「年収は、どのくらいから安いといわれるんだろう」

このような疑問を、お持ちではありませんか?

この記事では、サラリーマンの平均年収や、業種ごとの平均給料の違いなど、年収に対するさまざまな疑問について解説していきます。自分を客観的に見ることで、今後どのような行動をしていけばよいかが見えてくるでしょう。

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「年収が低い」とは、どの程度からなのか?

年収が低い
(画像=PIXTA)

客観的に見て、年収が低いといえるラインはどのあたりになるのでしょうか。実際のデータを確認しながら考えていきましょう。

平均年収は「301万円」

日本人の年間の平均給与を年度別に見ていきましょう。

年収が低い
(画像=国税庁「令和元年賃金構造基本統計調査」より編集部作成)
過去11年の日本人の平均給与
 年  男女の平均の賃金
 平成21年  294.5万円
 平成22年  296.2万円
 平成23年  296.8万円
 平成24年  297.7万円
 平成25年  295.7万円
 平成26年  296.6万円
 平成27年  304.0万円
 平成28年  304.0万円
 平成29年  304.3万円
 平成30年  306.2万円
 令和元年  307.7万円

これらの数字を平均すると「301万円」となります。「301万円」を下回っている場合は、年収が低いと言ってもよいでしょう。また、この表を見てみると、現在に近づくにつれて平均年収が増加していることが分かります。背景には、アベノミクスなどの経済政策があると考えられます。ただし、「301万円」という数字はコロナショックのあった令和2年を含んでいません。もし、令和2年を含めたとするともう少し平均年収は下がっているでしょう。

年齢別の平均給与は?

先述した「301万円」という平均年収は、全年齢を含んでいます。より正確な平均年収を知るために、今度は年齢別(大企業に属していると仮定)であなたの年齢ではどうなのかを見ていきましょう。

大企業の年齢別正社員の平均年収
 年齢  平均年収
 ~19歳  184万円
 20~24歳  224.1万円
 25~29歳  265.6万円
 30~34歳  315.3万円
 35~39歳  358.8万円
 40~44歳  396.8万円
 45~49歳  429.5万円
 50~54歳  478.2万円
 55~59歳  473.4万円

見てのとおり、年齢が上がっていくにつれて、平均年収も増加しています。20代では「301万円」を超えていなくても年収が低いとは言えないでしょう。しかし30代を過ぎて「301万円」を下回っていれば年収が低いと言えます。

なお、弊社が2021年5月に転職経験者2,400名を対象にした調査を実施したところ、転職で「年収が上がった」と答えた人は685人と全体の28.5%でした。今よりも給料が高い仕事を求めるのであれば、思い切って転職するのも一つの選択肢です。

転職による年収の変化
株式会社ZUU調べ
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2021年5月
有効回答数:2400
実査機関:株式会社クロス・マーケティング
※平均年収アップ額は弊社が独自に行った転職エージェント利用経験者へのアンケート調査結果に基づきます。

30代、40代の平均年収は?

ここでは、30代と40代に絞って解説していきます。この時期になると、20代と比べて、資産に余裕ができる方も多いでしょう。

ただ、業種や会社の規模などの原因によって、年収の格差が生まれ始める時期でもあります。30代と40代に関するさまざまなデータを見ていきましょう。

30代、40代の平均給与は290万~390万円

あなたは30代、40代の平均年収がどのくらいなのかご存じでしょうか。学歴によって多少の変化がありますが、おおよそ290万~390万円あたりとなっています。以下の表をご覧ください。

