【目次】
①️レナサイエンスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社レナサイエンス
- コード
- 4889
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 医薬品
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 内藤 幸嗣 / 1959年生
- 会社住所
- 東京都中央区日本橋本町二丁目3番6号 協同ビル401
- 設立年
- 2000年
- 社員数
- 5人(2021年7月31日現在)
- 事業内容
- 医療現場の課題を解決するため、多様なモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)等)を活用して新たな医療ソリューションを研究開発する
- URL
- https://www.renascience.co.jp/
- 資本金
- 210,000,000円 (2021年8月18日現在)
- 上場時発行済み株数
- 12,269,000株
- 公開株数
- 2,951,400株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/09/06
- ブックビルディング期間:2021/09/07 - 09/13
- 公開価格決定:2021/09/14→670円に決定
- 申込期間:2021/09/15 - 09/21
- 上場日:2021/09/24→初値976円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:極東証券
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:いちよし証券
- 引受証券:丸三証券
- 大株主
- 宮田敏男 34.05%
- 大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合 23.31%
- 宮田あや 11.95%
- 宮田萌美 10.45%
- 加藤敬子 5.97%
- 宮田光世 4.78%
- THVP-1号投資事業有限責任組合 3.58%
- SMBC社会課題解決投資事業有限責任組合 1.49%
- KSP5号投資事業有限責任組合 1.19%
- 宮田一慶 1.19%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2019/03 単体実績
0 -150,515 -150,944 805,682 - 2020/03 単体実績
72,014 -183,802 -184,095 621,587 - 2021/03 単体実績
209,802 -90,728 -100,054 561,533 - 2021/06 第1四半期単体実績
31,061 -32,818 -32,890 768,642 - ロックアップ情報
- 大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合、THVP-1号投資事業有限責任組合、KSP5号投資事業有限責任組合、77ニュービジネス投資事業有限責任組合は、上場後90日目の2021年12月22日まで
宮田敏男、加藤敬子、宮田光世、宮田あや、宮田萌美、宮田一慶、大塚ホールディングス株式会社、野口一夫は、上場後180日目の2022年3月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×公開価格)
- 18億5938万2000円(2,951,400株×630円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 16,500株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社レナサイエンス<4889>は創薬シーズなどをオープンリソースとして外部研究者に提供することで、基礎研究から臨床開発そして製薬企業にまでつなげ事業化への橋渡しを行うバイオベンチャー企業である。
■事業内容詳細
同社は老化関連疾患(がん・糖尿病・呼吸器疾患・循環器疾患)、女性や少児のメンタルヘルスケアを含めた医療課題、新型コロナウイルス感染症など、医学的かつ社会的にも重要な課題を解決すべく研究開発に取り組んでいる。
同社は豊富な研究者(研究機関)・医師(医療機関)とのネットワークを有しており、一気通貫で基礎研究から医師主導治験まで多くの診療科、更に複数診療科に渡る開発が可能である。
また多くの大学・研究機関等から多様なモダリティ(医薬品、医療機器、AIソリューション等)のコンセプトやシーズを獲得し、医療機関を活用して事業化への橋渡しを行っている。各コンセプトやシーズをオープンリソースとして外部研究者に提供することで、新たな医療用途を発見して基礎研究から臨床開発までを一気通貫でつなげ、製薬企業等にもつなぐことで医療イノベーションの創出に貢献する。
■ビジネスモデル
同社は医薬品や医療機器について、自社もしくは大学等研究機関やパートナーと共同で、製造方法の開発、安全性試験、医師主導治験(第Ⅰ相~第Ⅲ相)までを実施する。そして有効性と安全性の確認と知的財産価値を高めた上で、製薬企業等に対して、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスアウトする。その後に、契約一時金・開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入・製品上市後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入・売上高に対する目標値を達成する毎に支払われれる販売マイルストーン収入等を得る事業モデルである。■主要な開発パイプラインの進捗
