【目次】
①️Recovery International IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- Recovery International株式会社
- コード
- 9214
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 大河原 峻 / 1983年生
- 会社住所
- 東京都新宿区西新宿六丁目16番12号
- 設立年
- 2022年
- 社員数
- 154人(2021年11月30日現在)
- 事業内容
- 在宅療養生活を支える看護師等による訪問看護サービス事業
- URL
- https://www.recovery-group.co.jp
- 資本金
- 100,000,000円 (2021年12月28日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,386,000株
- 公開株数
- 547,500株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2022/01/14→2,480~3,060円に決定
- ブックビルディング期間:2022/01/18 - 01/24
- 公開価格決定:2022/01/25→3,060円に決定
- 申込期間:2022/01/26 - 01/31
- 上場日:2022/02/03→初値2,640円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:エイチ・エス証券
- 引受証券:静銀ティーエム証券
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:丸三証券
- 引受証券:むさし証券
- 大株主
- 大河原峻 36.04%
- NVCC7号投資事業有限責任組合 18.78%
- (株)水島酸素商会 10.15%
- SKコンサルティング(株) 10.15%
- 柴田旬也 6.60%
- ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合 5.08%
- リカバリーグループ従業員持株会 5.08%
- ファイブアイズネットワークス(株) 2.03%
- 黒木一也 1.52%
- 三浦里佳 1.52%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/12 単体実績
621,821 20,138 22,861 67,177 - 2019/12 単体実績
699,475 20,730 13,867 81,044 - 2020/12 単体実績
766,637 20,712 27,537 108,582 - 2021/09 第3四半期単体実績
810,547 90,607 55,366 163,949 - ロックアップ情報
- NVCC7号投資事業有限責任組合、ニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合は、上場後90日目の2022年5月3日まで、大河原峻、柴田旬也、ファイブアイズネットワークス株式会社は、上場後180日目の2022年8月1日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 16億7535万円(547,500株×3,060円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 63,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- Recovery International株式会社<9214>は訪問看護ステーション運営による訪問看護サービスを提供する企業である。2021年12月時点で東京都中心に15拠点を展開している。
■事業内容詳細
同社は2013年11月に訪問看護ステーションを運営する目的で立ち上げられた。病気や障害を持つ人が、住み慣れた地域でその人らしく療養生活を送れるように看護師等が医師の指示の元、生活の場へ訪問し支援するサービスを提供している。
訪問看護を必要とする病気や障害を持つ乳幼児から高齢者までをサービス対象者としている。尚、訪問看護は医療保険または介護保険が適用される保険サービスである。
2021年12月時点で15拠点においてサービスを提供しており、今後も順次サービス拠点を拡大予定。各事業所は看護師6人、リハビリ職5名の合計11名体制であり、業界でも比較的規模の大きい人員数を基本にサービス展開している。
■同社サービスの特徴
同社訪問看護サービスの特徴は下記がある。
① 看護師等の地域連携活動による利用者獲得
② IT化推進による新たな訪問看護モデル
③ 未経験者を積極活用し早期育成
まず①について、同社は病院等の特定系列に属さない独立型の企業であり居宅介護支援事業所、医療機関、施設サービス事業所等と柔軟な連携ができることが強みである。各連携先へ訪問・面談し、医療専門職である看護師等が専門性を活かし連携を密に行うことで、連携先から同社の認知度と信頼度が高まる。これにより同社は営業の専門職を雇うことなく、新規利用者の紹介・獲得に繋げられている。
