ビットコインは2009年に誕生した世界初の仮想通貨です。2010年時点の1ビットコインの価値は約0.2円でしたが、2024年3月には1,000万円を超えるまでに上昇しました。
ビットコイン価格の今後の動向や将来性、買い時について興味も持っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、2024年のビットコイン価格に影響を及ぼす可能性の高いイベントや、著名な投資家の予想、テクニカル分析を取り上げ、ビットコインの今後を予想します。
ビットコイン価格は2024年どうなる?半減期やアメリカ大統領選挙に注目
2024年のビットコイン価格の動向について解説します。過去の価格推移を確認すると、ビットコインは例年8~9月に価格が下落し、10月から価格上昇へ転じる傾向があります。
また、2024年は「ビットコインの半減期」と「アメリカ大統領選挙」の2つのイベントに注目です。4月にビットコインが4回目の半減期を迎えたことや、11月に控えているアメリカ大統領選挙が今後のビットコイン価格に影響を与える可能性があります。
過去の周期的な価格変動を踏まえると、10月からBTC価格が上昇する可能性が高い
2013年から2024年にかけてのビットコイン価格の月別推移を分析すると、8月と9月にはやや下落傾向が見られ、10月から上昇に転じる傾向があります。特に10月は2014年と2018年を除き堅調な上昇を見せており、価格上昇が期待できる月と言えるでしょう。
一方、1月から4月にかけてはアメリカの確定申告時期と重なるため、価格下落のリスクが高まる時期です。
アメリカでは1月から確定申告のシーズンが始まり、4月15日が申告期限となっています。この期間中、納税に備えて保有資産の一部を売却する投資家たちが存在し、その動きがビットコイン市場に影響を与えている可能性があると一部アナリストが指摘しています。(参考:CoinDeskJapan)
8月から9月は「夏枯れ相場」と呼ばれる時期です。機関投資家やトレーダーが夏期休暇をとることから取引量が減少し、相場の動きが鈍化することで価格が下落する傾向にあります。
ビットコイン取引をおこなう場合は、年間を通じた価格変動パターンを十分に理解した上で投資戦略を立てることが推奨されます。
2024年4月の半減期の影響により、2025年4月以降にBTC最高値更新か
ビットコインは日本時間の2024年4月20日に4回目の半減期を迎えました。
ビットコインの半減期とは?
約4年ごとに実施される、ビットコインのマイニング報酬(ブロック報酬)が半分になるイベントのことです。
このイベントにより、マイナー(ビットコインのブロックを生成する個人または団体)が受け取る報酬が半減されるため、市場へのビットコイン供給量が減少します。その結果、需要と供給のバランスが変動し、価格が上昇する傾向が見られます。
過去3回実施されたビットコインの半減期では、その後1年から1年半かけて価格が上昇。いずれも過去最高値を記録しています。
過去のパターンにもとづくと、2025年4月から9月までの間に過去最高値を更新する可能性が高いと考えられます。
アメリカ大統領選挙の結果次第で、BTC価格上昇の可能性あり
2024年のビットコイン価格は、2024年11月に控える米大統領選の結果が大きく影響する可能性があります。2024年7月時点では民主党のジョー・バイデン氏と、共和党のドナルド・トランプ氏が支持率を争っていましたが、7月21日にバイデン氏が米大統領選挙からの撤退を表明しました。バイデン氏の後任としては、副大統領のハリス氏が民主党からの支持を得ています。
2024年7月23日時点のRealClearPoliticsによる世論調査平均では、トランプ氏がハリス氏に対して1.7%の支持率優位を保持している状況です。
トランプ氏は仮想通貨に対して友好的な姿勢を示しているため、同氏が大統領として当選すれば仮想通貨市場に好影響を与えることが期待されています。2024年5月には同氏のWebサイトにて、仮想通貨による政治献金を受け付けると発表しました。
仮にこのままトランプ氏の優勢が続けば、当選の期待による価格上昇が11月まで続き、当選発表日に大きく価格上昇する可能性が考えられます。
FOMCの利下げが発表されれば、BTC価格上昇の可能性あり
2024年のビットコイン価格は、FOMC(連邦公開市場委員会)の発表にも大きく左右される可能性があります。FOMCが「年内の利下げ実施回数を増加する」と発表した場合、ビットコイン価格の大幅な上昇が予想されます。
FOMCとは?
