日本のすぐ隣に位置する韓国は、経済成長力が高いことで知られています。その韓国株にはどのような魅力があるのか、特徴を詳しく説明します。
さらにそのメリットとデメリットや、韓国株を購入するならおすすめの証券会社もご紹介します。
韓国株を知る前の基礎知識
まず、韓国株の運用をするために必要な基礎知識として、その特徴を説明します。
韓国マーケットの特徴
韓国の株式マーケットは東アジアの中でも中国・日本・香港に次ぐ時価総額(世界で11位の規模)となっています。外国人投資家の株式保有率が高く、1997年のアジア通貨危機を契機に国際競争力を向上させているのが特徴です。
IT、電機、自動車、鉄鋼、造船などの分野で強みを持ち、先進国はもちろん新興国にも進出して成長を続けています。韓国株の代表的な銘柄としてサムスン電子、LG電子、現代自動車、SKハイニクスなどがあります。
2018年からの米中貿易摩擦の影響を受けて輸出に依存する韓国経済は一時減速しました。しかしIMD(スイスの国際経営開発研究所)によると、韓国の世界競争力は日本の34位に対して23位となっています。
韓国株は新興国市場に分類される
2021年5月4日に韓国経済団体の全国経済人連合会(全経連)が世界の株価指数を算出する米MSCIに対して、韓国株式市場を先進国市場に昇格するように求める意見書を送りました。このことからわかるように、実は韓国株は新興国市場に分類されています。
先進国として認めてもらう根拠として、韓国の2020年の国内総生産(GDP)が約175兆円となり世界で10番目の規模となること、時価総額が一定額以上の企業数など先進国市場の条件を満たしていることなどを挙げています。
しかし米MSCIは6月の定例会議で韓国に対し、新興国のままとすることを決定しました。一方で、7月2日の国連貿易開発会議(UNCTAD)においては、韓国を開発途上国から先進国へ変更する案が決議されました。
米MSCIに先進国市場と認定されているのは日本を含め23カ国ですが、OECD(経済協力開発機構)の加盟国である韓国とトルコは含まれていません。一方でOECD未加入のシンガポールと香港は先進国市場となっています。
投資対象として、先進国と新興国ではリターン・リスク、いわゆるカントリーリスクが大きく異なります。一般的には、政治問題や経済変化によって証券市場に混乱が生じた際、新興国などカントリーリスクが高い投資先では資産の価値変動が大きくなる可能性が高いと言われています。
韓国株式市場はこの2つ
韓国には2つの株式市場が存在します。そこで、この2つの株式市場の特徴について説明します。
韓国の2つの株式市場
- KOSPI
- KOSDAQ
KOSPI
韓国での有価証券市場の1つとなっているのがKOSPI(Korea Composite Stock Price Index)です。この株価指数を日本では韓国総合株価指数と呼んでいます。財閥企業を筆頭に優良企業が多く上場しているのが特徴で、サムスン電子や現代自動車といった韓国を代表する企業があります。
韓国がその市場解放に努めていることから、世界60カ国の投資家が時価総額の30%ほどを保有しています。
KOSPI指数は2021年9月時点において811銘柄で構成されています。1980年1月4日の算出基準100に対し、2021年9月16日時点で3135ほどと、30倍以上の上昇となっています。
KOSDAQ
KOSDAQはITやバイオ、エンターテイメント分野などの中小ベンチャーや成長企業が上場しているのが特徴で、コスダック市場と呼ばれます。1996年に新興企業を対象に設立されたもので、アメリカのナスダック市場のような存在となっています。2021年8月時点でのKOSDAQの上場企業数は1483社です。
KOSDAQ指数は1996年7月の基準値100に対して、2021年9月16日には1040ほどになっています。KOSPIとともに、外国企業も上場できます。財閥系企業がKOSPIに上場していることに対して、KOSDAQにはK-POPで有名な芸能事務所なども上場しています。
《KOSPIとKOSDAQから厳選64銘柄を取引可能!》
韓国市場と日本市場の3つの違い
多くの方にとって株式市場での取引経験は日本のものに限られるでしょう。 しかし、韓国の株式市場と日本の株式市場にはいくつかの違いがあります。 韓国の株式市場と日本の株式市場にはどのような違いがあるのか、3つのポイントを説明します。
韓国市場と日本市場の3つの違い
- 取引時間
- 値幅制限
- 取引単位
取引時間
株式市場での取引時間は、韓国では9時から15時30分となっています。日本の株式市場は9時から11時30分と12時30分から15時に分かれているので、昼休みに相当する時間がないのが特徴です。
日本で韓国株式を取引する場合、時差なく現地時間と同じ取引時間で売買ができます。時間外取引時間は15時40分から18時となります。
韓国ではもともと15時までの取引時間でしたが、取引活性化の目的で2016年に取引終了時刻を30分延長しました。日本でも東京証券取引所は終了時刻の30分延長を検討していて、2024年に延長の見込みとなっています。
