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(画像=NET MONEY)

2024年から現行のNISAは新しい制度へ変わる。すでに一般NISAやつみたてNISAを開設している場合は、自動で新NISAの口座が開設されるため、特別な手続きは必要ない。

現行NISAと新NISAはまったく別の口座となるため、併用できない点に注意しよう。

この記事でわかることは以下のとおりだ。

この記事からわかること

  • 一般NISA・つみたてNISAから移行するのに手続きが必要か
  • 新NISAと併用できるのか
  • 新NISAの特長
  • これからNISA口座を開設する人におすすめの証券会社

新NISAの制度について理解を深めたい人は参考にしてほしい。

著者のプロフィール
  1. 一般NISA・つみたてNISAから新NISAへの移行手続きは不要
    1. 新NISAとの併用はできない
    2. 新NISAへのロールオーバーはできない
  2. 新NISAの特徴
    1. 制度や非課税保有期間が恒久化される
    2. NISAの投資枠が拡大する
    3. つみたてNISAと一般NISAの併用が可能になる
  3. 一般NISA・つみたてNISAの概要
    1. まだNISA口座を開設していない人はどうすればいい?
  4. これからNISA口座を開設する人が選ぶべき証券会社
    1. SBI証券
    2. 楽天証券
    3. マネックス証券
  5. 来年に新NISAへ移行するがNISA口座を開設するメリットは大きい

一般NISA・つみたてNISAから新NISAへの移行手続きは不要

一般NISAやつみたてNISAをすでに開設済みであれば、新NISAへの移行手続きは不要だ。

2023年中にNISA口座を開設していれば、2024年には自動で新NISAの口座が開設される。そのため、新制度の手続きが、複雑にならないようになっているので安心していい。

一方、NISA口座の開設を新制度に変わってから手続きしようとしている場合、口座開設の手続きが必要になるので注意が必要だ。

もし資産形成に興味があるのに、NISA口座を開設せずに様子を見ているなら、すぐにNISA口座を開設したほうが制度の恩恵を最大限に受けられるだろう。

NISA口座をすでに開設している人にしてみれば、新NISAと現行NISAで併用ができるのか、ロールオーバーはできるのかなど疑問を持つ人もいるだろう。

結論から言うと、新NISAとの併用やロールオーバーはできないので注意しよう。

新NISAとの併用はできない

新NISAと現行NISAは併用できないので注意しよう。

新NISAでは、現在のNISA制度とは分離して管理される予定になっている。まったく別物の口座になるというわけだ。

そのため、現在NISA口座を保有している場合、2023年中は買付が可能だが、2024年からは新NISA口座での買付となる。

とはいえ、現行NISAで保有している金融商品は非課税期間満了(一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間)まで保有でき、自由に売却できるので安心していいだろう。

例えば、2023年に買付した金融商品は5年後の2027年までは非課税投資枠で保有でき、売却も自由だ。そのため2024年までに、現在保有している現行NISAの金融商品を、無理に売却したりする必要はない。

現在の制度では、一般NISAとつみたてNISA、どちらかしか選べなかった。しかし、新制度では一般NISAにあたる「成長投資枠」と、つみたてNISAにあたる「つみたて投資枠」が併用できるようになるので覚えておこう。

現行のNISAの非課税投資枠と、新NISAの非課税投資枠2つを有効に活用するためにも、2023年中にNISA口座を開設しておくことをおすすめする。

新NISAへのロールオーバーはできない

現行NISAから新NISAへロールオーバーはできないため注意しよう。

例えば、現在NISAの非課税投資枠で保有している金融商品を、新NISAの口座へ移す(ロールオーバーする)ことを考えている人もいるだろう。しかし、ロールオーバーはできないので覚えておこう。

新NISAは、現行NISAとは別の口座として管理されるため、ぞれぞれの制度の中で資産運用することになる。

そのため、現行NISAから新NISAへと金融商品を移管したり、非課税期間が終了後に新NISAへ持ち越す(ロールオーバーする)ことはできない。

とはいえ、現行NISAの非課税投資期間が無駄になるわけではない。2023年中に開設したNISA口座で買付した金融商品については、今まで通り5年の非課税期間が適用される。そのため、2027年までは非課税期間として保有でき、売却も自由に行えるので安心していいだろう。

