の伸びとともに、クラウド事業が殆どとなっている。
 

■業績推移

2018年3月期 売上高4.6億円、経常利益▲2.3億円、当期純利益▲2.5億円
2019年3月期 売上高5.1億円、経常利益▲1.1億円、当期純利益▲1.1億円
2020年3月期 売上高5.3億円、経常利益▲1.8億円、当期純利益▲1.8億円
2021年3月期(予想) 売上高8.6億円、経常利益1.7億円、当期純利益1.8億円


着実な増収は続いているが、2020年3月期まで経常利益及び当期純利益のいずれも1億円を超える赤字が継続している。

2021年3月期は売上高8.6億円、経常利益1.7億円の予想であり、大幅な増収となり一気に黒字化する予想である。2021年3月期Q3(累計)は売上高5.5億円、経常利益0.7億円であり既に黒字化した。Q4で通期予想達成なるか注目される。
 

■財務状況

2020年3月期末時点で資産合計2.4億円に対し、純資産合計▲1.0億円となっており債務超過である。ただし2021年3月期Q3時点では資産合計6.3億円に対し、純資産合計2.3億円、自己資本比率36%まで回復した。増資が行われており、2021年3月期Q3時点では借入金3.0億円に対し、現預金4.5億円を有している。

キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年3月期▲1.4億円、2020年3月期▲1.2億円であり、年間▲1億円以上の資金流出が継続中である。
 

■資金使途

IPOにより4.6億円の資金調達を行い下記使途が予定されている。

・「Discoveriez」の機能強化 1.3億円
・エンジニア、営業及びカスタマーサクセス等の人件費・採用費 1.2億円
・サービス認知度向上のための宣伝広告費 1.8億円

調達資金は「Discoveriez」の機能強化、人件費・採用費、宣伝広告費に分散して投じられる
 

■株主構成

筆頭株主は横治社長であり株式シェア39%を保有している。

主要株主にVCは第3位株主の三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(株式シェア3.8%)と第4位株主の株式会社デジタルガレージ<4819>が運営するファンドDG Lab Fund II E.L.P. Cayman(同3.3%)の2名義が株主参入している。

VC2名義を除くと、個人中心の株主構成である。
 

■まとめ

顧客対応ソフトウェア「Discoveriez」の開発及び販売を手掛ける企業のIPO案件である。

足元で▲1億円を超える赤字が継続しており、公開申請決算期の2020年3月期は債務超過である。その後、増資により債務超過は解消されている。

「Discoveriez」のクラウドでの導入が急増しており、クラウド事業の伸びが今後の同社成長の鍵を握る状態である。

赤字が継続したが2021年3月期は黒字化の予想であり、Q3(累計)で既に黒字化している。黒字化後及びIPO後にどのような成長を果たすのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、顧客対応をDX(デジタルトランスフォーメーション)化するプラットフォーム「Discoveriez(ディスカバリーズ)」を開発・販売している。ディスカバリーズは顧客対応を効率化するソフトであり、コールセンターなど顧客対応窓口で受け付けた顧客からの電話やメール、チャットなどの内容を一元化し、社内の各部署・社外などステークホルダーと情報を共有し、各部門への対応を依頼するワークフロー機能も実装している。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が50億円、2021年3月期の業績予想ベースPERが27.9倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約8億円と小型のファイナンスとなっており、需給はタイトであることに加えて、クラウド型サービスの割合が急速に高まっていることから、DXの流れに乗って上場翌日まで初値は持ち越しとなる可能性もある。

セカンダリー市場においては、当社のKPIとなっている新規顧客の受注件数が伸びている限りにおいては、成長は継続すると考えられるので、四半期毎に開示される度に株価が動意づくと考えられる。まずは、5月の決算発表時に開示される来期の業績予想と新規顧客数に注目したい。