【目次】
①️ステムセル研究所IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(近日中に追加予定)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社ステムセル研究所
コード
7096
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 清水 崇文 / 1973年生
会社住所
東京都港区新橋五丁目22番10号
(最寄りの連絡場所) 東京都港区西新橋三丁目15番12号
設立年
1999年
社員数
80人(2021年4月30日現在)
事業内容
再生医療を目的に、さい帯血及びさい帯の分離・保管を行う「細胞バンク事業」
URL
https://www.stemcell.co.jp/corporate/
資本金
374,820,000円 (2021年5月21日現在)
上場時発行済み株数
5,123,300株
公開株数
830,800株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/06/07→2,540~2,800円に決定
ブックビルディング期間:2021/06/09 - 06/15
公開価格決定:2021/06/16
申込期間:2021/06/17 - 06/22
上場日:2021/06/25
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主幹事証券:野村證券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:東洋証券
引受証券:いちよし証券
引受証券:エース証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
大株主
(株)トリムメディカルホールディングス 89.50%
山本邦松 1.77%
名古屋中小企業投資育成(株) 1.73%
森雅徳 1.28%
若松茂美 1.06%
シノ セル テクノロジーズ インク 0.72%
友清彰 0.52%
浅井芳明 0.50%
野上大介 0.29%
森崎弘司 浦野晃義 0.29%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
861,531 111,203 69,548 839,517
2019/03 単体実績 
1,149,857 216,252 142,835 982,352
2020/03 単体実績 
1,676,456 382,533 277,485 1,259,838
2020/12 第3四半期単体実績 
1,064,575 95,954 60,800 1,320,638
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年9月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
23億2624万0000円(830,800株×2,800円)
潜在株数(ストックオプション)
なし
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社ステムセル研究所<7096>はさい帯血の分離・保管を行う細胞バンク事業を手掛ける企業である。電解水素水整水器大手の日本トリム<東証1部:6788>の子会社であり(日本トリムのグループ会社が株式シェアの90%を有する)、子会社上場の位置付けとなる。
ステムセル研究所
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■さい帯血とは

「さい帯血」は母親と赤ちゃんをつないでいる、へその緒や胎盤の中に含まれている赤ちゃんの血液である。「さい帯血」には血液を作る造血幹細胞や、神経・軟骨・心筋細胞等さまざまな細胞に分化したり、各組織の修復に関与する間葉系幹細胞が含まれている。さい帯血は充分な治療法のない小児の中枢神経系疾患や自閉症スペクトラム障害等に対する「再生医療・細胞治療」として、臨床研究が進められている。
 

■事業内容詳細

同社は顧客(妊婦等)と「さい帯血分離保管委託契約」を締結した上で、国内さい帯血採取協力病院において採取されたさい帯血を回収し、自社の細胞処理センター(東京都港区)に搬入する。その後、さい帯血に含まれる幹細胞を分離・抽出・調製する作業を行い、自社の細胞保管センター(神奈川県横浜市緑区)において超低温下で長期保管している。

同社は「さい帯血分離保管委託契約」に基づき、顧客からさい帯血にかかる分離料、検査料、登録料及び細胞保管料を受領し、将来の使用に備え保管することをビジネスモデルとしている。尚、さい帯血採取により同社の定めた規定値以上の量を有し、保管基準を満たした場合に、国内さい帯血採取協力病院へ採取技術料を支払っている。
ステムセル研究所
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■さい帯血を用いた国内の臨床研究の状況

さい帯血を用いた国内での臨床研究について、2017年1月に高知大学医学部附属病院で開始された「自家臍帯血を用いた小児脳性麻痺などの脳障害に対する臨床研究(第Ⅰ相)」では、同社の保管細胞が用いられた。2018年4月に予定投与数(6例目の最終投与)を終え、最終投与から約3年かけて患者の経過観察等を行ったうえで、安全性に係る評価が行われる見込みである。

またAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の支援を受けながら、大阪市立大学医学部を中心としたグループが進めている、「低酸素性虚血性脳症(HIE)に対する自己臍帯血幹細胞治療」は、既に第Ⅰ相臨床研究(6例)が終了し、第Ⅱ相他施設共同臨床研究に係る開始・変更手続きが進められている。
 