むしろ、現行NISAの非課税期間や非課税投資枠、新NISAでの非課税投資枠を最大限に活用するためにも、現行NISAの口座開設を急いだほうがいいだろう。

新NISAの特徴

新NISAの特徴を現行NISAと比較した早見表を作成した。

現行制度
  つみたてNISA 一般NISA
年間投資枠 40万 120万円
非課税保有期間 20年間 5年間
非課税保有限度額 800万円 600万円
口座開設期間 2023年まで
投資対象商品 金融庁の基準を満たした投資信託に限定。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等
口座の併用可否 一般NISAとつみたてNISAは選択制で併用は不可
新制度
  つみたてNISA 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化
非課税保有限度額 1,800万円(成長投資枠は1,200万円)
口座開設期間 恒久化
投資対象商品 現行のつみたてNISA対象商品と同様。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託。 上場株式・投資信託等
口座の併用可否 口座の併用可

主な変更点を解説する。

制度や非課税保有期間が恒久化される

これまでの制度では、非課税保有期間や口座開設期間に制限が設けられていたが、これらが撤廃された。非課税保有期間が無期限化され、口座開設期間も恒久化される。

現行制度では、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間と非課税保有期間が設定されていた。そのため非課税保有期間を過ぎた場合は、ロールオーバーするか現金化するなど対応策が必要であった。しかし非課税保有期間が無期限化になったことでロールオーバーを気にする必要がなくなったのだ。

ロールオーバーは、各金融機関にもよるが書類を申請して、必要事項を記載し郵送するといった手続きが必要であった。

これがなくなることで、新NISAのほうが利用しやすくなると言えるだろう。

NISAの投資枠が拡大する

新NISAでは、年間上限額が大幅に拡充される。

個人のライフステージに合わせて、余裕資金があるタイミングで集中して投資ができるようにするためだ。

現行のつみたてNISAは年間40万円、月々3万円程の積立額が限度である。しかし、新NISAでは年間120万円、月々10万円まで投資が可能になる。

一般NISAでも、現行制度では年間120万円までの投資枠が、240万円と2倍に設定される。新制度では、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能なため、年間で最大360万円まで非課税で投資できる。

加えて、新NISAでは年間投資上限額とは別に、一生涯にわたる非課税限度額が設定される。つみたて投資枠の投資上限額は1,800万円、成長投資枠は1,200万円となる。

年間の非課税投資額は360万円と設定されているため、最短で5年(360万円×5年間)で投資上限額を利用可能だ。

投資枠に関する最大の特徴は、売却で投資枠が翌年復活することだろう。

現行NISAでは資産を売却しても、売却分の投資枠は復活しない。しかし、新NISAでは売却した分の非課税保有限度額が再利用可能になる。

例えば、1,500万円の金融商品を保有しているとする。この時、残りの非課税保有限度額は300万円だ。しかし、500万円分の金融商品を売却すると、500万円の枠が再度利用できることになる。非課税保有限度額は800万円となり、投資枠が再利用できるというわけだ。

つみたてNISAと一般NISAの併用が可能になる

新NISAでは、つみたてNISAと一般NISAの併用が可能になる。

これまで投資家は、つみたてNISAもしくは一般NISAを選択しなければならず、2つの制度を利用することはできなかった。

すでにNISA口座を開設している人の中には、つみたてNISAをしながら別口座で株式投資を行っている人もいるはずだ。

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの制度を併用できるため、こうした人のニーズを満たすことができるだろう。

つみたて投資でコツコツと資産を増やしつつ、株式投資で資産形成することも可能になった。

とはいえ、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関に開設することはできないので注意が必要だ。現行NISAと同様に、新NISAでも非課税口座は1つしか保有できない。

複数の金融機関で口座開設はできないので、現在の金融機関に満足していない人や不満がある人、資産運用でポイントを貯めるといった恩恵を受けたいと思っている人は、この機会に金融機関を見直そう。

一般NISA・つみたてNISAの概要

一般NISAとつみたてNISAの概要を解説する。

まだ、NISA口座を開設しておらず、2つの制度の違いを知りたい、理解を深めたい人は参考にしてほしい。

一般NISA
年間投資枠 120万円
非課税保有期間 5年間
非課税保有限度額 600万円(年間120万円×5年間)
口座開設期間 2023年まで
投資対象商品 上場株式・投資信託等
  ・ある程度、金融商品や投資手法などに知識がある人
・株式投資や投資信託の売買タイミングを自分で決められる人
・買付する商品を自分で選定できる人
・運用にまとまった資金を拠出できる人