値幅制限
値幅制限は想定外の株価変動から投資家を守るために、一日の値動き幅を制限したものです。韓国市場における株式の値幅制限は定率制となり、基準価格(前日のクロージングプライス)の上下30%と設定されています。たとえば日本では次のように、基準価格に応じて上下の値幅が決まっています。
100円未満 | 30円 |
200円未満 | 50円 |
500円未満 | 80円 |
700円未満 | 100円 |
1000円未満 | 150円 |
中略 | 中略 |
5千万円以上 | 1千万円 |
取引単位
韓国株式市場では最小取引単位は1株となっています。ただし2021年9月12日に韓国金融委員会は小数点単位で売買できるように取引制度を見直すと発表しました。商法では株式取引の基本単位を1株と定めているので、信託制度を利用し配当金も受け取れる形にする予定です。
日本では2018年10月1日に、それまで1000株と100株の二種類だった取引単位を100株に統一しました。ただし東京証券取引所は2020年4月に、取引単位を2021年以降に1株とする制度の導入を検討していると発表しています。
●配当金 株主が企業から利益配当請求権に基づき利益の分配として受け取る金銭のこと。
引用元:金融庁|用語集
●分配金 投資信託の運用の結果、得られた収益を口数に応じて決算ごとに投資家に分配するお金のこと。分配金を出すかどうか、またはどのくらいの額を出すのかは、投資信託の約款や投資信託協会の規則に基づいて運用会社が決定するため、状況によっては分配金が出ないこともあります。
引用元:金融庁|用語集
韓国株のメリット
韓国株のメリット
- 実質経済成長率は世界でもトップクラス
- 新興国の中でも情報を手に入れやすい
- 東南アジアの新興国に投資することもできる
韓国株を取引することで、投資家はどのようなメリットがあるのか見ていきましょう 。
実質経済成長率は世界でもトップクラス
韓国は新興国として成長が見込まれている国であり、実際にこれまで大きな経済成長を遂げています。韓国銀行の発表では、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報)は前年同期比で5.9%のプラス成長となっています。また米格付け会社ムーディーズは、2022年の韓国の実質GDP成長率予測値をプラス3%から3.2%と高く予測しています。
対して日本の2022年度の実質GDP成長率予測は、プラス2.7%と予測されています。
新興国の中でも情報を手に入れやすい
韓国は隣国であることから、経済情報を手に入れやすいことも韓国株のメリットといえます。馴染みのある企業もあるため、取引材料を入手しやすいのは株式を売買するうえで有利です。
一般的に新興国は経済成長が期待できる反面、政治や経済、社会情勢の変動が大きいことが課題となります。あまり馴染みのない国だと情報が伝わってくるのが遅く、行動する前にすでに株式市場に影響が出ている可能性もあります。しかし韓国ならあまりタイムラグなく情報が得られるので、安心して株式市場に投資できるのがメリットです。
東南アジアの新興国に投資することもできる
経済情報や社会情勢の情報などが瞬時に入手しにくい東南アジアの新興国ですが、投資対象としては大きな魅力があります。その東南アジアの新興国に韓国株を通して間接的に投資できることも、韓国株のメリットといえるでしょう。
たとえば韓国企業は2010年代半ばからベトナムへの進出を続けています。サムスン電子は携帯電話工場を建設し、系列企業もそれに続いています。経済成長を続ける東南アジアの新興国に投資する韓国企業の株式を購入することで、間接的に東南アジアへ投資することにつながります。
韓国株のデメリット
韓国株のデメリット
- 財閥企業の存在が良くも悪くも影響する
- 中国や日本などの国際関係が強く影響する
- 輸出型のため国外からも影響を受けやすい
メリットだけではなく、デメリットやリスクの把握も投資には重要です。韓国株への投資にはどのようなデメリットがあるのかも知っておきましょう。
財閥企業の存在が良くも悪くも影響する
韓国株式市場のKOSPIには財閥企業が多いことからもわかりますが、韓国株には財閥企業の存在が大きな影響を与えています。これは財閥企業の業績に韓国株式市場が左右されることを意味するため、良くも悪くも影響力を持っていることがデメリットと考えられます。
韓国経済はこれら財閥企業が支えているといっても過言ではないでしょう。サムスン電子、現代自動車、SKグループなど10大財閥がありますが、特にそのトップに位置するサムスン電子の動向が、韓国経済の行方を左右するといっても過言ではありません。今世界的に 半導体チップが不足していますが、それが韓国経済にどう影響するのか注意が必要です。
中国や日本などの国際関係が強く影響する
韓国経済は東アジアの国際関係に強く影響を受けることもデメリットといえます。1997年にタイを中心として起きた通貨危機の際には、IMFの支援を受ける代わりに非正規社員が増加し、30あった財閥のうち17が解体されました。
