現物株への投資の場合、100万円の資金であれば100万円分の株式しか購入できません。しかし「レバレッジ(てこ)」を使った投資であれば手元の資金以上の金額への投資が可能になります。
この手法は、少ない資金でより大きな利益を狙いたい人に向いている方法です。今回は、レバレッジを使った投資の一つ「日経平均CFD取引」の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
日経平均CFD取引とは
CFDとは「Contract for Difference」の略で「差金決済取引」という意味です。差金決済取引では、金融商品の購入代金や売却代金の受け渡しは行いません。取引で発生する損益だけを受け渡します。仕組みは、外国為替証拠金取引「FX」と似ており証拠金を取引する会社に入金し、レバレッジをかけてその証拠金の何倍かの金額の取引ができる仕組みです。
また「売り」「買い」のどちらからでも始められる点もFXと似ています。CFDで取引される対象商品は、日経平均などの「株価指数」、金や銀などの「商品」、国債などの「債券」というようにさまざまです。日経平均CFD取引は、これらの中の株価指数CFDにあたります。レバレッジは、10倍ほどに設定している会社が多い傾向です。
また日経平均株価を利用した取引となるため、ニュースなどでも動向が報道されており値動きが分かりやすい一面があります。個別株のようにわざわざ銘柄ごとの検索は必要ありません。
日経平均CFD取引のメリット
日経平均CFD取引には、多くのメリットがあります。以下の5つのメリットについて詳しく確認してみましょう。
・少ない資金で始められる
・24時間取引できる
・手数料が安い
・倒産リスクがない
・売りからも始められる
少ない資金で始められる
日経平均CFD取引は、レバレッジを効かせて取引できます。証拠金の約10倍の金額を投資に使うことができるのです。例えば証拠金が10万円の場合、10倍となる100万円までの投資が可能になります。少額な投資金額でもレバレッジをかけることで大きな金額の取引ができるため、大きな利益を狙うことが期待できます。
24時間取引できる
日経平均CFD取引は、ほぼ24時間取引が可能です。そのため仕事が忙しく夜中や土日しか時間が取れない人でも取引しやすいでしょう。
手数料が安い
日経平均CFD取引は、手数料が安いことも魅力の一つです。なかには、取引手数料無料としている会社もあります。手数料を気にせず何度も取引できるため、利益を得る機会が増えるといってもよいでしょう。また投資のコストを気にする人でも安心して取引できます。
倒産リスクがない
日経平均CFD取引は、株価指数の「日経平均株価」を利用した取引のため、個別株投資のように企業の倒産リスクなどはありません。「どの銘柄が値上がりしそうか」「倒産リスクがない銘柄はどれなのか」など、一つ一つ調べる必要もありません。
売りからも始められる
現物株投資とは違い日経平均CFD取引は「売り」から始めることも可能です。「これから日経平均株価が下がる」と予想する場合は売りからスタートし、後日買戻しを行うことでその差額が利益となります。相場がどのように動いても利益を得るチャンスがある点は、現物株投資や投資信託にはない魅力といえるでしょう。
日経平均CFD取引のデメリット
「レバレッジがあるため、少ない金額で投資ができる」「売りから始めることができる」といったメリットがある日経平均CFD取引ですが、下記のデメリットがあることも忘れてはいけません。
・高いレバレッジ取引はリスクが高い
・確定申告が必要
高いレバレッジ取引はリスクが高い
日経平均CFD取引は、証拠金として差し入れた金額の約10倍の取引が可能です。ただ日経平均株価が予想と違う動きをした場合は、損失が出る可能性があります。高いレバレッジをかけて投資をしていた場合は、それだけ損失が大きくなるため注意しましょう。
確定申告が必要
CFDで利益が出た場合、「雑所得」扱いになり現物株取引のように特定口座での源泉徴収はできないため、確定申告が必要です。年間の損益計算も自分で行うことが必要なため、認識しておきましょう。証券会社の中には、損益計算と損益計算書の出力がホームページ上からできる会社もあります。計算が面倒な場合は、そのようなところを選んで取引するのもいいでしょう。
ちなみに損失が出た場合は、以下の所得との損益通算ができます。損失が出た場合は翌年以降3年まで損失の繰り越しができ、利益から控除することが可能になるため、覚えておきましょう。
・FX
・国内取引所の有価証券先物取引・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引
・国内取引所の商品先物取引
・国内取引所の取引所金融先物取引
※株式取引との損益通算はできません。
日経平均CFD取引ができる証券会社