一般NISAは、主に株式投資をする人におすすめの口座だ。年間120万円までは、非課税で投資できる。買付する金融商品は自分で選び、自分のタイミングで売買する必要がある点が特徴だ。

そのため、すでに投資に関してある程度の知識を有している人、120万円までのまとまった資金を運用に回す余裕のある人は一般NISA口座の開設がおすすめだ。

つみたてNISA
年間投資枠 40万円
非課税保有期間 20年間
非課税保有限度額 800万円(年間40万円×20年間)
口座開設期間 2023年まで
投資対象商品 金融庁の基準を満たした投資信託。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託。
つみたてNISAがおすすめの人 資産運用に興味があるが、知識に自信のない人。
少額からコツコツ、長期で投資をしたい人。
ローリスクでローリターンな運用を希望する人。
日中忙しく、売買する時間がとりにくい人。

つみたてNISAは、毎月一定の金額で同じ金融商品をコツコツと買い増ししていく仕組みだ。金融機関によるが、100円からつみたてできる証券会社もあるため、まずは少額から資産運用を始めたい人に最適といえる。

買付するタイミングは、金融機関で「毎月」「毎週」など自分で設定するだけで、自動で買付を行ってくれるため、日中多忙で注文を出す時間のない人にもおすすめだ。

少額から資産運を始めたい人や金融商品に関する知識に自信がない人、自動でのつみたて投資を始めたい人はつみたてNISA口座を開設するといいだろう。

まだNISA口座を開設していない人はどうすればいい?

まだNISA口座を開設していない人は、2023年中にNISA口座を開設しておこう。NISA口座の開設は無料のため、早めに開設して損はないだろう。

現行NISA口座を開設しておくと、2024年に自動で新NISA口座が開設されるため、手続きも不要になる。

一般NISAの場合、NISA口座を開設してすぐに投資を始めても良いし、口座だけ開設しておいてタイミングを見ながら売買を始めても良いだろう。

新NISA制度が始まっても、現行NISAの金融商品は引き続き保有でき、売買も自由に行える。非課税期間内であれば、利益を得た際に徴収される20%ほどの税金が非課税になるためメリットも大きい。

つみたてNISAの場合、月々積立ていく仕組みのため、できれば「ボーナス積立」や「NISA枠ぎりぎり注文」などを利用して年間投資枠40万円を使い切るように設定したい。

また、新NISA口座に、現行NISAで買付した金融商品を移行できない点は注意が必要だ。ロールオーバーできないので覚えておこう。そのため、5年もしくは20年持ち続けたいなら、その期間中に利益が出るよう期待できる商品を選ぶと良いだろう。

NISA口座を開設する際には、手数料や取扱銘柄数、ポイント還元率といった点に注意して金融機関を選ぶと資産運用に加えて、ポイント付与などの恩恵が受けられるのでおすすめだ。

これからNISA口座を開設する人が選ぶべき証券会社

2024年から始まる新NISA制度に向けて、初心者でも使い勝手がよく投資しやすい証券会社を選ぶことをすすめる。

2023年中に40万円以上投資にまわす余裕があり、株式投資に興味があるなら一般NISAを選び、投資金額は少額に抑えたい場合や、自身で金融商品を選べない場合はつみたてNISAを選ぶと良いだろう。

投資初心者におすすめの証券会社を3つピックアップし、比較表を作成したので参考にしてほしい。

おすすめ証券会社3社比較
  SBI証券 楽天証券 マネックス証券
手数料(つみたてNISA) 0円 0円 0円
つみたてNISA取扱銘柄数 193銘柄 190銘柄 167銘柄
IPO(株式の新規上場)取扱い数 (2022年) 89社 65社 61社
対応ポイント Tポイント
Vポイント
Pontaポイント
dポイント
JALマイレージ
楽天ポイント マネックスポイント
おすすめの人 投資初心者の方で初めて口座を開設する人 楽天ポイントを貯めている人 米国株式への投資に興味がある人

