イーサリアムの今後
(画像=PIXTA)

2021年5月時点でイーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額第2位の仮想通貨である。また「ICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)の基軸通貨」でもある。しかしイーサリアムの将来性が約束されているわけではない。それはなぜか。今後どういう評価を得るのだろうか?

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スマートコントラクトとブロックチェーンが変えた契約の世界

ICOという新しい資金調達手段の基盤技術であるスマートコントラクトとブロックチェーンとはどういうものなのだろうか。

代表的な仮想通貨であるビットコインは、もともと世界共通の通貨または決済システムとして開発された。ビットコインは開発当初からデータ処理の安全性を高めるための技術であるブロックチェーンを実装しており、この技術はその後、イーサリアムやその他の仮想通貨をはじめとしたIT金融サービスの根幹になっている。これによって、取引内容をブロックに書き込み、自律的に次のブロックに繋げていく非中央集権的システムの構築が可能になった。

ビットコインに続いて開発されたイーサリアム(仮想通貨名「ETH/イーサ」)は、分散型アプリケーションを実現させるためのプラットフォーム構築を目的としており、イーサリアムは一連のプロジェクトの名称であった。

この分散型アプリケーションのための技術として導入されたのが、スマートコントラクト。取引履歴がブロックチェーンに書き込まれるだけでなく、自動的に契約を執行するためのプログラムなどをマイニングできる点や、マイニングされたデータの偽造や改ざんが不可能である点が最大の特徴だ。

イーサリアムの特徴として次に重要なのは、ブロックの生成スピード、つまり取引承認スピードが大幅にアップしたことだ。ビットコインのブロック生成時間は約10分、イーサリアムは理論上、約15秒とされる。これによって処理できる取引量が増大したことも、イーサリアムベースのプラットフォームがICOで多く採用されてきた理由だと言えよう。

ICOの大半でイーサリアムが使われている

イーサリアムの代表的な特徴としては、スマートコントラクト技術の実装と分散型アプリケーションプラットフォームが挙げられる。こうした技術を搭載したイーサリアムは、比較的短期間で低コストの資金調達手段であるICOに非常に適した技術だった。その結果、多くのICO案件でイーサリアムベースのトークンが採用されることになり、ICO市場の拡大に貢献した。

2021年5月25日現在の仮想通貨時価総額ランキングをみると、合計時価総額は1兆8000億ドルのうち、第1位はビットコイン(BTC)で約6600億ドル、第2位がイーサリアム(ETH)で約2500億ドルである(CoinMarketCapによる)。

一方、ICO市場では大半のプロジェクトでイーサリアムベースのトークンが採用されている。イーサリアムにはERC20という統一規格が用意されており、独自のトークンを発行する際にERC20に準拠させれば、同規格のトークンウォレットを利用できるなどの汎用性を持たせることができる。さらに、ERC20のセキュリティ機能を強化した規格であるERC223やERC721も実用化されており、イーサリアムベースの規格はICOの標準規格と言っても過言ではない。

イーサリアムのスマートコントラクトと分散型アプリケーションプラットフォームという基盤技術、イーサリアムのプラットフォームを利用した新しいトークン発行の容易さ、そしてイーサリアムの汎用性こそが2017年にICO市場急拡大の原動力となったのだ。

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ICO市場の拡大とイーサリアムの大幅な価格変動

2017年中旬に始まったICO市場の急成長の立役者がイーサリアムであったことに異論はない。2018年ではイーサリアムの価格が続落したが、2020年の年末から2021年にかけて値上がりしており、2021年2月には最高値を更新した。

2017年5月からの価格上昇……複合的要因によるイーサリアムに対する期待感

2017年に急増したICO案件では、イーサリアムで新しいトークンを購入するプロジェクトが多く見られた。その結果イーサリアムの価格は上昇し、2017年5月から2018年1月までイーサリアムの時価総額は急騰、一時期はその規模が2017年5月当初の15倍にも拡大した。

2017年のイーサリアムの急激な価値の上昇は、ICOでの採用率の高さに加えて、同年2月のイーサリアムアライアンスの結成や、予定されていた同年10月のハードフォークの実施など複合的な要因によるものと考えられている。イーサリアム自体が開発途上にあるため、価値を上げるバージョンアップや環境整備が顕著に価格に反映された格好だ。

