投資対象として注目を集めている商品の一つが「金」です。金は、株と同じように相場があり、日々値動きがあるため、安い時に買って高い時に売ることで利益を上げられます。

では、どのように金に投資すればよいのでしょうか。また金の今後の値動きはどうなるのでしょうか。ここでは、金の今後からおすすめの証券会社まで紹介します。

過去5年間の金の価格推移

(画像=PIXTA)
 

はじめに2021年における過去5年間の金価格の推移を見ていきましょう。金の取り扱いのある2社の過去5年間の金価格は以下の通りです。

年度 参考平均小売価格(税抜き)(1グラムあたり)
2016年 4396円
2017年 4576円
2018年 4543円
2019年 4918円
2020年 6122円

出典:田中貴金属工業「金年次価格推移」

年月日 金地金販売参考価格(1グラムあたり)
2017年9月29日 5027円
2018年9月28日 4671円
2019年9月30日 5647円
2020年9月30日 7086円
2021年9月30日 6858円

出典:第一商品「金地金販売参考価格」

2社の金の価格推移を見てみると多少の上下はありますが、おおむね直近5年は上昇し続けていることが分かります。そのため特別な事象がない限り、今後も金の価値は上がることが予想され投資商品としても選択肢の一つとなり得るでしょう。

金の価格が右肩上がりとなっている背景

ではなぜ金の価格は右肩上がりなのでしょうか。考えられる理由の一つに、投資商品として世間の認知が広がったことが挙げられます。直近5年で金の取引についてテレビや新聞、ネットなどの広告をよく見かけるようになりました。特に証券会社を通じてネットで簡単に金の取引ができるようになってからは、より一層投資商品としての認知が広がっています。

また2020年以降の金の値上がりについては、新型コロナウイルスも大きく影響しています。コロナの感染拡大によって世界中で不安が広がり、より安心・安全とされる金に資金が流れました。

金の価値はどんなときに上がるのか

ではコロナ禍のような特別な理由をのぞいて、一般的にどのような場合に金の価値は上昇するのでしょうか。ここからは、金の価値が上昇する要因について見ていきましょう。

需要と供給のバランスが傾いたとき

金に限らずどの投資商品にもいえることですが、投資商品の価格相場は需要と供給のバランスによって決まります。需要と供給の量が同じであれば値は一定です。しかしどちらかにバランスが傾いた時に値が動きます。例えば金を買いたい人と売りたい人が同じ量なら、価格は常に一定です。しかし売りたい人より買いたい人が多い場合は、他の買いたい人よりも高いお金を出さないと購入できません。

そのため金の価格は上昇していくのです。このように供給よりも需要が多くなった場合に、金の価値は上昇します。

インフレの懸念があるとき

供給よりも需要が多くなった場合に金の価値は上昇します。では、どのような場合に金を買いたい人が増えるのでしょうか。金を買いたい人が増える要因の一つがインフレ懸念です。インフレとは、物価が上昇している状態のこと。物価が上昇しているということは、裏を返せば現金の価値が低くなっているということです。

例えば「これまで100円出せば購入できていたものが120円出さないと購入できない」ということなので、現金の価値が下がっていることになります。今後、インフレがますます進むと懸念される場合は、「現金を価値が下がる前に他の資産に変えておこう」と考える人が多くなるのです。金は「有事の金」とも呼ばれ、他の投資商品に比べてリスクヘッジ資産として考えられている一面があります。

そのためインフレが懸念されると金を購入する人が増え、供給よりも需要が多くなるため、金の価格が上昇するのです。

円安

円安も金を買いたい人が増える要因の一つです。円安とは、他の通貨と比べて円の価値が下がること。例えば1米ドルの商品を購入する際に1米ドル=100円の場合は、100円で商品を購入できます。しかし1米ドル=120円の場合は、120円出さないと同じ商品を購入することができません。インフレと同様に100円出せば購入できていたものが120円出さないと購入できなくなります。

つまり日本円の価値が下がっていることになるのです。そこで日本円の価値が下がる前に金を購入する人が増え、供給よりも需要が多くなるため、金の価格が上昇します。

地政学的リスクが高まったとき

金を買いたい人が増えるのは、インフレや円安など物価の変動によるものだけではありません。地政学的リスクが高まったときも金の需要が高くなります。地政学的リスクとは、地理等の環境が国や地域に与える政治や経済へのリスクです。例えばテロや紛争などがあります。テロや紛争が起こるとその国や地域の政治、経済が混乱する可能性があります。

その国や地域の貨幣の価値も下がる可能性があるため、「価値が下がる前に所有している貨幣をより安心・安全な金に変えておこう」と考える人が多くなり、金の価格が上昇するのです。