企業規模・学歴による平均賃金の差

学歴 年齢 企業規模
大企業 中企業 小企業
大学・大学院卒 30~34歳 332.6万円 291.3万円 277.1万円
35~39歳 390.4万円 335.7万円 313.1万円
40~44歳 448.9万円 385.9万円 352.7万円
45~49歳 504.3万円 425.5万円 376.1万円
高専・短大卒 30~34歳 271.3万円 253.8万円 242.9万円
35~39歳 288.6万円 272.8万円 262万円
40~44歳 316.8万円 290.4万円 275.6万円
45~49歳 341.9万円 315万円 292.6万円
高校卒 30~34歳 256.4万円 235.4万円 237.1万円
35~39歳 280.6万円 254.6万円 257.8万円
40~44歳 306万円 272.7万円 272.2万円
45~49歳 330万円 287.4万円 280.1万円
中学校卒 30~34歳 237.1万円 235.6万円 243.9万円
35~39歳 257.8万円 258.4万円 265.1万円
40~44歳 272.2万円 259.5万円 275万円
45~49歳 280.1万円 260.2万円 286.3万円

年収500万円を超えているのは、大学・大学院卒の大企業で40代後半のみとなっています。世間一般のイメージよりも、年収500万円に到達するのは簡単な事ではないようです。

30代、40代の産業別では製造業・サービス業・医療・福祉が一番低い

今度は、職種ごとに平均年収を見ていきましょう。

産業別・企業規模別各年齢層の平均年収

職種 年齢 企業規模
大企業 中企業 小企業
産業計 30~34歳 301.2万円 264.9万円 251.4万円
35~39歳 339.3万円 292.2万円 274.4万円
40~44歳 371.5万円 315.8万円 292.7万円
45~49歳 398.4万円 336.3万円 302.5万円
鉱業・採石業
・砂利採取業
30~34歳 373.5万円 316.2万円 246.5万円
35~39歳 430万円 330.1万円 260.3万円
40~44歳 478.7万円 384.3万円 273.6万円
45~49歳 515.6万円 408.3万円 278.8万円
建設業 30~34歳 339.8万円 283.6万円 275.1万円
35~39歳 369.8万円 323.1万円 295.6万円
40~44歳 417.7万円 359.7万円 319.2万円
45~49歳 473.4万円 393.3万円 338.5万円
製造業 30~34歳 292.1万円 245.5万円 233.2万円
35~39歳 335.5万円 272.7万円 254.8万円
40~44歳 363.8万円 299.2万円 269.3万円
45~49歳 398.2万円 324.4万円 279.8万円
電気・ガス
・熱供給・水道業
30~34歳 376.2万円 262.4万円 270.1万円
35~39歳 433万円 310.5万円 293.8万円
40~44歳 471.8万円 351.6万円 325.3万円
45~49歳 522.6万円 386.1万円 358.8万円

30代、40代の小規模・非正規社員は200万円代

産業の違いで年収が変化することが分かりました。では、雇用形態による年収の違いはあるのでしょうか。

企業規模別・正社員とそれ以外の賃金の差

企業規模 年齢 正社員 正社員以外
大企業 30~34歳 315.3万円 213.4万円
35~40歳 358.8万円 214.1万円
41~45歳 396.8万円 211.8万円
46~50歳 429.5万円 211.4万円
中企業 30~34歳 272.9万円 197.1万円
35~40歳 302.9万円 202.8万円
41~45歳 329.3万円 206.7万円
46~50歳 353.9万円 205.1万円
小企業 30~34歳 256万円 194.3万円
35~40歳 280.2万円 199.6万円
41~45歳 299.4万円 201.8万円
46~50歳 310.4万円 205.5万円

一番年収が低いパターンは、小規模・非正規

今まで、さまざまな角度から「年収が低い」とはどういうことかを解説してきました。それらを総合して考えると、一番年収が低いパターンは小企業非正規社員だということが分かります。

また、小企業の場合、正社員であっても、40代でようやく300万円台にのるレベルだということも分かりました。このように、企業の規模や雇用形態で年収に大きな差が出てくるのです。

※平均年収アップ額は弊社が独自に行った転職エージェント利用経験者へのアンケート調査結果に基づきます。

年収の低い業界ランキング

ここでは具体的に、業界別の年収が低い・高いランキングTOP10を見ていきましょう。自分の勤めている会社の業界がどこにランクインしているか、注目してみてください。

年収の低い業界ランキング

まずは、年収の低い業界ランキングを発表していきます。

年収の低い業界ベスト10(2021年)

