【目次】
①️GRCS IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社GRCS
- コード
- 9250
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 佐々木 慈和 / 1976年生
- 会社住所
- 東京都千代田区五番町1番9号
- 設立年
- 2005年
- 社員数
- 121人(2021年9月30日現在)
- 事業内容
- 企業リスク管理プロダクトの開発・導入・販売
セキュリティ分野に関する各種コンサルティング及びプロダクト導入・販売 - URL
- https://www.grcs.co.jp/
- 資本金
- 50,000,000円 (2021年10月14日現在)
- 上場時発行済み株数
- 1,309,000株
- 公開株数
- 326,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/10/28→3,270~3,600円に決定
- ブックビルディング期間:2021/11/01 - 11/08
- 公開価格決定:2021/11/09→3,600円に決定
- 申込期間:2021/11/10 - 11/15
- 上場日:2021/11/18
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:あかつき証券
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (同)Trojans 35.49%
- ニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合 14.99%
- 佐々木慈和 9.39%
- 塚本拓也 6.55%
- 岩手新事業創造ファンド1号投資事業有限責任組合 5.21%
- コタエル信託(株) 5.01%
- 板倉聡 4.73%
- 田中郁恵 3.39%
- ひまわりG4号投資事業有限責任組合 2.84%
- イノベーション・エンジン産業創出投資事業有限責任組合 1.97%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/11 単体実績
770,662 -161,136 -161,554 -23,322 - 2019/11 単体実績
1,101,145 -70,390 -70,808 64,469 - 2020/11 単体実績
1,431,849 22,476 46,396 110,865 - 2021/08 第3四半期単体実績
1,277,523 91,546 101,708 212,890 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2022年2月15日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 11億7360万0000円(326,000株×3,600円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 108,790株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社GRCSのビジネスモデル解説
株式会社GRCS<9250>はガバナンス・リスク・コンプライアンス・セキュリティの4つの領域における課題をITの活用により解決する企業である。■事業内容詳細
同社はG:ガバナンス、R:リスク、C:コンプライアンス、S:セキュリティの視点に注目し、外部環境の変化に伴う企業課題を解決する事業を展開している。上記GRC及びセキュリティの各領域に精通したコンサルタントやエンジニアなどの専門人材によるITソリューションを提供し、専門性の高いノウハウを活かした課題解決策を提案し、サービスの品質向上に努めている。
また自社開発プロダクトと他社プロダクトの活用により、膨大な情報を集約することで全社横断的な把握・管理や効率的な対応を可能としている。同社ではテクノロジーを活用した管理強化・業務効率化に取り組み、リスクを見える化することで「ガバナンスのDX化」を推進する。■取引事例
同社ではGRCソリューション・GRCプロダクトの提供とセキュリティソリューションの提供の2つのサービスを提供しており、両者のサービス事例は下記となる。
同社は上場企業をメインターゲットとし、金融、通信、グローバル展開を行う企業との取引拡大に努めている。
■成長戦略
同社では2021年11月期から2023年11月期までの3カ年の戦略として、ソリューションとプロダクトの連携を強化・促進することで、顧客1社当たりの取引金額を拡大させる方針である。
またGRCソリューション・セキュリティソリューション、GRCプロダクトの連携によりクロスセルを行い、ワンストップで両サービスの提供が可能な体制を構築して売上拡大を図る計画である。
■2020年11月期部門別及び主要顧客別売上高
2020年11月期 売上高14億円(対前年同期比30%増)
・ソリューション部門 売上高14億円(同31%増)
・プロダクト部門 売上高0.1億円(同12%増)
売上の殆どがソリューション部門から計上されており、プロダクト部門の売上高は1億円以下である。