ステムセル研究所
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年3月期売上明細

2020年3月期 売上高17億円(対前年同期比46%増)
・技術料 13億円(同58%増)
・保管料 2.6億円(同12%増)
・その他 0.7億円(同11%増)

各売上は下記から構成されている。

技術料→細胞分離の際に必要となる分離料、検査料及び登録料。
保管料→細胞保管料として分類している。保管料は年間の保管料を毎期収益として計上。
その他→主に契約更新時の手数料の他、分割払い手数料相当額をその他として分類。


分離料と検査料から構成される技術料が売上の約8割を占めており、安定的な収益となる保管料の比率は15%に留まっている。

技術料が対前年同期比で50%以上の伸びを見せた結果、全体でも40%以上の伸びを見せることになった。
 

■業績推移

2018年3月期 売上高8.6億円、経常利益1.1億円、当期純利益0.7億円
2019年3月期 売上高11億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.4億円
2020年3月期 売上高17億円、経常利益3.8億円、当期純利益2.8億円
2021年3月期 売上高14億円、経常利益0.9億円、当期純利益0.6億円
2022年3月期(予想) 売上高17億円、経常利益2.0億円、当期純利益1.4億円

2020年3月期までは着実に増収増益が続き売上高17億円、経常利益3.8億円を達成した。

2021年3月期は減収減益での着地となり、経常利益は1億円を割れている。

2022年3月期は増収増益の予想であり、売上高は2020年3月期も若干超えるが、経常利益は2019年3月期並みに留まる。 
 

■財務状況

2020年3月期末時点で資産合計36億円に対し、純資産合計13億円、自己資本比率35%である

借入金なく現預金30億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。尚、顧客のさい帯血の保管料(売上計上前)として前受金21億円を負債の部に計上している。

前受金の存在によりキャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年3月期3.9億円、2020年3月期6.7億円と税引前当期純利益比で大幅に増加している。
 

■資金使途

IPOにより6.2億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。

・細胞保管センターの拡充 1.6億円
・顧客管理ITシステムの導入 2.4億円
・細胞処理・細胞保管センターの新設 2.3億円

調達資金は上記3者に各2億円前後が投じられる。

公募株数256,200株に対し売出株数574,600株であり売出株の多いIPOである。売出は筆頭株主の株式会社トリムメディカルホールディングスの拠出分(513,700株)が最多である。
 

■株主状況

株式会社日本トリム<東証1部:6788>のグループの株式会社トリムメディカルホールディングスが株式シェア90%を保有する筆頭株主である。尚、日本トリムは2013年9月に同社株式の50.1%を取得し子会社化した。IPO後も株式会社日本トリムの子会社の位置付けは変わらない。

第3位株主として名古屋中小企業投資育成株式会社(株式シェア1.7%)が存在する。
 

■まとめ

2013年9月に日本トリムが子会社化した、さい帯血の分離・保管を行う細胞バンク事業を手掛ける企業のIPO案件である。

2020年3月期まで着実な増収増益を続け売上高17億円、経常利益3.8億円となったが、2021年3月期は減収減益で経常利益は1億円を割れた。2022年3月期は売上高17億円、経常利益2.0億円の予想である。

コロナ禍の影響もあり少子化が加速するが、保管料の積み上げなどで継続的に成長することができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、民間さい帯血バンク最大手企業。日本には民間企業は二社しか存在せず、当社のシェアは保管総数ベースで98.8%を占めている。さい帯血とは、へその緒や胎盤の中に含まれる胎児の血液を指し、幹細胞が豊富に含まれており、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患の治療に使われているほか、再生医療・細胞治療への将来的な応用が期待されている。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が143億円、2022年3月期の業績予想ベースでPERは105.47倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額は27億円と少し大きいが、初モノということもあり、注目は大きく、初値は後場まで持ち越される可能性が高い。

上場直後のラリーのあとのセカンダリーマーケットにおいては、さい帯血の保管数が開示データとなれば、その数の増加数に連動する形で株価も動く可能性が高い。再生医療分野での実用化が進めば、更に株価にはポジティブとなり提携している大学病院での臨床試験の結果の開示も株価の材料となるため、バイオ企業と同様い開示には敏感な銘柄となるに違いない。