【目次】
①️アイ・パートナーズフィナンシャルIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル
- コード
- 7345
- 市場
- マザーズ
- 業種
- その他金融業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 田中 譲治 / 1957年生
- 会社住所
- 神奈川県横浜市西区南幸二丁目20番5号
- 設立年
- 2006年
- 社員数
- 37人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- 金融商品仲介業を基軸としたIFAによる金融サービスの提供事業
- URL
- https://www.aipf.co.jp/
- 資本金
- 144,585,000円 (2021年5月20日現在)
- 上場時発行済み株数
- 791,000株
- 公開株数
- 100,000株
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/03→2,940~3,120円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/07 - 06/11
- 公開価格決定:2021/06/14→3,120円に決定
- 申込期間:2021/06/15 - 06/18
- 上場日:2021/06/23→初値9,880円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:エース証券
- 引受証券:あかつき証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:藍澤證券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:エイチ・エス証券
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:水戸証券
- 引受証券:むさし証券
- 大株主
- 石原章太郎 11.47%
- 中道謙 10.29%
- 田中譲治 6.04%
- 原田茂行 3.60%
- 塩本かおり 3.58%
- 守屋顕一 3.58%
- 島田和紀 3.58%
- 濵﨑洋 3.37%
- 諸富滋 2.85%
- 清田秀彦 松波精二 2.83%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
2,141,253 128,370 86,306 226,085 - 2019/03 連結実績
2,379,704 56,639 38,790 251,781 - 2020/03 連結実績
2,467,009 7,408 -765 344,905 - 2020/12 第3四半期連結実績
2,814,087 172,698 115,251 456,702 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 3億1200万0000円(100,000株×3,120円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 86,600株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル<7345>は金融商品仲介業を基軸としたIFAによる金融サービスの提供を行う横浜市に本社を置く企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■IFAについて
IFA(Independent Financial Advisor)とは、独立した立場で顧客へ金融商品・サービスの提案を行う金融商品仲介業者及び金融商品仲介業者の登録外務員である。
特定の証券会社に所属せず独立した立場で、ノルマに基づく営業ではなく顧客の代理人としての金融商品の仲介を行う。金融庁が求める顧客本位の業務運営の金融サービスの担い手として、その将来性が注目されている。
■同社の事業
同社は金融商品仲介業を基軸としたIFAによる金融サービスの提供を全国で展開している。
2021年4月末時点で楽天証券、SBI証券、エース証券、あかつき証券と業務委託契約を行っており、全国21カ所のIFAオフィスに所属するIFAが顧客に金融商品・サービスを提案している。
株式や債券、投資信託等の金融商品の売買注文を証券会社に取り次ぎ、顧客が証券会社へ支払う手数料のうち所定割合を証券会社から同社が報酬として受け取り、その報酬のうち所定割合を所属するIFAに報酬として支払っている。
2021年4月末時点で200名のIFAが所属しており、口座数は10,000口座を超え、顧客の預り資産は2000億円を突破している。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■同社の強み
同社の強みとしては下記3点があげられる。
・国内有数のIFAを要する金融商品仲介業者としてのアドバンテージ
・黎明期よりIFAビジネスに邁進した多数の役社員の知見を活かしたサポート
・内部体制の充実
同社は2006年2月に設立され、国内IFA事業の黎明期よりIFA事業を展開しており、IFA事業における知見を多く有している。また200名の所属IFAと2000億円を超える預り資産を有する国内有数のIFA事業者であり、その信頼と実績が強みである。
また業界大手としてコンプライアンスなど内部体制も充実しており、顧客及び所属IFAからの信頼を得ている。 - (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
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■2020年3月期の主要取引先
2020年3月期 売上高25億円
・楽天証券 14億円(割合56%)
・SBI証券 7.1億円(同29%)
4社の証券会社と業務委託契約が行われているが、楽天証券とSBI証券の2社で売上高の7~8割を計上する状態が続いている。
■業績推移
2018年3月期 売上高21億円、経常利益1.3億円、当期純利益0.9億円
2019年3月期 売上高24億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.4億円
2020年3月期 売上高25億円、経常利益0.1億円、当期純利益▲0億円
2021年3月期 売上高40億円、経常利益2.4億円、当期純利益1.5億円
2022年3月期(予想) 売上高45億円、経常利益2.3億円、当期純利益1.5億円
※2019年3月期より連結決算
着実に増収が続いているが、2020年3月期まではほぼ収支均衡の状態が続いた。
2021年3月期は売上高40億円、経常利益2.4億円となり大幅な増収増益を達成している。2022年3月期は増収となるが、利益は横ばいの予想である。
尚、2020年3月期決算が公開申請決算期であり、期越え決算でのIPOである。
■財務内容
2020年3月期末時点で資産合計6.6億円に対し、純資産合計3.4億円、自己資本比率53%である。借入金なく現預金2.4億円を有しており、財務内容に特段の懸念事項はない。資産合計6.6億円のうち、流動資産が5.1億円となっている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年3月期0.9億円、2020年3月期▲0.6億円であり、2020年3月期はマイナスとなった。売上債権の増加(▲0.7億円)、仕入債務の減少(▲0.3億円)がマイナスの主な要因である。
また2021年3月期末では資産合計11億円、純資産合計4.9億円、自己資本比率44%となっている。
■資金使途
IPOにより3.1億円の資金調達を行い下記の使途を予定している。
・IFAオフィスの出店 1.2億円
・事業拡大に向けた人件費及び採用費 1.3億円
・事業拡大のためのIFA業務支援システム等への投資 0.2億円
・管理体制強化のためのIFAビジネスプラットフォーム増強 0.2億円
調達資金は主にIFAオフィスの出店及び事業拡大に向けた人件費及び採用費に充当される。
尚、公募のみのIPOであり売出の予定はない。
■株主構成
元取締役(2020年6月退任)の石原章太郎氏が筆頭株主であり株式シェアの11%を保有している。
田中社長は第3位株主であり株式シェアの6.0%(うち1.7%は潜在株式)を保有。
個人中心の株主構成であり、個人が幅広く株式を所有する状態である。
■まとめ
金融商品仲介業を基軸としたIFAによる金融サービスの提供を行う横浜市に本社を置く企業のIPO案件である。近年成長しているIFA事業者の初のIPOとなる。
大手IFA事業者として着実に増収を続けており、2021年3月期に業績は急拡大した。米国ではIFA仲介による資産運用ニーズが高まっている。日本でもIFAによる資産運用相談の機会が着実に増加しており、IFAの数も増えている。
株式市場の低迷期も過度に業績が落ち込まず、一定の売上及び利益水準を維持して継続的な成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、金融商品仲介業を基軸としたIFA(独立系資産運用アドバイザー)による金融サービスの提供事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が25億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは16.45倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が4億円弱と非常に小さく需給はタイトであるため初値は上場当日の後場の遅い時間まで持ち越される可能性がある。しかしながら、このビジネスは対面の証券営業であるため、そうそうレバレッジのかかるビジネスではないため、時代のニーズに合った金融サービスであるとはいえ、成長性は緩やかであるとみるので、初値が付いた後に上値を追うような展開は期待しない方が良いだろう。少ない公募株を運よくゲットした投資家は初値近辺で利益確定することをお勧めしたい。
目論見書にも記載があるが、この事業は市場連動型と言っても過言ではないため、この1年間のコロナラリーを上回るような相場展開は期待できないため、今期の業績が大きく上振れるということは想定しないほうがよいだろう。