(画像=編集部作成)

【目次】
①️ラストワンマイルIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント

会社名
株式会社ラストワンマイル
コード
9252
市場
マザーズ
業種
サービス業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役社長 清水 望 / 1985年生
会社住所
東京都豊島区東池袋四丁目21番1号 アウルタワー3階
設立年
2012年
社員数
73人(2021年9月30日現在)
事業内容
インサイドセールス等を活用した新電力、新ガス、インターネット回線等のインフラサービスの取次販売および自社サービス「まるっとシリーズ」の提供
URL
https://lomgrp.co.jp/
資本金
238,000,000円 (2021年10月20日現在)
上場時発行済み株数
2,732,418株
公開株数
350,400株
連結会社
2社
スケジュール
仮条件決定:2021/11/04→1,570~1,710円に決定
ブックビルディング期間:2021/11/08 - 11/12
公開価格決定:2021/11/15→1,710円に決定
申込期間:2021/11/16 - 11/19
上場日:2021/11/24→初値2,520円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:あかつき証券
引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
引受証券:水戸証券
引受証券:極東証券
引受証券:東洋証券
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:丸三証券
引受証券:東海東京証券
大株主
清水望 49.39%
(株)光通信 7.07%
(株)プレミアムウォーターホールディングス 6.61%
秋月帥謙 5.91%
渡辺誠 3.85%
(株)スマイル 3.78%
(株)エアトリ 3.22%
SSSEO(株) 2.29%
(株)ベクトル 2.21%
100キャピタル1号 投資事業有限責任組合 2.21%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2018/11 単体実績 
3,130,056 183,841 22,853 770,847
2019/11 連結実績 
8,776,794 137,780 39,648 789,046
2020/11 連結実績 
7,220,406 63,902 19,410 808,456
2021/08 第3四半期連結実績 
6,189,121 172,450 114,292 922,748
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2022年2月21日まで
または、上場後180日目の2022年5月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×仮条件上限)
5億9918万4000円(350,400株×1,710円)
潜在株数(ストックオプション)
266,300株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
株式会社ラストワンマイル<9252>は電話やメールなどのインサイドセールスを活用した電気、ガス、宅配水、インターネット回線等の自社及び取り次ぎサービスなどを提供する企業である。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業内容詳細

同社は2012年6月に設立され、インサイドセールス(※)によるインターネット回線取次事業から事業を開始した。また2016年3月には自社サービス「Best光(現:まるっとひかり)」の提供を開始している。

同社は池袋本社、福岡、仙台に合計約400席で運営するインサイドセールスセンターを活用することで、新生活を迎えるタイミングで電気、ガスなどの生活に必要に不可欠なインフラサービスを主軸に、宅配水、インターネット回線などを顧客に一括で案内している。

※インサイドセールス:電話、Web会議、メール等を活用した内勤型の営業活動
 

●自社サービスについて

同社では新生活に必要なライフラインサービスを中心に既存サービスでは埋め切れない顧客のニーズを反映した自社サービス「まるっとシリーズ」を開発・運営している。複数サービスの決済をひとつにまとめることができ、また自社アプリ「まるっとポータル」で一元管理が可能である。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■事業モデル

同社は「まるっとシリーズ」によるサービス提供事業者、各社のサービス取次事業者のハイブリッドの立ち位置にある。

収益モデルとしては、自社サービスの利用料として顧客から得るストック型売上と、取次サービスを販売した手数料として得るフロー型売上の両者が主な源泉となっている。

また同社は自社サービス・取次サービスを問わずサービス流通数(新規販売件数)を最も重要なKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)として設定しており、顧客数及びサービス流通数は毎期順調に増加している。
 
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■成長戦略

同社は今後下記4つの施策により成長を果たす考えである。

① 提携企業拡大・リレーション強化
② 自社サービス拡充
③ 販売チャネル拡充
④ システム強化

上記のうち①提携企業拡大・リレーション強化では、年間移動世帯数に対し提携企業からの顧客紹介数50%を目指している。知名度向上による開拓速度の向上、大手企業とのアライアンス等を実施することで、2世帯に1世帯は同社からのアプローチが可能な体制を目指す。
 

