(画像=編集部作成)

【目次】
①️FinatextホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社Finatextホールディングス
コード
4419
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 CEO 林 良太 / 1985年生
会社住所
東京都千代田区九段北三丁目2番地11号 住友不動産九段北ビル4階
設立年
2013年
社員数
13人(2021年9月30日現在)
事業内容
証券・保険ビジネス向けクラウド基幹システムの提供及びデータ解析・ サービス開発支援
URL
https://hd.finatext.com/
資本金
176,562,000円 (2021年11月16日現在)
上場時発行済み株数
48,754,628株
公開株数
15,475,700株
連結会社
7社
スケジュール
仮条件決定:2021/12/03→1,100~1,290円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/06 - 12/10
公開価格決定:2021/12/13→1,290円に決定
申込期間:2021/12/15 - 12/20
上場日:2021/12/22→初値990円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:大和証券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:あかつき証券
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
大株主
林良太 38.12%
auフィナンシャルホールディングス(株) 12.78%
UTEC3号投資事業有限責任組合 11.56%
ジャフコSV5共有投資事業有限責任組合 9.98%
伊藤祐一郎 3.59%
伊藤英佑 3.43%
(株)GCIキャピタル 2.85%
ジャフコSV5スター投資事業有限責任組合 2.49%
渡辺努 2.39%
戸田真史 2.24%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/11 単体実績 
1,038,086 315,532 209,084 8,070,980
2019/11 連結実績 
1,707,470 -766,711 -1,566,803 7,352,538
2021/03 連結実績 
2,751,375 -757,610 -1,012,561 6,485,951
2021/09 第2四半期連結実績 
897,016 -488,912 -474,257 6,085,305
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年6月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
199億6365万3000円(15,475,700株×1,290円)
潜在株数(ストックオプション)
4,177,424株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社Finatextホールディングス<4419>はフィンテックソリューション、ビッグデータ解析、金融インフラストラクチャの3事業を展開する企業である。また自社でコミュニティ型スマホ投資サービス「STREAM」を提供している。
 
Finatextホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は下記3事業を展開している。

・金融インフラストラクチャ
・フィンテックソリューション
・ビッグデータ解析
 

●金融インフラストラクチャ事業

金融インフラストラクチャでは、証券インフラストラクチャビジネス「BaaS」と保険インフラストラクチャビジネス「Inspire」のサービスを提供している。

「BaaS」は証券業務と証券サービスにかかるWebサイトやモバイルアプリ等のフロントエンドサービスの構築に必要な機能を提供するソフトウェアである。同社自身が「BaaS」によりコミュニティ型スマホ投資サービス「STREAM」を運営している。「BaaS」を利用することでパートナー企業は、独自開発に比べて証券関連サービスを開始する初期投資額を最大80~90%削減できる。

「Inspire」は、保険業務と保険サービスにかかるWebサイトやモバイルアプリ等のフロントエンドサービスの構築に必要となる機能を提供するソフトウェアである。新しい保険商品を低コスト、短納期で追加することができる他、保険商品の契約から保険金支払いまでの全てのプロセスをオンライン上で完結できる。
 
Finatextホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●フィンテックソリューション事業

フィンテックソリューション事業は、金融機関に対して金融サービスにかかるWebサイトやモバイルアプリ等のフロントエンドサービスの開発やモジュール化されたソリューションの提供を行うソリューションビジネスと、金融に関する学習やデモトレーディング等のサービスを行うマーケティングビジネスの2サービスを提供している。
 
Finatextホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●ビッグデータ解析事業

ビッグデータ解析事業では、企業が保有するPOSデータやクレジットカードデータ等のビッグデータを解析し、解析結果をライセンスデータとして官公庁や国内外の金融機関に販売するデータライセンスサービスを提供している。
 
Finatextホールディングス
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期セグメント別損益

2021年3月期 売上高28億円、営業利益▲6.3億円
・金融インフラストラクチャ事業 売上高9.5億円、セグメント利益▲6.7億円
・フィンテックソリューション事業 売上高12億円、セグメント利益▲0.2億円
・ビッグデータ解析事業 売上高5.7億円、セグメント利益0.9億円

3事業の売上高はいずれも5億円以上あるが、フィンテックソリューション事業の売上高が12億円で最大である。

ただし利益ベースではビッグデータ解析事業のセグメント利益が0.9億円で黒字であるが、フィンテックソリューション事業▲0.2億円、金融インフラストラクチャ事業▲6.7億円と赤字である。金融インフラストラクチャ事業で先行投資が続いており赤字が突出している。

