【目次】
①️QDレーザIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(1/26追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(1/21追加)

会社名
株式会社QDレーザ
コード
6613
市場
マザーズ
業種
電気機器
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 菅原 充 /1958年生
会社住所
神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号
設立年
2006年
社員数
50人(2020年11月30日現在)
事業内容
半導体レーザ、網膜走査型レーザアイウェアおよびそれらの応用製品の開発・製造・販売
URL
https://www.qdlaser.com/
資本金
763,310,000円 (2020年12月28日現在)
上場時発行済み株数
34,584,180株
公開株数
13,559,400株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/01/20→300~340円に決定
ブックビルディング期間:2021/01/21 - 01/27
公開価格決定:2021/01/28→340円に決定
申込期間:2021/01/29 - 02/03
上場日:2021/02/05→初値797円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:水戸証券
引受証券:極東証券
大株主
東京センチュリー(株) 13.02%
MGI Global Fund L.P. (常任代理人 Mitsui&Co. Global Investment, Inc.) 12.45%
グローバル・イノベーション・ファンド 11.30%
グローバル・イノベーション・ファンドⅡ 8.75%
アクサ生命保険(株) 6.80%
グローバル・イノベーション・ファンドⅢ 6.59%
菅原充 5.17%
Beyond Next Ventures1号投資事業有限責任組合 2.67%
第一生命保険(株)(常任代理人株式会社日本カストディ銀行) 2.67%
リアルテックファンド1号投資事業有限責任組合 2.66%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/03 単体実績 
664,017 -1,075,219 -1,128,917 245,935
2019/03 単体実績 
960,986 -996,094 -1,040,521 2,130,953
2020/03 単体実績 
756,633 -1,225,739 -1,240,167 1,729,699
2020/09 第2四半期単体実績 
339,894 -419,872 -581,707 1,147,992
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年5月5日まで
または、上場後180日目の2021年8月3日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
37億2883万5000円(13,559,400株×275円)
潜在株数(ストックオプション)
3,068,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社QDレーザ<6613>は半導体レーザ技術をもとに、各種デバイス開発やメガネ型ディスプレイなどの応用製品の開発販売を行う企業である。

富士通の量子ドットレーザ技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として2006年に設立されている。
 


■沿革
同社は創業者の菅原社長は富士通及び東京大学との産学協同の開発体制の下で、量子ドットレーザ技術開発の先駆者としてスタートした。そして富士通及び三井物産の両社のVC資金を活用して、富士通の量子ドットレーザ技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として同社は2006年4月に設立された。

同社はかつて実現不可能といわれた光通信用量子ドットレーザの量産化に世界で初めて成功した。量子ドットレーザはデータ通信用に用いられるが、シリコンに融合させて光源とすることで非常に優れたシリコンフォトニクス光源となる。


■事業内容
同社はレーザ技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っており下記2事業を展開している。

・レーザデバイス事業
・レーザアイウェア事業

●レーザデバイス事業について
光通信・シリコンフォトニクス、バイオ系検査装置、精密加工、各種センサといった用途向けに、レーザ技術を用いた製品の開発・製造・販売を行っている。また研究機関からの基礎技術の研究開発や、メーカーの新規アプリケーションの光源開発を行う開発受託業務も行っている。
 


●レーザアイウェア事業
レーザアイウェア事業は、レーザ網膜投影技術を使ったメガネ型ディスプレイ(網膜走査型レーザアイウェア)をファブレスで製品開発・製造を行っている。網膜走査型レーザアイウェアは、メガネ型フレームに内蔵された超小型レーザプロジェクタから網膜に直接画像を投影し、装着者の視力やピント位置に影響されることなくカメラの撮像画像や外部入力されたデジタル情報を見せられる製品である。

組み立て作業中に手順書を見る際などに利用される民生用に加えて、医療機器も開発済みであり、2020年1月に日本国内医療機器製造販売承認を得た(不正乱視により視力が障害された眼鏡等でも十分な視力が得られない患者に対し、視力を補正する目的で使用される)。尚、欧州でも臨床試験を完了している。
 
 

■2020年3月期の事業部別の売上高
2020年3月期売上高7.6億円、営業利益▲12億円
・レーザデバイス事業6.7億円(対前年同期比▲30%減)、セグメント利益0.2億円(同90%減)
・レーザアイウェア事業0.9億円(同30%増)、セグメント利益▲10億円(同▲9.8億円)