同社には現在下記の開発パイプラインが存在する。
また創薬領域では第Ⅱ相試験段階にあるパイプラインが3つ存在する。別途、人工知能(AI)領域でも慢性透析システム支援などが開発段階にある。
■業績推移
2019年3月期 売上高0億円、経常利益▲1.5億円、当期純利益▲1.5億円
2020年3月期 売上高0.1億円、経常利益▲1.8億円、当期純利益▲1.8億円
2021年3月期 売上高2.1億円、経常利益▲0.9億円、当期純利益▲1.0億円
2022年3月期(予想) 売上高1.2億円、経常利益▲4.0億円、当期純利益▲4.0億円
同社の設立は2000年2月である。これまで事業立ち上げのステージ入りはしていないが、2021年3月期は売上高2.1億円、経常利益▲0.9億円となった。ディスポーザブル極細内視鏡(開発コードRS9001)の契約一時金1.3億円などの発生が背景である。
2022年3月期はディスポーザブル極細内視鏡のマイルストーン収入などが計上予定であるが、売上高1.2億円と減益の予想である。また人件費やIPO関連費用の増加などにより経常利益は▲4.0億円と赤字拡大予想であり、2022年3月期は事業確立ステージには至らない。
■財務内容
2021年3月期末時点で資産合計11億円に対し純資産合計5.6億円、自己資本比率53%である。借入金4.8億円に対し現預金10億円を有している。尚、資産合計のうち98%が流動資産である。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2020年3月期▲1.8億円、2021年3月期▲0.9億円であり、概ね当期純利益と同水準である。
■資金使途
IPOにより16億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・慢性骨髄性白血病第Ⅲ相試験 4.5億円
・基礎研究投資 0.2億円
・AI医療ソリューション 1.5億円
・新規モダリティ導入資金 6.0億円
・RS5614医師主導治験のグローバル展開 2.0億円
調達資金は開発中のパイプラインの試験費用及び新規モダリティ導入資金など、今後の事業拡大に向けての投資に充当される。
■株主構成
宮田会長が筆頭株主であり株式の34%を保有している。一方で内藤社長は株式の0.04%を潜在株式で保有するのみである。また取締役の親族の宮田あや氏(株式シェア12%)を始め、取締役の親族で株式の33%を保有している。
大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合(株式シェア23%)などVCファンドが5名義で株主参入しており、VC比率は30%である。尚、VCのうち4ファンドはIPO後90日、株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
また大塚HD株式会社(同0.4%)、第一三共株式会社(同0.3%)が事業会社として株主参入している。
■まとめ
創薬シーズなどをオープンリソースとして外部研究者に提供することで、基礎研究から臨床開発そして製薬企業にまでつなげ事業化への橋渡しを行うバイオベンチャー企業のIPO案件である。
2021年3月期末時点で従業員数7名であり、小所帯で事業展開がなされている。2021年3月期は売上高2.1億円を計上したが、経常利益は▲0.9億円であり赤字が継続中。2022年3月期も赤字予想であり、事業の立ち上げにはまだ至らない。
複数の開発パイプラインがある中で、ディスポーザブル極細内視鏡の開発は2020年5月に医療機器メーカーのBaxter(バクスター)と共同開発及び事業化に関する契約(ライセンス契約)を締結するなど、事業化に向け進捗している。
IPOによる調達資金を活用するなどして開発中のパイプラインを上市に導き、事業立ち上げによる黒字化をどの時点で達成できるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、東北大学発バイオベンチャーで、多くのモダリティ(医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューション等)にわたるシーズをオープンリソースとして外部研究者に提供し研究頂くことで、新たな医療用途を発見し、基礎研究から臨床開発まで一気通貫で繋げ、製薬企業等に繋ぎ医療イノベーションを創出する事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が82億円、2022年3月期は4億円の赤字予想なのでPERは計算不能となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額は22億円程度とマザーズとしては中規模の調達だが、業績予想が赤字ということで、個人投資家の人気は低いと考えられるので、初値は前場に付くと考える。
また、VCが上場前発行済株式の30.23%保有していることから、公開価格の1.5倍でロックアップが解除されると売りが出て来ることが予想されるので、1.5倍の水準を上回って買われることは難しそうだ。セカンダリー市場においては、現在のパイプラインの進捗状況が開示されると、バイオ関連の株価は動意づく傾向にあるため、開示情報が出た瞬間に買って、株価が上に動いたらすぐに利益確定するような短期トレードが有効である。