アールプランナーIPOレポート

【目次】
①️アールプランナーIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(1/29追加)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(1/25追加)

会社名
株式会社アールプランナー
コード
2983
市場
マザーズ
業種
不動産業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 梢 政樹 /1975年生
会社住所
愛知県名古屋市東区東桜一丁目13番3号
設立年
2003年
社員数
240人(2020年11月30日現在)
事業内容
戸建住宅事業、その他不動産事業
URL
https://www.arrplanner.co.jp/
資本金
50,000,000円 (2021年1月6日現在)
上場時発行済み株数
1,270,000株
公開株数
400,000株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2021/01/21→2,090~2,210円に決定
ブックビルディング期間:2021/01/25 - 01/29
公開価格決定:2021/02/01→2,210円に決定
申込期間:2021/02/02 - 02/05
上場日:2021/02/10→初値5,000円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:野村證券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
大株主
梢政樹 28.53%
古賀祐介 25.58%
Ko.International(株) 24.59%
TreeTop(株) 19.68%
安藤彰敏 0.20%
舟橋和 0.20%
森川祐次 0.15%
山崎寛征 0.15%
楯純二 0.15%
廣角祐輔 桒原辰哉 村上和也 0.15%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/01 単体実績 
12,002,292 465,840 336,671 888,861
2019/01 連結実績 
16,635,122 679,486 423,504 1,512,268
2020/01 連結実績 
19,183,073 593,760 434,139 1,946,407
2020/10 第3四半期連結実績 
15,035,197 231,046 153,042 2,099,450
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年5月10日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
8億3600万0000円(400,000株×2,090円)
潜在株数(ストックオプション)
16,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社アールプランナー<2983>は愛知県を中心に分譲住宅の建築及び販売などを手掛ける、名古屋市に本社を置く企業である。
 


■事業内容詳細
同社は下記の2事業から構成されている。

・戸建住宅事業
・その他不動産事業

ただし2020年1月期売上高は戸建住宅事業184億円、その他不動産事業7.2億円であり、売上の殆どが戸建住宅事業から計上されている。

■戸建住宅事業について
住宅・不動産業界は、住宅または不動産のどちらかに特化した会社が多数である。同社は「デザイン力・商品力×不動産情報力×集客力×販売力」を強みとすることで、戸建住宅事業における「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のビジネス展開を可能としている。

「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」を一体としたことで、住宅購入に関する顧客ニーズをワンストップで解決できる体制を構築し、顧客の囲い込みも可能としている。
 

また同社は注文住宅事業と不動産事業を一体で事業展開することで、住宅購入の全てのステージにおける顧客対応ができる。不動産事業で不動産仲介を行う中で、豊富な土地情報が社内に蓄積され、注文住宅購入を希望する顧客に対し最適な土地情報を提供し、分譲住宅においては建築に適した用地の確保が可能である。

尚、具体的には「アールギャラリー」、「Fの家」、「A GALLERY」の3ブランドでの注文住宅の提供及び、「アールギャラリー」の住宅分譲が行われている。
 

●販売拠点及び集客戦略
同社の販売拠点は下記である。(いずれも2020年11月30日現在)

・住宅展示場・ショールーム等 愛知県内11箇所、東京都内3箇所
・不動産店舗 愛知県内9箇所

同一エリア内に住宅展示場と不動産店舗を開設することで、同社内の事業間の連携を密にして顧客の利便性の向上に寄与している。また「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のシナジーを最大限活用できる体制としている。

集客については、「デジタル」と「リアル」の両者で行っており、顧客が不動産店舗、住宅展示場、ショールーム、Webサイト、SNS、広告等の、どの手段を使っても同社にたどり着く全方位型の集客戦略を実行中である。

■業績推移
2017年1月期 売上高90億円、経常利益4.8億円、当期純利益2.7億円
2018年1月期 売上高120億円、経常利益4.7億円、当期純利益3.4億円
2019年1月期 売上高166億円、経常利益6.8億円、当期純利益4.2億円
2020年1月期 売上高192億円、経常利益5.9億円、当期純利益4.3億円
2021年1月期(予想) 売上高220億円、経常利益4.3億円、当期純利益2.8億円
※2019年1月期より連結決算

着実な増収を続けているが、経常利益は2019年1月期の6.8億円がピークとなる。ただし当期純利益は2020年1月期がピークである。

2021年1月期は売上高200億円の大台突破を予想するが、経常利益は対前年同期比で減益の4.3億円での着地の予想となっている。

尚、2020年1月期決算での上場申請であり、期越え決算での上場となる。


■財務状況
2020年1月期末時点で資産合計151億円、純資産合計19億円、自己資本比率13%である。

借入金95億円に対し、現預金23億円及び販売用不動産51億円、仕掛販売用不動産59億円を有している。主に借入金にて不動産仕入れの資金手当てが行われている。

キャッシュ・フロー計算書において営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)は、2019年1月期▲9.5億円、2020年1月期▲11億円であり、マイナスでの推移が続いている。

不動産の仕入れ増加によるたな卸資産の増加(2019年1月期▲17億円、2019年1月期▲22億円、マイナスが増加)のため、営業C/Fはマイナスとなっている。


■資金使途
IPOにより6.4億円の資金調達を行う。調達資金は主に土地仕入費用及び建築費用に充当する予定である。


■株主状況
梢社長が筆頭株主であり株式シェアの29%を有している。また2位株主は古賀会長であり同26%を保有。

また第3位株主Ko.International株式会社(株式シェア25%)は古賀会長(代表取締役)の資産管理会社、第4位株主TreeToP株式会社(同20%)は梢社長の資産管理会社である。

尚、同社は2003年10月に古賀現会長が設立し社長に就任した。その後2013年8月に梢社長及び古賀会長の体制となり、現在に至っている。

古賀会長及び梢社長の関係先で90%以上の株式が所有されており、安定的な株主構成である。


■まとめ
愛知県中心に注文住宅及び分譲住宅の建設販売などを手掛ける企業のIPO案件である。「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のワンストップのビジネスモデルを特徴としている。

着実な増収を続けており、2021年1月期は売上高220億円、経常利益4.3億円の予想となっている。ただし経常利益は2019年1月期の6.8億円がピークであり、2020年1月期は対前年同期比で経常利益は減益でのIPOである。

コロナ禍の影響ある中でも増収は続けられている。IPO後は増収に加えて増益も果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、愛知県で戸建て住宅事業を展開しているが、関東の一都三県へも進出し事業拡大を狙っている。 

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が28億円で業績予想ベースのPERが10倍となっている。同業他社との比較でPER10倍はIPOディスカウントがほとんど考慮されていない水準となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が10億円と少額であり、需給面ではタイトと言えるが、成長性の観点から、上値を追うような買い手は多く存在しないと考えるので、初値は前場の遅い時間までには付くと推測する。

セカンダリー市場においては、既存の大株主に90日間のロックアップがあり、またVCなどの売り急ぐ株主はいないため、当面は需給面では不安はない。当社は1月決算であることから、3月中旬には決算発表があり、翌期の業績予想が開示されることになり、大幅な増収増益となれば、その時点から買われる可能性もあるが、横ばい程度の業績予想となるようであれば、売られる展開もありえる。株価が動くポイントとしては、今期は無配の予想だが、来期以降に配当がでるようであれば、配当利回りという観点から株価の見直しが入る可能性がある。