(画像=編集部作成)

【目次】
①️日本調理機IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
日本調理機株式会社
コード
2961
市場
市場第二部
業種
金属製品
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 齋藤 有史 / 1970年生
会社住所
東京都大田区東六郷三丁目15番8号
設立年
1947年
社員数
543人(2021年8月31日現在)
事業内容
厨房機器の開発・製造・販売等
URL
http://www.nitcho.co.jp/
資本金
597,600,000円 (2021年10月6日現在)
上場時発行済み株数
1,118,572株
公開株数
253,000株
連結会社
なし
スケジュール
仮条件決定:2021/10/20→2,610~2,710円に決定
ブックビルディング期間:2021/10/22 - 10/28
公開価格決定:2021/10/29→2,710円に決定
申込期間:2021/11/01 - 11/05
上場日:2021/11/09→初値2,750円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:大和証券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:岩井コスモ証券
引受証券:極東証券
引受証券:アイザワ証券
引受証券:エイチ・エス証券
引受証券:光世証券
引受証券:東洋証券
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:水戸証券
引受証券:むさし証券
大株主
(有)第一エア工業 21.08%
田中幸子 10.75%
齋藤德子 10.57%
日本調理機従業員持株会 10.48%
齋藤隆哉 8.19%
田中成和 3.79%
黒澤公雄 3.14%
西山昌子 3.12%
佐藤由美子 3.03%
齋藤有史 2.31%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/09 単体実績 
16,605,341 490,977 342,860 5,139,772
2019/09 単体実績 
16,164,069 400,304 267,232 5,289,579
2020/09 単体実績 
15,902,295 491,640 332,089 5,513,369
2021/06 第3四半期単体実績 
9,754,342 -241,754 -178,425 5,219,179
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目の2022年5月7日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
6億8563万0000円(253,000株×2,710円)
潜在株数(ストックオプション)
13,500株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
日本調理機株式会社のビジネスモデル解説

日本調理機株式会社<2961>は1947年に設立された業務用厨房機器の開発・製造・販売などを手掛ける老舗企業である。
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

■事業内容

同社は業務用総合厨房機器メーカーである。製品の製造販売のみならず、設備・機械等のハード面から、導線・運用・アフターフォローといったソフト面を考慮した厨房システムの企画、開発、設計、生産、施工、アフターサービスに関する一連の事業を展開している。

同社の主力製品は食器洗浄機、食器消毒保管機、回転釜、炊飯器、スチームコンベクションオーブン等である。厳格な品質管理のもと、栃木工場並びに大分工場の2工場体制で生産を行っている。
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

●販売・施工部門

同社は国内すべてのエリアをカバーすべく、支店・営業所を全国に設置してエリア別に営業活動を推進する。また広域営業部において設計事務所及び全国に展開する一般企業に対する営業活動を実施している。一方で業務統括本部品質管理部施工課では、施工に関する支援業務及びコントロールを行っている。
画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書

●設計・開発部門

同社は顧客の要望に合わせてカスタマイズした製品を供給するため、受注生産が基本である。顧客の要望や問題点の分析結果をもとに設計部門で最適なカスタマイズ設計を行い、生産部門に引き渡すことで顧客満足度の高い製品の供給を可能としている。
 

●生産部門

栃木工場と大分工場の2工場体制で、1947年の創立以来培われてきた職人の技と各種機械制御技術を融合させ、耐久性と安全性の高い製品を生産する。大分工場は消毒保管機及びスチームコンベクションオーブンが主体であり、それ以外の製品については栃木工場で生産している。
 

●アフターサービス部門

同社では「製品とサービスはワンパッケージ」という考えのもと、アフターサービスに力を入れている。業務統括本部コールセンターを中心に工場に配置されたカスタマーサービス部ならびに各営業拠点に配置されたカスタマーエンジニアが相互に連携し、保守点検、修理、相談に迅速に対応できる体制を確立している。また営業拠点のカスタマーエンジニアは、1年単位の研修を実施した後に再配置する仕組みとしており、本仕組みで全国で同一のサービス提供が可能である。
 

■中長期の経営戦略

同社は設立当初より携わってきた学校給食部門をベースに、地域密着の直販体制による営業活動を行い、医療や福祉関係の給食部門、社員食堂等の事業所給食や中食、外食産業の多様化に対し広域な販売体制を整備している。

