【目次】
①️ココナラIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(3/9追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(3/8追加)
会社名
株式会社ココナラ
コード
4176
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長CEO 鈴木 歩 /1982年生
会社住所
東京都渋谷区桜丘町20番1号
設立年
2012年
社員数
110人(2020年12月31日現在)
事業内容
知識・スキル・経験を商品化して「ECのように売買できる」マッチングプラットフォーム
URL
https://coconala.co.jp/
資本金
90,000,000円 (2021年2月10日現在)
上場時発行済み株数
21,474,000株
公開株数
12,092,900株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/03/03→1,000~1,200円に決定
ブックビルディング期間:2021/03/04 - 03/10
公開価格決定:2021/03/11→1,200円に決定
申込期間:2021/03/12 - 03/17
上場日:2021/03/19→初値2,300円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:クレディ・スイス証券
引受証券:いちよし証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合 15.34%
南章行 13.13%
新明智 11.70%
ニッセイ・キャピタル5号投資事業有限責任組合 7.65%
Mistletoe Japan(同) 7.02%
Fidelity Funds 6.48%
ImproVistaⅠ投資事業有限責任組合 4.18%
鈴木歩 3.82%
ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合 3.74%
Fidelity Japan Trust PLC 3.24%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/08 単体実績 
766,836 40,039 46,845 124,965
2019/08 単体実績 
1,138,467 -1,052,674 -1,054,356 265,508
2020/08 単体実績 
1,775,555 -83,767 -94,001 171,507
2020/11 第1四半期単体実績 
612,976 65,952 65,379 236,887
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2021年9月14日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
120億9290万0000円(12,092,900株×1,000円)
潜在株数(ストックオプション)
2,595,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社ココナラ<4176>はユーザー間でサービス・役務を売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」を主に運営する企業である。
 

事業内容詳細

同社は様々な分野の知識・スキル・経験に基づいたサービス・役務をユーザー間で売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」を運営している。オークションサービスなど、ユーザー間で物を対象としたマッチング型プラットフォームは多く存在するが、「ココナラ」はサービス・役務を売買する点が他社との大きな違いである。

また「ココナラ」に加え、ユーザー同士が対面でサービスを提供する「ココナラミーツ」、ユーザーが弁護士に相談できる「ココナラ法律相談」のサービス提供も行われている。
 
ココナラ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
購入者は約40万件(2020年11月末)に及ぶ各種出品サービスから、自らが必要とするサービス・役務を選択し購入が可能である。また希望する出品サービスがない場合は「見積り・カスタマイズ相談」や「仕事・相談の公開依頼」を通じて特定・不特定の出品者から提案の募集ができる。

具体的には下記のサービスなどがユーザー間でやりとりされており、デザインなどの「制作・ビジネス系」と悩み相談・占いなどの「相談系」に分類されている。
 
ココナラ
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
「制作・ビジネス系」では500~1,000,000円、「相談系」は500~100,000円の範囲で価格設定が可能である。 同社は出品者のサービス提供完了時に、ユーザー間の取引金額の一定率(25%を基本とし、取引金額が5万円超となる場合は段階的に低減)を手数料として受領している。
 

サービス利用者数

2020年8月期時点の有料購入UU(年度内に有料サービスを購入したユーザー数)は243,077人であり、ARPPU(各年度内の有料購入UU1人当たりの平均購入金額)は25,525円。有料購入UU及びARPPUのいずれも年々増加している。

一度サービスを利用したユーザーが複数カテゴリから購入する傾向があることから、中期的で安定した継続購入を実現している。また既存の顧客層から継続的な収益が見込めることから、結果的にリカーリング型の収益と同等の安定した収益構造を実現している。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
 

今後の成長戦略

「ココナラ」はあらゆる知識・スキル・経験が集約されるプラットフォームを目指している。今後はサービス提供手法(オンライン、オフライン)の拡張、カテゴリ(汎用型、特化型)の拡張、マッチング手法(1対1、1対多)の拡張及び課金手法(都度、継続)の拡張の4つの軸を拡大する。

