(画像=編集部作成)

【目次】
①️クルーバーIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社クルーバー
コード
7134
市場
JASDAQスタンダード
業種
小売業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 石田 誠 / 1960年生
会社住所
神奈川県横浜市青葉区榎が丘7番地22
設立年
2014年
社員数
37人(2021年9月30日現在)
事業内容
カー&バイク用品のリユース品の買取、販売、新品卸売及び付随するIT開発業務
URL
https://www.croooober.co.jp/
資本金
10,000,000円 (2021年11月18日現在)
上場時発行済み株数
2,624,500株
公開株数
682,800株
連結会社
3社
スケジュール
仮条件決定:2021/12/03→1,760~2,160円に決定
ブックビルディング期間:2021/12/07 - 12/13
公開価格決定:2021/12/14→2,160円に決定
申込期間:2021/12/15 - 12/20
上場日:2021/12/23→初値1,800円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:野村證券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:極東証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:アイザワ証券
大株主
㈱E&E 93.01%
菅沼一孝 0.97%
大塚康雄 0.97%
河野映彦 0.97%
クルーバー従業員持株会 0.92%
渡邊剛伸 0.49%
佐藤大介 0.06%
岩城由悟 0.06%
菅原正巳 0.06%
山本直人 山中章功 0.05%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2019/03 単体実績 
493,316 176,723 110,153 1,214,082
2020/03 連結実績 
9,343,826 209,952 60,764 1,516,847
2021/03 連結実績 
9,922,951 465,528 290,914 1,771,192
2021/09 第2四半期連結実績 
4,800,391 257,465 165,739 1,833,484
ロックアップ情報
株式会社E&E、菅沼一孝、大塚康雄、渡邊剛伸、河野映彦は、上場後180日目の2022年6月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
14億7484万8000円(682,800株×2,160円)
潜在株数(ストックオプション)
57,800株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社クルーバー<7134>はカー&バイクの中古買取・販売を行う『アップガレージ』の直営及びFC展開、モール型ECサイト『Croooober.com』でのカー&バイク用品に特化したリユース品の買取・販売、ITプラットフォーム『NEXLINK』での新品カー&バイク用品の卸売販売などを手がける企業である。2012年にMBOにより上場廃止となっており再上場案件であるがファンドの株式保有はない。
 

■沿革

同社は1999年4月に中古カー用品販売を目的として設立された株式会社アップガレージが前身であり、2004年3月に東証マザーズ市場に上場した。その後、更なる業容拡大による成長などを目指し、2012年1月にMBOを行い同年4月に上場廃止となった。

上場廃止後に二度の組織再編を経て、現在の同社グループ(以下、同社)を形成している。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
MBOによる上場廃止後、2019年3月期からITプラットフォーム『NEXLINK』が立ち上がり、事業拡大を実現して今回のIPOに至った。
 

■事業内容詳細

同社は下記事業を手がけている。

・カー&バイクの中古買取・販売を行う『アップガレージ』
・ITプラットフォーム『NEXLINK』での新品カー&バイク用品の卸売販売
 

●カー&バイクの中古買取・販売を行う『アップガレージ』

1999年4月にカー用品の中古買取・販売を行うアップガレージ1号店をオープンした後、『アップガレージ』ブランドを中心に直営店及びFC店を展開しており、直営店44店舗、FC店195店舗となっている(2021年10月時点)。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
また2013年9月にモール型ECサイト『Croooober.com』(クルーバー・ドットコム)を立ち上げた。直営店やFC店が基幹システムと連携し即座に掲載可能であるとともに、FC店以外の企業や外部の販売店も加盟・掲載が可能。2015年5月からは海外対応も開始している。
 

●ITプラットフォーム『NEXLINK』での新品カー&バイク用品の卸売販売

同社は「東京タイヤ流通センター」サービスと「チェーン展開企業向けITプラットフォーム」サービスにより新品商品の卸売を展開している。いずれも同社が開発したITプラットフォーム『NEXLINK』をベースにしている。店舗側でのメーカー発注・納品管理・支払管理や、メーカー側での受注管理・納品連絡・在庫有無連絡・請求管理といった業務を『NEXLINK』を介して行うことで、一括管理・業務効率化・資金管理がシステム上で可能となる。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■2021年3月期部門別売上高