次に②について、同社は訪問エリアをデジタル地図上で全役職員が視覚的に把握するなど、効率性を重視した訪問エリアの設定により訪問看護モデルを確立している。またIT化推進による事務作業の効率化やクラウド管理による経営指標の共有化もなされている。
最後に③について、同社に入社する看護師等は殆どが病院勤務者であり9割以上が訪問看護未経験者である。よって未経験者であっても、概ね3ヵ月経過後に一人で訪問看護ができるレベルまで引き上げる育成プログラムを整備し、看護師等の早期戦力化を図っている。
■市場環境
厚生労働省が2018年5月に公表した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」では、2040年の在宅医療市場は28兆円、在宅看護市場は8.2兆円となる見通しが示されており、両者の合計は36.2兆円である。本見通しに加え、医療・介護両保険における訪問看護療養費及び訪問看護費が増加傾向であることを踏まえると、今後も訪問看護市場は継続的に拡大すると予想される。
■業績推移
2018年12月期 売上高6.2億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.2億円
2019年12月期 売上高7.0億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.1億円
2020年12月期 売上高7.7億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.3億円
2021年12月期(予想) 売上高11億円、経常利益1.5億円、当期純利益1.0億円
2018年12月期に黒字化した後は着実な増収を続けているが、経常利益は0.2億円の水準が2020年12月期まで継続した。
2021年12月期は売上高11億円、経常利益1.5億円の予想であり、売上高10億円及び経常利益1億円の大台突破の予想としている。2021年12月期Q3(累計)は売上高8.1億円、経常利益0.9億円であり、通期予想に向けた進捗は順調である。
尚、2020年12月期が公開申請決算期であり、期越え決算でのIPOである。
■財務内容
2020年12月期末時点で資産合計3.4億円に対し純資産合計1.1億円、自己資本比率32%である。借入金1.0億円に対し現預金1.2億円を有している。
資産合計3.4億円のうち、売掛金1.6億円、現預金1.2億円などの流動資産合計3.1億円であり、資産の殆どが流動資産により構成されている。
■資金使途
IPOにより3.8億円の資金調達を行う。訪問看護の事業所の拠点の増加(2022年12月期4拠点、2023年12月期7拠点)及び既存事業所の看護師等の人員拡充に調達資金は充当予定である。
公募70,000株に対し売出477,500株であり、売出株が多数となっている。売出はVCなどの保有株中心に行われる。
■株主構成
大河原社長が筆頭株主であり株式の36%を所有している。また柴田取締役が株式の6.6%(うち1.5%が潜在株式)を保有する第5位株主である。
VCが第2位株主のNVCC7号投資事業有限責任組合(株式シェア19%)と第6位株主のニッセイ・キャピタル6号投資事業有限責任組合(同5.1%)の両者で24%の株式を所有している。VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
■まとめ
訪問看護ステーションを運営し訪問看護サービスを提供する企業のIPO案件である。2021年12月時点で東京中心に15拠点においてサービスを提供中。
国内人口のボリュームゾーンである団塊の世代の後期高齢者入りが始まり、医療インフラ逼迫懸念を背景に自宅療養へのシフトを政府は政策として進めている。よって訪問看護に対するニーズは着実に増加しており、今後の訪問看護市場の拡大も予想されている。
訪問看護市場の拡大を背景に同社の成長も期待できるが、拠点拡大による事業規模拡大とともに増益も続けることが出来るのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、在宅療養生活を支える看護師等による訪問看護サービス事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が42億円、2021年12月期の業績予想ベースのPER43.27 倍となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が約20億円とさほど大きくないことに加えて、2022年の最初のIPOということで需給もタイトで初値は前場の遅い時間帯もしくは後場まで持ち越されると推測する。但し、VCの保有が上場後の発行済株式の約14%あることから、ロックアップの解除となる公開価格の1.5倍の水準から上値が意識されるかもしれない。
セカンダリー市場においては、当社は12月決算であり、2月中旬には来期の業績予想が出て来るので、投資家の期待値を超えるような数字が出れば、上場後のラリーで付けた高値を超す展開も期待できる。目論見書において、2022年度は新規の拠点が4カ所増えることになっているので、2021年度に前期比で増収となった程度の増収は期待値としてあるので、その数値がひとつの指標となる。また、会社が開示するKPIとして、延べ訪問件数、延べ介入利用者数、要員数、がある。この数値が四半期ごとに開示されるはずなので、時系列で追いかけると、業績の先読みがしやすくなるので、フォローしていただきたい。