日経平均CFD取引が行える会社の中からおすすめの会社を4つ紹介します。レバレッジや手数料や勉強用資料についてなどそれぞれの特徴を確認して、自分に合ったところを探してみましょう。
IG証券
IG証券は、CFDだけでなくFX、バイナリーオプションの取引ができることで知られている会社です。日経平均CFD取引のレバレッジは、10倍となっています。IG証券では、無料のデモ口座で投資の練習ができるため、投資に慣れていない人は利用してみましょう。
またIG証券の最大のメリットとして、無料で利用できる投資の学習システムが充実している点が挙げられます。デモ口座を開設しておけばホームページ上から閲覧できるため、時間を作ってチェックしてみてはいかがでしょうか。
GMOクリック証券
GMOクリック証券の日経平均CFD取引のレバレッジは、10倍です。それほど大きなレバレッジを求めていない人に向いているでしょう。また何度取引をしても手数料は無料です。この点もなるべくコストを負担したくない投資家のニーズに合っています。スマホアプリやデスクトップツールだけでなく、ブラウザからでも取引ができるため、自宅でも外出先でも相場のチェックが可能です。
さらに24時間電話サポートがある点は、24時間取引ができるCFDでは非常にありがたいサービスといえるでしょう。
SBI証券
ネット証券会社大手としても有名なSBI証券の日経平均CFD取引(くりっく株365)は、レバレッジが約20~60倍と非常に高いのが魅力です。レバレッジはヒストリカルボラティリティと日経平均株価の値動きにより毎週変動します。限月(げんげつ)は、15ヵ月と比較的長めになっているため、慌てず好きなタイミングで取引ができる点もメリットです。
※限月とは先物・オプション取引で、取引できる期限の月のことです
なお手数料は1枚あたり156円(税込み)となっています。SBI証券でCFD取引を行う際は、証券総合口座を持った上でCFD(くりっく株365)取引口座の開設も必要です。最短で申し込みと同時にCFD取引口座の開設ができるため、すぐに取引を始めたい場合はぜひ利用しましょう。
楽天証券
楽天証券の日経平均CFD取引のレバレッジは10倍で取引手数料が無料となっており、コストをかけずに取引をしたい人に向いている証券会社です。限月がないため、期限を気にせずに取引できます。またCFD取引の年間損益計算や損益計算書の出力がホームページ上から行えます。確定申告の際の手間を省ける点は、見逃せないメリットです。
なお現在楽天証券に証券口座を持っている人でも、FX口座を開かないと日経平均CFD取引はできません。
日経平均CFD取引を始める手順
日経平均CFD取引を始める手順を紹介します。現物株や投資信託への投資に比べリスクが高くなっているため、手順をよく確認することが重要です。
CFD取引の仕組みを理解する
はじめに、CFD取引の仕組みを熟知することが重要です。会社によっては、学習用の資料をホームページ上で公開している場合もあるため、上手に活用しましょう。さらに「デモ取引」で取引の雰囲気やツールの使い方が学べる会社であればなお良いといえます。
CFD口座を開設する
CFD取引の仕組みを理解できた後は口座の開設です。証券会社の場合は、証券総合口座を保有している場合でも別途「CFD取引専用口座」を開設する必要があります。証券総合口座もない場合は、両方の口座を開設しないといけません。会社によって必要な提出書類が異なるため、よく確認した上で口座開設手続きを行ってください。
また急いで取引を始めたい場合は、インターネット上で申し込み手続きがすべて完了できる会社を選ぶようにしましょう。本人確認書類やマイナンバー関連書類もアップロードで提出できるところであれば口座開設までの時間も節約できます。
CFD取引を開始する
CFD口座の開設ができたら取引開始です。取引する場合は、先に証拠金の入金が必要です。CFD口座への入金方法もチェックしてください。できれば銀行口座と連動できリアルタイムで証券口座へ入金できるシステムがあるところがいいでしょう。口座を開設する時点で入金しやすい会社を選んでおくことをおすすめします。
日経平均CFD取引は少ない資金で大きな取引が可能!ただしリスクには要注意!
日経平均CFD取引は、約10倍のレバレッジを効かせて取引できます。そのため少ない資金でも大きな金額の取引が可能です。利益を手にするチャンスが幅を広げることができる点は、メリットといえるでしょう。さらにCFD取引は「売り」から取引を始めることも可能です。株価が今後下がると予想される場合でも利益を取れる可能性がある点は、現物株取引にはない最大の魅力でしょう。
ただし日経平均が予想とは違う動きをした場合は、損失が発生します。特に高いレバレッジをかけて取引をしていた場合、損失が非常に大きくなることもあるため、気をつけましょう。日経平均CFD取引は、メリットやデメリット、取引の仕組みをよく知ったうえで取引を始めてください。