(画像=編集部作成)

【目次】
①️フロンティアIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社フロンティア
コード
4250
市場
Q-Board
業種
化学
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 山田 紀之 / 1975年生
会社住所
福岡県福岡市中央区天神二丁目3番36号 ibbfukuoka
設立年
2003年
社員数
14人(2021年8月31日現在)
事業内容
自動車部品等の企画・輸入販売事業
URL
https://all-frontier.com/
資本金
30,000,000円 (2021年9月28日現在)
上場時発行済み株数
680,000株
公開株数
100,000株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/10/11→830~930円に決定
ブックビルディング期間:2021/10/13 - 10/19
公開価格決定:2021/10/20→930円に決定
申込期間:2021/10/22 - 10/27
上場日:2021/11/01→初値958円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:エイチ・エス証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:西日本シティTT証券
引受証券:藍澤證券
引受証券:ひろぎん証券
引受証券:FFG証券
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
山田紀之 340,900株
立石直孝 104,000株
長弘俊哉 4,000株
前田隆 1,100株
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/11 単体実績 
789,313 1,939 1,194 40,834
2019/11 連結実績 
1,239,171 59,492 63,709 127,093
2020/11 連結実績 
1,480,873 77,258 61,296 185,608
2021/05 第2四半期連結実績 
612,580 42,874 29,741 219,203
ロックアップ情報
指定された株主はTOKYO PRO Marketからの上場廃止予定日である2021年10月31日までは普通株式の売却ができず
指定された株主は上場後90日目の2022年1月29日まで、又は上場後180日目の2022年4月29日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
9300万0000円(100,000株×930円)
潜在株数(ストックオプション)
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社フロンティアのビジネスモデル解説

株式会社フロンティア<4250>は本社を福岡市に置く自動車部品等のファブレスメーカーである。既に東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場している。
 

■事業内容詳細

同社は自社工場を持たずに技術力の高い中国国内工場に生産委託をしているファブレスメーカーである。製品の企画開発、品質管理、納期管理、輸入、販売まで一貫した機能を持つ。それら機能を活かし下記2事業を手掛けている。

・PB販売事業
・OEM/ODM事業
 

●PB販売事業(Private Brand販売事業)

PB販売事業ではB2B部門として、同社が企画設計した自動車部品・用品(サイドバイザー、フロアマット等)のアフターパーツを、提携工場にて製品化し自動車販売店や自動車部品卸売業者へ販売している。国内企業としては初めて社外品サイドバイザーを自社開発して、2006年11月に販売を開始した。また現在はサイドバイザーに加えてフロアマットやナンバーフレームも取り扱っている。
 
フロンティア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
またインターネット通販部門として、主に個人顧客を対象に同社が企画設計した自動車部品・用品の他、ペット関連用品、アウトドア関連用品等を提携工場で製品化しWebサイトにて販売している。
 
フロンティア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●OEM/ODM事業

OEM/ODM事業では、顧客の要望する商品の製造を受託して同社が選定した工場にて製品化を行い顧客に納品している。現在は主に国内玩具メーカー向け電子玩具(児童向けパソコン型玩具、タブレット型玩具等)を取り扱っている。

尚、OEM/ODM事業は加賀電子<8154>のグループ会社と1社取引である。
 
フロンティア
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2020年11月期セグメント利益

2020年11月期 売上高15億円(対前年同期比20%増)、営業利益0.8億円(同31%増)
・PB販売事業 売上高9.2億円(同6.0%増)、セグメント利益1.5億円(同22%増)
・OEM/ODM事業 売上高5.6億円(同51%増)、セグメント利益0.2億円(同80%増)

PB販売事業が売上全体の6割以上を占める主力事業である。またセグメント利益はPB販売事業1.5億円に対しOEM/ODM事業0.2億円であり、売上及び利益のいずれもPB販売事業が同社主力事業といえる状態。

また2020年11月期の主力取引先は下記である。

・加賀マイクロソリューション株式会社 5.2億円(割合35%)
・マツダパーツ株式会社(同23%)