引用:SMBC日興証券|FOMC(エフオーエムシー)
FOMCとは、「Federal Open Market Committee」(連邦公開市場委員会)の略で、米国の金融政策を決定する会合のことです。日本日銀金融政策決定会合にあたります。FOMCは年に8回開催され、現在の景況判断や政策金利(FF金利)の方針が発表されます。その結果が市場予想と大きく乖離した場合には、株式市場や為替レートが大きく変動することがあり、世界の金融マーケットにも大きな影響を及ぼします。
利下げが実施されると、市場に資金が流入しやすくなります。その結果ビットコインのようなリスク資産への投資が活性化し、ビットコインの価格上昇につながる傾向があります。
2024年7月9日に実施された議会証言において、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は具体的な利下げ時期を明言しませんでしたが、「利上げの可能性は低い」と述べました。
7月30日、31日に予定されているFOMCで利下げ時期が発表されることが期待されているため、ビットコインの価格は上昇傾向にあります。
FOMCは年に8回実施されており、2024年の今後のスケジュールは以下の通りです。
■2024年のFOMCの開催日程
開催日程 | |
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第5回 | 7月30日・31日 |
第6回 | 9月17日・18日 |
第7回 | 11月6日・7日 |
第8回 | 12月17日・18日 |
FOMC発表時は、内容によってビットコイン価格が大きく変動します。短期トレードをおこなう場合は、事前に利確しておくなどリスク管理を徹底する必要があります。
投資家による今後のビットコイン価格予想
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏や、マイクロストラテジー社の共同創業者であるマイケル・セイラー氏など、著名な投資家によるビットコイン価格の将来予想を紹介します。
ロバート・キヨサキ氏|2025年8月までに10万5,000ドル
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者として知られる投資家のロバート・キヨサキ氏は、2024年7月23日のX(旧Twitter)での投稿において、トランプ氏が大統領選挙で再選された場合、2025年8月までに1BTCが10万5,000ドル(約1,600万円)に達する可能性があると述べています。
キヨサキ氏は、トランプ氏がドル安政策を推進することで輸出が増加し、雇用創出がもたらされると考えています。
その結果、新たな工場建設が活発化し、金や銀、ビットコインなどの価格が上昇するというのがキヨサキ氏の予測です
(日本語訳)
引用:X|Robert Kiyosaki @theRealKiyosaki
トランプが再び大統領になると、なぜ金、銀、ビットコインの価格が上昇するのか。トランプ氏はドル安を望んでおり、アメリカは輸入よりも輸出を増やすだろう。ドル安になれば雇用は戻り、資産価格は上昇するだろう。
(中略)
ドル安になると輸出が増加し、雇用が創出され、新しい工場が開設され、金、銀、ビットコイン、株、不動産の価格が上昇します。私は、2025年8月までに、金は1オンスあたり2,400ドルから3,300ドルに、銀は1オンスあたり29.00ドルから79.00ドルに、ビットコインは1コインあたり67,400ドルから105,000ドルに上昇すると予測しています。
マイケル・セイラー氏|将来的に1,000万ドル
マイクロストラテジー社の共同創業者であるマイケル・セイラー氏は、2024年6月22日に公開されたインタビュー動画で「将来的にビットコイン価格は1,000万ドル(約15億円)まで上昇する」と語りました。
セイラー氏は、将来的に中国の人々や政府がビットコインを受け入れ始めれば、1BTC=1,000万ドルが実現すると予想しています。
ジュリアン・ティマー氏|2035年までに1億ドル
投資に関するソリューション・サービスを提供するFidelity社のグローバルマクロディレクターであるジュリアン・ティマー氏は、2023年8月に開催されたオンラインセミナーにて「2035年までに1BTCが1億ドル(約150億円)まで高騰する」と語っています。
トム・リー氏|2024年中に15万ドルまで上昇
投資アナリストのトム・リー氏は、2024年5月にCNBCの経済番組に出演し、ビットコインの価格が2024年中に15万ドル(約2,300万円)まで達する可能性があると語りました。
リー氏は、FRB(米連邦準備制度理事会)が市場予想よりも金融緩和的な政策を支持する「ハト派」姿勢を見せている点を指摘。FRBによる金融緩和の可能性が市場回復を後押しし、ビットコイン価格上昇の要因になるとの見解を示しています。
参照:トム・リー「仮想通貨冬の時代の終わり」を宣言、 ビットコインは2020年頃に最高値を更新と予想
アンソニー・スカラムーチ氏|2025年後半に24万ドル
ヘッジファンド運営会社スカイブリッジ・キャピタル創業者のアンソニー・スカラムーチ氏は、2024年2月のポッドキャストにて「4月にビットコインが6万ドルをつけた場合、2025年後半には24万ドル(約3,700万円)まで上昇する」との予想を語りました。
価格上昇の理由として、前回の半減期後にビットコイン価格が4倍になった事実を挙げています。
実際に、2024年4月にビットコインは6万ドルを超え7万ドル以上の高値を記録しました。スカラムーチ氏の予測が正しければ、2025年後半には24万ドルまで上昇する可能性があるでしょう。
ビットコインはいつが買い時?価格トレンドをテクニカル分析!