SBI証券

NISA口座をどこに開設しようか迷っているなら、SBI証券がおすすめだ。

つみたてNISA取扱銘柄数も豊富で、株式投資の手数料が55円からと業界でも最安値の水準である。また、短期投資でも長期投資でも制約が少ない点が大きなメリットだろう。

一般NISAで検討している人向けに解説すると、SBI証券は「分析の匠」という独自のツールがあり、初心者でも簡単に株式の銘柄が選定しやすい点が大きな特徴だ。

IPO(株式の新規上場)の取扱い数も多く、米国株式も売買可能だ。日本株投資以外に、IPOに興味がある、米国株も運用してみたいという人はSBI証券が最適だ。

つみたてNISA口座を検討している人にも、SBI証券での口座開設はメリットが大きいだろう。取扱銘柄数が190本以上と多いことに加えて、最低投資金額が100円と少額から始められる。

また、買付タイミングが「毎月」もしくは「毎週」に加えて「毎日」から設定できるのはSBI証券の特徴だ。毎日100円を積立るだけでも、ひと月で見ると大きな金額になる。

つみたてNISAに対応している銘柄以外にも、気に入った投資信託を自身で金額とタイミングを設定して買付ができるため、長期投資を検討している投資初心者でも運用が始めやすいだろう。

楽天証券

楽天証券は、楽天ポイントを貯めている人や楽天経済圏を利用している人に特におすすめだ。

手数料は55円からと業界でも安い水準にあり、つみたてNISAの取扱銘柄数も豊富な中から選べるため、ほかの証券会社と比べても遜色ないだろう。

楽天証券のポイントとしては、投信積立を楽天カードクレジット決済にすることで、楽天ポイントまたは楽天証券ポイントが貯まる点だろう。

ほかにも、楽天証券で取引をすることで楽天銀行のATM手数料や振込手数料が無料になるプログラムも展開している。楽天ポイントを貯めている人には、おすすめの証券会社だ。

ただし、楽天証券はIPOにやや弱く、取扱いがあまりない点には注意が必要だ。一般NISA口座を開設後、株式投資(特にIPO)に投資したいという人には物足りないかもしれない。

マネックス証券

マネックス証券は、SBI証券や楽天証券と比べると米国株に特化している証券会社といえる。米国株の現物取扱銘柄数は5,000銘柄を超え、日本株や投資信託と同じように特定口座に対応している。米国株の取引手数料が、0米ドルから取引できる点が大きな特徴だろう。

加えて、マネックス証券の特徴としてポイント還元率が高い点が挙げられる。

マネックスカードによる投信積立の還元率は1.1%と高く、毎月の投資信託の残高に応じてマネックスポイントが貯められる。貯まったポイントは、Amazonギフト券やdポイントなどに交換が可能だ。

投資信託は株式と異なり、長期的に保有することが前提の金融商品だ。そのため、保有残高に応じてポイントが貯まるという仕組みは、投資による恩恵をより大きくしてくれるだろう。

一般NISAの口座開設を検討していて、米国株式への投資に興味がある人や、長期投資を検討している人の中でもポイント還元率にこだわる人はマネック証券をおすすめしたい。

来年に新NISAへ移行するがNISA口座を開設するメリットは大きい

現在NISA口座を開設しておらず、2024年の新制度開始まで様子を見るという人がいたら、できるだけ早く2023年中にNISA口座を開設しておくことをおすすめする。

2023年にNISA口座を開設しておけば、2024年に新NISA口座が自動で開設されるため、面倒な手続きが不要になる。また、新NISA口座とは別に、現行のNISA口座でも非課税口座を保有できるため、2つの非課税口座が保有できるというわけだ。

2023年に開設したNISA口座に関しては、一般NISAなら5年間、つみたてNISAなら20年間口座を保有できる。保有している金融商品を、新NISA口座へ移管することはできないが、現行NISA口座で自由に売却できるため損はないだろう。

NISA制度の恩恵を最大限に活用するなら、今すぐにNISA口座を開設しよう。

投資初心者におすすめの証券会社であれば、SBI証券がおすすめだ。そのほかに、楽天ポイントを貯めているなら楽天証券、米国株に興味がある人はマネックス証券を検討してもいいだろう。

2023年中にNISA口座を開設し、制度の恩恵を最大限に活用したい。