金の価値はどんなときに下がるのか

ここまでは、金の価値が上がる要因について見てきました。ここからは、金の価値はどんなときに下がるのかを見ていきましょう。金の価値が下がるのは、需要よりも供給が多くなる場合です。つまり金を買いたい人よりも売りたい人が多い場合に金の価値が下がります。金を売りたい人が増える要因には、次のようなものがあります。

経済不安や株価の下落の解消

上述した通り経済に不安がある場合には、現金をより安心・安全な金に交換する人が増える傾向のため、需要が増え金の価値が上がります。同様に株価の下落が見込まれる場合は、投資対象を株から金に変更する人が増えるため、需要が増え金の価値が上がります。

ただし経済不安や株価の下落は短期的なことも多く、それが解消される時、逆に金より現金や株を購入する人が増えるため、金の需要が減って価値が下がります。

米ドルへの不安の解消

米ドル通貨を所有している人は、米国経済が低迷するなどの不安材料があると、米ドルをより安心・安全な金に交換しようと考える人が増えるため、需要が増え金の価値が上がります。しかし反対に米ドルへの不安が解消され価値が高くなりそうな場合には、金から米ドルに交換しようと考える人が増え、金の需要が減るため、供給の方が多くなり金の価値が下がります。

原油価格の高騰の解消

実は、原油価格も金の価値の変動に大きく影響を与えます。なぜなら原油価格の高騰は、経済不安や紛争などに起因することが多いからです。原油を産出する国や地域が政治的、経済的に不安定になれば、原油価格が高騰し、金の需要が高まり価値も上昇します。反対に原油を産出する国や地域の混乱が収まり原油価格の高騰が解消されると、金の需要が減り、価値も下がっていくのです。

低金利の解消

低金利が続くと預金のメリットが減り、金などの他の資産への投資が増える傾向です。金への投資が増えれば金の価値は上昇します。逆に低金利が解消され上昇していくと金から預金に資金が流入されるため、金の価値は下がっていくでしょう。

金の価格は今後どうなるのか

ここからは、短期的、長期的に金の価格の今後がどうなるのかを見ていきましょう。

短期的な予想

金の価格の短期的な予想には、コロナの影響がどのぐらいで収まっていくのかが大きなカギになります。コロナウィルスの影響が大幅に抑えられると、金の価値は下落する可能性が高くなります。

長期的な予想

長期的な予想で見ると金の価値は上昇していくと考えられます。なぜなら世界的な低金利や経済対策への大幅な支出などで、市場にはお金が多く残っていると考えられるからです。そのお金は金などの投資に向けられることが考えられ、これからしばらくは金の価値は上昇していくと考えられます。

金への投資方法

一口に金への投資といっても方法はさまざまです。例えば昔からよく用いられている方法が単純に金(地金)を購入し保管を購入元に委託しておく方法です。それ以外にも少額からできる純金積立への投資や金投資信託、金ETFへの投資なども方法の一つです。どの投資方法が選択できるのかは、金を取り扱っている証券会社などで異なります。

金の取引におすすめ証券会社

ここからは、金の取引におすすめの証券会社を見ていきましょう。

SBI証券

SBI証券はオンライン総合証券の最大手で、さまざまな投資商品を扱っており金も取り扱いがあります。5秒ごとに更新される金の参考価格を基に狙ったタイミングで売買できるスポット取引や、毎月設定した「一定金額(または一定数量)」を上限に自動的に買い付ける積立取引や現物転換など、さまざまな投資方法が選択可能です。

そのため自分に合った金の取引ができるメリットがあります。

GMOクリック証券

GMOクリック証券は、GMOインターネット株式会社のグループ会社で、株だけでなく「金スポットCFD」なども取り扱っています。金スポットCFDは「すべて円で取引できる」「最大20倍のレバレッジで取引ができる」といった点が魅力です。少額資金で大きな利益を狙うこともできます。

IG証券

IG証券は、20カ国で事業を展開している英国のロンドンに本拠地を置くIGGroupが運営する証券会社です。金取引では、期限のないスポット銘柄や期限のある先物銘柄をトレード戦略に合わせて選択することができます。またレバレッジ取引やETF、金関連の株式CFDなど取引方法も豊富です。

まとめ

金は、株などと同様に値動きがあり投資商品として人気があります。金の特徴は、他の投資商品に比べてより安心・安全であることです。そのため世界中で新型コロナウイルスの影響が拡大している今日において人気の高い商品となっています。また世界中で低金利が続いているため、今後も金の価値は上昇が見込まれるでしょう。

どの商品に投資するのか迷っている場合は、金への投資を検討してみてはいかがでしょうか。