韓国企業は東南アジアへ積極的に進出していることから、その経済状況の変化による影響も大きいことが懸念材料になります。特に中国は最大の輸出先となっています。また日本からの輸入も多く、日本と中国の経済状況からも大きく影響を受けることも覚えておきましょう。
輸出型のため国外からも影響を受けやすい
韓国経済は輸出の依存度が高く、GDP(国内総生産)の37%ほどを輸出で占めています。そのため国外経済の影響を受けやすいのも、韓国株のデメリットになります。
そしてその輸出構造は変化を見せています。最大の輸出先である中国では、韓国のシェアは2015年の12.0%から2020年には8.9%に減少し、台湾の10.3%と日本の9.0%に続いてシェアが3位に落ちています。
またベトナムでのシェアも落としているものの、逆にアメリカでの2020年の輸入市場は韓国が3.3%と過去10年でもっとも高い数値となっています。輸出構造を変えながらも高い成長率を維持できるかに注目されています。
《無料で使える海外マーケット情報も充実!》
韓国株を購入できるおすすめの証券会社
韓国株を購入できるおすすめの証券会社をご紹介します。
SBI証券
SBI証券は手数料が安いことでも有名なネット証券です。SBI証券ではKOSPIとKOSDAQに上場する韓国株のうち選定された64銘柄を1株単位で購入するできます。取引できるのは現地と同じ9時から15時30分で、円決済と韓国ウォンによる外貨決済のどちらでも選べます。
注文は指値注文のみで、成行注文には対応していません。取引手数料は税込0.99%のみとなっています。またETFも2銘柄を扱っているので、投資初心者にもおすすめです。
《SBIグループで国内証券口座開設数720万人!》
岡三証券
岡三証券は100年近くの歴史を持つ老舗の証券会社です。2021年10月1日には岡三証券オンラインと統合する予定となっています。
韓国株の取扱い銘柄は店舗への問い合わせで確認できます。取引時間は8時から15時まで、10株単位で購入できて売却は1株単位で可能です。
手数料は約定代金によって異なる国内取次手数料のほかに、現地手数料が必要です。現地手数料には海外手数料の0.5%と取引税の0.08%、取引所取引税の0.15%があります。決済は円決済のみとなっています。
アイザワ証券
アイザワ証券は外国株式に強く、特にアジア株式に関しては、アジア市場と取引システムが直結していることで定評があります。
取引できる韓国株は425銘柄(2021年9月時点)と圧倒的な数を取り揃えているのが特徴です。手数料は対面取引で2.2%、インターネット取引で1.65%となっています。取引時間は9時から15時30分です。
決済は円決済と外貨決済のどちらでも選べます。
《アジア株の取扱い多数!》
まとめ
成長力の高い韓国株は投資対象として魅力あることがわかります。もちろん注意点もありますが、外国株式の中では得られる情報量が多く安心して取り引きできるでしょう。
もちろん日本の証券会社で取引可能なので、韓国株を検討してみてはいかがでしょうか。
韓国株投資に関するよくある質問
韓国株の特徴は何ですか?
韓国株は新興国市場に分類されており、IT、電機、自動車、鉄鋼、造船などの分野で強みを持ち、韓国の株式マーケットは東アジアの中でも中国・日本・香港に次ぐ時価総額(世界で11位の規模)となっています。
韓国株のメリットは何ですか?
実質経済成長率は世界でもトップクラスで、新興国の中でも情報を手に入れやすい点が挙げられます。また、東南アジアの新興国に韓国株を通して間接的に投資できることも、韓国株のメリットといえるでしょう。
韓国株のデメリットは何ですか?
財閥企業の存在が良くも悪くも影響することや、中国や日本などの国際関係が強く影響すること、そして、輸出型のため国外からも影響を受けやすいことが挙げられます。国際政治や国際経済の影響を受けやすいことに留意すべきです。
韓国株の注意点は何ですか?
財閥企業の業績に韓国株式市場が左右されることです。サムスン電子の動向が、韓国経済の行方を左右するといっても過言ではありません。国際政治や国際経済の動向に注目しておくとよいでしょう。
韓国株市場はどのようなものですか?
韓国にはKOSPIとKOSDAQが存在します。KOSPIでは財閥企業を筆頭に優良企業が多く上場しているのが特徴で、サムスン電子や現代自動車といった韓国を代表する企業あります。またKOSDAQはTやバイオ、エンターテイメント分野などの中小ベンチャーや成長企業が上場しているのが特徴です。
韓国株市場の成長は?
KOSPI指数は2021年9月時点において811銘柄で構成されています。1980年1月4日の算出基準100に対し、2021年9月16日時点で3135ほどと、30倍以上の上昇となっています。KOSDAQ指数は1996年7月の基準値100に対して、2021年9月16日には1040ほどになっており、10倍以上の上昇となっています。