本記事は、坂口康司氏の著書『堅実な資産運用をしたいならこの1冊! レンタルスペース投資の教科書』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています

「レンタルスペース」は時間貸し

近年急成長しているレンタルスペース投資ですが、最近の投資概念なので、「よくわからない」という人も多いでしょう。

まずわかりやすく定義をいたします。

簡単にいうと一時期市場が急成長した、「民泊」の時間貸し版と考えてください。

時間貸しでの部屋貸しということであれば、「貸し会議室」に近いでしょうか。

たとえば、ビジネスユースで「高田馬場」駅でオンラインによる打ち合わせをしたい場合、レンタルスペース専用のプラットフォームで「高田馬場 6月6日15時~17時 会議・打ち合わせ」と入力し検索をすると、対象の部屋がずらっと出てきて、1時間800円くらいでオンラインでの打ち合わせをできるスペースを見つけられます。

宿泊ではなく、お客様がお金を払って、数時間の滞在をして、心地良い時間を過ごすことで「レンタルスペース」ビジネスが成り立っているのです。

ただ、貸し会議室はビジネスユースがメインですが、パーティーとか撮影スタジオ(人物写真、人物動画、商品写真の撮影など)での利用など幅広い借り方・貸し方があるのがレンタルスペースビジネスです。

「パーティーはわかるけれども撮影利用って何?」

そう思う方もいらっしゃるでしょう。

具体的に説明すると、ネットショップを運営している人がちょっとした商品の撮影をするためにオフィスから近くて、撮影環境が整っているレンタルスペースで、商品撮影をすることがあります。

また、カメラが趣味の人が、SNSなどでモデルをやってくれる人をつのって、モデルを撮影したり、コスプレを着せて撮影したりするために使用します。

ほかにもマッサージ系のサロン、プライベートレッスン用のジム・ダンススタジオなどもあり多種多様な利用方法があるのが、レンタルスペースなのです。どのような利用方法にも共通点があるのが時間あたりでレンタル料をお客様からいただくということ。

ですから、レンタルスペースは「時間貸し」といわれています。

最近はシェアビジネスが盛んになり、空間をシェアするビジネスが増えてきました。

レンタルスペースと似たような言葉の業態が多いので、各業態の違いを説明します。

・シェアオフィス
複数社が共同で利用するオフィス。

・コワーキングスペース
個人が作業するブースなどが併設されていて、フリーランスや企業が共同で利用するオフィス。会議室や企業向けブースがある施設もある。

・シェアハウス
複数人で居住する住居。キッチンやトイレなどは共有で、それぞれの個室があることが多い。

自己所有でなくても始められる

さて、レンタルスペースについて話してきましたが、それではレンタルスペース投資とはどういった人が始められるのでしょうか?

「そういう物件がらみの商売は、やっぱりお金持ちがやるものなのでは?」

不動産投資に似た感覚を持つ方も多いので、こういった意見もよく聞きます。しかし、物件を所有する必要はありません。

確かに大家が空いた部屋を時間貸しでお客様に貸すこともありますが、圧倒的多数はビジネスパーソンが副業として、部屋を借りて、それをお客様に貸すことで収益を得ています。それがレンタルスペース投資の特徴です。

(1)大家→空き部屋をお客様に貸す
(2)ビジネスパーソン→空き部屋を大家から借りる→お客様に貸す

つまり、自分で物件を買わずに借りて、必要とするお客様に時間貸しして収益を上げていくのがこの投資のビジネスモデルです。

物件を借りてお客様に貸して収益を上げるレンタルスペース「オーナー(不動産の借り手)」からレンタルスペースの設営・運営を受託し代行する会社で最大手のスペースモールが手掛ける案件だと、空き部屋を借りて運営しているのが90%以上とのことです。

このことからもわかるように、物件を買わずに借りて、誰かに貸すことで運営しているオーナーが多くいることがわかります。

なぜそういった運営スタイルを選ぶのでしょう。

一つはリスクの少なさにあります。

不動産投資のように、物件を所有するためには、多くの資金が必要です。融資を受けなければ、不動産の所有などなかなかできないもの。

また苦労して不動産を取得しても、それを貸す段階で、借り手が見つからなかった、借り手は見つかったけれどもいざ貸してみたら家賃を払ってくれない、近隣トラブルを起こしてしまった、など大きなリスクも付きまとうのです。

