【目次】
①️ドリームベッドIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- ドリームベッド株式会社
- コード
- 7791
- 市場
- 市場第二部
- 業種
- その他製品
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 小出 克己 / 1948年生
- 会社住所
- 広島市西区己斐本町三丁目12番39号
- 設立年
- 1957年
- 社員数
- 349人(2021年3月31日現在)
- 事業内容
- ベッド・リビングソファ・インテリア用品の製造、販売
- URL
- https://dreambed.jp/
- 資本金
- 205,000,000円 (2021年5月20日現在)
- 上場時発行済み株数
- 4,152,820株
- 公開株数
- 1,715,800株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/03→1,400~1,460円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/07 - 06/11
- 公開価格決定:2021/06/14→1,460円に決定
- 申込期間:2021/06/15 - 06/18
- 上場日:2021/06/23→初値1,350円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:ひろぎん証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:東洋証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- ブルーインベストメント投資事業有限責任組合 21.26%
- (株)広島銀行 19.90%
- ドリームベッド従業員持株会 11.78%
- (株)もみじ銀行 8.07%
- 渡辺靖子 8.05%
- 三宅尚子 8.05%
- 小出克己 4.49%
- (株)商工組合中央金庫 4.01%
- (株)山陰合同銀行 3.04%
- 光正明義 1.52%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/03 単体実績
9,235,269 559,938 238,587 2,592,180 - 2019/03 単体実績
10,204,587 503,414 285,201 2,860,155 - 2020/03 単体実績
10,034,752 469,275 331,555 1,666,464 - 2020/12 第3四半期単体実績
6,538,722 468,006 320,388 1,996,137 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年9月20日まで
または、上場後180日目の2021年12月19日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 25億506万8000円(1,715,800株×1,460円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- なし
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ドリームベッド株式会社<7791>は広島市に本社を置くベッドやマットレスなどの製造販売を行う企業である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■事業内容詳細
同社はマットレス、ベットフレーム、ソファ、寝装品(枕・布団類)等のデザイン開発、製造、販売を手掛けている。
2020年3月期の商品分類別販売実績では、マットレス49億円が最多である。次いでベッドフレーム29億円であり、両者で8割近い売上が計上されている。
また同社は複数の自社ブランドと海外提携ブランドを展開している。海外提携ブランドのSerta(サータ)が同社の主力ブランドである。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
●販売経路及び販売実績
販売経路としては下記がある。尚、括弧内は2020年3月期の販売実績である。
・家具販売店向け(71億円)
全国の家具販売店に対して販売、一般消費者は家具販売店を通じて商品を購入する。
・商業施設向け(18億円)
全国のホテル等の宿泊施設に対し直接販売。
・ショップ/ショールーム(6.7億円)
東京都に3店舗、大阪府に1店舗を展開する「リーン・ロゼショップ」で一般客へ直接販売
・ハウスメーカー向け(3.2億円)
ハウスメーカーが主催した催事に来場した一般消費者に対し、ハウスメーカーを通じて販売する。
・その他
ベッド製造メーカー向けのOEM商品販売、ウォーターベットの設置料やアフターメンテナンス等。
全体売上の約7割が家具販売店における一般消費者向けの販売である。尚、売掛金は株式会社東京インテリア家具が最多(2020年3月期売掛金15億円のうち、株式会社東京インテリア家具は1.4億円)であり、「東京インテリア」店舗での販売が多い状態にある。