2024年3月から7月(4ヵ月間)の短期間と、過去3年の長期間のビットコイン価格のチャートを分析しました。現在のトレンドを分析して買い時を見極めたい人は、ぜひ参考にしてください。
短期(4ヵ月)-ダブルトップ否定が上昇の鍵
2024年3月から7月までの週足チャートでは、ダブルトップが形成されており、価格が大きく下落する可能性が懸念されていました。しかし、7月23日時点での価格動向は上昇に転じており、ダブルトップを否定する動きを見せていることから、今後も上昇が続く可能性があります。このトレンドが続けば、以前の最高値である約1,120万円を再度試す動きが予想されます。
ダブルトップとは?
引用:マネックス証券|ダブルトップ&ダブルボトム
相場の天井を示すチャートパターンで、天井が二つあるチャートの形です。 株価が大きく上昇した後にいったん下落し、再び前回上昇した株価近くまで上昇し、下落に転じたときのチャートの形で、アルファベットの「M」のような形のチャートです。
ただし、ダブルトップ形成後に一時的な価格上昇を見せながら、その後大きく下落するケースもあります。
ボトムライン(約880万円付近)を下回った場合、価格が以前停滞した約630万円付近まで下落するシナリオも考えられるため、慎重な判断が必要な局面だと言えるでしょう。
長期(3年)-今後も上昇トレンド継続か
ビットコインの価格を2021年1月から2024年7月までの長期チャートで見ると、2021年11月から続いた下降トレンドが2023年1月に終了し、以降は上昇傾向が続いています。特に2023年10月からは明確な上昇トレンドが形成されているため、前回高値の約1,125万円付近を再度試す動きが予想されます。
日足チャートを確認すると、2024年7月に一時的に200SMA(200日移動平均線)を下回ったものの、その後は回復して上昇する動きを見せている状況です。
2021年9月~11月、2023年3月、2023年8月~9月の期間にも類似した動きを見せ、その後に価格上昇を記録していることから、今後も上昇トレンドが継続する可能性が高いと推測されます。
ビットコインの将来性は?今後も価格が上昇すると期待できる理由
ビットコイン価格が今後も上昇する可能性がある点について、その将来性を解説します。
ビットコインは発行上限が定められており、希少性が価格上昇の一因となっています。また、今後ビットコインを法定通貨として採用する国が増える場合、価格上昇の可能性はさらに高まるでしょう。
2024年1月にビットコイン現物ETFが承認され、大口投資家や機関投資家からの資金流入が容易になった点も、今後の価格上昇が期待できる理由のひとつです。
希少性がある
ビットコインの発行上限は2,100万BTCと決まっており、これ以上発行されることはありません。この希少性の高さが、価格上昇の要因のひとつとなっています。
ビットコインはその性質から、地球上で限られた存在量を持つゴールド(金)と比較されることがあります。しかし、ゴールドは今後新たな鉱脈の発見や採掘技術の向上により、供給量が増加する可能性があります。
一方、ビットコインの発行上限は厳密に定められているため、むしろゴールドよりも希少性が高い存在と言えるでしょう。
法定通貨として採用される可能性がある
ビットコインの価格上昇を後押しする要因のひとつに、法定通貨としての採用が挙げられます。国がビットコインを法定通貨として採用すれば、必然的に需要の増加が見込まれ、価格上昇につながる可能性があります。
2021年9月にはエルサルバドルが、2022年4月には中央アフリカ共和国がビットコインを法定通貨として採用しました。
2021年9月4日、エルサルバドルがビットコインを法定通貨とする法令を施行した際は1BTC=約550万円でしたが、同年11月には約770万円まで価格上昇しています。
また、2024年5月にはアルゼンチンの証券取引委員会(CNV)の委員長と副委員長が、エルサルバドルのデジタル資産委員会(CNAD)と会合を開き、ビットコインを法定通貨に採用した点についてヒアリングしました。
エルサルバドルと中央アフリカ共和国に続き、アルゼンチンがビットコインを法定通貨として採用すれば、需要の増加にともなう価格上昇が期待できるでしょう。
ETFが承認されたことで底が固い