不動産投資は安定収益を生みやすい投資ですが、このように様々な要因により、融資金額を返済できないリスクもはらむ投資方法なのです。

それに比べると、レンタルスペース投資は物件を購入するのでなく、物件を借りるため、初期投資が安く済みます。

こちらの費用感は後ほど詳しく説明しますが、だいたい初期投資金額が100万円から150万円ほどあれば、魅力的なレンタルスペースを作ることが可能で、利益も見込める物件が作れます。

月々の家賃の支払いはありますが、それを上回る収益を上げることで、堅実にお金が入ってくるビジネスモデルです。

だいたい業界水準だと月に10万円ほど収益が上がると良い方でしょう。

そして、最悪収益が見込めない場合は契約を解除してしまえば、翌月からは支払いがなくなるため、損切もできます。

つまりレンタルスペース投資はローリスクである程度の堅実的なリターンが望める投資方法なのです。

どうやって物件を見つける?

ただ、レンタルスペースとして使える物件はどうやって見つければいいのか疑問に思った方もいるでしょう。

一番良い方法はレンタルスペース専門の不動産屋に物件を紹介してもらうことです。東京では1社、大阪でも1社あります。

東京の会社はニューオ株式会社、大阪では株式会社ルナエステートという会社がレンタルスペースに特化して営業しているので、こちらにまずは問い合わせをするところから始めるのがおすすめです。

これらの会社は自社でもレンタルスペースの運用をしているので、立地、駅からの距離、ニーズのあるエリアを把握していて、実績の出し方もわかっているため頼りになります。

また、ほかには物件探しから全てを丸投げできる運用代行会社などもありますが、丸投げでなく自分自身の力でレンタルスペース投資をしたい方はレンタルスペース専門の不動産屋で物件情報を入手しましょう。

おすすめの物件条件は?

おすすめは築古のアパート・マンションです。

とにかく初期費用とランニングコストを抑えることを考えてください。また、先ほども話しましたが、レンタルスペースは時間貸しビジネスです。

それがゆえに築古の物件であっても室内のインテリアや壁紙を工夫することで、数時間のお客様の滞在時間の利用であれば十分にニーズに応えるものになります。

意外と見落としがちなのが、レンタルスペースが認められているかどうかということです。まず物件を見つけたら、特にマンションなどの場合には、建物の規約を確認しましょう。

せっかくレンタルスペース向けの物件を見つけて、初期投資を行っても、利用者の騒音などが問題で、営業できなくなってしまうということもあり得るのです。ですからまずは、転貸可能なのかどうか、マンションなのであれば、管理規約は不特定多数の利用を想定しているかどうか確認を取りましょう。

そして、比較的騒音クレームに繫がりにくく、管理規約が厳しくない事務所用物件もおすすめです。住人が少なく、パーティーで盛り上がる夜の時間帯は人が少ないため、利用者がうるさくしても問題になりにくいからです。

また、建物の構造は、鉄骨鉄筋コンクリートが理想ですが、鉄筋コンクリートも良いです。当然ですが、音が響きにくい・洩れにくいつくりになっていますので、安心して運営ができますね。

住人が住んでいるかどうかも確認してください。

特に上と下の階、両隣の部屋に住人がいるかどうかは重要です。また、オフィス利用など居住目的以外の利用であれば大丈夫です。

最近は近隣トラブルなども大きな問題ですから、借りる前にこういったことも確認をしておきましょう。

騒音を気にする理由としては、レンタルスペースをパーティー目的で貸す場合、騒音クレームに繫がるリスクがあるからです。

レンタルスペース投資ではパーティーが一番収益の上がる貸し方です。

当然多くの人数が集まり、お酒を飲んだり、ゲームしたりするので、盛り上がり、大きな話し声が近隣には聞こえるでしょう。

そのために、警察に通報されたり、あなたのレンタルスペースをお客様に向けて掲載する集客プラットフォームに苦情が来ることもあります。そうすると、掲載を停止されてしまうこともあるのです。

せっかく入居を許可されてレンタルスペースを始めても、パーティーのうるささが想像以上になると運営そのものがNGになる可能性があるので注意が必要です。

最近、レンタルスペースが流行りということもあり、「儲かる」ということで手早く契約をしてしまう人もいるのですが、物件を見極めないと、早期撤退に繫がったり、書き入れ時の夜に営業できなくなり売上が毎月の家賃を下回ることで赤字が続いてしまう危険性もあります。ですから、はやる気持ちを抑えて慎重に物件は選びましょう。