株式への投資といえば日本国内の企業の株の売買が中心でした。しかし近年は、海外株式への投資環境が整っている証券会社が増えています。海外株式の代表的なものに米国株がありますが、新興国の株式ではインドネシア株に注目する人が増えています。この記事では、インドネシア株の基礎知識と、インドネシア株を取り扱うおすすめの証券会社について紹介します。

インドネシア株を知る前の基礎知識

(画像=PIXTA)
 

インドネシア株を掘り下げていく前に、インドネシアについての基礎知識を確認しておきましょう。

インドネシアマーケットの特徴

インドネシアの正式名称は、インドネシア共和国といいます。東南アジアに位置する国でASEAN(アセアン)に加入する国の一つです。製造業や商業・ホテル・飲食業、農林水産業などが主要産業に挙げられます。2020年時点の人口は約2億7000万人と日本の倍以上、2019年の名目GDPは1兆1191億米ドルと年々上昇傾向です。今後も成長が期待できるマーケットといえるでしょう。

国名 インドネシア共和国
首都 ジャカルタ
面積 約192万平方キロメートル(日本の約5倍)
人口 約2億7,00万人(2020年、インドネシア政府統計)
通貨 ルピア(1000インドネシアルピア=約8円、2021年10月29日時点)
GDP(名目) 1兆1191億米ドル(2019年)

インドネシア株は新興国市場に分類される

インドネシア株は、新興国市場に分類されます。新興国とはすでに成熟している先進国に比べて成長の余地があり、今後も大きく成長が見込まれている国のことです。ASEAN(アセアン)でも中心的な役割を果たすインドネシアは、名目GDPが年々上昇。2010年の7 551億米ドルから2019年には1兆1 191億米ドルと10年で約1.48倍の成長となっており、今後の成長も期待されています。

インドネシア株の手数料

株の売買を行う際には取扱手数料が発生します。ここでは、インドネシア株の手数料について見てみましょう。

インドネシア株の手数料情報

インドネシア株の手数料は証券会社によって異なりますが、1~2%程度の間に設定されている傾向です。また証券会社ごとで最低手数料も設定されています。インドネシア株を何度も売買する場合には、最低手数料についてもあらかじめ確認しておきましょう。

日本とどちらが安いか

日本株とインドネシア株の手数料を比べると日本株のほうが安いようです。インドネシア株の手数料が1~2%程度に対して、日本株は一定の条件を満たせば手数料が無料のケースもあります。インドネシア株の手数料が高い理由は、インドネシア株がどうしても現地の証券取引所を通しての売買取引となるためです。

日本株とインドネシア株のどちらに投資するのかを迷っている場合は、企業の成長性だけではなく売買したときにかかる手数料も考慮して検討する必要があるでしょう。

インドネシア市場と日本市場の3つの違い

手数料以外にもインドネシア市場と日本市場の違いがあります。インドネシア株の取引は、原則日本の証券会社を通じて行います。以下の3つの違いについては、日本の証券会社を通じてインドネシア株の取引をした場合でも影響を受けるため、注意しておきましょう。

取引時間

インドネシア市場と日本市場の違いの一つが取引時間です。基本的に株の取引は、証券取引所の営業時間内に行います。日本市場(東京証券取引所)の場合は、以下の時間が取引できる営業時間です。

・月曜日~金曜日
前場:9時~11時30分
後場:12時30分~15時

インドネシア市場では、以下の時間が取引時間です。

・月曜日~木曜日
前場:9時~12時(日本時間11時~14時)
後場:13時30分~16時(日本時間15時30分~18時)

・金曜日
前場:9時~11時30分(日本時間11時~13時30分)
後場:14時~16時(日本時間16時~18時)

値幅制限

値幅制限とは、株の大幅な値動き(急騰や急落)による影響を抑えるために設けられた、変動幅の制限をいいます。1日の売買は、値幅制限内でしか行えません。値幅制限は、前日の終値などを基準に設定されます。日本市場の値幅制限は、基準値段100円未満から5000万円以上まで30以上の区分に分かれているのが特徴です。

例えば1500円未満なら基準値段の上下300円、3000円未満なら基準値段の上下500円が値幅制限です。インドネシア市場の値幅制限(現地ルール)は、次のようになっています。

・50~200ルピア:+35%、-10%
・200~5000ルピア:+25%、-10%
・5000ルピア~:+20%、-10%
※1000ルピア=8円程度(2021年10月29日時点)

取引単位

日本株の場合、一般的に100株を1単元として1単元ごとに株式の売買が行えます。インドネシア市場においても取引単位は、原則100株です。

インドネシア株投資で失敗しないために

ここからは、インドネシア株投資で失敗しないために気を付けたい点を4つ見ていきましょう。

成長見込みがない銘柄には投資をしない

インドネシア株は、新興国市場に分類されています。上述した通り新興国は今後大きく成長が見込まれている国をいいます。しかし日本株と同じように成長する企業もあれば、成長しない企業もあります。