2024年1月にビットコイン現物ETF(上場投資信託)が承認されたことで、ビットコインの将来性は一段と明るくなりました。ETFの承認は大口投資家や機関投資家からの資金流入を容易にし、価格下落後の回復を早める一因となっています。
これまで、ビットコインの価格が大幅に下落した際には、パニック売りにより価格が下落し続ける傾向が見られました。
しかし近年では、価格が大きく下落した際には機関投資家が大量のビットコインを購入する傾向があります。実際に2024年7月5日にビットコイン価格が下落した際も、現物ETFへの純流入額が増加しました。
今後もビットコインの価格が大幅に下落した場合、同様に押し目買いを狙った現物ETFへの資金流入が予想されます。価格回復が早くなったことから底が固くなり、長期的な価格上昇への期待が高まっています。
ビットコインは将来性がない?暴落する可能性を解説
ビットコインには希少性や法定通貨に採用される可能性、ETF承認による資金流入といった将来性がある一方で、投資リスクも存在します。
主なリスクとして、51%攻撃やクジラ(大口投資家)による大量売却が挙げられます。これらの要因が発生すると、ビットコイン価格が下落する可能性があるため注意が必要です。
51%攻撃のリスク
ビットコインが暴落する可能性のひとつとして、51%攻撃のリスクが挙げられます。
51%攻撃とは?
引用:DMM Bitcoin|51%攻撃
ビットコインはブロックチェーン技術を採用した、非中央集権型の通貨です。ブロックチェーンの取引承認作業は多数決方式が採用されており、この非中央集権の仕組みにはいくつか問題があります。その内の1つが51%攻撃です。多数決方式で承認作業を行っていると、仮にそれが間違った取引であっても、51%の人が正しいと認めてしまえば正しい取引として承認されてしまいます。これを作為的に行うのが51%攻撃です。
ビットコインの意思決定には多数決方式が採用されています。そのため、ブロック生成者(マイナー)の51%がハッキングされると、過去の取引の改ざんやマイニング(ビットコインのブロック生成)報酬の独占が可能です。
このような事態になればビットコインの信頼が損なわれ、価格が暴落してしまう可能性があります。
ただし、実際にビットコインマイナーの51%をハッキングするには、膨大な設備や資金が必要です。取引を改ざんして得られる利益よりも、ハッキングに必要なコストのほうが高くなってしまうため、実際に起こる可能性は低いと考えられます。
とはいえ、将来的な技術革新により51%攻撃のリスクが高まる可能性は否定できません。こうしたリスクを考慮し、ビットコインを唯一の資産として保有し続けるのではなく、利益を確定して定期的に法定通貨に交換しておくことで、51%攻撃のリスクを回避できます。
クジラ(大口投資家)による大量売却
ビットコインが暴落する要因のひとつとして、クジラと呼ばれる大口投資家による大量売却のリスクが挙げられます。大口投資家がビットコインを大量に市場に放出すると、価格が一時的に暴落します。急激な価格変動は一般投資家によるパニック売りを引き起こし、価格のさらなる下落を招く可能性があるでしょう。
実際に2024年6月から7月にかけて、ドイツ政府が保有していた総額約49,858BTC(約4,500億円)を売却したことで、価格の下落が発生しました。
6月19日に売却が始まった当初から、市場では売り圧の警戒が高まり、価格が下落を始めました。その後、翌月11日に売却がほぼ完了するまで下落は続きました。その結果、6月19日時点で1BTC=約1,030万円だった価格は、7月11日には約950万円まで下落しています。
ドイツ政府によるビットコインの大量売却後、機関投資家や大口投資家による押し目買いがおこなわれ、ビットコイン価格は再び回復しました。
しかし、2024年7月25日時点のBitInfoChartsのデータによると、ビットコイン保有者上位10名の合計保有量は約116万3,717BTC(約1兆1,400億円)で、今回ドイツ政府が売却したビットコイン数量の約23倍に相当します。この事実は、ビットコイン市場における大口保有者の影響力の大きさを示しています。
仮に上位10名の保有者がビットコインを同時にすべて売却した場合、価格の暴落は避けられず、市場に大きな混乱を引き起こすでしょう。
大口保有者がいつビットコインを売却するかは、予測不可能です。そのため51%攻撃への対策と同様に、ポートフォリオの分散化や定期的な法定通貨への交換など、リスクヘッジを検討することが推奨されます。