2021年3月期 売上高99億円(対前年同期比6.2%増)
・リユース業態 60億円(同8.9%増)
・流通卸売業態 40億円(同2.7%増)

『アップガレージ』を手掛けるリユース業態が、『NEXLINK』の流通卸売業態の売上高を上回っているが、両者の合算で売上高100億円に近い状態である。

MBO後、流通卸売業態の立ち上がり及び成長が行われ現在に至っている。
 

■業績推移

2019年3月期 売上高4.9億円、経常利益1.8億円、当期純利益1.1億円
2020年3月期 売上高93億円、経常利益2.1億円、当期純利益0.6億円
2021年3月期 売上高99億円、経常利益4.7億円、当期純利益2.9億円
2022年3月期(予想) 売上高102億円、経常利益5.5億円、当期純利益3.6億円
※2020年3月期より連結決算

現在のグループ形態での連結決算は2020年3月期から開始された。2021年3月期は対前年同期比で増収増益を達成している。特に経常利益は2.1億円から4.7億円に2倍以上となった。

2022年3月期は売上高102億円、経常利益5.5億円の増収増益を予想している。2022年3月期Q2(累計)は売上高48億円、経常利益2.6億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
 

■財務状況

2021年3月期末時点で資産合計40億円に対し純資産合計18億円、自己資本比率44%である。借入金7.6億円に対し現預金8.3億円を有している。MBO後に組織再編が行われたが、貸借対照表にのれんなどの計上はなされていない。尚、ソフトウェアなどが無形固定資産として1.9億円計上されている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)が2020年3月期2.3億円、2021年3月期9.7億円で推移している。2021年3月期は税金等調整前当期純利益4.3億円に減価償却費1.6億円未払消費税の増加0.9億円、未払費用の増加0.8億円、たな卸資産の減少0.7億円などが加わり営業C/Fは9.7億円まで増加した。
 

■資金使途

IPOにより11億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・システム開発投資 3.8億円
・『アップガレージ』の国内新規出店・改修投資 3.1億円
・海外新規出店投資 2.6億円

調達資金は事業拡大に向けて上記3者にバランスよく投じられる。
 

■株主構成

筆頭株主(株式シェア96%)の株式会社E&Eは石田社長中心の資産管理会社である。

石田社長の関係先で株式の9割以上が保有されており安定的な株主構成である。
 

■まとめ

カー&バイクの中古買取・販売を行う『アップガレージ』の直営及びFC展開、モール型ECサイト『Croooober.com』でのカー&バイク用品に特化したリユース品の買取・販売、ITプラットフォーム『NEXLINK』での新品カー&バイク用品の卸売販売などを手がける企業のIPO案件である。2012年にMBOが行われ上場廃止となっており、再上場案件であるがファンドの株式保有はない。

MBO実施時のカー&バイクの中古買取・販売を行う『アップガレージ』に加え、MBO実施後に新規事業としてITプラットフォーム『NEXLINK』での新品カー&バイク用品の卸売販売事業が立ち上がった。両事業で2022年3月期は売上高100億円、経常利益5億円の大台到達を予想しており、順調に進捗している。

コロナ禍を経て自動車及びバイク関連市場が活況を呈しているが、アフターコロナ時代も継続的な成長を行うことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、中古カー用品店アップガレージの持ち株会社であるが、子会社ではカー・バイク用品のリユース業態(直営店舗運営、フランチャイズシステムの運営、EC(電子商取引)サイト運営)と、流通卸売り業態を展開している。

上場市場は東証JASDAQ。 株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が57億円、2022年3月期の業績予想ベースのPERは15.9 倍となっている。2022年3月末の配当予想は1株40円、公開価格での配当利回りは1.85%。

事業の成長性は、自動車のリユース市場の規模は2兆4,000億円と途方もなく大きいが、これだけ市場が大きいと競合も多くひしめき合っており、上場したからと言って、抜きんでるのは難しく、過去にアップガレージはいったん上場したものの、その後、業績不振で上場廃止とした経緯も考慮すると成長性はさほど高くないと見ておいた方が良い。

セカンダリー市場におけるPERの水準で言えば、公開価格の15倍程度に業績連動で株価は動くと見た方が良いだろう。