全体売上の約9割はレーザデバイス事業から計上されている。レーザデバイス事業は対前年同期比で減収の一方で、レーザアイウェア事業は1億円に満たない売上であるが増収とはなっている。


■業績推移
2018年3月期 売上高6.6億円、経常利益▲11億円、当期純利益▲11億円
2019年3月期 売上高9.6億円、経常利益▲10億円、当期純利益▲10億円
2020年3月期 売上高7.6億円、経常利益▲12億円、当期純利益▲12億円
2021年3月期(予想) 売上高9.7億円、経常利益▲7.4億円、当期純利益▲9.0億円

赤字決算でのIPOであり、年間約▲10億円の赤字が継続している。売上高についても2020年3月期は若干の減収となり、減益幅が拡大することになった。

2021年3月期はレーザデバイス事業売上6.7億円(対前年同期比+34%増)、レーザアイウェア事業売上0.6億円(同▲29%減)の予想であり、レーザデバイス事業の増収により増収及び赤字幅縮小を予想している。いずれも積み上げ式での売上予想である。尚、2021年3月期Q2(累計)は売上高3.4億円、経常利益▲4.2億円。

2021年3月期は増収となるものの、今後の成長の柱として期待されているレーザアイウェア事業は2022年3月期以降の事業本格立ち上げとなっている。

■財務状況
2020年3月期末時点で資産合計29億円に対し、純資産合計17億円、自己資本比率59%である。借入金6.4億円に対し、現預金15億円を有している。

キャッシュ・フロー計算書では2020年3月期の営業活動によるキャッシュ・フロー▲12億円に対し、投資活動によるキャッシュ・フロー▲2.0億円、財務活動によるキャッシュ・フロー12億円である。また2019年3月期は財務活動によるキャッシュ・フロー29億円であり、毎期多額の資金調達が行われている。

■資金使途
IPOにより28億円の資金調達を行う。レーザアイウェア事業の事業拡大に伴う量産に向けて、製造費用の原材料費・労務費・製造経費等に調達資金は充当予定である。

■株主構成
多数のVCが株主参入しておりVC比率は73%である。主要VC且つ売出を行うMGI Global Fund L.P.(株式シェア12%)、グローバル・イノベーション・ファンドⅡ(同8.8%)及びグローバル・イノベーション・ファンドⅢ(同6.6%)はIPO後180日のロックアップ契約を締結。また他のVCもIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。第3位株主のグローバル・イノベーション・ファンド(同11%)は保有全株式を売出にて売却する。尚、グローバル・イノベーション・ファンドの名称が付されているファンドは富士通系のファンドである。

菅原社長は第7位株主であり株式シェア5.2%を有するが、うち5.1%が潜在株式となっている。


■まとめ
富士通の量子ドットレーザ技術に基づく光デバイスのベンチャー企業として設立された企業のIPO案件である。年間▲10億円の赤字が続く中でのIPOとなっている。

実現不可能といわれた光通信用量子ドットレーザの量産化に成功するなど自社のレーザ技術に優位性がある。ただし今後の事業拡大を期待するメガネ型ディスプレイの開発・販売を行うレーザウェア事業は、2020年3月期時点で売上1億円以下のため、これから立ち上げを行う事業である。

IPOにより28億円の資金調達を行うが、現状では約2期分の事業運営資金となる。どのようなスピード感で成長を果たし黒字化するのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、レーザー技術製品の開発・製造・販売事業を展開している。

目論見書を読むと、レーザー技術の用途は多岐に渡り、用途は多能面にありそうだが、売上に繋がっていないと現実があり、2021年3月期も赤字の業績予想となっている。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が117億円、今期は赤字の業績予想の為PERは計算不能となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が53億円と大型のIPOとなるため、通常なら初値は前場の早い時間に付くと考えられるが、2021年の初IPO銘柄というご祝儀的な買いが入れば、初値が付くまでに少し時間を要するかもしれない。それでも、後場に持ち越されることはないと考えられる。

セカンダリー市場においては、VCが発行済株式数の72.8%も保有しており、需給はかなり緩いと考えておくべきである。株価が公開価格の1.5倍を超すと一気に売りが出て来ると考えられるので、1.5倍近辺の株価からの上値は重くなるとみておくべきだろう。

中長期的な株価の動きは、当社は3月決算なので、5月のGW明けには決算が開示され、来期の業績予想が出て来る。仮に来期に黒字転換できるような予想が出てくれば、その時点から株価は大きく動くと考える。