2018年1月以降の価格続落……きっかけは各国の仮想通貨取締強化

2018年1月下旬以降は、一時的に回復するもののイーサリアムの時価総額は相対的に右肩下がりとなった。2018年8月以降の価格の暴落など、現時点では価値は下落傾向にある。

2018年1月下旬の価格下落は、2017年12月の米証券取引委員会(SEC)による仮想通貨とICOの規制と摘発の発表がきっかけだった。2018年1月中旬、韓国が仮想通貨を全面禁止、中国が取締強化を発表、それに続いてドイツ・フランスが世界に仮想通貨の規制を提案したことなど、各国での規制強化がイーサリアムを含む仮想通貨相場に影響を及ぼした。

仮想通貨取引所コインチェックが外部から不正アクセスを受けて、2018年1月26日に約580億円分の仮想通貨NEMの流出が発覚した。その後の仮想通貨相場急落に呼応してイーサリアム価格も下落した。

同年6月14日にはSECより「イーサリアムは有価証券ではない」との見解が示されたものの、9月に至るまで価格の下落に歯止めがかからず、2018年9月14日時点では1年以上前の水準である217ドル程度まで価格を下げている。

ビットコインの価格が下げ止まり一定の水準を維持しながら推移する一方で、アルトコインの価格は現在も下落傾向にある。中でもイーサリアムの下落率は著しく、価格下落が止まる気配は見られない。

その理由としては、次のハードフォーク「コンスタンティノープル」の際にマイニング報酬の低減が実施されることや、マイニング方式の変更に関わる「キャスパー」へのハードフォークアップデートの12ヵ月延期が発表されたこと、イーサリアムに対する信頼性が低下したことによって複数のICOプロジェクトでイーサリアムが大量に売られた可能性など、複合的な要因が考えられる。

2021年に3年ぶりの最高値更新

2020年の3月から2021年にかけてビットコインの価格が上昇。それに伴い、イーサリアムの価格も急上昇した。2021年2月には20万円を突破し過去最高値を記録している。

イーサリアム(ETH)の販売所と取引所の違い

ここからは販売所を見ていくが、その前に両者の違いを確認しておきたい。実は取引所と販売所では取引や手数料の仕組みが異なり、その違いを理解することは重要だ

まず暗号資産販売所とは、顧客に対して暗号資産の売値と買値を提示し、顧客の相手方となって取引を成立させる業者のことだ。市場が突然大きく動かない限り、その業者が定める一定金額までなら顧客は提示された価格で暗号資産を購入、または売却することができる。

こうした販売所では取引手数料は無料としているが、実のところ手数料は価格の中に含まれている。スプレッドと呼ばれる売値と買値の差の中から、実質的な手数料が取られているのだ。このスプレッドは一定ではなく、市場環境によって変わる。

一方、取引所とは保有者同士の注文をつなぐ業者のことを指す。取引所の場合、顧客は約定金額に業者が定める料率をかけた金額を手数料として支払うことになる。

取引所の手数料率は業者によって異なるが、大体0.25%~0.5%程度だ。手数料率でいうと、販売所よりも取引所のほうが安い。ただし取引所では、望む数の暗号資産を望む価格で必ずしも買えるわけではない点には注意が必要だ。

「maker(メイカー)」と「taker(テイカー)」の違い

取引所では「メイカー」と「テイカー」で異なる取引手数料率を設定しているところが少なくない。取引所は受けた注文を、「板」というものに一覧で表示する。「メイカー」とは、この板に注文を乗せる人のことだ。

現在の気配値よりも安い価格での買い注文や、気配値よりも高い価格での売り注文(いわゆる「指値(さしね)注文」)が板に表示される。注文を出すことによって流動性を作り出しているので、「maker(作る人)」と呼ばれる。

一方、板に出ている注文を見て、それと取引しようとする人を「taker(取り去る人)」という。価格を指定しない「成行(なりゆき)注文」もテイカーだ。

買いの成行注文なら、板にある一番価格の安い売り注文と売買が成立する。売買が成立すると、板にあったその売り注文はテイカーによって取り去られる。取引所では、メイカーへの手数料をテイカーよりも高くしていることが多い。

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