【目次】
①️デコルテ・ホールディングスIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 会社名
- 株式会社デコルテ・ホールディングス
- コード
- 7372
- 市場
- マザーズ
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 小林 健一郎 / 1973年生
- 会社住所
- 兵庫県芦屋市大桝町1番25号 アクセシオ芦屋3F
- 設立年
- 2016年
- 社員数
- 37人(2021年4月30日現在)
- 事業内容
- フォトウエディング、アニバーサリーフォト等のサービスを提供するスタジオ事業、及びフィットネス事業
- URL
- https://www.decollte.co.jp/
- 資本金
- 100,000,000円 (2021年5月17日現在)
- 上場時発行済み株数
- 5,670,000株
- 公開株数
- 3,676,600株
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2021/06/04→1,470~1,720円に決定
- ブックビルディング期間:2021/06/07 - 06/11
- 公開価格決定:2021/06/14→1,720円に決定
- 申込期間:2021/06/15 - 06/18
- 上場日:2021/06/22→初値1,582円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号 87.52%
- 小林健一郎 9.72%
- 水間寿也 0.38%
- デコルテ従業員持株会 0.37%
- 岩切大祐 0.26%
- 髙木真一郎 0.17%
- 辻本哲士 0.10%
- 新井賢二 0.07%
- 藤田瞳 0.07%
- 海原道枝 薩摩秀二 藤本友梨 佐藤夕紀 0.07%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2018/10 連結実績
- - - 2,486,113 - 2019/09 連結実績
4,704,301 750,448 468,001 2,954,115 - 2020/09 連結実績
3,670,431 317,952 172,296 3,126,412 - 2021/03 第2四半期連結実績
2,370,953 506,896 382,814 3,515,943 - ロックアップ情報
- 投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号、小林健一郎は上場後360日目の2022年6月16日まで
デコルテ従業員持株会、新井賢二、水間寿也、岩切大祐は上場後180日目の2021年12月18日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×仮条件上限)
- 63億2375万2000円(3,676,600株×1,720円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 130,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社デコルテ・ホールディングス<7372>はフォトウエディングサービスを提供するスタジオ事業などを手掛ける企業である。投資ファンドが8割以上の株式シェアを有している。尚、本社は兵庫県芦屋市である。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■沿革
同社は2001年11月に設立されエステ事業・リラクゼーション事業・スタジオ事業、挙式事業を手掛けた旧株式会社デコルテを前身としている。2016年12月にキャス・キャピタル株式会社が運営する投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号が同社を設立し、2017年1月に旧株式会社デコルテの全株式取得を行った。その後、2017年10月に旧株式会社デコルテを消滅会社とする吸収合併が行われている。
尚、合併後はスタジオ事業中心の事業展開を行い現在に至っている。
■事業内容詳細
同社はフォトウエディングサービスを首都圏6店舗、関西圏4店舗など合計16店舗を運営している。またアニバーサリーフォトサービスを提供する店舗を3店、フィットネスジムも2店舗展開している。
同社では下記のようにフォトウエディングサービスとアニバーサリーフォトサービスを提供している。
フォトウエディングサービス
・屋内に設営した専用スタジオで撮影を行う「スタジオ撮影」
・屋外で撮影を行う「ロケーション撮影」
アニバーサリーフォトサービス
・屋内に設営した専用スタジオにて子供写真や家族写真の撮影
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■同社の強み
同社ではフォトグラファー及びメイクアップアーティストについて、外注依存することなく自社で正社員として雇用する。同社の専門部署が講師を担当し、適切な技術研修・指導を継続的に行うことで、写真撮影に係わる職種ごとの専門技術ノウハウの習得を行っている。