当該4つの軸の拡大により、個人だけではなく中小企業、大企業を含めたユーザー属性の拡張を目指す計画である。
 

業績推移

2018年8月期 営業収益7.7億円、経常利益0.4億円、当期純利益0.5億円
2019年8月期 営業収益11億円、経常利益▲11億円、当期純利益▲11億円
2020年8月期 営業収益18億円、経常利益▲0.8億円、当期純利益▲0.9億円
2021年8月期(予想) 営業収益24億円、経常利益0.5億円、当期純利益0.4億円

順調に増収が続いているが、2019年8月期は積極的な宣伝広告費投入により経常利益▲11億円の赤字を計上した。翌2020年8月期の赤字幅は小幅となり、今期(2021年8月期)は黒字回復の予想である。

今期は営業収益20億円の大台突破を予想する。Q1は営業収益6.1億円、経常利益0.7億円であり、順調な滑り出しを見せている。
 

財務状況

2020年8月期末時点で資産合計20億円、純資産合計1.7億円、自己資本比率8.8%である。借入金7.3億円に対し、現預金13億円を有しており、資産合計のうち66%が現預金である。尚、顧客からの預り金が5.4億円計上されている。

キャッシュ・フロー計算書では、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年8月期▲10億円、2020年8月期2.7億円であり、2020年8月期時点でプラスとなっている。ただし預り金が2019年8月期0.7億円、2020年8月期2.2億円計上されており、預り金のプラスが営業活動によるキャッシュ・フローのプラスに影響している。
 

資金使途

IPOにより21億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・オンライン広告やテレビCMに要する広告宣伝費 3.6億円
・プロダクト機能拡充及び技術開発等のための人件費 5.3億円
・システム費及び通信費 1.0億円
・借入金の返済 8.0億円

調達資金は人件費及び新規顧客獲得や既存顧客の利用率向上のための宣伝広告費に大半が充当される。

また公募株数1,000,000株に対して売出株数11,092,900株であり、売出株数の多いIPO案件である。

尚、売出はVC保有株を中心に行われる。
 

株主構成
 

創業者である南会長が第2位株主であり株式シェアの13%を有している。新明取締役が第3位株主(株式シェア12%)、鈴木社長は8位株主(同3.8%うち3.7%は潜在株式)である。

筆頭株主はVCファンドのジャフコSV4共有投資事業有限責任組合(同15%)。VC比率は51%であり、わずかながら50%を超えている。VC株主はIPO後180日のロックアップ契約を締結済み。
 

まとめ

ユーザー間でサービス・役務を売買するマッチング型プラットフォーム「ココナラ」を運営する企業のIPO案件である。

2011年の個人事業としての創業後、2012年に「ココナラ」サービスをリリースして以降、事業拡大を果たしてきた。2019年8月期に積極的なテレビCMの実施などにより▲10億円を超える赤字を計上したが、2020年8月期以降の増収につながっている。

今期も増収を見込んでいるが、どのタイミングで本格的な利益計上ステージとなるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、知識・スキル・経験を商品化して「EC のように売買できる」マッチングプラットフォーム事業を展開している。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が257億円、2021年8月期の業績予想ベースのPERは585倍とかなり将来性を織り込んだ株価となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が167億円とかなり大きく、昨年マザーズ銘柄で100億円以上調達した銘柄の初値騰落率で公開価格の2倍以上になったものはないことから、上場当日の相場の地合いにもよるが、初値は前場の遅い時間帯に付くと予想する。

セカンダリー市場においては、今期の業績は黒字予想となっているが、広告宣伝費を調整することで黒字を大きくすることも可能であり、通期の業績の上振れも期待できることから、初値があまり飛ばない場合は、上場当日に上値を追う展開もありえる。中長期的には、売上の成長が持続する限りにおいては、株価は調整することはないとみる。裏を返せば、広告宣伝費で売り上げを作っているとするならば、黒字は維持できても利益率は改善するのに時間がかかるので、利益ベースはあまり伸びないと考えておいたほうがよいだろう。