■業績推移

2018年11月期 売上高31億円、経常利益1.8億円、当期純利益0.2億円
2019年11月期 売上高88億円、経常利益1.4億円、当期純利益0.4億円
2020年11月期 売上高72億円、経常利益0.6億円、当期純利益0.2億円
2021年11月期(予想) 売上高85億円、経常利益2.2億円、当期純利益1.3億円
※2019年11月期より連結決算

2020年11月期は2019年7月に一部サービスの取次の契約内容を総額表示から純額表示に変更したため、対前年同期比で減収減益となった。ただし2021年11月期は売上高85億円、経常利益2.2億円の増収増益を予想しており、経常利益は2億円の大台突破を予想する。

2021年11月期Q3(累計)は売上高62億円、経常利益1.7億円であり、既にQ3時点で前期の通期の経常利益を上回った。今期より本格的な利益計上がなされる見込みである。
 

■財務内容

2020年11月期末時点で資産合計21億円に対し純資産合計8.1億円、自己資本比率38%である。借入金4.8億円に対し現預金6.7億円を有している。

資産合計21億円のうち、売掛金8.6億円、現預金6.7億円など流動資産17億円となっている。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローが2019年11月期▲1.5億円、2020年11月期▲0.1億円とマイナスになっている。売上債権の増額(2019年11月期▲3.0億円、2020年11月期▲1.4億円)の影響である。
 

■資金使途

IPOにより3.3億円の資金調達を行い、下記使途が予定されている。

・事業拡大に向け優秀な人材を確保するための人件費及び採用費及び研修費 1.1億円
・基幹システムを強化し生産性の向上、業務効率化を目的とした外注費用 2.2億円

調達資金の大半は生産性の向上や業務効率化を目的とした基幹システム強化に充当される。
 

■株主構成

筆頭株主は清水社長であり株式の49%(うち0.6%は潜在株式)を所有している。第2位株主(株式シェア7.1%)は清水社長の出身元の株式会社光通信である。

第3位株主は取引先である株式会社プレミアムウォーターHD(同6.6%、うち0.95%は潜在株式)。また株式会社エアトリ(同3.2%)、株式会社ベクトル(同2.2%)、ジャパンベストレスキューシステム株式会社(同1.1%)などの事業会社も株主参入している。

VCとして100キャピタル1号投資事業有限責任組合他の合計3名義が株主参入しており、VC比率は4.0%である。
 

■まとめ

電話、Web会議、メール等を活用した内勤型の営業活動であるインサイドセールスを活用した、電気、ガス、宅配水、インターネット回線等の自社及び取り次ぎサービスなどを提供する企業のIPO案件である。

主に引っ越しなどの新生活を開始する顧客に、インサイドセールスセンターを活用し必要なライフラインサービスなどを提案している。サービスの提供は自社パッケージサービス及び他社サービスの取次の2種類がある。

2020年11月期は対前年同期比で減収減益となったが、2021年11月期は売上高85億円、経常利益2.2億円の予想であり予想達成に向け順調に進捗している。

2021年11月期から開始された増益基調をIPOの後も継続することができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、インサイドセールス(コールセンター)等を活用した新電力、新ガス、インターネット回線等の生活インフラサービスの取次販売および自社サービス「まるっとシリーズ」の提供を事業としている。上場市場は東証マザーズ。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が47億円、2021年11月期の業績予想ベースのPERが35.94倍となっている。

上場当日の株価動向は、資金吸収額が7億円弱と小さく需給はタイトで初値は後場まで持ち越される可能性が高い。セカンダリーマーケットにおいて、株価が動くタイミングは、1月中旬の決算発表になりそうだ。ビジネスモデルは、ストック化された売上比率が毎年増えてくるため、新規の顧客を開拓すれば、間違いなく毎年売上と利益は上がることになる。

それを見極めることができるのが、当社のKPIのサービス流通数で、四半期ごとに開示されるので、この件数が増えれば増えるほどストック売上が増えることになる。公開価格のPERはやや高めなので、この割高感が解消される程度に来期の業績予想がでるかどうかが決算のポイントになるだろう。