また顧客がフォトウエディング事業者を選定する際に、SNSとインターネットによる情報収集が最も多く利用される中で、Webサイト及びSNS経由での集客に注力している。集客の90%以上が自社Webサイト経由であり、Web製作チームを内製化して「フォトウエディング」、「前撮り」等のキーワード検索で、各地域で上位を占めている。またSNSについてもユーザーからの発信、同社社員による発信により露出する仕組みを有する。
- (画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
-
■今後について
今後はフォトウエディング事業の成長に加え、ライフイベント領域における多様なニーズを捕捉し、継続的な成長を目指す考えである。
具体的には新規出店の加速(これまでは都市型店舗中心であったが、周辺地域や地方都市などへの出店)、子供・家族写真やペット写真などのライフイベント領域での展開を加速させる。
■業績推移
2019年9月期 売上収益47億円、営業利益8.9億円、当期利益4.7億円
2020年9月期 売上収益37億円、営業利益4.2億円、当期利益1.7億円
2021年9月期(予想) 売上収益48億円、営業利益8.5億円、当期利益5.2億円
※IFRSを採用、当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益
ファンド子会社との合併やエステ事業や婚礼事業の切り離しなどが毎期なされており、単純な対前年同期比の比較は難しい状態である。ただし2019年9月期以降、黒字は維持されている。
2021年9月期は対前年同期比で増収増益の予想であり、当期利益は5億円の大台到達を予想する。2021年9月期Q2(累計)は売上収益24億円、営業利益5.9億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
■財務状況
2020年9月期末時点で資産合計108億円に対し、純資産合計31億円、自己資本比率29%である。借入金44億円に対し、現預金16億円を保有する。
資産合計108億円のうち、のれんが56億円計上されており資産の部の52%がのれんである。
■資金使途
IPOにより0.9億円の資金調達を行い、事業拡大のための新規出店に係る投資への充当を予定している。
公募株数70,000株に対し、売出株数3,606,600株であり売出株数の多いIPOである。売出は筆頭株主である投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号(3,329,400株)と小林社長(277,200株)で行われる。
■株主構成
筆頭株主は投資ファンドの投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号であり株式シェアの88%を有している。第2位株主は小林社長(株式シェア9.7%)である。
投資事業有限責任組合キャス・キャピタル・ファンド六号は保有5,014,800株のうち、売出にて3,329,400株を売却するが、IPO後も筆頭株主は維持される。また小林社長も売出で保有557,200株のうち約半数が売却される。
■まとめ
兵庫県芦屋市に本社を置く、フォトウエディングサービスを提供するスタジオ事業などを手掛ける企業である。投資ファンドが筆頭株主であり、売出にて保有する約半数の株式が売却される。
ファンド傘下で事業の選択と集中を行い、また新型コロナウイルス問題発生を契機とする、フォトウエディングサービスのニーズの拡大により業績が伸びている。コロナ禍の後も成長を続けることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
またファンドが筆頭株主で、ファンド所有分の約半数が売出にて売却されるため、IPO後の株主推移にも注意が必要となる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、フォトウエディング、アニバーサリーフォト等のサービスを提供するスタジオ事業、及びフィットネス事業を展開している。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額97億円、2021年9月期の業績予想ベースのPERは18.6倍となっている。
上場当日の株価動向は、東証マザーズ銘柄としての資金吸収額は73億円とかなり大きく、需給は緩いと考えられるが、ワクチン接種が進んでいることもあって、結婚式の増加が見込めるため、来期の業績回復まで見込んで初値買いの人気がでるかもしれない。よって初値は後場まで持ち推される可能性も十分ある。
セカンダリーマーケットにおいては、すでに上場しているブライダル関連会社の株価に引っ張られる動きが考えられるが、9月決算の開示のある11月中旬には日本全国でワクチン接種が終わっており、株価のピークを迎えるかもしれない。来期の業績予想が改善するのは、開示までに織り込み済みなので、決算発表で材料出尽くしとなるかもしれない。また、既存の株主であるファンドはロックアップがあるが、公開価格の1.5倍で解除となることで売りが出てきたら、ますます要注意ということになるので、大量保有報告書には注意が必要だ。