■成長戦略
同社は主力ブランド「Serta(サータ)」の認知度は低いと考えており、Serta(サータ)のターゲット層であるブランド志向で眠りにこだわりを持つ潜在的顧客に対して、マーケティング施策を行う予定である。
具体的には、戦略商品に関するデジタル広告を配信することで、ブランドプロモーションサイトにアクセスした「Serta(サータ)」に興味を持つ顧客が、直接来店し体験することで商品を購入する、という流れを柱とするマーケティング戦略を展開する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■業績推移
2018年3月期 売上高92億円、経常利益5.6億円、当期純利益2.4億円
2019年3月期 売上高102億円、経常利益5.0億円、当期純利益2.9億円
2020年3月期 売上高100億円、経常利益4.7億円、当期純利益3.3億円
2021年3月期 売上高90億円、経常利益7.3億円、当期純利益5.2億円
2022年3月期(予想) 売上高96億円、経常利益7.0億円、当期純利益4.9億円
売上高100億円前後、経常利益5億円前後で推移する状態である。ただし経常利益は2016年3月期11億円、2017年3月期9.2億円を計上しており、利益率は低下傾向にある。2021年3月期は対前年同期比で減収となったが、増益となり経常利益は7億円に到達した。
また2022年3月期は増収となるも、人件費増加や東京ショールームの増床などから若干の減益を予想している。ただし経常利益は7億円を維持の予想である。
尚、2020年3月期決算が公開申請決算期であり期越え決算でのIPOである。
■財務状況
2020年3月期末時点で資産合計66億円に対し、純資産合計17億円、自己資本比率25%である。借入金23億円に対し、現預金4.8億円に留まるが、流動資産合計は売掛金15億円、商品及び製品5.7億円、受取手形5.1億円など33億円である。
減価償却費が毎期約2億円計上されており、キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローは、2019年3月期6.6億円、2020年3月期5.2億円となっている。
■資金使途
IPOにより11億円の資金調達を予定しているが、全額を八千代第一工場の建物の新設及び増改築として設備資金に充当する予定である。
■株主構成
筆頭株主は広島銀行系ファンドのブルーインベストメント投資事業有限責任組合であり、株式シェア21%を有している。第2位株主は広島銀行(株式シェア20%)。広島銀行の関係先で41%の株式が所有されている。また小出社長は広島銀行の出身者(2004年に同社に転籍)である。
ただし広島銀行は保有655,240株のうち447,700株、ブルーインベストメント投資事業有限責任組合は保有700,000株のうち350,000株を売出株として拠出する。
第3位株主はドリームベッド従業員持株会(同12%)。
金融機関としては広島銀行の他に、もみじ銀行(同8.1%)、商工組合中央金庫(同4.0%)、山陰合同銀行(同3.0%)が株式を所有する。広島銀行グループ以外の金融機関の株式シェアは15%である。
広島銀行を中心に地方銀行が多くの株式を所有する状態である。
■まとめ
広島市が本社のベッドやマットレスなどの製造販売を行う企業のIPO案件である。地元の広島銀行グループが筆頭株主で約4割の株式を所有しており、社長も広島銀行出身である。
売上高100億円前後、経常利益5億円前後で推移していたが、2021年3月期は減収となったが経常利益は7.3億円まで拡大した。2022年3月期は増収及び経常利益7億円台を維持の予想である。
業績は安定的に推移しているが、IPOを契機にデジタルマーケティング戦略などの活用で主力ブランド「Serta(サータ)」の認知度を高めて、自社店舗での販売力強化による利益成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、マットレス、ベッドフレーム、ソファ、寝装品(枕・布団類)等のデザイン開発、製造、販売を主たる事業として展開している。上場市場は東証2部。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が61億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは12.5倍となっている。期末配当として1株20円の見込みで、公開価格ベースの配当利回りは1.36%となっている。
上場当日の株価動向は、資金吸収額が30億円近くっても成長性のあるマザーズ銘柄なら個人投資家の買いで吸収できるが、上場市場が東証2部なので、人気がいまひとつ盛り上がりに欠けると考えられ、初値は前場中に付くと推測する。その日の相場の地合いにもよるが、初値が早く付いて割安感があるからと言って上値を買うようなことは控えた方がよさそうだ。
セカンダリーマーケットにおいては、業績連動で株価は動くと考えられるが、ここ数年間の業績動向から急成長は見込めないので、少し長い目で見て、来年3月に入って、配当狙いの買いが入って株価が動くまで待たされるつもりで、買うなら上場後のラリーを経た後の公開価格近辺が妥当だろう。