その上で下記の戦略を実行する。

・一括設備の販売強化策
・製商品の入替促進強化策
・修理・保守点検による機器営業タイミングの情報収集

国内全ての学校給食センターの施行年の把握や、納品後5年(病院)や10~15年(学校関係)が経過する先などの豊富な顧客情報をもとに、適切な提案時期を見極め機器の更新ニーズを捉え顧客の深掘りを行う計画である。
 

■業績推移

2018年9月期 売上高166億円、経常利益4.9億円、当期純利益3.4億円
2019年9月期 売上高162億円、経常利益4.0億円、当期純利益2.7億円
2020年9月期 売上高159億円、経常利益4.9億円、当期純利益3.3億円
2021年9月期(予想) 売上高171億円、経常利益6.3億円、当期純利益4.2億円
2022年9月期(予想) 売上高170億円、経常利益5.3億円、当期純利益3.4億円

売上高160億円前後、経常利益4~5億円で安定的に推移している。経常利益は2016年9月期11億円、2017年9月期8.9億円であり、2018年9月期以降は一段下がった利益水準で推移している(売上高は横ばい)。ただし2017年9月期までの決算は未監査である。

2021年9月期は売上高171億円、経常利益6.3億円の増収増益を予想している。ただし2022年9月期は売上高170億円の大台は維持されるが、経常利益5.3億円と若干の減益予想である。

2020年9月期が公開申請決算期であり、期越え決算でのIPOである。
 

■財務内容

2020年9月期末時点で資産合計123億円に対し純資産合計55億円、自己資本比率45%である。借入金4.6億円に対し現預金26億円を有している。

資産合計123億円のうち、売掛金45億円、現預金26億円などで流動資産92億円が計上されている。
 

■資金使途

IPOにより4.3億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。

・九州支店の建屋新築 1.5億円
・残額を繁忙期の仕入増加等による支払い決済のための運転資金 2.8億円

調達資金は主に運転資金に充当される。
 

■株主構成

齋藤社長は株式の2.3%(うち0.1%は潜在株式)を保有している。また取締役の親族として第3位株主齋藤德子氏(株式シェア11%)、第5位齋藤隆哉氏(同8.2%)、西山昌子氏(同3.1%)、池田由希子氏(2.1%)、西山秀康氏(1.1%、うち0.1%は潜在株式)が存在する。

個人中心の株主構成であり金融機関やファンドの株主参入はない。
 

■まとめ

1947年に設立された業務用厨房機器の開発・製造・販売などを手掛ける老舗企業のIPO案件である。

全国の給食センターで厨房機器などを手掛けるなど、給食用の厨房機器に強みを有している。また全国展開を行うことで、全国各地での業務用厨房機器ニーズに応えている。

業績は売上高160億円前後、経常利益4~5億円で安定的に推移している。既存顧客でもある各地の給食センターの厨房機器の更新ニーズを把握しており、今後も業績は安定的な推移が続くと予想される。

安定的な業績を維持する中でのIPOであり、IPOを契機に成長に向けた事業展開を行うことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、企業リスク管理プロダクトの開発・導入・販売、セキュリティ分野に関する各種コンサルティング及びプロダクト導入・販売の事業を展開している。特徴は、G:ガバナンス、R:リスク、C:コンプライアンス(以下GRC)およびS:セキュリティーの視点に着目し、外部環境の変化に伴う企業課題を解決するところにある。上場市場は東証マザーズ。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が47億円、2021年11月期の業績予想ベースのPERは32.49倍となっている。VC保有の株式が売出し後も発行済株式の13%あり、ロックアップ解除の株価周辺では上場後の需給に影響する可能性もある。上場当日の株価動向は、資金吸収額が13億円とさほど大きくないことから、需給はタイトで、初値は前場の遅い時間もしくは後場の早い時間帯に付くと予想する。

セカンダリー市場においては、11月決算なので、1月中旬には来期の業績予想が出て来るが、これまでと同じ成長ができるなら、来期の利益は今期の2倍程度は行けそうだ。12月はIPOが多く、上場後は売り込まれるはずなので、公開価格程度まで押したらチャンスが到来するかもしれない。