尚、2021年3月期の主要取引先は金融インフラストラクチャ事業の顧客であるANAグループのANA X株式会社が売上高5.9億円(割合22%)となっている。
 

■業績推移

2018年11月期 売上高10億円、経常利益3.2億円、当期純利益2.1億円
2019年11月期 売上高17億円、経常利益▲7.7億円、当期純利益▲16億円
2021年3月期 売上高28億円、経常利益▲7.6億円、当期純利益▲10億円
2022年3月期(予想) 売上高27億円、経常利益▲7.8億円、当期純利▲10億円
※2019年11月期より連結決算

決算期変更により2021年3月期は16ヵ月の変則決算である。増収が続いているものの、2019年11月期と2021年3月期は経常利益約▲7億円台の赤字が継続しており、当期純利益の赤字は2期続けて▲10億円を超えた。

2021年3月期は売上高27億円、経常利益▲7.8億円の増収及び赤字継続の予想である。2022年3月期Q2(累計)は売上高9.0億円、経常利益▲4.9億円となっている。
 

■財務内容

2021年3月期末時点で資産合計127億円に対し純資産合計65億円、自己資本比率51%である。借入金3.6億円に対し、現預金43億円を保有している。

同社はコミュニティ型スマホ投資サービス「STREAM」で証券取引サービスを提供しており、証券業における受入保証金26億円、証券業における預り金17億円、証券業における信用取引負債8.6億円などを負債の部に計上し、証券業における預託金51億円、証券業における信用取引資産22億円、証券業における短期差入保証金4.0億円を資産の部に計上している。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年11月期▲20億円、2021年3月期▲18億円となっており、2期続けてマイナスである。2期ともに証券業における預託金の増加(2020年11月期▲18億円、2021年3月期▲28億円)などの証券業関連の資金流出が多い。
 

■資金使途

IPOにより47億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・事業拡大に係る運転資金 26億円
・子会社のスマートプラス少額短期保険株式会社の保険準備金確保などの投融資資金 18億円
・借入金の返済 2.1億円
・ソフトウェアへの投資を中心とする設備資金 1.5億円

調達資金の半数は人件費、開発にかかる業務委託費、宣伝広告費などの業務拡大に係る運転資金に充当される。

また公募2,800,000株、売出12,675,700株であり売出の多いIPOである。売出はVC保有株を中心に行われる。
 

■株主構成

筆頭株主は林社長であり株式シェア38%(うち1.6%は潜在株式)となっている。第2位株主はauフィナンシャルホールディングス株式会社(株式シェア13%)。

第3位株主のUTEC3号投資事業有限責任組合(同12%)以下、VCが4名義で25%の株式を保有する。VCはIPO後180日のロックアップ契約を締結している。

個人、事業会社、VCでバランスの取れた株主構成となっている。
 

■まとめ

フィンテックソリューション、ビッグデータ解析、金融インフラストラクチャの3事業を展開する企業のIPO案件である。また自社でコミュニティ型スマホ投資サービス「STREAM」を提供している。

2021年3月期は売上高28億円、経常利益▲7.6億円であり赤字が継続しており、2022年3月期も売上高27億円、経常利益▲7.8億円の赤字予想である。金融インフラストラクチャ事業の先行投資が行われており、同部門の赤字が多い。またコミュニティ型スマホ投資サービス「STREAM」関連の証券事業で資金負担がかさんでいる。

増収自体は続いているが赤字でのIPOとなる。IPOにて40億円を超える資金調達を行うが、どのタイミングで本格的に事業が立ち上がりそしてどの程度の黒字化がなされるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、証券・保険ビジネス向けクラウド基幹システムの提供及びデータ解析・サービス開発支援事業を展開している。

上場市場は東証マザーズ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が629億円、2022年3月期の業績予想が赤字となっているのでPERは計測不能となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が230億円とマザーズ銘柄としてはかなり大きいため、初値は前場が始まってすぐに付くと推測する。

当社の成長を測るKPIは、金融インフラストラクチャー事業におけるパートナー企業数だと目論見書に記載がある。売上の構成が初期導入収益41.8%、月額固定収益40.0%、従量課金収益18.2%となっていることから、6割を占めるストック的な売上はパートナー企業数に連動するため、その企業数が増えれば、間違いなく売上の増加に結びつくはずだ。

一方では、当社の市場は、日本の個人金融資産がベースになっていると目論見書には記載があり、個人がスマホやパソコンで金融機関との取引を増やすことが大前提となっている。若年層から徐々に浸透していくだろうが、大きなシェアを取るには相当の時間を要すると考えるので、少額で10年とかの時間軸で保有して放置しておけばお宝株になるかもしれない。