また2020年11月期の主力取引先はみずほ証券株式会社であり、売上高3.1億円(割合22%)。他に年間売上高10%以上の割合の取引先はない。みずほ証券株式会社は2021年8月期(Q3累計)でも売上高3.6億円(同28%)であり、継続的な取引が行われている。
■業績推移
2018年11月期 売上高7.7億円、経常利益▲1.6億円、当期純利益▲1.6億円
2019年11月期 売上高11億円、経常利益▲0.7億円、当期純利益▲0.7億円
2020年11月期 売上高14億円、経常利益0.2億円、当期純利益0.5億円
2021年11月期(予想) 売上高17億円、経常利益1.0億円、当期純利益1.5億円
順調に増収を続けているが2019年11月期まで赤字が継続。しかし2020年11月期に黒字化した。
2021年11月期から本格的な利益計上の予想であり、売上高17億円、経常利益1.0億円の予想としている。2021年8月期Q3(累計)は売上高13億円、経常利益0.9億円であり、既に前期通期の経常利益額を突破しており、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務内容
2020年11月期末時点で資産合計6.0億円に対し、純資産合計1.1億円、自己資本比率18%である。借入金2.3億円に対し、現預金2.5億円を有している。
資産合計6.0億円のうち、現預金2.5億円、売掛金2.5億円などの流動資産5.4億円であり、流動資産が資産の殆どを占めている。
キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年11月期▲0.4億円、2020年11月期▲0.4億円とマイナスが継続中。2020年11月期は売上債権の増加(▲1.1億円)の影響から、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなった。
■資金使途
IPOにより4.7億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・専門人材等の採用関連費用 0.5億円
・システム関連費用 0.9億円
・マーケティング費用 0.3億円
・借入金返済資金 2.6億円
調達資金の半数以上は借入金の返済資金に充当される。
公募150,000株、売出176,000株であり売出株の多いIPOである。売出はニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合(110,000株)、岩手新事業創造ファンド1号投資事業有限責任組合(66,000株)のVCファンド2者により行われる。
■株主構成
筆頭株主の合同会社Trojans(株式シェア35%)は佐々木社長の資産管理会社である。佐々木社長は個人でも第3位株主(同9.4%)であり、佐々木社長の関係先で株式の45%が所有されている。
第2位株主のニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合以下、多数のVCが株主参入しておりVC比率は30%である。またVCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。
■まとめ
ガバナンス・リスク・コンプライアンス・セキュリティの4つの領域における課題をITの活用により解決する企業のIPO案件である。金融、通信、グローバル展開を行う企業に対し、テクノロジーを活用した管理強化・業務効率化に取り組み、ITソリューションによりリスクの見える化を行うことで「ガバナンスのDX化」を推進している。
企業のセキュリティやコンプライアンスに対する意識の向上などを背景に増収が続いており、2020年11月期に黒字化した。2021年11月期は売上高17億円、経常利益1.0億円の予想であり、経常利益1億円の大台に到達する。
既存顧客との取引が継続する傾向にある中で、継続的な増収増益を続けIPOを契機に成長を加速させることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、企業リスク管理プロダクトの開発・導入・販売、セキュリティ分野に関する各種コンサルティング及びプロダクト導入・販売の事業を展開している。特徴は、G:ガバナンス、R:リスク、C:コンプライアンス(以下GRC)およびS:セキュリティーの視点に着目し、外部環境の変化に伴う企業課題を解決するところにある。上場市場は東証マザーズ。
株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が47億円、2021年11月期の業績予想ベースのPERは32.49倍となっている。VC保有の株式が売出し後も発行済株式の13%あり、ロックアップ解除の株価周辺では上場後の需給に影響する可能性もある。上場当日の株価動向は、資金吸収額が13億円とさほど大きくないことから、需給はタイトで、初値は前場の遅い時間もしくは後場の早い時間帯に付くと予想する。
セカンダリー市場においては、11月決算なので、1月中旬には来期の業績予想が出て来るが、これまでと同じ成長ができるなら、来期の利益は今期の2倍程度は行けそうだ。12月はIPOが多く、上場後は売り込まれるはずなので、公開価格程度まで押したらチャンスが到来するかもしれない。