インドネシア株の投資で成功するには、投資する企業が成長しそうかどうかを見極め、成長見込みがない銘柄には投資をしないことが重要です。

インドネシアの株価指数チェックに慣れる

インドネシア株投資で失敗しないためには、インドネシアの株価指数チェックに慣れることが必要です。日本株に投資している場合は、日経平均株価などの株価指数やチャートをチェックしながら大まかなその日の株の動きを見ていきます。インドネシアにおいて日本の日経平均にあたる株価指数がジャカルタ総合指数です。

「ジャカルタ総合指数」は、簡単にいうとジャカルタ証券取引所に上場される全銘柄の調整時価総額加重平均指数です。インドネシア株式市場の代表的な株価指数で1982年8月10日(基準日)の時価総額を100としています。

インドネシアの経済指数チェックに慣れる

インドネシア株投資で失敗しないために慣れておきたいもう一つの指数が、インドネシアの経済指数です。経済指数とは、経済指標ともいい物価や金利、景気や貿易など経済を構成する要因を数値化したもの。これらの指数を見て今後のインドネシア市場の動向や株価を確認していきます。インドネシアでも消費者物価指数や政策金利、GDPや貿易収支など指数はさまざまです。

しかし日本と動きが異なることも少なくありません。これらの動きに慣れておくことでインドネシア株投資での失敗を減らすことができるでしょう。

ある程度言語は理解できるように

インターネットが普及した時代においては、日本語のサイトでインドネシアの株価指数や経済指数を表示しているところも多くあります。しかし「詳しい指数を確認する」「リアルタイムに指数を確認する」「企業の業績や目標などを確認する」といったことを行うためには、ある程度言語は理解できるようにしておいたほうがい いでしょう。

インドネシア株のデメリット

インドネシア株は、新興国市場の株のため、これから成長が期待されます。しかしメリットだけではなく当然デメリットもあります。インドネシア株の主なデメリットは、以下の2つです。

情報収集が難しい

インドネシア株のデメリットとして真っ先に挙げられるのが、情報収集の難しさです。米国や欧州とは異なり、インドネシアの株式市場やインドネシアにある企業の詳しい情報まで記載しているサイトはそうありません。ニュースなどでも取り上げられることも多くないため、情報収集する難易度は高いといえるでしょう。そのため正しい投資判断ができない恐れあります。

インドネシア株に投資する場合は、証券会社などに記載されている情報に目を通したり、ファンダメンタル分析をしっかり行うなど、自分で情報収集し分析する方法を確立しておきましょう。

為替リスク

インドネシア株に限りませんが、海外株式へ投資する場合は、為替リスクが伴います。為替リスクとは、為替レートの変動により損失が生じる可能性があるということです。例えば売却時に株価が上がっていても為替レートが購入時よりも円高になっている場合は、損失になる可能性があります。また先進国と比較してインドネシアのような新興国は、為替レートの大幅な変動が起きる可能性が高い傾向です。

インドネシア株に投資する場合は、特に為替レートに気を配っておく必要があるでしょう。

インドネシア株を購入できるおすすめの証券会社

ここからは、インドネシア株を購入できるおすすめの証券会社を紹介します。

SBI証券

SBI証券は、インドネシア株をはじめとする新興国市場の株をたくさん取引できる証券会社です。現地手数料・現地諸費用が無料で、インドネシア市場の立会時間中はリアルタイムで取引ができます。そのため初めてインドネシア株の取引をする人にもおすすめです。

取引手数料 約定代金の1.1%
最低手数料 26万1800インドネシアルピア
(2021年10月29日時点で約2100円)
現地手数料・その他現地諸費用 無料
取り扱い銘柄数 73銘柄
ルピアでの残高保有 可能

※2021年10月29日現在

アイザワ証券

アイザワ証券は、アジア株のパイオニアとしてアジア株ナンバーワンを自ら宣言しており、アジア株にかなりの力を入れている証券会社です。

取引手数料 対面取引手数料:2.2%
インターネット・モバイル発注:1.65%
コールセンター発注:1.98%
コンサルネット発注:2.2%
最低手数料 5500円(買いの場合のみ)
現地手数料・その他現地諸費用 取引手数料に含む
取り扱い銘柄数 117銘柄
ルピアでの残高保有 不可

※2021年10月29日時点

楽天証券

楽天証券は、インドネシア株の取引でも楽天ポイントがたまるのが特徴です。また手数料も低く設定されています。

取引手数料 対約定代金の1.1%
最低手数料 550円
現地手数料・その他現地諸費用 無料
取り扱い銘柄数 72銘柄
ルピアでの残高保有 不可

※2021年10月29日時点

まとめ

インドネシア株は新興国市場に分類されています。そのため将来的に発展していく余地があり、これから大きく成長が見込まれます。このことは、名目GDPが10年で約1.48倍に成長していることからもうかがえるでしょう。しかしインドネシア株には、情報収集が難しいことや為替リスクがあるなどのデメリットもあります。

インドネシア株で成功するためには、デメリットを頭に入れつつ投資を行うことが必要です。