OEM/ODM事業の独占的な取引先である加賀マイクロソリューション株式会社が売上の35%を計上する主力取引先である。またPB販売事業において自動車メーカーであるマツダグループのマツダパーツ株式会社が加賀マイクロソリューション株式会社に次ぐ売上先である。

2019年11月期、2020年11月期のいずれも加賀マイクロソリューション株式会社とマツダパーツ株式会社の両者で全体売上高の50%を超える状態である。ただし、2021年11月期Q2(累計)はマツダパーツ株式会社の売上割合は37%まで増加の一方で、加賀マイクロソリューション株式会社は6.9%に留まっている。
 

■業績推移

2018年11月期 売上高7.9億円、経常利益0億円、当期純利益0億円
2019年11月期 売上高12億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.6億円
2020年11月期 売上高15億円、経常利益0.8億円、当期純利益0.6億円
2021年11月期(予想) 売上高17億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.8億円
※2019年11月期から連結決算

着実な増収を続けているが、2020年11月期まで経常利益は1億円の大台には未到達である。

2021年11月期は売上高17億円、経常利益1.0億円の予想となっている。2021年11月期Q2(累計)は売上高6.1億円、経常利益0.4億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調に推移している。
 

■財務内容

2020年11月期末時点で資産合計7.9億円に対し純資産合計1.9億円、自己資本比率24%である。

借入金5.0億円に対し現預金4.5億円を有している。資産合計7.9億円のうち、現預金4.5億円、商品1.7億円、売掛金1.5億円など流動資産合計7.8億円であり、資産合計の殆どが流動資産により構成されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2019年11月期▲0.2億円、2020年11月期1.1億円で推移している。2019年11月期は売上債権の増加(▲0.5億円)、たな卸資産の増加(▲0.2億円)、前渡金の増加(▲0.1億円)などの発生で営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなった。しかし2020年12月期はそれらがプラスや大幅減となり、営業活動によるキャッシュ・フロー自体もプラスとなった。
 

■資金使途

IPOにより0.4億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・山口支店工場兼事務所建設資金 0.4億円
・原反裁断機購入代金 0.1億円

調達資金は自動車アフターパーツのフロアマット製造工場の建設費、機械購入代金に充当される。
 

■株主構成(2020年11月30日時点)

山田社長が筆頭株主であり株式の54%を所有している。第2位株主は立石常務取締役であり株式の17%を所有する。役員で株式の約7割を所有する安定的な株主構成である。

尚、東京証券取引所TOKYO PRO Marketの上場銘柄である。
 

■まとめ

自動車部品等のファブレスメーカーであり、本社を福岡市に置く企業のIPO案件である。既に東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場している。

主にマツダのグループ会社向けにサイドバイザーに加えてフロアマットやナンバーフレームを出荷し着実な増収を続けてきた。2020年11月期は売上高15億円、経常利益0.8億円であり、これまで経常利益1億円の大台到達前の状態であったが、2021年11月期予想は売上高17億円、経常利益1.0億円であり、経常利益1億円に到達を予想している。

着実な増収を続けているが、どのタイミングで本格的な利益計上ステージ入りすることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社グループは、自社工場を持たずに高い技術力を持つ中国国内工場に生産委託しているファブレスメーカーとして、自動車部品・用品(フロアマット、サイドバイザー等)のアフターパーツ等を企画開発、輸入販売する事業を展開している。上場市場は福岡Qボード。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が約6億円、2021年11月期の業績予想ベースのPERは8倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が約1億円と非常に小粒で既存株主にはロックアップがあり上場当日に需給が崩れることはないため、株価は堅調にスタートすると考えられるが、上場市場が福岡Qボードであり、マザーズ並みの人気は難しいと考えるので、初値は前場には付くと推測する。また、Qボード銘柄は人気薄なので、いったん初値が付いた後の追随買いには注意が必要だ。

セカンダリー市場においては、当社は11月決算なので、1月中旬には来期の業績予想が出て来る、株価に見直し買いが入るとすれば、業績に大きなプラスの変化が出たときとなるので、決算待ちのスタンスで臨みたいところだ。もし、市場変更などでマザーズ上場となれば、投資家層も変わるので、その時は株価の水準が大きく変わる可能性がある。