 順位  業界  平均年収
 1位  家電量販店  471万円
 2位  旅行会社  479万円
 3位  警備業界  482万円
 4位  ブライダル業  490万円
 5位  飲食業  500万円
 6位  ビルメンテナンス業  504万円
 7位  小売業  507万円
 8位  アパレル業界  513万円
 9位  介護業界  516万円
 10位  人材紹介・派遣業  518万円
(年収ランキングより2021年3月引用:https://www.ts-hikaku.com/

ワースト1位は、家電量販店の471万円でした。その他の会社にも共通することですが、サービス業に分類されるようなお客様と対面する仕事は、給与が低い傾向にあります。

年収の高い業界ランキング

次に、年収の高い業界はどのようなものになっているかもランキング形式で見ていきましょう。

年収の高い業界ベスト10(2021年)

 順位  業界  平均年収
 1位  テレビ局  1085万円
 2位  保険業  817万円
 3位  海運業  810万円
 4位  鉱業  799万円
 5位  証券・商品先物取引業  789万円
 6位  石油・石炭製品 777万円
 7位  飲料メーカー業  772万円
 8位  医薬品  771万円
 9位  自動車メーカー  726万円
 10位  建設業  707万円
(年収ランキングより2021年3月引用:https://www.ts-hikaku.com/

1位は、テレビ局の1085万円でした。年収が高い業界は接客業が少なく、会社同士でのやり取りが多いという傾向にあるようです。

年収が低いのはやはり婚活に響いてくる

女性は婚活で、男性に求める年収として400万円以上を求める人が多数派を占めています。明治安田総合研究が発表した「20・30代未婚女性が結婚生活を送るために最低必要だと思う世帯年収(2016年)」を参考にしてみましょう。

この調査によると、400万円~600万円あたりの年収を望む女性が多いことが分かっています。一方で、少数派ではありますが、年収300万円~400万円でも大丈夫だという女性は15.2%も存在しているのです。

現在の女性は「3平」という言葉の通り、「普通」を求めるようになってきていると言われています。現在の女性の、男性の年収に対する考え方を見ていきましょう。

自分の年収より高い収入の男性を求めている

女性は基本的に結婚して子供が生まれると、育児休暇を取ることになります。その間、夫の収入が頼りになってきます。子供の学費や交通費などのさまざまな出費を考えると、正直年収は400万円では足りません。また、男性が女性よりも年収が低いというのは、男性側のプライドを傷つけてしまう可能性があるという考えの女性もいるでしょう。

安定した仕事があるに越したことはない

女性が婚活で求めているのは、ただ年収が高いことがすべてとは一概には言い切れません。女性が年収の高い男性を好む本質として、「安定」を求める欲求が働いているのは間違いないでしょう。

そのため、ベンチャー企業よりも公務員のような将来を心配する必要のない職業の方が人気です。また、離職率の高い仕事は、給料はいいことが多いものの、会社や労働環境に問題があることが多いといえるでしょう。年収が高いだけでなく、長期的に続けていけそうな仕事かどうかということも大事なのです。

年収の低さは、業界、規模、雇用形態でだいたい分かれている

年収の低さは、業界や会社の規模、雇用形態などが大きな原因となっていることを解説しました。また、婚活する女性にとっても、男性の年収は重要な指標として見られています。

現在、お勤めの会社は将来性のある会社でしょうか。もし、40代、50代になっても年収の増加が見込めないようであれば、転職や副業などを考えてみるのも良いかもしれません。

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調査概要

実査機関 株式会社クロス・マーケティング
 調査目的  転職エージェント各社の利用状況および満足度に関する調査
 調査対象  転職経験のある国内の20歳以上の男女
 調査方法  インターネットリサーチ
 調査対象者数  2400名
 調査実施期間  2021年5月
 調査対象地域  日本国内
 母集団  転職経験のある20歳~59歳の男女2400名